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プロキシー・ファイトとは?事例や株価への影響について解説します

プロキシー・ファイトとは?事例や株価への影響について解説します

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

目次

    プロキシー・ファイト

    会社を経営する以上、株主の存在は無視できません。

    上場企業では、株主の出資があるからこそ会社を経営し続けられます。

    経営陣と株主が株主総会に向け争うケースがあり、プロキシー・ファイトと呼ばれます。

    大塚家具のお家騒動の際に一躍有名となったプロキシー・ファイトですが、どの様なものでしょうか?

    この記事では、プロキシー・ファイトについて基本的な概要をお伝えします。

    プロキシー・ファイトとは?プロキシー・ファイトの意味

    まず初めにプロキシー・ファイトの意味をお伝えします。

    プロキシー・ファイトとは、株主総会での議決権行使の委任状をめぐり、株主と経営者の間で繰り広げられる争奪戦を指します。

    委任状とは、他人に議決権行使を委任する書類です。

    株主総会では、大半の議案は過半数以上の賛成で可決されます。

    大半のプロキシー・ファイトは、経営陣に不満を持つ株主による経営権獲得に対し、会社側が対抗することで発生します。

    プロキシー・ファイトに勝つ為には、個人投資家の議決権をいかに多く獲得するかが重要となります。

    近年はプロキシー・ファイトに備えるため、従来に増して個人投資家に配慮したIR活動が実施されています。

    確実にプロキシー・ファイトに勝つ見込みがある場合、株主側が委任状勧誘を行う流れとなる為、日本でプロキシー・ファイトが実施された事例は多くはありません。

    殆どの場合プロキシー・ファイトに至る前に、プロキシー・ファイトに勝てる見込みがない経営陣は株主の意向に従う形となります。

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    敵対的買収

    プロキシー・ファイトの流れ

    この項では、プロキシー・ファイトの流れについてお伝えします。

    ⑴株主名簿の閲覧権行使(株主)

    株主総会で議案を提案する敵対株主は、まず初めに株主名簿の閲覧権を用いて、株主の個人情報(名前や住所等)を入手します。

    ⑵委任状用紙の交付(株主)

    株主名簿の閲覧により各株主の個人情報が判明したら、各株主に委任状用紙を交付する流れになります。

    委任状用紙は議案に対する賛成・反対を記す仕様となっており、株主総会では正式な議決権として扱います。

    ⑶議決権行使書面の送付(会社)

    会社側は株主の委任状勧誘に対抗する為に、議決権行使書面を株主に送付します。

    議決権行使書面は委任状とほぼ同じ効力を持っており、議決権行使書面を用いれば株主自身が総会に出席せずとも、議決権を行使出来ます。

    会社側は書面投票制度を利用し、議決権行使書面により賛成票を集める訳です。

    ⑷委任状用紙・議決権行使書面の回収(株主・会社)

    株主総会決議に際し、株主と会社側はそれぞれ委任状や議決権行使書面を回収します。

    ここでどれだけの賛成を集められるかにより、今後のプロキシー・ファイトの流れが左右されます。

    より多くの賛成を得る為に、株主と会社側はそれぞれプレスリリースや新聞等で自身の味方を集めます。

    ⑸株主総会決議(株主・会社)

    株主総会決議により、プロキシー・ファイトの結末が決定する流れとなります。

    委任状で賛成を表明した株主と自身の議決権を合計して過半数を上回れば、株主側の提案が可決されます。

    つまり委任状と敵対株主の議決権合計が過半数以上となれば、会社側はプロキシー・ファイトに負けることとなり、退任等を余儀なくされます。

    プロキシー・ファイトのメリット

    株主と経営陣の泥沼の争いを呈するプロキシー・ファイトですが、実施されることでどの様なメリットがあるのでしょうか?

    この項では、プロキシー・ファイトの実行により期待できるメリットを3つ紹介します。

    ⑴株主主導の経営へ移行できる

    プロキシー・ファイトの勃発が予期される場合、経営陣は株主の利益を尊重する経営への移行を余儀なくされます。

    経営陣にとっては、プロキシー・ファイトへの対応自体非常に骨が折れるものであり、極力回避したいと考えます。

    プロキシー・ファイトの結果に関係なく、経営陣への牽制としての効果を発揮する点が一つ目のメリットです。

    ⑵経営陣の交代による変革の実現

    プロキシー・ファイトが発生する様な会社は、株主の利益を軽視した経営陣のワンマン経営であるケースが多いです。

    プロキシー・ファイトに株主側が勝てば、株主の利益を重視する経営陣を選定できます。

    この点も、プロキシー・ファイトを実施する大きなメリットの一つです。

    ⑶敵対的買収の阻止

    上場企業は敵対的買収のリスクに常に晒されています。

    現に外資系企業などから敵対的買収を仕掛けられた上場企業は少なくなく、場合によっては既存株主にも不利益が発生します。

    敵対的買収に反対する既存株主は、委任状を集めることで敵対的買収を阻止できます。

    プロキシー・ファイトは現経営陣に対してのみならず、敵対的買収への防衛策としての効果もあります。

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    敵対的買収の防衛策

    プロキシー・ファイトのデメリット

    プロキシー・ファイトが生じるとメリットが多い一方で、下記2つのデメリットも存在します。

    ⑴多大な費用や労力を費やす

    プロキシー・ファイト最大のデメリットは、委任状争奪戦に勝つ為に多大な費用や労力を費やす点です。

    プロキシー・ファイトに勝つ為には、株主または会社よりもより多くの賛成を得る為に、積極的にアピールする必要があります。

    広告やプレスリリース等大々的に宣伝する必要があり、多大な費用や労力が発生します。

    プロキシー・ファイトに勝つにしろ負けるにしろ、本来必要ない労力・費用がかかる点は大きなデメリットです。

    ⑵企業の成長が停滞するリスク

    プロキシー・ファイトで株主重視の経営に転換する事は、裏を返せばデメリットとなり得ます。

    株主を重視するあまり、会社の成長を軽視した経営に陥る可能性があります。

    前経営者の力で成長していた企業であれば、プロキシー・ファイトにより成長が鈍化するリスクが高まります。

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    経営に求められる判断

    プロキシー・ファイトの事例

    この項では、上場企業におけるプロキシー・ファイトの事例を3つご紹介します。

    ⑴大塚家具によるプロキシー・ファイトの事例

    大塚家具のお家騒動は、記憶に新しい方も多いでしょう。

    職人気質の父と頭脳派の娘との間で経営スタンスに争いが生じ、両者の間で経営陣の交代劇が繰り広げられていました。

    その流れで2014年に娘が社長に就任した際に、前経営陣の父親が娘の退任を求めて株主に委任状を交付しました。

    各種メディアで大注目された大塚家具のプロキシー・ファイトは父親の敗北に終わり、娘の社長続行が決定しました。

    ⑵サッポロHDによるプロキシー・ファイトの事例

    サッポロHDと外資系ファンド「スティール・パートナーズ」とのプロキシー・ファイトも有名な事例です。

    敵対的買収を着々と進めていたスティール・パートナーズに対抗する為に、サッポロHDは買収防衛策の導入を決定しました。

    導入されるとスティール・パートナーズは買収を進められなくなる為、買収防衛策導入への反対に賛同する委任状を集めました。

    このプロキシー・ファイトはサッポロHDの勝利に終わり、買収防衛策は導入され、スティール・パートナーズの提案は否決されました。

    ⑶TBSによるプロキシー・ファイトの事例

    TBSと楽天の間でも、大規模なプロキシー・ファイトが繰り広げられました。

    2007年当時筆頭株主であった楽天は、買収防衛策の導入基準引き上げを求めて株主提案を行いました。

    当然TBSはこの要求に反対した為プロキシー・ファイトに発展し、結果的にはTBSが勝利しました。

    プロキシー・ファイトによる株価への影響

    最後にプロキシー・ファイトによる株価への影響を説明します。

    結論から言えば、プロキシー・ファイトが勃発すると株価は上昇する傾向があります。

    株価が上昇する背景には、投資家の心理があります。

    プロキシー・ファイトに勝つ上では、委任状(議決権行使書面)の獲得に加えて、株式の買い集めも一つの手です。

    株式を多く保有すれば、株主総会での権限が強くなるからです。

    一般の投資家は、プロキシー・ファイトが始まると両者(株主と会社側)が株式の買い集めをしていると推測します。

    原則株式が多く買われるほど、それに伴い株価も上昇します。

    今のうちに株式を多く購入すれば大きなキャピタルゲインを獲得できると考え、投資家たちはプロキシー・ファイトの当事会社の株を買います。

    多くの投資家に株式が購入され、株価が上昇する流れとなります。

    いずれか陣営の勝利が確実視されれば、株式の買い集めはそれ以上発生しないと判断されて、株式は売却される可能性が高いです。

    プロキシー・ファイトによる株価上昇は一時的なものであり、長期的には続かないのでご注意ください。

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    テンダー・オファー

    まとめ

    今回は、プロキシー・ファイトについて解説しました。

    経営陣と株主の間で勃発するプロキシー・ファイトは、多方面に影響を与えます。

    中小企業の経営者の方も、プロキシー・ファイトについて知っておいて損はありません。

    要点をまとめると下記になります。

    • プロキシー・ファイトとは

    →株主総会での議決権行使の委任状をめぐり、株主と経営者の間で繰り広げられる争奪戦

    • プロキシー・ファイトの流れ
    1. 株主名簿の閲覧権行使(株主)
    2. 委任状用紙の交付(株主)
    3. 議決権行使書面の送付(会社)
    4. 委任状用紙・議決権行使書面の回収(株主・会社)
    5. 株主総会決議(株主・会社)
    • プロキシー・ファイトのメリット

    →株主主導の経営へ移行できる、経営陣の交代による変革の実現、敵対的買収の阻止

    • プロキシー・ファイトのデメリット

    →多大な費用や労力を費やす、企業の成長が停滞するリスクが高まる

    • プロキシー・ファイトの事例

    →大塚家具、サッポロHD、TBS

    • プロキシー・ファイトによる株価への影響

    →一般投資家が株式の買い集めを予想する為に、株価は上昇する傾向がある

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