2021年5月12日更新業種別M&A

医療機器卸・商社におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

高齢化の進行といった要因もあり、医療機器の需要はますます高まっています。医療機器業界の堅調な推移に伴い、医療機器卸・商社業界も市場拡大が期待されています。 一方で、競争の激化に備え、競争力の強化や事業エリアの拡大などを目的に、M&A事例も増加しています。

目次
  1. 医療機器卸・商社の特徴
  2. 医療機器卸・商社の業務内容
  3. 医療機器卸・商社の規模
  4. 医療機器卸・商社のM&A動向
  5. 医療機器卸・商社がM&Aするメリット
  6. 医療機器卸・商社のM&Aポイント
  7. 医療機器卸・商社のM&A成功事例
  8. まとめ
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医療機器卸 医療機器商社のM&A・事業承継

医療機器卸・商社の特徴

医療機器卸・商社業界は、医療機器の卸売を中心とする業界です。近年の医療機器の需要増加とともに、医療機器卸・商社業界も堅調に推移しています。また、業界再編の動きに伴い、M&A事例も見られます。今後期待される市場拡大の中で、医療機器卸・商社のM&A動向にも注目されています。

高齢化の進行や医療の高度化・多様化に伴い、医療機器の需要はますます増加しており、医療機器関連の会社の業績も、長期的に見ると堅調に推移しています。医療機器卸・商社のM&Aについて整理するにあたり、まずは医療機器卸・商社をめぐる状況を整理しておきましょう。ではさっそく医療機器卸・商社業界の特徴についてお伝えしていきます。

①業界のあゆみと動向

医療機器の需要増加や医療機器関連会社の業績が堅調に推移していることもあり、医療機器卸・商社業界は徐々に拡大していきました。医療機器卸・商社業界は、仕入れ先となる医療機器メーカー業界の影響を強く受けます。

医療機器メーカー業界は、2007年から2014年までの7年間で製品の国内流通金額が約6,500億円も増加しています。これに伴い、医療機器卸・商社業界の市場規模も一気に拡大しました。

一方で、医療機器業界では、医療費抑制政策などの要因によって大規模な市場拡大は見込めないという見方もあります。これは、医療費抑制政策のために単価が下落すれば、医療機器の需要が拡大しても業績は伸びないのではないか、という見方です。

確かに単価の下落傾向は見られますが、医療機器の需要が維持される以上、医療機器市場は一定規模で推移することになります。事実、医療機器関連の主要会社は、過去数年間で堅調に業績を伸ばしています。また、高齢化などの現状を踏まえると、今後はこれまで以上に医療機器の需要が増加するでしょう。

単価が下落しても需要の増加が加速すれば、市場拡大が進む可能性は十分にあります。これは医療機器卸・商社業界も例外ではありません。仕入れ先となる医療機器メーカー業界の市場が拡大すれば、医療機器卸・商社業界もさらなる市場拡大が見込まれます。

また、近年の医療機器関連会社の業績を見ると、海外売上高が急増していることがわかります。これは、アジア諸国などの医療機器市場の発展などが原因として考えられます。また、海外の医療機器会社を買収して市場に参入するなど、M&A事例も見られます。

このように、海外市場への展開も含めると、今後の医療機器業界はさらなる業績拡大が見込まれます。これに伴い、医療機器卸・商社業界の市場拡大も予想されます。

②地域密着型であること

医療機器卸・商社の強み・特徴として、地域密着型の企業が多いという点が挙げられます。医療機器卸・商社の業務の性質上、地域の医療機関と密接に連携しなければならないからです。地域密着型であるという点は、M&Aの活発化にもつながります。

例えば、ある会社が事業エリアを拡大したいと考える場合、その地域に強みのある会社を買収することで、比較的短期間で新規参入が可能となります。医療機器卸・商社であれば、その地域の医療機関と密接に連携している医療機器卸・商社を買収することで、事業エリアの拡大につなげることができるのです。

地域密着型という強みを持つ医療機器卸・商社だからこそ、このようなM&A事例が活発化する可能性があります。

③独占販売権による差別化

国内で活用されている医療機器の半分近くは、海外からの輸入製品となります。つまり、医療機器の確保・販売のためには、海外医療機器メーカーが製造する製品の独占販売権の獲得が重要になります。このような独占販売権を獲得できれば、競合他社との差別化に有利です。

この特徴も、M&Aと関係しています。すでに独占販売権を獲得している医療機器卸・商社とのM&Aにより、競争力の強化を図るといったケースが考えられます。

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医療機器卸・商社の業務内容

医療機器卸・商社の主な業務は、医療機器メーカーから医療機器・医療品を仕入れ、病院などに販売するということです。それに伴い、医療機器の配送や点検、在庫管理なども行います。

医療機関は、当然のことながら必要となる医療機器を常に備えていなければなりません。不具合が生じた場合の代替品もきちんと確保しておく必要があります。そのため、医療機器・医療品の販売や配送、さらには点検まで行う医療機器卸・商社は、医療機関にとって非常に重要な存在です。

また、専門的な医療機器・医療品を扱うため、許認可や届出の制度もきちんと規定されています。具体的には、医療機器・医薬品の卸売販売を行うにあたり、「医療機器製造販売業許可(第1種~第3種)」という許認可が必要です。

また、「高度管理医療機器」「特定保守管理医療機器」の卸売販売を行う場合は「高度管理医療機器などの販売業及び賃貸業の許可」が必要となります。

医療機器卸・商社の規模

医療機器卸・商社業界の市場規模は4兆円を超えており、上位10社が市場の約4分の1のシェアを有しています。医療機器卸・商社業界の上位企業としては、エム・シー・ヘルスケア株式会社、シップヘルスケアホールディングス株式会社、セイエイ・エル・サンテホールディング株式会社、ムトウグループなどが挙げられます。

しかし医療機器卸・商社には、中小規模の会社も多いです。先ほども述べたように、医療機器卸・商社は地域の医療機関との密接な連携が必要になるため、一定の地域に特化した中小規模の会社が多くなるのです。

市場の約4分の1のシェアを大手が占めているという状況ですが、地域密着型の中小規模とのM&Aにより、業界再編が進む可能性もあります。現に、大手による買収の流れも強まっています。

医療機器卸・商社のM&A動向

医療機器卸 医療機器商社のM&A・事業承継
医療機器卸 医療機器商社のM&A・事業承継

業界再編の動きとして、大手企業による買収事例は増加傾向にあります。ここでは医療機器卸・商社のM&Aの動きについてご紹介していきます。

①大手による買収事例の増加

今後の市場拡大が予想されていることもあり、競争の激化に備えて大手は積極的なM&Aを検討していると考えられます。医療機器卸・商社は一定の地域に強みがある会社が多いですが、そのような会社は大手にとって魅力があります

大手の医療機器卸・商社の中には、特定の地域にそこまで強みがない会社もあるでしょう。その地域への参入として、すでに地域で力を持っている医療機器卸・商社を買収することは、そのような会社にとって大きなメリットがあります。比較的短期間で新規参入が可能となり、競争力の強化にもつながります

一方、大手によるシェアの拡大に伴い、中小の医療機器卸・商社は厳しい状況に置かれることになります。そのため、経営基盤の強化などのメリットを図り、大手からの買収を狙う中小企業も増えています。こういった傾向も、大手による買収事例の増加につながっています。

②同業者同士による合併の増加

同業者同士の合併といった事例も増えています。たとえば、競争力強化などを目的に、大手の医療機器卸・商社同士が合併するといったケースです。また、競争力強化やノウハウの活用、事業エリアの拡大といった目的においては、中小の医療機器卸・商社同士の合併が増える可能性もあります。

このような動きが加速し、業界再編が本格化することも考えられます。

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医療機器卸・商社がM&Aするメリット

市場拡大の期待に伴い競争の激化に備えた競争力の強化や事業エリア拡大など、医療機器卸・商社におけるM&A(売却・買収)には、それぞれのメリットがあります。ここでは、売り手のメリットと買い手のメリットについて詳しくお伝えしていきます。

①売り手のメリット

M&Aによる会社の売却は、後継者不足問題の解決、経営基盤の安定化、創業者利益の獲得、個人保証や担保の解消、従業員の雇用の維持といった様々なメリットがあります。特に中小企業にとっては、安定した経営のもとで事業継続ができる点が大きなメリットとなります。中小の医療機器卸・商社も例外ではありません。

また、大手による買収を狙う中小企業・スタートアップ企業も増えていますが、大手の傘下に入ることは売り手にとって様々なメリットがあります。上記で挙げたメリットのほか、大手のノウハウやネットワークを活かすことで自社の事業を強化することもできます。例えば、大手が持つ全国のネットワークを活かし、自社の事業エリアの拡大につなげるといったケースです。

②買い手のメリット

医療機器卸・商社の買収は、事業エリアの拡大、事業規模の拡大、優秀な人材の確保といったメリットがあります。特に大手による買収事例などは、事業エリアの拡大を狙ったケースが多いでしょう。一定の地域に密着した医療機器卸・商社を買収することで、効率的に事業エリアを拡大できるからです。

また、比較的短期間で事業規模を拡大することもできます。扱う医療機器の幅が広がれば、販売・顧客網の拡大にもつながります。会社の規模が大きくなれば、スケールメリットを実現することも可能です。さらに、優秀な人材の確保という点もメリットとして挙げられます。

大手だからといって、必ずしも優秀な人材がすぐに集まるわけではありません。採用活動だけで優秀な人材を確保できるとは限らないのです。効率的な人材確保のためには、M&Aも選択肢に含めて検討する必要があるでしょう。

例えば、特定の領域に特化した医療機器卸・商社を買収し、その分野における優秀な人材を効率的に確保するといったケースが考えられます。

もしM&Aを検討されている場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。

通常、M&A取引は交渉から成立まで半年~1年程度かかることが基本的ですが、M&A総合研究所ではスピーディな対応を実践しており、最短3ヶ月での成約実績もあります。

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医療機器卸・商社のM&Aポイント

医療機器卸・商社のM&Aは、ポイントを踏まえて慎重に行わなければうまくいきません。M&Aを行う際の共通のポイントと医療機器卸・商社ならではのポイントに分けてお伝えしていきますので、それらを踏まえたうえでM&Aを検討することをおすすめします。

①M&A全般に共通するポイント

医療機器卸・商社に限った話ではありませんが、M&Aを検討するには、まずM&Aの手法、相場、タイミング、そして対象企業の経営状況を検討する必要があります。

手法と相場

M&Aといっても、その手法は様々です。買収(事業譲渡や株式譲渡など)、合併、会社分割など、それぞれの手法ごとに具体的なM&A戦略は異なります。M&Aの目的に照らして自社にとって最適な手法は何か、しっかりと検討する必要があります。

また、M&Aの対象となる事業や会社の規模によって金額は変わるので、一概に相場を把握することは難しいところがあります。しかし、全く相場を意識せずにM&Aを進めるわけにはいきません。そのため、M&Aの目的、当事者の規模、対象事業などを踏まえ、類似した事例を徹底的に分析して相場をつかんでおく必要があります。

M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなど、業界に精通した専門家にも相談して、より正確な相場を知っておくことも大切です。

タイミング

業界・市場が低迷しているタイミングでM&Aを行っても、経済効果の高いM&Aは難しいでしょう。業界や市場の動向に注意し、適切なタイミングでM&Aを行う必要があります。医療機器卸・商社業界については、今後の市場拡大も予想されますが、それでも業界・市場の動向には注意しておきましょう。

また、あまりに業績が悪い段階でM&Aを検討すると、適切な買い手を見つけることは困難です。改善できる点は直して買い手にとって魅力となる部分を強化したうえで、M&Aを検討する必要があります。この場合もタイミングが重要です。

対象企業の経営状況

買収を検討する場合、特に対象企業の経営状況には注意しなくてはなりません。買い手は売り手の事業を承継する際に、債務などのリスクにも取り込むからです。事前にあらゆる問題点を洗い出し、リスクについて分析する必要があります。

売り手の経営状況が悪くても、買収によって改善できる見込みが強ければ、買収に踏み切ることもあるでしょう。ただし、この場合もリスクが高いことには変わりありません。債務の状況なども含め、事前に十分な調査を行いましょう。

②医療機器卸・商社ならではのポイント

次に、医療機器卸・商社のM&Aにおける特徴的なポイントを整理しておきましょう。大きく分けると、対象企業が保有している販売権と得意先病院について、重要なポイントがあります。

対象企業が保有している販売権

先ほどもお伝えしましたが、海外医療機器メーカーが製造する製品の独占販売権を獲得することは、医療機器卸・商社にとって非常に重要なポイントです。すでに独占販売権を獲得している医療機器卸・商社を買収すれば、競争力の強化やシェア獲得につながります。そのため、買収対象企業がどのような販売権を保有しているのか、事前に把握しておくことが大切です。

得意先病院

医療機器卸・商社には、それぞれ得意先の医療機関・病院があります。M&Aの対象企業が多くの得意先を持ち、かつ得意先との関係が良好であれば、その企業とのM&Aは事業拡大のチャンスになります。そのためにも、対象企業がどのくらいの得意先を持っているか、得意先との関係は良好か、事前に調べておく必要があります。

M&Aをお考えの場合は、M&A総合研究所にぜひご相談ください。専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが専任に就き、M&Aをフルサポートいたします。

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M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!

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医療機器卸・商社のM&A成功事例

①エムスリーによるコスモテックの買収

2017年9月に医療ポータルサイトの運営などを手掛けるエムスリーが、医療機器商社のコスモテックの株式を取得して子会社化することを発表しました。買収額は約10億円で、コスモテックは現在エムスリーの子会社となっています。

買い手側のエムスリーは、インターネットによる医療関連サービスの提供を中心に様々な事業を展開しています。また、売り手側のコスモテックは心臓外科、一般外科、血管内治療を中心とした医療機器の販売などを行っています。

エムスリーはコスモテックを買収したことで、医療機関との取引基盤や医療機器に精通した人材の確保といったメリットを実現しました。また、コスモテックは、エムスリーが持つプラットフォームの活用により、取り扱う医療機器製品の拡大、新規事業の立ち上げなどにつなげています。

②メディアスホールディングスによるミタスグループ3社の子会社化

2018年7月に医療機器販売大手のメディアスホールディングスは、医療機器販売会社のミタスとミタスの関連会社2社(ディーセンス、石川医療器)の計3社を完全子会社化としました。

ミタスは、北陸3県(富山県、石川県、福井県)に強い総合医療機器ディーラーで、医療機器や病院設備機器などの販売、医療用配管工事設計施工などの事業を展開しています。関連会社のディーセンスは、同エリアにおける循環器科や脳神経外科分野の医療機器販売のほか、教育事業やコンサルティング事業なども手掛けています。

また、同じくミタスの関連会社である石川医療器は、同エリアで医療機械器具や介護機器などの販売、福祉用具レンタルなどの事業を行っています。このように、ミタスグループ3社はいずれも北陸3県エリアに大きな強みを持っています。

ミタスグループ3社の買収により、メディアスホールディングスは北陸エリアの営業基盤の強化を実現しています。また、ミタスグループ3社は、大手のメディアスホールディングスのノウハウやソリューションサービスを活かした仕入れ力・販売力の強化につなげています。

まとめ

高齢化の進行といった要因もあり、医療機器の需要はますます高まっています。医療機器業界の堅調な推移に伴い、医療機器卸・商社業界も市場拡大が期待されています。また、競争の激化に備えて競争力の強化や事業エリアの拡大などを目的に、M&A事例も増加しています。

特に医療機器卸・商社同士のM&A事例に特徴があり、双方のノウハウを活かした高いシナジー効果を実現するための手法として注目されています。今後も医療機器の需要は増加が見込まれるため、医療機器卸・商社業界も比較的堅調に推移するものと思われます。

一方で、業界再編の動きの中、M&Aの活性化も考えられます。特に中小の医療機器卸・商社にとっては厳しい状況になる可能性もあり、大手による買収など同業者同士のM&Aが加速することも考えられます。

ただ、M&Aは中小企業にとって大きなメリットがあるため、業界再編の中でそれぞれが高いシナジー効果を発揮すれば、医療機器卸・商社業界のさらなる市場拡大も期待できます。このように、医療機器業界の動向の一つとして、医療機器卸・商社業界のM&A事情にも注目されています。

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