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2020年12月7日更新業種別M&A
不動産管理会社のM&Aとは?M&Aの相場や費用、不動産管理会社の買収・売却のポイントを解説
不動産管理業界では、多様化するニーズや激化する競争への対応力強化を狙ってM&Aを検討する会社が増えています。この記事では、不動産管理会社におけるM&Aの現状や動向、M&Aにおける相場や費用、不動産管理業界におけるM&Aの成功事例などを紹介します。
目次
不動産管理会社のM&Aの現状
不動産管理会社のM&Aの現状と動向を知れば、自社のM&A戦略策定に役立ちます。最近では、様々な業界でM&Aが活発化しており、ニュースなどでM&Aについて触れる機会も多く、自社におけるM&Aの有用性について気になっている経営者の方も少なくありません。
M&Aを活用すれば、事業強化・拡大、新規事業への参入、事業承継による後継者不足問題の解決といった様々なメリットを獲得できます。こうしたメリットのためにM&Aを検討する企業は増えており、不動産管理会社だけでなく、幅広い業界でM&Aが一般的になりつつあります。
当然ながら、近年の不動産業界におけるM&A件数も増加しており、多くのケースで不動産管理会社がM&Aの当事者となっています。特に不動産管理会社では、幅広い顧客ニーズに対応すべく、M&Aによって大手グループ傘下に加わる経営者が少なくありません。
なお、不動産管理業界では競争激化も目立っており、M&Aにより競争力の強化や事業の強化・拡大を図るケースも増加中です。
不動産管理会社とは?
不動産管理会社とは、不動産の運用を総合的にサポートする業務を行う会社です。例えば、入居者のクレーム対応・家賃回収・維持管理(メンテナンス)・入居者募集など、不動産の運用で必要不可欠の業務を総合的に行います。
不動産投資を行うオーナーは、ただ不動産を購入しただけでは家賃収入の獲得は望めません。入居者を集め、クレームがあれば対応して、物件自体が万全の状態で維持されるようメンテナンス業務を行う必要があります。しかし、オーナーが上記の業務を全て実施することは困難です。
そこで、不動産管理会社が入居者対応や物件の維持管理など、不動産の運用を総合的にサポートします。つまり、不動産投資のオーナーと入居者の間に立って、物件の維持管理や入居者対応などを実施するのです。
このように多くの業務を行うため、中小規模の不動産管理会社では、低コストかつ高品質なサービスの実現は困難とされています。したがってM&Aにより大手企業に事業譲渡を行うことで、安定した経営を目指す不動産管理会社が少なくないのです。
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不動産管理業界の現状と今後の動向
ここからは、不動産管理会社が属する以下2つの業界について、現状と今後の動向について紹介します。
- 不動産業界
- 不動産管理業界
(1)不動産業界は比較的順調に推移している
不動産業界とは、土地や建物などの不動産に携わる業界です。不動産管理会社以外には、ビルやマンションを開発するデベロッパー・ハウスメーカー・不動産仲介会社・住宅販売会社などが含まれます。不動産管理会社だけでなく、不動産業界には様々な業種があるのです。
不動産業界は、アメリカのサブプライムローン問題やリーマンショックによる影響を大きく受けた業界です。上記の出来事からすでに10年近くが経過しているものの、日本の不動産業界は多大な影響を受け、リーマンショック後しばらくは、市場縮小の傾向が見られました。
その一方で近年は、東京オリンピック開催を受けて建築物の需要が高まったこともあり、不動産業界の成長がしばしば話題に挙がっています。外国人旅行客は今後も増加する見込みであり、宿泊施設をはじめ外国人誘致に対する需要も高まり続けています。
加えて住宅ローン金利の下落傾向により、不動産投資・購入の需要も高まっています。こうした背景があり、近年の不動産業界は、比較的順調に推移していて今後も市場の活性化が続く見込みです。不動産業界は景気に左右されやすい傾向があるものの、現状から見れば未来は明るいです。
(2)不動産管理業界の需要は増加傾向にある
次に不動産業界のなかでも、不動産管理業界について詳しく見ていきます。不動産投資・購入の需要が高まっている昨今、不動産管理会社の需要は増加傾向にあります。不動産投資による不動産運用には、不動産管理会社のサポートが大きな役割を担っているためです。
またニーズの高まりとともに、不動産管理会社に求められるサービスの質も向上しています。 物件の維持管理や入居者対応などを主要な業務としているものの、近年では不動産投資のオーナーに対する経営上のアドバイス・提案なども積極的に実施する会社が少なくないです。
不動産投資の需要が増加しており、経営面でのアドバイス・提案を受けたいというオーナー側のニーズが高まっているため、こうした業務内容の拡大は自然な流れといえます。そのため不動産管理会社は、これまで以上にトータル的なサポート体制を構築しなければなりません。
多様化するニーズに対応するため、各不動産管理会社がさまざまな事業戦略を策定するなかで、不動産管理会社同士の競争激化が目立っています。多様なニーズに対応できる不動産管理会社と、そうでない不動産管理会社の差が目立っており、今度もさらに競争が激化する可能性は高いです。
以上のことから、とりわけ中小規模の不動産管理会社では、生き残りをかけてM&Aを実施するケースも増えています。
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不動産管理業界におけるM&Aの目的
不動産管理業界におけるM&Aの目的については相互関連性が見られるものの、以下の3ケースに分けて紹介します。
- 競争力強化のためのM&A
- 事業拡大や顧客基盤拡充のためのM&A
- 経営上の問題を解決するためのM&A
(1)競争力強化のためのM&A
不動産管理会社には、競争激化という状況で生き残るために、多様化するニーズへの対応力が求められています。これまで以上にトータル的なサポートを実現する必要がありますが、自社のノウハウのみでは、総合的なサポートの提供ができずに競争に敗れてしまうおそれがあります。
とりわけ中小規模の不動産管理会社では、自社のみで大手企業のような幅広いサポート体制を構築できません。そこで同業の不動産管理事業を行う会社とのM&Aにより、それぞれのノウハウ・サービス体制を活かしながら、トータル的なサポート実現を目指すケースが増えています。
不動産管理会社では競争激化に伴い、こうした同業者同士のM&Aが今後も増える可能性が高いです。もしも自社において競争力に懸念材料を抱えているならば、同業者とのM&Aを検討することが有効策といえます。
(2)事業拡大や顧客基盤拡充のためのM&A
不動産管理業界では、関連事業を展開する会社とM&Aするケースも多く見られます。例えば、グループの事業として不動産管理事業を行っている会社が、不動産開発や不動産販売を行う会社とM&Aを実施して、事業拡大や顧客基盤拡充などにつなげるといったケースです。
関連事業を行う会社とM&Aすることで、多様化するニーズに対応できるようになります。不動産管理事業に求められるニーズが幅広くなればなるほど、関連事業の幅が増える可能性があるためです。
ちなみにM&Aによって事業規模が拡大すれば、幅広いニーズに対応できるサポート体制を構築しつつ、競争力強化も図れます。例えば、特定の業務が得意な会社と、それ以外の業務が得意な会社がM&Aすれば、各会社の特化分野を相互に活かしつつ競争力強化が狙えるのです。
以上のことから関連事業も含めたM&Aは、これまでより多くのニーズに応えられるようになります。顧客の要望にこれまで以上に応えたいならば、関連事業を行う会社とのM&Aを積極的に検討することが有効策です。
なお、自社で新しく関連事業を開始するよりも、すでにその事業を行う会社とM&Aしたほうが、効率的な事業拡大が目指せます。例えば、ある関連事業を展開する会社を買収すれば、比較的短期間でその事業に新規参入することが可能です。
(3)経営上の問題を解決するためのM&A
不動産管理会社の間では、経営上の問題を解決するためのM&Aも盛んに実施されています。特に中小規模の不動産管理会社の場合、大手と比較すると経営が不安定になりがちです。さらに後継者がなかなか見つからず、事業継続が困難となるケースも少なくありません。
こうした経営上の問題を解決するための手法として、M&Aは広く活用されています。例えば、資金力のある大手企業に自社を売却すれば、安定した財務基盤のもとで事業の継続が可能です。
他社に売却して経営を任せることで、後継者不足の問題を解決できます。
特に近年では、企業の経営者の高齢化がますます目立っています。経営者が高齢になり引退を考えても、後継者が見つからずスムーズに引退できない問題が深刻化しています。こうした状況への対応として、M&Aによる売却で他社に事業を継続してもらうケースが増えています。
他社に事業を引き継いでもらえば、身近に不動産管理会社の後継者がいなくても会社を存続させられるのです。他社に安心して経営を任せることができれば、高齢になった経営者も安心して引退でき、後継者不足の問題を解決できるメリットが得られます。
このようにM&Aによる売却は、経営上の問題を解決するためにも有効です。不動産管理会社でも経営者の高齢化が進んでおり、これを対処するためのM&Aが今後も増加する可能性が高いです。もしも後継者不足の問題に悩んでいるなら、M&Aによる売却(事業承継)の検討が大切といえます。
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不動産管理会社のM&Aの相場と費用
不動産管理会社のM&Aを検討すると、気になるのがM&Aの相場と費用です。はじめに結論からいうと、不動産管理会社のM&A相場や費用を具体的に数値化することは、非常に困難です。M&Aの売却価格は、様々な要素を考慮して決められるためです。
とはいえ、代表的なM&A事例を1つ挙げておくと、2億5,000万円の売上高の不動産管理会社が、1億円で売却されたケースが過去には存在します。しかし目安額に関しては、一概に述べることはできません。
M&Aを実行するときには、事前に相場や費用を考慮する必要があります。ある程度は金額の目安をつけておかないと、想定外の費用が発生することになりかねないためです。その後の事業展開に支障をきたすおそれもあるので、M&Aにおける費用は十分に検討しなければなりません。
そこでM&Aを検討するならば、自社と類似する規模・事業内容の会社が行ったM&Aを探して、費用の目安をつけておくことが大切です。このときにM&Aの目的・M&A当事会社の規模・対象事業の規模や内容・会社の業績・従業員数・M&A手法などを総合的にチェックする必要があります。
そして、相場・費用をより正確に把握するには、M&A仲介会社・M&AアドバイザリーなどM&A専門家に相談すると良いです。不動産管理会社や不動産管理事業など、不動産業界全体に精通したM&A専門会社であれば、より正確な情報を入手できます。
とはいえ、もしもM&Aにおける相場や費用についてお困りのようであれば、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、経験豊富なM&Aのアドバイザーが多数在籍しているM&A仲介会社です。
M&A総合研究所に相談いただければ、自社のM&A成功に向けて、経験豊富な専門家が相場・費用の算出や条件交渉など、M&A成功確率を高めるサポートをいたします。完全成功報酬制を採用するほか、相談料は無料ですので、M&Aをご検討の際はお気軽にご相談ください。
不動産管理会社のM&A買収側が意識するポイント
ここでは、不動産管理会社におけるM&Aの買収側が意識すると良いポイントとして、以下の3つを紹介します。
- 高い相乗効果が獲得できる相手先を選ぶ
- M&A相場や費用についてしっかりと考慮する
- デューデリジェンスを怠らずに実施する
(1)高い相乗効果が獲得できる相手先を選ぶ
不動産管理会社の買収側は、強化したい・参入したい分野を分析して決めて、高い相乗効果(シナジー効果)が獲得できる相手先を選ぶよう意識すると良いです。不動産管理会社が同業他社を買収すれば、事業強化・拡大・事業エリア拡大などを通じて、競争力強化につなげられます。
加えて、不動産管理事業自体に求められるニーズが増えているため、こうしたニーズへの対応としてM&Aを活用するケースも少なくありません。さらに、自社が未進出の事業エリアに実績がある不動産管理会社を買収すれば、比較的短期間で事業エリアを拡大できます。
このように不動産管理会社を買収すれば、競争力や事業基盤強化といった相乗効果によるメリットが得られます。ところがこれらのメリットを自社の事業へと活かすには、あらかじめM&Aで実現したいことを決めておかなければなりません。
M&A戦略を策定せず、ただ漠然とM&Aで会社を買収しても、期待するメリットは得られないためです。そのためにM&Aの買い手側においては、不動産管理会社について詳しいM&A専門家に相談のうえ、自社に最適な売り手を見つけもらうと良いです。
(2)M&A相場や費用についてしっかりと考慮する
前述しましたが、M&Aの買い手側は、相場や費用についても忘れずに考慮しておかなければなりません。M&Aで発生する買収費用とM&A仲介費用を合わせると、多くの金額を支払う必要があるためです。
以上のことから、M&Aによる買収を実際に進めるときは、M&A専門家に相談のもと、M&Aでどれだけの金額を支払うことになるのかをあらかじめ確認しておくことが大切といえます。
(3)デューデリジェンスを怠らずに実施する
不動産管理会社の買収側は、デューデリジェンスを怠らずに実施することも意識しておくと良いです。デューデリジェンスとは、M&Aを実施するときに、相手側企業の価値やリスクなどを調査することをいいます。
あらかじめデューデリジェンスをしっかりと行い、安全性が確認できた段階でM&Aによる買収を実施することが大切です。デューデリジェンスを怠ってしまうと、期待した収益を得られなかったり、簿外債務をはじめとする隠れた債務によるトラブルが後々に発生することがあります。
これらの問題がM&A後に発生してしまうと、買収側としては大きな不利益を被ってしまいかねません。M&Aの成否にも大きな影響を与えるため、デューデリジェンスを怠らずに実施することが大切です。
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不動産管理会社のM&A売却側が意識するポイント
次に、不動産管理会社におけるM&Aの売却側が意識すると良いポイントとして、以下の2つを紹介します。
- 自社と買い手側の強みを比較検討する
- 自社の企業価値を高めておく
(1)自社と買い手側の強みを比較検討する
不動産管理会社を売却する場合、経営上の問題の解決を目的とすることが比較的多いです。経営者の高齢化が進んで後継者が見つかっておらず、売却によって事業を他社に継続してもらいたいというケースがメインとなります。
しかし事業承継を狙うとはいえ、「ただ事業を継続してくれさえすれば、どの会社に売却しても良い」という判断は禁物です。同業の不動産管理会社に売却するのであれば、不動産管理事業における自社の強みと買い手側の強みを比較検討することが求められます。
そのうえで、しっかりと相乗効果が期待できるのか、安心して経営を任せることができるのかを総合的に判断しなければなりません。また買い手側に魅力を感じてもらうためにも、自社の強み・魅力をわかりやすく示す必要があります。
相手側が売り手の事業を分析し、買収によって高い相乗効果を期待できると判断すれば、それだけ多くの企業が買い手に名乗り出てくれます。そのなかから自社に最適な買い手を見つければ、不動産管理会社のM&A成功確率は高まります。
そのためにも、まずは売り手のほうから自社の強み・魅力をしっかりアピールしなくてはなりません。計画どおりのM&Aを実行したいなら、交渉力も必要となります。不動産管理会社を希望どおりに売却したいなら、実績が豊富なM&A仲介会社に相談することが大切です。
(2)自社の企業価値を高めておく
M&Aによる不動産管理会社の売却を検討しているならば、あらかじめ自社の企業価値を高めておくことも大切です。自社の企業価値を高めておくことで、M&Aにおいて自社の希望どおりの価格で会社を売却しやすくなります。
企業価値を高めるときは、自社における従業員・取引先・シェアなどに着目すると良いです。従業員については、事業に関連する技術や資格を持つ従業員数が多ければ多いほど、買い手にとって魅力的な売却案件となります。
そのほか大手企業をはじめとする魅力的な取引先を抱えていたり、特定分野において大きなシェアを誇っていたりすれば、買い手の目に魅力的に映るため、M&Aにおける自社の企業価値を高めるポイントとなります。
M&Aでの売却までに時間的余裕があるのなら、まずは従業員・取引先・シェアの3要素に着目して自社の企業価値を高めておくと希望どおりのM&Aに近づけることが可能です。
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不動産管理会社におけるM&Aの成功事例
不動産管理会社のM&Aの成功事例を見ておくと、自社のM&A戦略に役立てることができます。今回ご紹介する事例は、以下の3つの事例です。
- オリックスが大京を完全子会社化
- 大京が穴吹工務店を買収
- ケイアイスター不動産がフレスコを連結子会社化
(1)オリックスが大京を完全子会社化
2018年10月、リース事業や金融サービス、不動産事業などを展開するオリックス(東京都港区)は、大京(東京都渋谷区)を完全子会社化しました。大京は、ライオンズマンションなどのマンション開発、不動産管理事業などを手がける会社です。
オリックスは大京の普通株式の全てをTOB(株式公開買付け)により取得して、完全子会社としました。買い付け価格は1株につき2,970円であり総額およそ770億円に上るとされました。同年12月、大京へのTOBが完了したことが発表され、持ち株比率は94%に達しています。
そして2019年1月22日に大京は上場廃止となり、同年1月25日付でオリックスの完全子会社となっています。 オリックスはもともと大京の株式の67.95%を保有していましたが、本事例のTOBによって大京を完全子会社化し、大京が上場廃止するという流れです。
こうして大京が完全子会社となったことで経営の一体性が進み、両社の連携が強まる形となったのです。こうした経緯で大京を完全子会社としたオリックスですが、その事業内容は「多角的金融サービス業」とされています。
現在は法人金融・不動産・事業投資・メンテナンスリース・リテール・海外事業という6つのセグメントがあり、国内事業はもとよりグローバル展開も積極的に進めています。このうち不動産事業部門についても、幅広い分野での事業展開を進めているのです。
一方、大京は1968年にライオンズマンションシリーズ第1号物件を発売し、1978年には事業主別マンション発売戸数で初の業界第1位になり、以降29年間で連続してトップを記録するなど、確かな実績を残しています。
さらに、大京は2013年に穴吹工務店グループを迎えるなどのM&Aも行い、グループ全体のマンション累計供給戸数は約35万戸(2019年12月末時点)、マンション管理受託戸数約53万戸(2019年3月末時点)といったように、業界でNo.1の実績を誇ります。
このように、それぞれ上場企業として活躍を続けてきたオリックスと大京ですが、事業面での連携は限定的とされていました。 両社グループは独立した上場企業として運営をしていることもあり、意思決定プロセスの違いや、情報共有が十分に行われなかったことなど、いくつか問題点もありました。
こうした状況のなか、オリックスが大京を完全子会社としたことで、情報共有がこれまで以上に密に行われること、これまで以上に緊密な協業が行われるなどのメリットを実現し、事業の拡大・成長につなげるものとなっています。
(2)大京が穴吹工務店を買収
上記でご紹介したオリックスと大京の事例でも少し触れましたが、大京が穴吹工務店を買収した事例についてもご紹介します。2013年3月、大京は不動産開発や不動産販売などの事業を展開する穴吹工務店(香川県高松市)を買収することを発表しました。
この買収は、投資会社の「ジェイ・ウィル・パートナーズ」が無限責任組合員である投資事業有限責任組合と、大京が共同出資する合同会社の「ジェイ・エル・ケイ」から全株式を取得することで、完全子会社化するという流れになっています。
なお、この買収事例での取得総額は307億円です。大京はもともと都市圏を中心とした事業展開に強みを持っていました。そして、穴吹工務店は地方都市に強く、不動産開発・不動産販売・建設請負を事業内容として幅広い事業展開を行っています。
この穴吹工務店を買収したことで、大京にとっては、事業エリア拡大・顧客基盤拡充・事業拡大を果たすことができた事例です。先ほどもご紹介しましたが、大京はグループ全体で業界No.1の実績を残しており、穴吹工務店の買収もグループ全体の実績に大きく貢献しています。
(3)ケイアイスター不動産がフレスコを連結子会社化
最後は、埼玉県本庄市に拠点を構えるケイアイスター不動産と、千葉県千葉市で事業を展開するフレスコの事例です。2018年8月、戸建分譲事業・注文住宅事業・管理事業などを行うケイアイスター不動産は、不動産売買や仲介・管理業務などを手掛けるフレスコを連結子会社化しました。
ケイアイスター不動産では、戸建分譲事業・注文住宅事業・総合不動産流通事業・アセット事業・管理事業・宅地造成などの事業が展開されていて、地域密着型の総合不動産企業として関東全域で多角的な事業が進められています。
そしてフレスコでは、千葉県千葉市を中心に戸建住宅の分譲事業や注文住宅事業をコア事業として展開されていました。ちなみにフレスコの事業内容には、不動産の売買や仲介・建築の請負・リフォーム・賃貸・管理業務まで含まれる多角的なものです。
このフレスコを連結子会社としたケイアイスター不動産は、グループにおける事業拡大の加速化を見込んでいます。加えて、両者とも仕入から販売、販売後のメンテナンスまでを自社で一貫して行う体制を構築しており、双方の連携で戸建分譲事業の拡充による成長が狙われています。
上記のように、不動産管理会社が関わるM&A事例には様々なものがあるので、ポイントを押さえて自社のM&A戦略に活用することが大切です。より多くのM&A事例が知りたいのであれば、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。
とはいえ最適なのは、M&A仲介会社への相談です。M&A総合研究所には、不動産管理会社におけるM&Aに詳しい専門家が在籍しています。そのため、自社に類似する企業が行ったM&A事例を素早く探すことが可能です。
またM&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しているため、培ったノウハウを活かしながらM&Aを幅広くサポートいたします。さらにスピーディーなサポートを実践しているため、最短3ヶ月での成約実績も存在します。
費用については完全成功報酬制を採用しているため、成約に至らない限り費用が発生いたしません。相談料は無料となっていますので、不動産管理会社におけるM&Aについてお困りのことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
不動産管理会社は不動産投資のオーナーと入居者の間に立ち、様々な業務を行います。特に不動産投資の需要が高まっている昨今、不動産管理会社に求められるサービスも多様化している傾向が強いです。
こうしたニーズに応えるため、それぞれの不動産管理会社では多種多様な事業戦略を策定しており、M&Aを検討する会社も増加中です。同業者同士のM&Aによって双方の強みを活かし、よりトータル的なサポートを実現してニーズに対応するなど、不動産管理会社のM&Aは様々なメリットを享受できます。
不動産管理事業をはじめ、今後の不動産業界は比較的順調に推移する見込みであり、M&Aを活用した事業戦略は狙い目といえます。 業界動向も踏まえM&A事例を検討しつつ、多様な観点から分析することが大切です。M&Aについてお悩みがあれば、お気軽にM&A総合研究所にご相談ください。
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