M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月6日更新会社・事業を売る
中小企業の会社売却の成功マニュアル【事例あり】
中小企業の会社売却を成功させるには、会社売却の専門家によるサポートを得ながら適切に手続きを進めていく必要があります。本記事では、中小企業の会社売却の手続き方法やメリット・デメリット、相談先などを事例と共にご紹介していきます。
中小企業の会社売却
近年は中小企業の会社売却ニーズが高まっており、中小企業が会社売却を行える環境も急速に整ってきています。しかし、会社売却がうまくいかずに挫折するケースも少なくないのが現状です。
中小企業の会社売却は、大企業の場合とは違うポイントがいくつもあります。本記事では、中小企業の会社売却についてさまざまな面から解説します。
中小企業の定義
中小企業基本法では、中小企業の定義は原則以下のように分類されています。
業種 | 定義 |
製造業その他 | 資本金または出資の総額が3億円以下の会社 従業員の数が300人以下の会社や個人 |
卸売業 | 資本金または出資の総額が1億円以下の会社 従業員の数が100人以下の会社や個人 |
小売業 | 資本金またはは出資の総額が5千万円以下の会社 従業員の数が50人以下の会社や個人 |
サービス業 | 資本金または出資の総額が5千万円以下の会社 従業員の数が100人以下の会社や個人 |
ただし、上記の定義は法律や制度によって変わるので、上記に当てはまっていても中小企業とみなされない場合もあります。
なお、大企業や中堅企業の定義は法律で定められていません。一般的には、上記の定義を超えていれば大企業に当てはまり、中堅企業は「規模の小さい大企業と規模の大きい中小企業の範囲」というあいまいな定義になっています。
中小企業の会社売却動向
中小企業の会社売却ニーズは年々増加しています。
中小企業基盤整備機構によると、全国の事業引継ぎ支援センターの平成30年度における相談実績は11,477件と過去最高となり、事業引継ぎ支援件数は923件とこちらも過去最高を記録しています。
また、M&A仲介最大手の日本M&Aセンターが平成30年に成約した売買件数は800件に迫り、2013年と比較して3倍以上の伸び率です。
しかし、後継者がいない中小企業経営者は百数十万人に及ぶとされていることから、中小企業の会社売却ニーズは今後さらに高まっていくものとみられます。
中小企業の会社売却の成功マニュアル
ここからは、中小企業の会社売却の流れやメリット・デメリット、押さえておきたいポイントなどについて解説していきます。
中小企業による会社売却の流れ・手続き
中小企業の会社売却手続きは以下の流れで進められます。
- 会社売却の専門家に相談
- 売却先の選定・交渉
- トップ同士の面談
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージング
各手続きについて簡単に解説します。
1.会社売却の専門家に相談
幅広い専門性が求められる会社売却を自力で行うことは現実的ではありません。まずは専門家に相談し、売却戦略を固める必要があります。
会社売却では専門家選びが重要です。中小企業が会社売却を相談できる専門家は以下の通りです。
- M&A仲介会社
- 地元の公的機関
- 地元の金融機関
- 地元の会計士・税理士・弁護士など
- マッチングサイト
それぞれの特徴については本記事で後述しますが、会社売却の目的や事業規模などによって最適な専門家を選ばなければなりません。
2.売却先の選定・交渉
会社売却を実行するには、相手がいなければ成立しません。売却先の探し方としては、自身のネットワークから探すか専門家のネットワークを活用するかに分かれます。
しかし、自身のネットワークから探す場合は探せる範囲が狭く、情報漏えいの危険性もあります。売却先の選定は専門家の広範なネットワークも活用することで、相性の良い相手が見つかる可能性は高くなるでしょう。
3.トップ同士の面談
中小企業経営者同士の面談が成功するかどうかは、お互いが経営者として認め合えるかどうかに左右されます。
お互いの関係性を深める手助けをするのがM&A専門家の役割です。事務的に条件面だけを提示しあうだけでなく、関係性を重視してくれる専門家を介して良好な関係が築けるかどうかが重要です。
4.基本合意書の締結
基本合意書の締結は最終契約に向けてのスタート地点といえます。ここからは基本合意書をベースとして手続きを進めていきます。
依頼する専門家によっては、この時点で中間手数料が発生することがあるので確認が必要です。
5.デューデリジェンスの実施
買い手が買収先企業の監査を行うデューデリジェンスは、売り手にとっても重要な手続きです。デューデリジェンスの結果によっては売却価格がディスカウントされるなど、条件面の下方修正が行われる可能性もあります。
デューデリジェンスが実施されても自信を持って対応できるよう、会社売却の前に専門家による助言を得ながら経営状態を見直しておくことが大事です。
6.最終契約書の締結
最終契約書の締結をもって契約手続きは完了です。最終契約書締結後は速やかに会社の引き渡しを進めていきます。
成功報酬制を採用している専門家の場合は、買い手から譲渡対価が振り込まれた時点で手数料を支払うケースが一般的です。
完全成功報酬制を採用している仲介会社などの場合は譲渡対価を手数料の支払いに充てることができるので、手数料の支払いで困ることはありません。
7.クロージング
会社売却手続きが完了してM&Aは終わりではありません。中小企業同士のM&Aの場合、売却した会社が買い手の下で順調に経営が進められるよう、売り手側も統合が整うまで協力することがほとんどです。
中小企業同士の統合作業は買い手側経営者との信頼関係や価値観の相性なども影響するので、面談の時点でクロージング後の統合作業も想定した交渉を行う必要があります。
中小企業が会社売却を考える理由
同じ会社売却でも中小企業経営者によって目的は違い、目的によって会社売却の進め方も変わります。会社売却を考える主な理由は以下の通りです。
- 後継者問題の解決
- 経営状態の悪化による対策
- 倒産・廃業の回避
1.後継者問題の解決
中小企業経営者が会社売却を決断する理由で多くを占めるのが、後継者問題の解決です。
現在後継者が決まっていない百数十万社に及ぶ中小企業のうち、多くの会社が今後数年以内に後継者問題が原因で経営継続が困難となると言われています。
近年はそのような状況にある会社に対して、メインバンクの地方金融機関や顧問の士業専門家、商工会・商工会議所などが情報提供を行うケースも増えてきました。
そのため、中小企業経営者が会社売却を選択肢として考える機会が多くなっています。
2.経営状態の悪化による対策
後継者問題によって会社売却を検討する中小企業の中には、経営状態の悪化も重なっているケースが少なくありません。
倒産・廃業するほどまではいかなくても、経営状態が悪化していることで後継者へ事業承継ができず、第三者への会社売却を考えるケースが見られます。
また、財務状況は健全でも、もともと収益性の低い事業であることから、先行きを考えて第三者への会社売却を決めるケースもあります。
3.倒産・廃業の回避
会社売却を決断し、専門家に相談した時点で倒産や廃業が近い状態の中小企業も少なくありません。時間的余裕がない中での会社売却は十分な準備ができないので、会社売却がうまくいかない確率は高くなります。
しかし、中にはその会社が持っている魅力を見出されて会社売却に成功するケースも見られます。今後数年間で引退年齢に達する中小企業経営者がさらに急増すると、倒産・廃業の回避を目的とした会社売却はさらに増加していくでしょう。
中小企業が会社売却を行うメリット・デメリット
会社売却を行うにあたって、経営者はどのようなメリット・デメリットがあるかを把握しておくことが大事です。会社売却には以下のメリット・デメリットがあります。
メリット
会社売却によって得られるメリットは以下の通りです。
- 顧客や取引先との関係、従業員の雇用を継続できる
- 後継者問題が解決できる
- 創業者利益が得られる
- 相続税問題が解消できる
中小企業経営者が会社売却に求めるメリットとして、お金の面とともに、上記のように従業員や取引先など、人に関するメリットを求めるケースが多く見られます。
中小企業白書によると、事業承継せずに廃業を選ぶケースは、従業員がいない事業者や従業員が少ない事業者ほど多い傾向にあります。
逆に言うと、従業員や取引先が多い会社ほど、会社売却によって得られるメリットは大きいといえます。
デメリット
会社売却によって被る可能性のあるデメリットは以下の通りです。
- 顧客や取引先の流出
- 役員、社員の離職
- 統合作業の負担による経営状態の悪化
メリットの場合と同じく、中小企業経営者は従業員や取引先など、人に関することを心配します。売り手にとっては会社売却後に人が流出することで責任を感じることもあるでしょう。
一方で、買い手にとっても人の流出は買収価値が大きく下がることとなります。特に中小企業の場合は、キーマンの流出がそのまま経営の危機につながることも少なくありません。
中小企業が会社売却する際の価格算出
中小企業の価格算出でよく使われるのは、時価純資産と営業権(のれん)をそれぞれ算出して足し合わせる方法です。時価純資産は、貸借対照表から資産と負債を時価で評価し、資産から負債を引くことで算出します。
また、営業権(のれん)は、直近のフリーキャッシュフロー(会計上の儲け)が数年続くと仮定して算出する方法が一般的です。中小企業では多くの場合、2年から5年程度のキャッシュフローを上乗せします。
営業権(のれん)の算出はさまざまな要素を加味して行う必要があるため、幅広く高い専門知識が必要です。そのため、会社売却の際の価格算出はM&Aの専門家の力が必要となります。
中小企業が会社売却に成功するポイント
中小企業が会社売却に成功するには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 会社売却まで準備・計画を入念に行う
- 自社の強みを理解してアピールする
- 従業員の流出を防ぐ
- 売却検討までに企業価値を上げる
- 中小企業の会社売却の専門家に相談する
1.会社売却まで準備・計画を入念に行う
会社売却を成功させるには以下の準備が必要です。
- 会社売却の目的・戦略の明確化
- 企業価値の向上
- 会社売却を見据えた組織体制の構築
- 利害関係者との調整
- 最適な専門家選び
これらの準備を整えて最適な会社売却のタイミングをつかむには、十分な準備期間が必要です。会社の経営状態や経営者自身の体調・モチベーションに余裕があるうちに準備を進めることが重要です。
2.自社の強みを理解してアピールする
業績が良く市場も伸びている業種であれば自然と買い手が決まることも多いですが、そうではない場合でも良い買い手を見つけることはできます。
そのためには、自社の強みを積極的にアピールしていくことです。強くアピールできるポイントを作るためにも、会社売却に向けて会社を磨き上げておく必要があります。
3.従業員の流出を防ぐ
買い手企業にとって会社買収による人材の確保は重要な意味を持ちます。その人材が会社売却をきっかけに流出してしまっては、買い手にとっての買収価値が大きく下がりかねません。
自社が売却されることを知った当初は多くの従業員が動揺するでしょう。従業員の不安を察しながら、いかに適切なタイミングで最適な対応ができるかが大事です。
4.売却検討までに企業価値を上げる
前述のように、会社売却を決意した時点で経営状態が悪化しているケースは少なくありません。中には倒産・廃業が目の前に迫っているケースもあります。
経営状態が良いほど会社売却の成功率も上がる傾向にあります。企業再生に詳しい会計士や企業法務に精通した弁護士がいるM&A仲介会社にアドバイスをもらうなどして、企業価値を上げておく対策は必要です。
5.中小企業の会社売却の専門家に相談する
会社売却の依頼先は、大手や知名度の高いところであれば必ずしも良いというわけではないのがM&A業界の特徴です。
会社売却の専門家を選ぶ際は、特徴・強みや得意としている案件規模、業種などをホームページやメール、電話で確認してから直接相談すると良いでしょう。
また、直接相談する際は、自社の規模や目的に合っていて、担当者と信頼関係が築けるかを見極めることがポイントとなります。専門家選びのポイントを抑えつつ、自身の感覚も大事にして選ぶことが成功に近づきます。
中小企業が会社売却を行う際の相談先
会社売却の各相談先にはさまざまな特徴があるので、目的や事業規模などによって選ぶ必要があります。ここからは以下の相談先の特徴をご紹介します。
- M&A仲介会社
- 地元の公的機関
- 地元の金融機関
- 地元の会計士・税理士・弁護士など
- マッチングサイト
1.M&A仲介会社
M&A仲介会社は主に中小企業の会社売却をサポートしています。現在M&A仲介会社は無数にあり、それぞれ独自の特徴を持っているので、自社に合った相談先を選ぶ必要があります。
2.地元の公的機関
2011年から各都道府県に順次設置されていった事業引継ぎ支援センターでは、中小企業による会社売却の相談を随時行っています。
どの都道府県も中小企業経営者による相談件数は年々増加しており、実際に会社売却を実行するケースも徐々に増えてきました。
また、事業引継ぎ支援センター内には後継者人材バンクがあり、後継者となることを希望する個人が登録しています。
そのため、会社売却を希望する中小企業は、企業への会社売却だけでなく、個人を後継者候補として迎え入れることも可能です。
事業引継ぎ支援センターでの会社売却成功率はM&A仲介会社に比べるとかなり低いのが現状ですが、会社売却準備きっかけ作りとしては相談しやすいメリットがあります。
3.地元の金融機関
地方金融機関では近年事業承継のアドバイスができる資格者を揃えています。事業承継専門の部署を構えたり、地域ネットワークや他都道府県の金融機関と連携したりと、相談対応の体制は年々整ってきています。
ただし、金融機関自体が会社売却をすべてサポートできるわけではなく、提携先の大手仲介会社に紹介するケースがほとんどです。
そのため、年間売上高が数億円から数十億円の中小企業には対応するものの、小規模の企業には対応してもらえないケースも少なくありません。
4.地元の会計士・税理士・弁護士など
中小企業基盤整備機構の調査によると、中小企業経営者が最初に事業承継・会社売却の相談を行う相手として最も多いのが、顧問の公認会計士・税理士となっています。
普段から会社に関する相談をしていることから会社の内情を把握しており、相談がスムーズに進みやすい点がメリットです。
ただし、実際に会社売却の経験が豊富な会計士・税理士や弁護士はそう多くはないので、実際の手続きは提携先のM&A仲介会社に紹介されるケースが多い点には注意が必要です。
5.マッチングサイト
マッチングサイトは金融機関や士業専門家が取り扱わないような小規模事業でも登録できる点がメリットです。大手マッチングサイトのデータによると、最近では個人事業の登録も増えています。
マッチングサイトによっては金融機関や士業専門家、M&A仲介会社と提携することで、利用者がいつでも相談できる体制を整えている点も利用者の急増につながっています。
中小企業が会社売却を行った事例
ここからは、中小企業が会社売却を行った以下の事例をご紹介します。
- サンノーによるカクヤスへの会社売却
- フィニティによるJBCCホールディングスへの会社売却
- Mクリエイティブワークスによるパートナーエージェントへの会社売却
- 信越リードによるエア・ウォーターへの会社売却
- 下仁田物産によるオーイズミへの会社売却
- 分析屋によるSHIFTへの会社売却
- 萬坊によるJR九州への会社売却
- 暮布土屋によるフジオフードシステムへの会社売却
- 協立電機工業によるポエックへの会社売却
- イリサワによるハピネットへの会社売却
1.サンノーによるカクヤスへの会社売却
サンノー
中小企業が会社売却を行った事例1件目は、サンノーによるカクヤスへの会社売却です。
福岡県で業務用のお酒を販売しているサンノーは2020年、お酒や食料品の販売・卸売を行っているカクヤスへ株式を売却し、子会社となりました。
関東エリアや大阪府に店舗を持つカクヤスは、福岡県に拠点を置くサンノーを子会社化することで福岡県への事業進出を果たし、今後は九州エリアでの事業拡大を図っています。
2.フィニティによるJBCCホールディングスへの会社売却
フィニティ
中小企業が会社売却を行った事例2件目は、フィニティによるJBCCホールディングスへの会社売却です。
愛知県でシステム開発などを行っているフィニティは2020年、JBCCホールディングスの子会社であるシーアイエスへ株式を売却し、JBCCホールディングスの孫会社となりました。
シーアイエスは愛知県を拠点に東海エリアへシステム販売・保守などを行っている会社です。一方、フィニティは高い技術力で東海エリアの顧客から高い信頼を得ています。
JBCCホールディングスは技術力の高いフィニティと営業力の高いシーアイエスが協業することで、さらに付加価値の高いサービスが提供できるとしています。
3.Mクリエイティブワークスによるパートナーエージェントへの会社売却
タメニーアートワークス
中小企業が会社売却を行った事例3件目は、Mクリエイティブワークスによるパートナーエージェントへの会社売却です。
フォトスタジオを運営するMクリエイティブワークスは2020年、パートナーエージェントへ株式を売却し、子会社となりました。
パートナーエージェントは婚活関連事業や結婚式関連事業を展開しています。現在の結婚式はカジュアルウエディング形式が増加していることから、パートナーエージェントはカジュアルウエディング事業に力を入れています。
一方、Mクリエイティブワークスはフォトウエディングで顧客から高い評価を得ている会社です。パートナーエージェントはMクリエイティブワークスをグループに迎えることでグループシナジーの最大化が図れると判断し、本買収に至っています。
4.信越リードによるエア・ウォーターへの会社売却
信越リード
中小企業が会社売却を行った事例4件目は、信越リードによるエア・ウォーターへの会社売却です。
長野県で電子部品実装基盤の試作などを行っている信越リードは20 19年、エア・ウォーターへ株式を売却し、子会社となりました。
現在電子材料分野はIoTやAIの影響で技術革新が必要となっています。そのため、エア・ウォーターは子会社であるプリンテックを通じて、機能化学品事業の強化を図ってきました。
エア・ウォーターは信越リードとプリンテックの機能化学品における事業シナジーが高いと判断し、本買収に至っています。
5.下仁田物産によるオーイズミへの会社売却
下仁田物産
中小企業が会社売却を行った事例5件目は、下仁田物産によるオーイズミへの会社売却です。
こんにゃくゼリーなどの食品を製造・販売している下仁田物産は2020年、オーイズミへ株式を売却し、子会社となりました。
オーイズミグループはアミューズメント設備機器や太陽光発電、ゲームソフトなど多様な事業を多角的に展開している会社です。
さらに事業の多角化戦略を計画していたオーイズミは、こんにゃくゼリー製品で知名度の高い下仁田物産を子会社化することで、スケールメリットの獲得を図っています。
6.分析屋によるSHIFTへの会社売却
中小企業が会社売却を行った事例6件目は、分析屋によるSHIFTへの会社売却です。
データ分析によるマーケティング事業などを手がける分析屋は2020年、ソフトウェアの品質保証・テスト事業を行っているSHIFTへ株式を売却し、子会社となりました。
SHIFTは売上高1,000億円を目指す中期事業計画を掲げ、M&Aなどによって事業拡大を進めています。その中で、分析屋をグループに加えることで営業体制の強化と課題解決につながると判断し、本買収を行なっています。
7.萬坊によるJR九州への会社売却
中小企業が会社売却を行った事例7件目は、萬坊によるJR九州への会社売却です。
「いかしゅうまい」の製造・販売や海中レストランの運営などを行っている萬坊は2019年、JR九州へ第三者割当増資を行い、子会社となりました。
海中レストラン「海中魚処 萬坊」で販売している「いかしゅうまい」は、九州を代表するお土産品として高いブランド力を持っています。JR九州は萬坊をグループに加えることで、地域の「まちづくり」に貢献できるとしています。
8.暮布土屋によるフジオフードシステムへの会社売却
暮布土屋
中小企業が会社売却を行った事例8件目は、暮布土屋によるフジオフードシステムへの会社売却です。
石臼挽き手打蕎麦専門店「土山人」を運営する暮布土屋は2019年、フジオフードシステムへ株式を売却し、子会社となりました。
フジオフードシステムはM&Aによって複数の飲食店ブランドをグループに迎え入れ、事業の拡大を進めています。
暮布土屋の運営する土山人は関西で人気の飲食店であり、フジオフードシステムにはこれまでなかった業態であることから、子会社化を決めています。
9.協立電機工業によるポエックへの会社売却
協立電機工業
中小企業が会社売却を行った事例9件目は、協立電機工業によるポエックへの会社売却です。
協立電機工業は2019年、ポエックへ株式を売却し、子会社となりました。
協立電機工業はモーターコイル、陸上ポンプ、水中ポンプなどの機器メンテナンス・修理業で多くの優良取引先を持っています。
また、従業員は若手技術者が多く、長年に渡って積み重ねてきた高い技術力もあることなどから、ポエックは協立電機工業をグループに加えることで経営の安定が図れると判断し子会社化に至っています。
10.イリサワによるハピネットへの会社売却
イリサワ
中小企業が会社売却を行った事例10件目は、イリサワによるハピネットへの会社売却です。
模型玩具総合卸売業を営むイリサワは2019年、玩具事業を営むハピネットへ株式を売却し、子会社となりました。
ハピネットはイリサワをグループに迎えることで、商品ラインナップの拡充を図っています。また、イリサワとハピネットの流通網を合わせることで、関係各社との関係強化・連携強化を進めています。
まとめ
本記事では、中小企業の会社売却についてさまざまな面から解説してきました。
中小企業の会社売却手続きは以下の流れで進められます。
- 会社売却の専門家に相談
- 売却先の選定・交渉
- トップ同士の面談
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージング
中小企業が会社売却に成功するには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 会社売却まで準備・計画を入念に行う
- 自社の強みを理解してアピールする
- 従業員の流出を防ぐ
- 売却検討までに企業価値を上げる
- 中小企業の会社売却の専門家に相談する
会社売却の相談先には以下の種類があります。
- M&A仲介会社
- 地元の公的機関
- 地元の金融機関
- 地元の会計士・税理士・弁護士など
- マッチングサイト
今回ご紹介した中小企業の会社売却事例は以下の10社です。
- サンノーによるカクヤスへの会社売却
- フィニティによるJBCCホールディングスへの会社売却
- Mクリエイティブワークスによるパートナーエージェントへの会社売却
- 信越リードによるエア・ウォーターへの会社売却
- 下仁田物産によるオーイズミへの会社売却
- 分析屋によるSHIFTへの会社売却
- 萬坊によるJR九州への会社売却
- 暮布土屋によるフジオフードシステムへの会社売却
- 協立電機工業によるポエックへの会社売却
- イリサワによるハピネットへの会社売却
実際の会社売却は、マニュアル通りには進まないことも多くあります。M&Aを進めるには、M&A専門家への相談をお薦めします。
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