M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年9月25日公開業種別M&A
制御盤設計製造業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
制御盤設計製造業界は人気のある業種でM&Aの売り案件になると、成約までの時間があまりかからないのが特徴です。今回は、制御盤設計製造業界の動向をはじめ、M&Aのメリット、M&Aする際の流れ、実際のM&A事例などについて解説します。
目次
制御盤設計製造業界の動向
制御盤設計製造業界は、工場の自動化やプラントの自動制御のために発達してきた業界です。以前は電気制御にて自動制御を実現していましたが、現在ではシーケンサーなどを用いた電子制御が主力です。
しかし、制御盤内の配線工事など、事業活動の主要な部分を人間の労働力に頼っている部分があります。そのため、熟練した技術者や労働力が必要です。機械の設計については外部の業者に委託し、製造だけを自社で行っている業者も多いです。
再生可能エネルギーの普及拡大の影響で次世代送電網を支える電網制御技術への期待は高まっています。経済協力開発機構によると、2010年から2035年までの総投資額は送電分野で172兆円、配電分野で375兆円に達する見通しです。
制御盤設計製造会社のM&Aにおけるメリット
制御盤設計製造会社のM&Aにおけるメリットはさまざまありますが、なかでも近年よく耳にするのが後継者不在による事業承継問題です。親族や社内の役員や従業員の中に後継者が見つからない場合、M&Aは事業承継問題を解決する有効な手段の一つになり得ます。
第三者に事業を譲渡・売却することで事業の継続が可能です。事業が継続できることで、従業員の雇用も守れます。
また、廃業を選択してしまうと、長年にわたり向上させた技術や蓄積したノウハウが失われてしまいます。そこでM&Aによる事業承継を実行すれば、技術やノウハウも買収側企業へ引継ぎが可能です。
制御盤設計製造業界のM&Aにおける買収・売却事例4選
ここからは制御盤設計製造業界のM&Aにおける買収・売却事例を4つ紹介します。
リックスがCEMをM&Aした事例
2022年6月14日、リックス株式会社の連結子会社のリックステクノ株式会社は、株式会社CEMの全株式を取得し子会社化しました。
リックスは鉄鋼をはじめ自動車、電子、半導体を含むさまざまな業界に向けて、産業機械の製造販売を行っているメーカー商社です。子会社のリックステクノは、自動車部品の洗浄装置やその他産業用機械の製造販売やメンテナンスが主要事業です。一方のCEMは、産業用機械の制御盤の製作をはじめ、搬送機械の設計製作や調整、ソフト開発などを行っています。
リックスは今回のM&Aにより、従来外注していた電装部品の内製化を進めグループ内での機電一体を目指すとしています。
参考:CEMを子会社化
サカイオーベックスが攝津電機工業をM&Aした事例
2019年11月19日、サカイオーベックス株式会社は攝津電機工業株式会社の全株式を取得し子会社化しました。
サカイオーベックスの基本戦略は染色事業を中心に、周辺繊維事業を強化し業容拡大につなげることです。一方の攝津電機工業は制御盤や配電盤の設計・製作を手掛けています。
サカイオーベックスは今回のM&Aにより、制御機器事業を拡大するとともに、人材や長期にわたり蓄積した技術ノウハウを取り込むことが可能と判断したとしています。
参考:攝津電機工業を子会社化
スズデンが愛知電機をM&Aした事例
2016年9月30日、スズデン株式会社は愛知電機株式会社の全株式を取得し子会社化しました。
スズデンの主力販売先は電気機器・電子部品・産業機械業界で、近年では医療機器関連市場をはじめとするメディカル市場に力を入れています。今後は自動車産業市場へ力を入れていくそうです。
一方の愛知電機は長野県上田市に本社を構え、配電盤・制御盤・操作盤や付属品の設計・製造・販売に加えメンテナンスを主力事業とし、自動車産業関連の大手企業を顧客にしています。
スズデンは今後注力する大手自動車産業関連企業を顧客に持つ愛知電機を子会社化することで、営業力の強化を目指すとしています。
参考:愛知電機を子会社化
八洲電機がカミヤ電機をM&Aした事例
2015年11月20日、八洲電気の完全子会社であるヤシマコントロールシステムズは、カミヤ電機の全株式を取得しました。
ヤシマコントロールシステムズは各種電気機器の設計・製造および販売を行っており、制御盤マーケットの広がりに対応した製造能力の増強を計画していました。一方のカミヤ電機は愛知県に本社を構え、制御装置の設計・製造・販売を営む社歴60年の制御盤メーカーです。
ヤシマコントロールシステムズは今回のM&Aで、マーケットと顧客需要の両面からシナジー効果が発揮できると考え株式を取得したとしています。
参考:カミヤ電機を子会社化
制御盤設計製造会社をM&Aする際の流れ
ここからは、制御盤設計製造会社がM&Aを行う際の流れをご紹介します。
M&Aの専門家への相談
M&Aを成功させるためには財務や税務、法務など幅広い専門的な知識が必要で、交渉や手続きにあたっては複雑な管理が求められます。
一口にM&Aの専門家といっても、それぞれの得意分野があるのです。例えば大企業を専門に行う専門家もいれば、中小企業のM&Aが得意な専門家もいます。あるいは特定の業界を得意とする専門家もいます。
M&Aの成功率を上げるには、自社が実行に移すM&Aに合わせた専門家に依頼することが重要です。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
制御盤設計製造業界で事業譲渡を適切に行うには、各業界に精通した専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。
M&A総合研究所では、M&Aの支援経験豊富なM&Aアドバイザーが専任につき、事業譲渡を丁寧にフルサポートいたします。
また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)
無料相談も随時受け付けておりますので、こちらの業界で事業譲渡をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
売却先の選定
売却先の選定の段階では、ノンネームシートと呼ばれる、企業名が特定できない形での案件の概要書を作成し、買収先候補に提示します。ノンネームシートには、業種および本社の所在地、事業規模、業績の推移、売却理由、希望価格、予想されるM&Aを行うプランなどが記載されます。
実際の選定にあたっては、包括承継が前提であれば、売却後の従業員の待遇について熟慮しなければなりませんし、自身の売却後の生活や新事業を考えるのであれば、売却価格が重要です。このような事項は売却先の企業によって大きく異なる要素といえるので、M&A先は慎重に選定しましょう。
トップ面談・条件交渉
本格的な契約の前に、売却先・買収先両社のトップが面談を行います。この面談は、経営者同士がお互いの理解を深めたり、今後の方向性を定めるために行うものです。M&Aの目的や双方の企業の情報交換などを行い、不一致が生じなければ具体的な交渉に入ります。
確認しておくべき事項は事前に準備しておきましょう。
秘密保持契約の締結
M&Aを進行する上では、顧客との契約書をはじめ従業員の給与額など非常に敏感な情報を開示するため、情報漏洩を防ぐために、売却先、買収先の両社は秘密保持の契約を行います。M&Aの情報はメリットになるケースももちろんありますが、特に売却側にはデメリットが大きくなります。
締結にあたっては、内容を確認するだけではなく、契約違反したケースも考慮した契約をするのが重要です。
基本合意の締結
ここまでの流れを経て両社の意向がM&Aを進める方向で固まったら、デューデリジェンスの実施前にM&Aの当事者同士その時点での合意事項や以降のプロセスについての規定を盛り込んだ基本合意書を締結します。
この基本合意書はM&A契約自体を確約するものではありません。ただし、以降の交渉の進め方については法的拘束力を持たせるのが一般的です。基本合意書に記載される主な内容は以下のとおりです。
- M&Aの方法と譲渡対価
- 全体のスケジュール
- 独占交渉権の付与
- デューデリジェンスの協力義務
デューデリジェンスの実施
買収側企業は、後々考えてもいなかったリスクを背負ってトラブルにならないように財務面や法務面などの専門家に依頼し、企業監査を行う必要があります。
デューデリジェンスの目的は買収や包括承継の場合、売却側企業の権利・義務をすべて引き継がなければなりません。簿外債務や社内トラブルも引き継いでしまう可能性があり、それらのトラブルが大きいと、承継後に経営困難に陥るリスクもはらんでいます。このようなリスクを回避するためです。
会計資料や契約書をはじめ社内の資料はすべてデューデリジェンスの対象になるので、開示請求があったら速やかに開示しましょう。
最終交渉と最終契約の締結
ここまでの交渉や基本合意、デューデリジェンスを踏まえ、最終契約に向けて交渉を行います。
買収側は、デューデリジェンスで発覚したリスク項目に基づき、買収価格およびスキームの見直し、リスクを低減させるための施策の実行や補償の設定を要求します。
それを受けて売却側は認めるべき事実や譲渡するべき事項を慎重に限定し、譲渡対価や役員、従業員の処遇、事業の継続を要求するのが一般的です。
こうして決められた最終契約にお互い相違がなければ最終契約書を締結します。中小企業のM&Aの最終契約は譲渡日以降の解除はできません。どうしても解約したい場合は損害賠償か補償などの金銭的手段になります。
クロージング
クロージングとはM&Aの最終段階で、最終契約書に基づいて行われる最終的な手続きです。経営権の移動や譲渡代金の支払いおよび重要物の受け渡しなどが行われます。クロージングが行われると、手続き上のM&Aフローは完了です。
クロージングではさまざまな混乱が発生します。クロージングの計画書などを事前に作成しておくことが大切です。
制御盤設計製造会社のM&Aにおける注意点
制御盤設計製造会社のM&Aを成功させるためには、いくつかの注意点を押さえることが大切です。ここでは、M&Aの成功につながる注意点を解説します。
情報漏洩に気をつける
M&Aの交渉を行う際は、従業員や顧客、取引先に情報が漏れないように注意しましょう。
交渉の途中でM&Aを検討していることが漏れた場合、従業員は不安に感じモチベーションが低下するだけではなく、最悪の場合、離職するケースも考えられます。また、顧客や取引先から業績の低迷などのネガティブなイメージを持たれ、取引量を減らされたり、取引を打ち切られたりするリスクもあり、これらが原因でM&A自体の交渉が決裂する可能性もあります。
従業員への通知のタイミングを見誤ったり、中心人物以外で話し合ったりすると情報漏洩が起こりやすくなるので十分な注意が必要です。
M&Aをスムーズに行うためにも、情報の漏洩には十分に注意して交渉を進めましょう。
企業価値評価の妥当性を確認
企業価値評価とは、売却側企業の企業価値を定量的に算定し評価することでM&Aの際には重要な役割を果たします。この評価は取引価額を決定する際の交渉材料として用いられます。
企業価値の妥当性を確認するには、以下の点を考慮しましょう。
1. 評価手法:評価手法にはDCF法、マルチプル法、時価純資産法など、さまざまな方法が存在します。それぞれの方法にメリット・デメリットがあり、適切な方法は都度異なります。
2. 市場動向:市場動向を見極め売却側企業の理論的価値や相場を把握しておくことが重要です。
3. 専門的助言:M&Aの専門家は、企業の価値を正確に評価し、アドバイスする役割があります。そのためにそれらの専門家の助言を求めることも重要です。
4. 負債の考慮:包括譲渡など買収側企業を丸ごと譲り受ける場合は、買収側企業の負債も引き継ぐことになります。そのため帳簿上の負債だけではなく、未計上の引当金、簿外債務も考慮する必要があります。
顧客や案件の引き継ぎ
現在の顧客や案件をどうするかについて協議することが大切です。基本的には買収側企業に引き継いでもらうか、他の会社に引き継いでもらうかの2択になります。
特に別の企業に依頼するケースではトラブルにならないように費用負担を明確にする必要があります。また、案件の発注者に対してもM&Aが行われるため、担当が別の企業になることを説明しておかなければなりません。発注者が納得できないケースでは、M&Aもスムーズには進みにくいです、
関係者全員が納得した上でM&Aを進めましょう。
制御盤設計製造業界のM&A・事業売却まとめ
M&Aには、経営資源の強化や事業承継問題の解決、従業員や取引先の継承などさまざまなメリットが存在します。企業はM&Aのメリットを正確に把握し、自社にとって最適な選択肢を選び実行するべきです。
この際、外部の専門家からのアドバイスは非常に有益なものです。しかし、専門家に全面的に任せっきりにするのではなく、経営者自身もM&Aについて学習することが大切といえます。
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