赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説
2021年2月15日公開会社・事業を売る
事業再生の手法まとめ!M&Aを利用する方法も?手続きとメリットなども解説
事業の業績悪化が続く場合、事業再生により健全化を図ることがあります。M&Aを活用する手法もあるので、最善手を見極めるためには各手法の特徴を押さえておく必要があります。本記事では、事業再生の手法や手続き、メリットを解説します。
目次
事業再生の解説
会社を経営していると、時には経営に行き詰まって業績が低下することもあります。深刻な状態になると廃業もちらつきますが、経営者としては会社を存続させたいと考えるほうが多いでしょう。
企業再生はこうした課題を抱えた企業に適した戦略です。さまざまな手法があり会社の状況に合わせた手法を選択することができるので、業績が低下している企業でも再生を目指すことができます。
会社の経営状態は外部環境の変化で急変することもあるので、経営者ならば事業再生の知識を身につけておいて損はありません。この章では、事業再生の基本的な内容と企業再生との違いについて解説します。
事業再生とは
事業再生とは、事業単位の見直し・改善を通して、企業全体の再生を目的とする戦略です。主に不採算事業を対象として、債務整理や再生計画で健全化を図るのが一般的な手法です。
しかし、必ずしも不採算事業を立て直せるとは限りません。再生が難しい判断された場合、不採算事業を切り離して清算という手法を活用することも珍しくありません。
廃業すると全ての事業が消滅するので、会社の価値自体が失われてしまうため、採算事業だけでも残せるように切り離して個別に再生しようという考え方です。
企業再生との違い
事業再生について調べていると、企業再生という言葉を目にすることがあります。違いがあるとすれば着目点で、事業再生は事業単位、企業再生は会社全体の再生となっています。
どちらも最終的な目標は会社全体の健全化なので、同一の趣旨で用いられることが多いです。明確な定義はないので、違いを意識する必要はほとんどありません。
事業再生の手法一覧
事業再生には複数の手法があるので、会社の立て直しを検討の際は各手法の特徴を把握できていると進めやすくなります。ここでは、事業再生・法的再生・私的再生の3つの手法について解説します。
事業再生
業績が悪化した企業は再建に向けて、まず事業再生の検討から入ることが多いです。というのは、法的再生や私的再生では法人格を維持できなくなる場合があるためです。
事業再生とは
事業再生は不採算事業の立て直しを中心に進めます。事業の清算途中では、該当事業に属する従業員の雇用を維持するように努めるなどの必要もあります。
事業再生の目標は債務整理とキャッシュ・フローの健全化です。スポンサーをみつけられる場合は、キャッシュを補填しながら不採算事業の再生を目指すことになります。
しかし、中小・零細企業の場合はスポンサーがつかないケースも多いです。自力再建型で進める場合は、コストカットや金融機関等の債権者と返済計画の見直しの交渉を行う形になります。
事業再生のポイントは【赤字事業の整理】
事業再生を成功させるには、赤字事業の整理が必要不可欠です。資本投入や業務方針の変更だけで改善が難しい場合は、従業員の解雇による経費削減も検討する必要があります。
債務弁済に関しては、中長期的な返済計画を立てます。返済計画が定まれば資金繰りの目処がつき、全体の立て直しもしやすくなります。
法的再生
法的再生とは、裁判所の管轄下で話し合いを行って再生を進める手法です。再建型の民事再生・会社更生・特定調停、清算型の破産・特別清算などがあります。
法的再生の流れ
【法的再生の流れ】
- 法的再生と私的再生の特徴を把握する
- 私的再生のシミュレーションを行う
- 私的再生が難しい場合は法的再生を検討する
- 法的再生に基づいた事業計画を策定する
- 法的手続きを実行する
法的再生は再生手続きを進めていることが公になるため、世間に与える印象が悪くなる欠点があります。
業種次第ではイメージダウンの影響は大きいので、再生後の事業展開に影響を与える可能性があります。
そのため、基本的には私的再生の検討から入る形になり、法的再生と私的再生の利点・欠点を把握したうえで私的再生のシミュレーションを行い、実践可能かどうか判断します。
私的再生の実行が難しい場合や、得られるメリットが少ないという判断が下された場合は、法的再生の手続きに変更することになります。法的再生に基づいて計画を策定して法的手続きの実行に移します。
法的再生と私的再生
破産手続きでは基本的に債権者からの同意を得る必要があります。私的再生ではすべての債権者から個別に同意を取り付けたうえで、再生計画を実行に移します。
法的再生は、一定の債権者の同意を得たうえで裁判所からの認可を受ければ実行可能という特徴があります。透明性・公平性のある裁判所からの認可を受けた時点で多くの債権者が納得するので、ハードルは低いです。
法的再生のメリット・デメリット
法的再生の利点は、再生計画に反対する債権者がいた場合でも債務整理が行える点です。透明性・公平性の維持や多数決の原理で、賛成側が反対側を法的に拘束することが可能です。
法的再生の欠点は、再生手続きを進めている事実が公になることです。顧客・取引先や世間に与えるイメージが悪くなるので、債務整理が行えたとしても再生後の事業が安定しなくなる危険性を孕んでいます。
私的再生
事業再生の3つ目は私的再生です。基本的には、債権者に対して、資金繰りが苦しいから借入金の返済条件を緩くしてほしいと提案することを指します。
私的再生とは
私的再生とは、裁判所が直接関与しない形で、当事者間の話し合いにより再生手続きを進める手法です。
法的再生とは異なり、議決で反対する債権者を拘束することはできないので、すべての債権者との交渉・和解によって再生を進めていくことになります。
法的再生と比較すると実行のハードルは高くなりますが、手続きが公にならないなどの利点があるので、債務者企業視点では私的再生の優先度が高くなります。
私的再生のメリット・デメリット
私的再生の利点は、手続きに要する費用が削減できることです。再生計画について裁判所に介入されることがないので、裁判所に対して支払う予納金などの費用を用意する必要がありません。
私的再生の欠点は、反対する債権者がいる場合は成立しないことです。一人でも反対者がいると実行できないため、法的再生を強行する債権者などが現れて私的再生ができなくなるケースもあります。
再生型M&Aとは
事業再生には再生型M&Aという手法もあります。目的や条件に合わせて用いるM&A手法を変更することで、事業再生の成功率を高めやすいという特徴があります。この章では、再生型M&Aの4つの手法の特徴やメリット・デメリットを解説します。
【再生型M&Aの手法一覧】
- 企業再生方式
- 事業譲渡方式
- 会社分割方式
- 第二会社方式
1.企業再生方式
債務者企業の法人格を維持する形で優良事業を中心に再生を目指す手法です。債務者企業はスポンサー企業の傘下に入ることで再建していくことが可能となります。
基本的に母体が大きい企業が利用することが多い手法です。中小・零細企業の場合、顧客・取引先から無理に取引を継続する必要がないと判断されれば契約を解除される恐れがあるので、あまり友好的な手法ではありません。
企業再生方式のメリット・デメリット
企業再生方式の利点は、融資で資金面の問題をクリアできることです。資金的な余裕が生まれると再生計画の選択肢を豊富に持てるので事業再生の計画性が増します。
企業再生方式の欠点は、スポンサー企業に事業実態を移す場合、承継のための手続きが煩雑になりやすいことです。
該当する事業や取引の規模が大きくなるほど手間は増えるので、許認可や雇用などの引継ぎが複雑になるケースが多いです。
2.事業譲渡方式
事業実態を他の法人格に移して優良事業を中心に再建を目指す手法です。移転させた優良事業はスポンサー企業の一事業として再建を行い、残された会社は事業の譲渡代金や遊休資産などを使って清算します。
再生手続き・破産手続きの場合でも利用できる手法なので、会社の規模に関係なく活用できます。中小・零細企業の再生型M&Aでは最も活用しやすい手法です。
事業譲渡方式のメリット・デメリット
事業譲渡方式の利点は、優良事業の劣化を抑えられることです。再生対象の事業を早期に切り離すことで、債務の影響を受けることなく存続させることができます。
また、清算手段が明瞭なのでスポンサーが付きやすい利点があります。優良事業の譲渡代金を残された債務者企業の清算に充てることができます。
事業譲渡方式の欠点は、顧客・取引先や許認可などの権利義務の承継が複雑なことです。事業譲渡は包括承継ではないので、譲渡する優良事業に関連する手続きを個別に進めなくてはなりません。
3.会社分割方式
事業実態を他の法人格に移して優良事業を中心に再建を目指す手法です。事業譲渡方式との違いは事業の譲渡先が新設会社であることです。
多くの場合は、スポンサー企業が新設する会社に優良事業を移し、再生を目指す流れになります。
債務者企業は債権者の協力を得ながら再生を目指すことになりますが、優良事業がなくなった状態での再生は難しいため、結果的に清算という形になることが多いです。
会社分割方式のメリット・デメリット
会社分割方式の利点は、優良事業の早期再建を達成しやすいことです。過度な債務を抱えていない優良事業のみを切り離すので、新規の借入なども受けやすく再建しやすい特徴があります。
また、権利義務関係の引継ぎが簡便という利点もあります。会社分割は事業に関する権利義務を包括承継する手法なので、別個に交渉の必要なく引継ぎを行い、事業再生を図ることが可能です。
会社分割方式の欠点は、会社新設の際に一定費用の出費が伴うことです。事業を新設会社に移す手法なので、新設会社の登記・公告で固定費用がかかります。
4.第二会社方式
事業実態を他の法人格に移して優良事業の存続を図り、不採算事業や債務が残された旧会社を清算するという手法です。
ほかの手法と異なる点は、新設会社の設立者が身内であることです。スポンサーがみつからない場合でも利用できるので、取引規模の小さい中小・零細企業でも事業再生に活用しやすい手法です。
第二会社方式のメリット・デメリット
第二会社方式の利点は、優良事業の存続により社会的意義が認められやすいことです。債務がない綺麗な状態で切り離せるので、引き継がれた事業や従業員は新規一転して業務に取り組むことができます。
欠点は、優良事業を譲り受けるための資金が必要なことです。親族や社員からでは十分な資金を確保できない場合もあるので、必然的にスポンサーが必要になるケースも少なくありません。
事業再生の手続き
事業再生の手続きは長期化することが多いので、計画的に実行する必要があります。詳細な手続きは用いる手法によって異なりますが、おおまかな流れは以下の手順となります。
【事業再生の手続き】
- 事業の現状を把握する
- 事業再生の方針を策定する
- デューデリジェンスを実施する
- 事業計画案を作成する
- 採算部門と不採算部門を洗い出す
- 不採算部門から撤退する(場合により、資本増強)
- 採算部門を分割して経営力を増強する
- 資金提供者・スポンサーを探す
- 資金確保
- 再生手続きの開始・再生手続きを実行する
1.事業の現状を把握する
まずは、事業再生の方針を策定するために会社や事業の現状を把握することに努めます。現状を正しく認識できれば不要な事業や改善すべき点を明確化して社内全体で共有することができます。
現状把握では特に財務状況が重要です。債権者別の借入金残高や提供している担保を把握して、会社が置かれている状況を把握します。
2.事業再生の方針を策定する
事業や財務内容の現状を把握できたら、事業再生の手法選択について協議します。法的再生や私的再生の債務整理は実行しないことに越したことはないので、基本的には自力の事業再生を先に検討する形になります。
債権者とのリスケジュールによって改善の見通しが立つ場合は一般的な事業再生、スポンサーからの資金提供が必要な場合は私的再生や再生型M&Aを検討する流れになります。
3.デューデリジェンスを実施する
事業再生の方針が決まったら、財務デューデリジェンスを実施します。事業再生の方針決定の基になった資料が正しいものであるか、財務内容を中心に徹底的に精査します。
デューデリジェンスの過程で問題点が抽出されることも多いですが、そのための工程なので、焦ることなく事業計画に活かすことが大切です。
4.事業計画案を作成する
策定した事業方針にデューデリジェンスの結果を反映させて、事業再生後の計画案を策定します。3年ほどの期間を目安として、経費削減や収益力の向上に関する計画を作成します。
事業計画案は、事業再生でスポンサーを募る場合においても協力を取り付けるために活用できる資料です。きちんとした計画があることを示すためには、丁寧に作成しておく必要があります。
5.採算部門と不採算部門を洗い出す
事業再生は採算部門と不採算部門を切り離すこと考え方なので、明確に分類しておくことが大切です。
デューデリジェンスの過程で大体把握できているはずなので、この工程では整理しておく程度になります。
6.不採算部門から撤退する(場合により、資本増強)
洗い出された不採算部門の扱いに関して協議を行います。不採算の原因が資金不足である場合は、増資などで資本を増強することで対応することが可能です。
資本増強や経費削減を行っても改善の見通しが立たない場合は、不採算部門の清算を検討する必要があり、切り離す手法や事業に属する従業員の雇用継続に関して協議を行います。
7.採算部門を分割して経営力を増強する
競争力や収益力がある採算部門を分割したら、リソースを集中させて経営力の増強を図ります。
不採算部門を清算する場合は、使用している設備や人材を回すなどの手段も有効になります。
8.資金提供者・スポンサーを探す
事業再生の実行資金やその後の事業資金を確保するため、資金提供者・スポンサーを探します。
資金力・信用力のあるスポンサーから信用の供与を受けられれば、失った信用を回復させることができます。
自力の事業再生の計画を進めている場合はスポンサーは必須ではないですが、資金が潤沢にあれば計画に幅を持たせやすいのでスポンサーが付いたほうがよい結果が得られやすくなります。
9.資金確保
資金提供者・スポンサーが見つかったら事業計画案を提出して事業再生計画の妥当性を審査してもらいます。債権回収の見込みがあると判断された場合は資金を確保することができます。
10.再生手続きの開始・再生手続きを実行する
債務免除を受ける事業再生手法の場合、主要な債権者に初期相談を行っておくと手続きが進めやすくなります。特に私的再生の場合は全ての債権者の同意を得なくてはならないので、重要な工程です。
債務者企業の清算を行う事業再生手法の場合は、連鎖倒産の危険性を考慮する必要があります。不良債権が原因で連鎖倒産というケースは珍しくないので、取引先の買掛金などはできる限り手当しなくてはなりません。
準備が整ったら、用いる手法に合わせた再生計画案に沿って手続きを実行します。債権者に対しては、事業再生に至った経緯や再生後の事業計画について説明する必要があります。
事業再生のメリット・デメリット
業績が悪化していて会社の存続が難しいという状況になると、廃業と事業再生のどちらかを選択しなくてはなりません。
この章では、会社にとってどちらの選択がよいのか、検討しやすいように事業再生のメリット・デメリットを解説します。
事業再生のメリット
事業再生を選択するメリットには、主に以下の3つが挙げられます。事業再生を行うと、債務や経営上の欠陥などの業績悪化の原因を取り除いて会社や事業を存続させることができます。
事業の存続が叶えば、従業員の雇用や取引先との契約を維持することも可能です。廃業の場合は全て失われてしまうので、事業再生すること自体に大きな価値があります。
【事業再生のメリット】
- 債務整理ができる
- 従業員の雇用を維持できる
- 取引先との関係を維持できる
事業再生のデメリット
事業再生の手法には、一部の債権者に債権放棄を要求するものがあります。法的再生は多数派が少数派を拘束できる手法なので、反対する債権者に迷惑をかける恐れがあります。
事業再生の手法次第では、債務免除を受ける際に経営者は経営責任を問われて辞任などの対応を求められることがあります。会社を窮境状態にした原因が経営者にあることが明確な場合は高い確率で辞任を迫られるでしょう。
事業再生は計画策定から実行まで長い工程が必要になるので計画性が求められます。綿密に練られた計画に沿って慎重に手続きを進めなくてはなりません。
【事業再生のデメリット】
- 一部の債権者に迷惑をかける
- 経営責任が問われる
- 計画的に手続きを進める必要がある
事業再生で利用できる支援制度
事業再生は支援制度を活用することで資金調達することもできます。日本政策金融公庫は事業者を支援する政策金融機関で、事業再生に関する支援制度を5つ設けています。
【事業再生で活用したい支援制度】
- 経営環境変化対応資金
- 取引企業倒産対応資金
- 再挑戦支援資金
- 中小企業経営力強化資金
- 企業活力強化資金
経営環境変化対応資金
経営環境変化対応資金は、経済的環境の変化により資金繰りが悪化している事業者を対象にした支援制度です。
一時的に悪化しているものの、支援を受ければ中長期的には回復が期待できる事業が対象になっています。
資金の用途 | 設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 小規模事業者:4800万円 中小企業:7億2000万円 |
返済期間 | 設備資金:15年以内(うち据置期間3年以内) 運転資金:8年以内(うち据置期間3年以内) |
取引企業倒産対応資金
取引企業倒産対応資金は、取引先や関連企業の倒産などで、経営困難になった事業者を対象にした支援制度です。
売掛金や債権の未回収による損失や、売上減少などのリスクを補完するために利用することができます。
資金の用途 | 取引先の倒産などに伴う運転資金 |
融資限度額 | 小規模事業者:3000万円 中小企業:1億5000万円 |
返済期間 | 8年以内(うち据置期間3年以内) |
再挑戦支援資金
再挑戦支援資金は、廃業経験のある事業者に対象にした支援制度です。一度事業に失敗した人が再度事業にチャレンジする際に必要な資金を調達することができます。
資金の用途 | 新事業の資金または事業開始後の設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 小規模事業者:7200万円 中小企業:7億2000万円 |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内) 運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内) |
中小企業経営力強化資金
中小企業経営力強化資金は、市場の創出・開拓を行う事業者を対象にした支援制度です。認定支援機関の認定を受けることで融資条件を満たすことができます。
資金の用途 | 設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 小規模事業者:7200万円 中小企業:7億2000万円 |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内) 運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内) |
企業活力強化資金
企業活力強化資金は、「ものづくり基盤技術」の高度化の研究開発等に取り組む事業者を対象にした支援制度です。経済産業大臣から特定研究開発等計画の認定を受けることで支援を受けられます。
資金の用途 | 設備資金および運転資金(一部事業限定有り) |
融資限度額 | 小規模事業者:7200万円 中小企業:7億2000万円 |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内) 運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内) |
事業再生ADRとは
事業再生には事業再生ADRという手法があり、経済産業大臣の認定を受けた公正・中立な第三者が関与することで、債務を負う事業者が債権者の協力を得ながら事業再生を目指すことができる制度です。
第三者の関与によって非公開で事業再生の手続きが進められるので、債務者企業の信用を損なう心配がありません。また、取引先との関係も維持しやすいので、事業再生後の事業も再開しやすい手法です。
欠点としては手続きの厳格さが挙げられます。第三者や専門家による審査を受ける必要もあるので、全ての手続きを終えて事業再生を実行するまでに多大な時間がかかります。
事業再生を検討するタイミング
事業再生が成功すると債務整理・免除ができて再スタートを切ることができます。しかし、タイミングが遅れてしまうと、手法選択の幅が狭まったり得られる効果が薄くなるといった弊害もあります。
手遅れにならないためには、早期に事業再生を検討することが大切です。主なタイミングとしては次の2点が挙げられます。
【事業再生を検討するタイミング】
- 事業の業績が悪化
- 経営状態が悪く廃業を検討
事業の業績が悪化
事業の業績が悪化してキャッシュ・フローが回らないという状態であれば、事業再生の必要性があると判断できます。
早期段階であれば自力の事業再生も十分に可能です。返済計画の見直しや業務効率化による経費削減などで改善を目指すことになります。
経営状態が悪く廃業を検討
経営状態が深刻な状態になった場合、廃業と事業再生の二択になることがほとんどですが、この段階に入ると法的再生・私的再生や再生型M&A手法で再生を目指す形が一般的です。
収益性の高い事業などをアピールして、資金力・信用力のあるスポンサーをみつけることができれば、資金が必要になる手法でも対応することができます。
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まとめ
本記事では、事業再生の手法について解説しました。M&A手法を活用した再生方法もあり、廃業を回避するための手段は少なくないことが分かります。
数ある手法から最善の選択をするためには、早期から事業再生を検討しておくことが大切です。その際はM&Aの専門家などに相談しておくと計画的に進めることができます。
【事業再生の手法一覧】
- 事業再生
- 法的再生
- 私的再生
- 企業再生方式
- 事業譲渡方式
- 会社分割方式
- 第二会社方式
- 事業の現状を把握する
- 事業再生の方針を策定する
- デューデリジェンスを実施する
- 事業計画案を作成する
- 採算部門と不採算部門を洗い出す
- 不採算部門から撤退する(場合により、資本増強)
- 採算部門を分割して経営力を増強する
- 資金提供者・スポンサーを探す
- 資金確保
- 再生手続きの開始・再生手続きを実行す
- 経営環境変化対応資金
- 取引企業倒産対応資金
- 再挑戦支援資金
- 中小企業経営力強化資金
- 企業活力強化資金
- 事業の業績が悪化
- 経営状態が悪く廃業を検討
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。