バリュエーションとは?バリュエーションの方法と注意点

バリュエーションとは投資案件全般において対象の価値を評価するという意味です。本記事ではその中でもM&Aにおけるバリュエーションに焦点を絞り、具体的なバリュエーション方法の詳細を確認するとともに、その注意点についても明らかにします。

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2019年12月20日更新

目次
  1. バリュエーションとは?
  2. M&Aにおけるバリュエーションの意義
  3. M&Aでのバリュエーションの活かし方
  4. M&Aのバリュエーション①コストアプローチ
  5. M&Aのバリュエーション②インカムアプローチ
  6. M&Aのバリュエーション③マーケットアプローチ
  7. M&Aのバリュエーション④ベンチャーキャピタルメソッド
  8. M&Aのバリュエーションの注意点
  9. まとめ

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バリュエーションとは?

個人であれ法人であれ、投資行為をしようとする場合、その投資対象が本当に投資の価値があるものか否かの評価を行って決断・決行されるものです。この時の投資に値するかどうかの価値の計算をすることや、評価をすることをバリュエーション(Valuation)といいます。

一般に投資対象といえば株式や不動産などです。この場合の株式の評価とは、結局のところ、その企業の評価を行うことになります。つまり、それはM&Aの現場において、買収対象企業相手に行う価値の評価と何ら変わりはありません。

したがって、M&Aの場合にもバリュエーションという言葉は使われており、あえて日本語で表記する場合には「企業価値評価」と言い表します。本記事では、このM&Aにおけるバリュエーションについて、内容を明らかにしていきます。

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M&Aにおけるバリュエーションの意義

M&Aにおけるバリュエーションの意味合いは、企業の価値の評価です。平たく言えば、その会社を買う場合にふさわしいと考えられる値段、と言っていいでしょう。

ひと口に値段と言っても、その値付けには複雑な計算を伴います。企業の価値には様々な要素があり、簡単に一面的なものの見方で計算できるようなものではないからです。

企業には多くの従業員がいます。業種に特化した施設・設備を所持している場合もあります。事業所として土地や建物を所有していることもあるでしょう。何か特許を取っている可能性もあります。

そこまでいかなくても、その会社ならではの営業ノウハウや販売ノウハウ、開発ノウハウなどが構築されているかもしれません。その一方で投資に失敗していたり、大きな負債を抱えているケースも考えられます。

それら複雑な要因の上に成り立っているのが企業です。そうした企業が現在行っている事業の将来性や、今後における収益性の予測を行い、その会社の価値を評価する、すなわち値段を付けるのがM&Aにおけるバリュエーションです。そのため、実際の方法は1つに限定されていません。

1つの手法だけでは、必ずしも正しい評価と誰も言い切れないからです。そこには、現在価値の評価だけでなく、できるだけ将来性の評価も加味することが望まれることも理由となります。かくして、M&Aにおけるバリュエーションの方法は多くの種類が考案されました。

そして、それらを組み合わせて最終評価を出す方法が現在、主流となりつつあります。いずれにしても、バリュエーションの手法は、どれも特殊で変化し続けているため、専門的な見識は必須となります。

したがって、M&Aのバリュエーションでは、外部の専門家の助力を得ることが不可欠だといえます。その際には、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つ公認会計士がM&Aをフルサポートいたします。

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M&Aでのバリュエーションの活かし方

M&Aでバリュエーションを行うのは、買収候補企業の適正価格を知るためです。つまり、できるだけ安く買いたたこうなどといった意思で行われるものではなく、その企業の価値と見合った価格を知るために行います。

買収側経営陣としては、もし買収を決定した場合、株主をはじめとするステークホルダーへの説明責任があります。その時、合理的かつ定量的に説明できる適性価格であれば反発は起きないでしょう。また、M&Aには売り手企業という交渉相手がいます。

買い手と売り手が大きくもめるようなことなく、買収協議を進めるうえでもバリュエーションによって評価された適正価格は、中心的役割を担うでしょう。したがって、次項で紹介する様々なバリュエーション手法の実態を知っておくことは重要です。

そして、数多くあるバリュエーション手法の中から、どれを選択しどれと組み合わせて評価を定めるのかという手法の選択方法も重要になります。なお、交渉においてはバリュエーションで算定した適正価格に固執せず、柔軟に対応することもM&A成約の秘訣です。

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M&Aのバリュエーション①コストアプローチ

ここからは、M&Aにおける実際のバリュエーションの手法について具体的に見ていきましょう。M&Aのバリュエーションには大きく分けて、「コストアプローチ」「インカムアプローチ」「マーケットアプローチ」という3つの手法があります。

そして、それぞれの手法において、具体的な評価・算定法はさらに細かく分かれます。まずはじめは、コストアプローチからです。コストアプローチとは、基本的に貸借対照表にある純資産と負債に着目して、企業価値を評価するやり方です。

コストアプローチの特徴は、貸借対照表を使って行うだけのシンプルなものなので、手軽で手早く客観的な評価が行えることにあります。その反面、企業の過去から現在状況までは読み解けるものの、将来性などの未来の価値が評価要素に組み込まれていません。

そのため、M&Aにおけるバリュエーションとしては、あまり用いられなくなりつつある評価方法です。なお、コストアプローチには「簿価純資産法」と「時価純資産法」の2つの方式がありますので、個々の違いを見比べてみましょう。

⑴簿価純資産法

貸借対照表の純資産合計額から負債総額を差し引いて企業価値を評価するのが簿価純資産法です。しかし、帳簿上の数字は会計上の決まりごとに則って計上されているため、実際の資産の価値と乖離している可能性があります。その場合、簿価純資産法で得た評価は当てにできません。

⑵時価純資産法

簿価純資産法の欠点を補うべく考案されたのが、時価純資産法です。純資産について簿価ではなく時価に換算してから負債総額を差し引くという手順で評価を出します。

この時価に換算する方法についてはさらに種別がありますが、M&Aの場合は、再調達原価というものが用いられます。これは、資産や負債を新たに取得し直すという前提に立ち、その場合に生じる付帯費用なども加算して時価と考えるやり方です。

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M&Aのバリュエーション②インカムアプローチ

インカムアプローチは、コストアプローチとは対照的に、評価対象の会社が将来獲得するであろうキャッシュフローに着目し、企業価値を評価する方法です。インカムアプローチに分類される方式も複数ありますが、M&Aで用いられるのは専ら「DCF法」になります。

DCFとは「 Discounted Cash Flow」の略で、具体的には、将来のキャッシュフローを現在の価値に割引し、そこから有利子負債などを差し引く企業価値評価方法です。評価対象の会社の将来性を加味した評価を導き出すことに適しているとされます。

しかし、その分、インカムアプローチは緻密な事業計画を作成しなければ、正確な企業評価を出すことが難しい方法でもあります。また、算定に用いる割引率の数値や、事業計画の数値内容が担当者の裁量次第であるため、その人物の主観に左右されてしまうのが難点です。

したがってDCF法を用いる場合、担当者を複数体制にしたり、まず、事業計画内容自体が妥当かどうかの精査を行うなどの措置を取ることが求められます。

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M&Aのバリュエーション③マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、すでに市場で成立している価値を参照して企業価値評価を行う方法です。ケースバイケースで、適用して評価ができる企業とそうでない場合とがありますが、マーケットアプローチには以下の5種類の方法があります。

  1. 市場株価法
  2. 売買実例法
  3. 類似企業比較法
  4. 類似取引比較法
  5. 類似業種比較法

 

マーケットアプローチは実際にあった取引や市場で成立している価値を参照して企業価値を評価する方法であるため、客観性を担保しやすい点がメリットです。しかし、評価対象となる会社と類似している会社や、類似するM&A成立案件探しは決して簡単ではありません。

類似している会社やM&A成立案件を見つけられない場合は、マーケットアプローチは断念するしかありません。また、比較対象とする会社を選ぶ行為自体が、担当する人物による主観的判断に基づくと言えるため、そこに恣意性がないとは言い切れないでしょう。

さらにデメリットとされることは、マーケットアプローチ手法で導き出す企業価値評価の数値は、比較からの推察であるため精密性を欠いてしまうことです。したがって、最終的には、別のバリュエーション方法と組み合わせて行う用い方が望ましいとされています。

⑴市場株価法

上場会社の場合のみ用いることができるマーケットアプローチが市場株価法です。対象会社の直近1~6ヶ月の平均株価を評価額とするシンプルで客観的で便利な方法とされています。ただし、値動きに特殊な変動が見られるような場合には期間の設定等に注意が必要です。

⑵売買実例法

評価対象会社が非上場企業の場合、取引市場には株価のデータは存在しません。しかし、まれに、その会社が自社株式の売買を第三者に行っているケースがあります。その場合は、その過去の売買取引での価格(売買実例額)を株式評価額として考えるという手法です。

この論拠は、法人税法において、過去の売買取引額が適正と認められる場合は株式評価額と見なすという規定に基づいています。

⑶類似企業比較法

評価対象会社と同業種で企業規模などが類似している上場企業を探しその上場企業の株価などの情報をベースとして、対象会社の評価を導き出す方法です。ピッタリと類似する企業があれば非常に信頼性の高いデータが得られますが、それを探すこと自体が難問の場合があります。

最悪の場合、類似企業が見つからなかったら、類似企業比較法は断念せざるを得ません。

⑷類似取引比較法

類似取引比較法の場合は、近年成立したM&Aの中から、評価対象会社と類似するケースがないかを探し、見つかればそのM&Aの売買成立価格を対象会社の評価の1つとして採用する手法を取ります。

バリュエーション方法として一定の評価はあるものの、M&Aが盛んな業種とそうでない業種とでは、価格のつき方が違うのではないかという異論も唱えられています。

⑸類似業種比較法

類似業種比較法はマーケットアプローチの中でも最も大味な方法です。まず、資料として国税庁が発行している「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」を用います。この資料から、評価対象企業と同一業種の株価やその他の数値データを参照して評価を行う手法です。

左記の資料は業種ごとの上場企業の平均値であり、いくら同業種と言えど対象企業の現実的な評価に直結するとは言い難いでしょう。したがって、現状のM&Aでのバリュエーションとしてはほとんど用いられなくなっています。

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M&Aのバリュエーション④ベンチャーキャピタルメソッド

M&Aで用いられるバリュエーション方法は3種類あると書きましたが、ベンチャー企業を対象とした場合、それら3種とは異なる例外的なバリュエーション方法があります。それがベンチャーキャピタルメソッドと呼ばれるものです。

具体的には、評価対象であるベンチャー企業が仮に上場したとして、その際に得られるであろう金額を、一定の数式を用いて現在価値に割り引き株価評価を算出する方法になります。この手法がベンチャー企業に用いられるようになった理由は主に以下の2点です。

ベンチャー企業の場合、収益が不安定でインカムアプローチの基となる事業計画書が作りにくい、あるいは作成しても信用がおけず、結局、インカムアプローチは不適格です。

また、ベンチャー企業が手掛ける新興事業だと類似する上場企業もほとんどありません。つまり、マーケットアプローチにも適さない結果となり、それらに代わる方法として考察されたのがベンチャーキャピタルメソッドなのです。

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M&Aのバリュエーションの注意点

M&Aでバリュエーションを行う際、必ず気をつけたいのは「恣意的な評価」と「実際の売却額との違い」です。インカムアプローチでのバリュエーションは、どうしても担当者の主観性が加味される余地があるため、結果的に恣意的な評価となってしまう可能性があります。

その恣意性の振れ幅が大きかった場合、そのバリュエーションで得た企業評価は実態とかけ離れたものであり、大問題をもたらすことになるかもしれません。M&Aの担当者や関係者であれば、対象会社に見合った企業価値評価を行うように心がけましょう。

もう1点は、一見上記と矛盾しているように感じるかもしれませんが、バリュエーションで算定した適正価格に固執しないことです。最終的な価格は、バリュエーションで算定した数値を基に買い手と売り手が協議して着地します。

場合によっては、予期せぬ事態の発生などにより、バリュエーション結果とは少し離れた数字で決着することもあるでしょう。バリュエーション結果を神聖視し過ぎて、協議結果に異を唱えたりしないようにすることが肝要です。

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まとめ

バリュエーションは、M&Aで最も重要なプロセスの1つです。本記事でお伝えしたとおり、現在まで様々な手法が考案されてきました。そして、これまで、1つの手法に問題が生じれば別な新しい手法が考え出されたように、今後も新たな手法が生まれるでしょう。

そのような場合は、一度マスターした手法に固執せず、柔軟に新しいバリュエーション手法も研究し取り入れていく姿勢が大切です。キーワードは、バリュエーションでは既存の手法に固執しないこと、それが良い結果を招くシンプルな方法になります。本記事のまとめは以下のとおりです。

  • M&Aでのバリュエーションとは企業価値を評価すること。
  • バリュエーションの方法にはコストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチがある。
  • ベンチャー企業対象のバリュエーションとしてベンチャーキャピタルメソッドという手法がある。
  • バリュエーションを行う際、企業価値が評価対象となる会社の実態と乖離しないよう注意する。

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