M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年11月8日更新業種別M&A
医療機器卸・商社のM&Aの動向は?事例や費用の相場も徹底解説!
本記事では、医療機器卸・商社のM&A動向、費用の相場などを解説します。高齢化の進行などの要因があり、医療機器の需要はますます高まっています。医療機器卸・商社のM&Aを検討している場合は、最新動向を把握しておくことが大切です。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
医療機器卸・商社とは
医療機器卸・商社とは、メーカーから機器を仕入れて、主に病院や診療所などの医療機関に販売する会社・業種をさします。医療機器卸売業者とは、日本標準産業分類によると、レントゲン装置や吸入器、歯科医療機器等の、いわゆる「医療機器」の卸売を主として行う事業者のことです。
「医療機器」とは、人間や動物の病気の診断、治療、予防に使用される機械や器具のことを指します。これには、身体の構造や機能に影響を与える目的のものも含まれますが、再生医療製品は除かれます。これらの定義は、医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づいています。
医療機器の販売を行うには、特定の許可が必要です。これには「医療機器製造販売業許可」があり、第1種から第3種までの区分が存在します。また、高度に管理が必要な医療機器や特定の保守管理が必要な医療機器の販売には、「高度管理医療機器等の販売業及び賃貸業の許可」が求められます。一方、一般の管理医療機器の販売に関しては、都道府県知事への届出が必要です。
本章では、この業界の特徴や業務内容、規模や課題など、基本的な情報を中心に解説します。
医療機器卸・商社の特徴
医療機器卸・商社業界は、医療機器の卸売を中心とする業界です。近年の医療機器の需要増加と共に、医療機器卸・商社業界は堅調に推移しています。また、業界再編の動きに伴い、M&A事例も見られます。今後期待される市場拡大の中で、医療機器卸・商社のM&A動向にも注目されている状況です。
高齢化の進行や医療の高度化・多様化に伴い、医療機器の需要はますます増加しており、医療機器関連の会社の業績も長期的に見ると堅調に推移しています。医療機器卸・商社のM&A情報を整理するにあたり、まずは医療機器卸・商社をめぐる状況を把握しておきましょう。
①業界の動向
医療機器の需要増加や医療機器関連会社の業績が堅調に推移していることもあり、医療機器卸・商社業界は徐々に拡大してきました。医療機器卸・商社業界は、仕入れ先となる医療機器メーカー業界の影響を強く受けます。
近年の医療機器メーカー業界は、製品の国内流通金額が急激に増加しています。これに伴い、医療機器卸・商社業界の市場規模も急速に拡大しました。一方で、医療機器業界では、医療費抑制政策などの要因によって大規模な市場拡大は見込めないという見方もあります。
具体的にいうと、「医療費抑制政策のために単価が下落すれば、医療機器の需要が拡大しても業績は伸びないのではないか」とする見方です。確かに単価の下落傾向は見られますが、医療機器の需要が維持される以上、医療機器市場は一定規模で推移すると推測されます。
事実、医療機器関連の主要会社は、過去数年間で堅調に業績を伸ばしています。また、高齢化などの現状を踏まえると、今後はこれまで以上に医療機器の需要が増加する見込みです。単価が下落しても需要の増加が加速すれば、市場拡大が進む可能性は十分にあります。
これは、医療機器卸・商社業界も例外ではありません。仕入れ先となる医療機器メーカー業界の市場が拡大すれば、医療機器卸・商社業界もさらなる市場拡大が見込まれます。また、近年の医療機器関連会社の業績を見ると、海外売上高が急増していることがわかります。
主な原因は、アジア諸国などの医療機器市場の発展などです。また、海外の医療機器会社を買収して市場に参入するなど、M&A事例も見られます。このように、海外市場への展開も含めると、今後の医療機器業界はさらなる業績拡大が見込まれます。これに伴い、医療機器卸・商社業界の市場拡大も予想される状況です。
②地域密着型であること
医療機器卸・商社の強み・特徴として、地域密着型の企業が多い点が挙げられます。これは、医療機器卸・商社の業務の性質上、地域の医療機関と密接に連携しなければならないためです。地域密着型である点は、M&Aの活発化を促しています。
例えば、ある会社が事業エリアを拡大したいと考える場合、その地域に強みのある会社を買収することで、比較的短期間での新規参入が可能です。医療機器卸・商社であれば、その地域の医療機関と密接に連携している医療機器卸・商社を買収することで、事業エリアの拡大につなげられます。
地域密着型の強みを持つ医療機器卸・商社だからこそ、今後もこのようなM&A事例が活発化する可能性があります。
③独占販売権による差別化
国内で活用されている医療機器の半分近くは、海外からの輸入製品です。つまり、医療機器の確保・販売のためには、海外医療機器メーカーが製造する製品の独占販売権の獲得が重要だといえます。このような独占販売権を獲得できれば、競合他社との差別化に有利です。
この特徴も、M&Aの実施を促進しています。最近では、すでに独占販売権を獲得している医療機器卸・商社とのM&Aにより、競争力の強化を図るケースが増えています。
医療機器卸・商社の業務内容
医療機器卸・商社の主な業務は、医療機器メーカーから医療機器・医療品を仕入れ、病院などに販売することです。これに伴い、医療機器の配送・点検・在庫管理なども行います。
医療機関は、当然ながら、必要となる医療機器を常に備えていなければなりません。不具合が生じた場合の代替品も、しっかり確保しておく必要があります。そのため、医療機器・医療品の販売・配送、・点検まで行う医療機器卸・商社は、医療機関にとって非常に重要な存在です。
また、専門的な医療機器・医療品を扱うため、許認可や届出の制度もしっかり規定されています。具体的には、医療機器・医薬品の卸売販売の実施に際して、「医療機器製造販売業許可(第1種~第3種)」の許認可が必要です。
また、「高度管理医療機器」「特定保守管理医療機器」の卸売販売を行う場合は、「高度管理医療機器などの販売業及び賃貸業の許可」が必要です。
医療機器卸・商社の規模
医療機器卸・商社業界の市場規模は4兆円を超えており、上位10社が市場の約4分の1のシェアを有しています。医療機器卸・商社業界の上位企業としては、エム・シー・ヘルスケア、シップヘルスケアホールディングス、セイエイ・エル・サンテホールディング、ムトウグループなどが挙げられます。
しかし、医療機器卸・商社には、中小規模の会社も多いです。医療機器卸・商社は、地域の医療機関との密接な連携が必要となるため、一定の地域に特化した中小規模の会社が多くなるのです。
市場の約4分の1のシェアを大手が占めている状況ですが、地域密着型の中小規模とのM&Aにより、今後は業界再編が進む可能性もあります。現に、大手による買収の流れが強まっている状況です。
事業展開については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
医療機器卸・商社のM&A動向
業界再編の動きとして、大手企業のM&Aによる買収事例が増加傾向にあります。ここでは、医療機器卸・商社のM&Aの動きを紹介します。
①大手による買収事例の増加
今後の市場拡大が予想されていることもあり、大手企業は競争の激化に備えて積極的なM&Aを検討していると考えられます。医療機器卸・商社は一定の地域に強みを持つ会社が多いですが、こうした会社は大手企業にとって魅力があります。
大手の医療機器卸・商社の中には、特定の地域にそれほど強みのない会社も少なくありません。その地域への参入として、すでに地域で力を持っている医療機器卸・商社を買収することは、こうした会社にとって大きなメリットです。比較的短期間での新規参入が可能で、競争力の強化にもつながります。
一方、大手によるシェアの拡大に伴い、中小規模の医療機器卸・商社は厳しい状況に置かれます。そのため、経営基盤の強化などのメリットを図り、大手からの買収を狙う中小企業も増加中です。こうした傾向も、大手による買収事例の増加につながっています。
②同業者同士による合併の増加
最近は、同業者同士の合併事例も増えています。例えば、競争力強化を目的に、大手の医療機器卸・商社同士が合併するケースが代表的です。また、競争力強化・ノウハウの活用・事業エリアの拡大などの目的で、中小の医療機器卸・商社同士の合併が増える可能性もあります。
このような動きが加速し、業界再編が本格化することも考えられます。
会社の合併については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
医療機器卸・商社がM&Aするメリット
市場拡大の期待に伴い、競争の激化に備えた競争力の強化や事業エリア拡大など、医療機器卸・商社におけるM&A(売却・買収)には、さまざまなメリットがあります。ここでは、売り手のメリットと買い手のメリットに分けて詳しくお伝えします。
①売り手のメリット
M&Aによる会社の売却は、後継者不足問題の解決・経営基盤の安定化・創業者利益の獲得・個人保証や担保の解消・従業員の雇用の維持など、さまざまなメリットがあります。特に中小企業にとっては、安定した経営のもとで事業継続ができる点が大きなメリットです。中小の医療機器卸・商社も例外ではありません。
また、大手による買収を狙う中小企業・スタートアップ企業も増えていますが、大手の傘下に入ることは売り手にとってさまざまなメリットがあります。上記で挙げたメリットのほか、大手のノウハウ・ネットワークを生かすことで、自社の事業を強化できます。
例えば、大手が持つ全国のネットワークを生かし、事業エリアの拡大につなげるケースが代表的です。
②買い手のメリット
医療機器卸・商社の買収には、事業エリアや事業規模の拡大・優秀な人材の確保などのメリットがあります。特に大手による買収事例は、事業エリアの拡大を狙ったケースが多いです。これは、一定の地域に密着した医療機器卸・商社を買収することで、効率的に事業エリアを拡大できるためです。
また、比較的短期間で、事業規模を拡大できます。取り扱う医療機器の幅が広がれば、販売・顧客網の拡大にもつながります。会社の規模が大きくなれば、スケールメリットの実現も可能です。さらに、優秀な人材の確保も、メリットとして挙げられます。
大手だからといって、必ずしも優秀な人材が即座に集まるわけではありません。採用活動だけで優秀な人材を確保できるとは限らないのです。効率的に人材確保を行うには、M&Aも選択肢に含めて検討する必要があります。
例えば、特定の領域に特化した医療機器卸・商社を買収し、その分野の優秀な人材を効率的に確保するケースが考えられます。もしも、M&Aを検討されている場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。
M&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。
通常、M&A取引は交渉から成立まで半年~1年程度かかりますが、M&A総合研究所ではスピーディな対応を実践しており、最短3カ月での成約実績を持っています。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ、譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
医療機器卸・商社のM&Aポイント
医療機器卸・商社のM&Aを成功させるには、ポイントを踏まえて慎重に行わなければなりません。ここでは、M&Aを行う際の共通のポイントと医療機器卸・商社ならではのポイントに分けてお伝えしますので、これらを踏まえたうえでM&Aを検討すると良いでしょう。
①M&A全般に共通するポイント3選
医療機器卸・商社に限った話ではありませんが、M&Aを検討するには、まずM&Aの手法・相場・タイミング・対象企業の経営状況などを確認する必要があります。
手法と相場
ひとことにM&Aといっても、その手法はさまざまです。買収(例:事業譲渡、株式譲渡)・合併・会社分割など、手法ごとに具体的なM&A戦略は異なります。M&Aの目的に照らして、自社にとって最適な手法を入念に検討しなければなりません。また、M&Aの対象となる事業・会社の規模によって金額は変わるため、一概に相場を把握することは難しいです。
しかし、まったく相場を意識せずに、M&Aを進めるわけにはいきません。M&Aの目的・当事者の規模・対象事業などを踏まえ、類似する事例を徹底的に分析して相場をつかんでおく必要があります。
M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなど、業界に精通した専門家にも相談し、より正確な相場を知っておくことも大切です。
タイミング
業界・市場が低迷しているタイミングでM&Aを行っても、経済効果の高いM&Aは難しいです。業界や市場の動向に注意し、適切なタイミングでM&Aを行う必要があります。
医療機器卸・商社業界では今後の市場拡大も予想されますが、それでも業界・市場の動向には注意しておきましょう。
また、業績が悪い段階でM&Aを検討すると、適切な買い手を見つけることは困難です。改善できる点は改善し、買い手にとって魅力となる部分を強化したうえで、M&Aを検討する必要があり、この場合もタイミングが重要です。
対象企業の経営状況
買収を検討する場合、特に対象企業の経営状況には注意しなければなりません。買い手は売り手の事業を承継する際に、債務などのリスクも取り込むためです。事前にあらゆる問題点を洗い出し、リスクを分析する必要があります。
売り手の経営状況が悪くても、買収によって改善できる見込みが強ければ、買収に踏み切るケースもあります。ただし、この場合もリスクが高いことには変わりはなく、債務の状況なども含めて事前に十分な調査を行いましょう。
②医療機器卸・商社ならではのポイント2選
次に、医療機器卸・商社のM&Aにおける特徴的なポイントを整理しておきましょう。大きく分けると、対象企業が保有している販売権と得意先病院に関して重要なポイントがあります。
対象企業が保有している販売権
海外医療機器メーカーが製造する製品の独占販売権を獲得することは、医療機器卸・商社にとって非常に重要なポイントです。
すでに独占販売権を獲得している医療機器卸・商社を買収すれば、競争力の強化・シェア獲得につながります。そのため、買収対象企業がどのような販売権を保有しているのか、事前に把握しておくことが大切です。
得意先病院
医療機器卸・商社には、それぞれ得意先の医療機関・病院があります。M&Aの対象企業が多くの得意先を持ち、得意先との関係が良好であれば、その企業とのM&Aは事業拡大のチャンスとなります。そのためにも、対象企業がどれほどの得意先を持っているか、得意先との関係は良好か、事前に調べておくことが大切です。
M&Aをお考えの場合は、M&A総合研究所にぜひご相談ください。専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが専任に就いて、M&Aをフルサポートいたします。
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医療機器卸・商社のM&A成功事例6選
最後に、医療機器卸・商社の主なM&A成功事例を取り上げます。
- フランスベッドホールディングスによるホームケアサービス山口の子会社化
- メディアスHDによる佐野器械の買収
- ジー・スリーHDによるCファクトリーの事業譲受
- グンゼによるメディカルユーアンドエイの買収
- メディアスホールディングスによるミタスグループ3社の子会社化
- エムスリーによるコスモテックの買収
それぞれの事例を順番に紹介します。
①フランスベッドホールディングスによるホームケアサービス山口の子会社化
2021年11月、フランスベッドホールディングスは、ホームケアサービス山口の株式すべてを取得し子会社化しました。本件M&Aの取引価格は非公開です。
買収側は東京都新宿区に本社を置く持株会社であり、家庭用ベッド、医療・介護用ベッド、福祉用具、その他の家具、寝装品等の開発、生産、販売、レンタル、 リース等に関連する事業を主に手掛ける子会社の経営管理などです。
対する売却側は、福祉用具の販売・レンタルを手がける企業です。本件M&Aの主な目的は、福祉用具貸与を中心とするメディカルサービス事業の拡大にあります。
②メディアスHDによる佐野器械の買収
2021年9月、メディアスホールディングスは、佐野器械の株式すべてを取得し子会社化すると発表しました。本件M&Aの取引価格は非公開です。
買収側は、医療機器の販売会社を事業会社に持つ持株会社です。グループ会社の経営管理および、それに付帯する業務を手掛けています。
売却側は、京都および滋賀で医療機器販売・修理を手掛ける会社です。メディアスホールディングスは佐野器機を傘下に加えることで医療機器の販売エリア拡大を図るとしておます。
③ジー・スリーHDによるCファクトリーの事業譲受
2021年2月、ジー・スリーHDは、Cファクトリーの一部の事業(医療機器・医療用消耗品販売事業)を取得すると発表しました。本件M&Aの取引価格は非公開です。
買収側は、グループ経営管理・再生可能エネルギー事業・新規エネルギー事業およびサスティナブル事業などを手掛けている持株会社です。売却側の企業は、医療機器・医療用消耗品販売などを手がけています。
本M&Aの主な目的は、太陽光発電関連、非常用電源関連に続く第3の経営の柱の獲得にあり、ジースリーホールディングスはグループの収益構造の強化に一定の効果をもたらし、事業拡大が可能と判断しM&A実施に至りました。
④グンゼによるメディカルユーアンドエイの買収
2019年2月、グンゼは、メディカルユーアンドエイの株式すべてを取得し完全子会社化しました。本件M&Aの取引価格は非公開です。
買収側のグンゼは、大阪府大阪市北区に本社を置く、肌着・インナーおよびストッキングを主とする日本の繊維製品メーカーで、近年はメディカル事業を成長事業として位置づけています。
対する売却側は、LactoSorbや胸骨接合プレートシステムSLBなど、先端的な医療器具を販売する企業です。
グンゼは、メディカルユーアンドエイの優れた販売力とマーケティング力とのシナジーを創出し、医療分野における多様で高度なニーズへの対応していくことを目的として本M&Aに至りました。
⑤メディアスホールディングスによるミタスグループ3社の子会社化
2018年7月、医療機器販売大手のメディアスホールディングスは、医療機器販売会社のミタスとミタスの関連会社2社(ディーセンス、石川医療器)の計3社を完全子会社化しました。
ミタスは、北陸3県(富山県、石川県、福井県)に強い総合医療機器ディーラーで、医療機器や病院設備機器などの販売や医療用配管工事設計施工などの事業を展開しています。
関連会社のディーセンスは、同エリアにおいて循環器科・脳神経外科分野の医療機器販売・教育事業・コンサルティング事業などを手掛けています。
同じくミタスの関連会社である石川医療器は、同エリアで医療機械器具や介護機器などの販売・福祉用具レンタルなどの事業を行っています。このように、ミタスグループ3社は、いずれも北陸3県エリアに大きな強みを持っています。
ミタスグループ3社の買収により、メディアスホールディングスは北陸エリアの営業基盤の強化を実現しています。また、ミタスグループ3社は、大手のメディアスホールディングスのノウハウやソリューションサービスを生かした仕入れ力・販売力の強化につなげています。
⑥エムスリーによるコスモテックの買収
2017年9月、医療ポータルサイトの運営などを手掛けるエムスリーは、医療機器商社のコスモテックの株式を取得して子会社化することを発表しました。買収額は約10億円で、コスモテックは現在エムスリーの子会社となっています。
買い手側のエムスリーは、インターネットによる医療関連サービスの提供を中心に、さまざまな事業を展開しています。また、売り手側のコスモテックは、心臓外科・一般外科・血管内治療を中心とした医療機器の販売などを行っています。
エムスリーはコスモテックを買収したことで、医療機関との取引基盤や医療機器に精通した人材の確保などのメリットを実現しました。また、コスモテックは、エムスリーが持つプラットフォームの活用により、取り扱う医療機器製品の拡大・新規事業の立ち上げなどにつなげています。
病院・医療法人業界のM&A動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
医療機器卸・商社のM&A案件一覧
最後に、医療機器卸・商社のM&A案件として、東北エリアにて医療機器販売、メンテナンスを手掛ける企業のケースをご紹介します。25年以上の業歴があり、大手企業の特約店としての実績があります。地域密着型で展開しており、20年以上の付き合いの病院は8割を占めている点も強みです。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
売却希望額 | 希望なし |
譲渡希望理由 | 財務的理由、後継者不足(事業承継) |
医療機器卸・商社のM&Aについてまとめ
高齢化の進行などの要因があり、医療機器の需要はますます高まっています。医療機器業界の堅調な推移に伴い、医療機器卸・商社業界も市場拡大が期待されています。また、競争の激化に備えて競争力の強化や事業エリアの拡大などを目的に、M&A事例も増加しています。
特に医療機器卸・商社同士のM&A事例に特徴があり、双方のノウハウを生かした高いシナジー効果を実現するための手法として注目されています。今後も医療機器の需要は増加が見込まれるため、医療機器卸・商社業界も比較的堅調に推移するものと思われます。
一方で、業界再編の動きの中、M&Aの活性化も考えられます。特に中小の医療機器卸・商社にとっては厳しい状況になる可能性もあり、大手による買収など同業者同士のM&Aが加速することも考えられます。
ただ、M&Aは中小企業にとって大きなメリットがあるため、業界再編の中でそれぞれが高いシナジー効果を発揮すれば、医療機器卸・商社業界のさらなる市場拡大も期待できます。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。