M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年1月29日更新業種別M&A
印刷会社のM&A・売却・買収の特徴は?最新動向や事例も解説【2024年最新版】
本記事では、印刷会社の現状を踏まえ、特徴や最新動向から費用の相場、M&A事例を紹介します。電子媒体の普及により低迷が続いている印刷会社では、生き残りをかけたM&Aや事業承継のためのM&Aなどが行われています。印刷会社のM&Aを検討中の方は必見です。
目次
印刷会社と印刷業界の特徴
はじめに、印刷会社・印刷業界の定義を確認しておきます。総務省の「日本標準産業分類」によると、製造業のなかに「印刷・同関連業」という分類があり、印刷業・製版業・製本業・印刷物加工業・印刷関連サービス業などが含まれます。
印刷会社は、上記サービス(印刷・同関連業)を提供する会社です。印刷会社には小規模事業者が多い特徴があり、凸版印刷や大日本印刷といった売上高1兆円超の大手企業もありますが、業界全体としては小規模事業者が大半を占めています。
印刷会社の業態
印刷会社の代表的な業態は、以下のとおりです。
- 商業印刷
- 事務用印刷
- 出版印刷
- 包装印刷
商業印刷は広告など商業用のものを印刷する業態で、事務用印刷は事務用品一般やビジネスフォームなどの事務用印刷物を扱います。出版印刷は書籍や雑誌などの出版印刷物を扱い、包装印刷は包装やラベルの印刷を行う業態です。
出版印刷でのシェア低下が目立っている
印刷会社における業態上位4つのうち包装印刷は、徐々にシェアを高めています。一方、上位3製品の商業印刷・事務用印刷・出版印刷のシェアが低下傾向で、上位2製品の商業印刷と事務用印刷は比較的安定しているものの、出版印刷は特にシェア低下が目立つ状況です。
この傾向は、デジタル化による電子媒体の普及が大きく影響しています。また、印刷会社・印刷業界には幅広い業態があるものの、一つひとつにおける製品の売上が低い問題を抱えています。
例えば、事務用印刷は手帳・封筒・名刺といった事務用品一般や、ビジネスフォーム(帳票・伝票)を扱っており、製品自体の需要は高いのですが、1つひとつの製品として捉えると単価は安く、大量の発注を受けなければ売上は低くなってしまうのです。
投資コストの回収可能性を見とおしにくい
印刷業界では、印刷機や加工機といった比較的多額の設備投資が必要です。製品ごとの売上が安価になってしまうため、製品における費用対効果がしばしば問題となります。また、印刷物の種類が多く、製品ごとの印刷工程が複雑になりがちです。
そのため、印刷業界は原価計算が難しい特徴も見られます。インクや紙などの資材は原油価格の高騰に大きく影響し、原油価格の相場によって資材調達にかかるコストが変わり、製品の価格設定に大きな影響をおよぼすため、高い価格交渉力も求められるのです。
以上のことから、投資コストを回収できる可能性の見とおしが立ちにくく、特に中小規模の印刷会社は設備投資をしたくてもリスクの方が高いとして、なかなか投資に踏み切れません。
印刷会社の市場規模
経済産業省によると、2019年の印刷・同業関連出荷額は、4兆8,270億円となっています。これは、前年比0.02%減です。数年は5兆円台を保っていたのですが、4兆円台に減りました。
印刷市場は、約20年間で4割弱も縮小しています。2019年における印刷会社の業績は、上位10社中1社のみが前年比増収を達成し、9社は横ばいか減収です。印刷の需要が減り、競争の激化で単価の下落などもあり、今後も印刷業界の経営環境は厳しいでしょう。
印刷業界の現状
この章では、印刷業界の現状を見ていきましょう。以下2つのポイントに分けて紹介します。
- 印刷業界の市場は縮小傾向
- 紙媒体以外での事業展開の必要性
①印刷業界の市場は縮小傾向
印刷業界の市場は縮小傾向にあり、とりわけ出版印刷の売上減少が目立っています。出版印刷はデジタル化の影響を強く受け、書籍や雑誌の発行部数の減少に伴い、印刷の需要も減少傾向です。
印刷業界は基本的にエンドユーザーの動向に左右されます。出版社や新聞社といったエンドユーザーの売上が減少すれば、印刷会社に大きな影響をおよぼします。そのため、出版印刷の売上が大きな課題点です。
また、パンフレットやチラシなどの需要も縮小傾向で、商業印刷のシェアも低下傾向です。ただ、商業印刷のシェアは40%台で推移しており、比較的安定しています。印刷業界のなかで売上高が最も高い業態として、商業印刷は今後も高いシェアを維持する見込みです。
しかし、こうした市場が縮小する傾向にあるなかで包装印刷は徐々にシェアを伸ばしており、印刷業界の全業態で市場が縮小しているわけではありません。
事業内容・事業領域の拡大が有効策
印刷業界の市場傾向を踏まえると、「事業内容や領域の拡大」が有効策です。この際、同業者同士のM&Aが重要な選択肢の1つで、印刷会社は小規模事業所が圧倒的に多い状況ですが、印刷会社同士のM&Aでは規模の拡大が図れます。
M&Aをせずに事業規模を拡大するのは非常に困難で、多くの時間やコストを費やすでしょう。しかし、M&Aを活用すれば、短期間で実現できるうえにリスクも少ないことが多いです。
例えば、中堅印刷会社同士でM&Aを行うと、事業規模拡大や競争力強化などを短期間で実現できる可能性が高いでしょう。お互いのノウハウを生かせば、コスト削減や価格交渉力・サービスの向上などが目指せます。
この他にも、M&Aにより特定地域に特化する印刷会社を買収すれば、事業領域の拡大につながります。シェアが安定化している分野や徐々にシェアを伸ばしている分野を自社事業に取り込めば、縮小傾向にある市場での競争力強化が狙えるでしょう。
このように、M&Aにはさまざまなメリットがあるため、市場が縮小傾向である印刷業界においてM&Aは非常に有効な策といえます。
②紙媒体以外での事業展開の必要性
出版印刷をはじめ印刷業界では、紙媒体への評価に左右されます。電子媒体が普及しつつも紙媒体が再評価されれば、印刷業界に良い影響をおよぼすのです。ただし、紙媒体が再評価されても、電子媒体が衰退することはないといえます。
そのため、紙媒体の立場は弱くなる傾向にあるのです。こうした状況のなか印刷業界では、紙媒体以外の事業を進める必要性が高まっています。データ入力と印刷・データ管理サービスなど、印刷業界の強みを紙媒体以外で活用するケースです。
他分野で新規に開始した事業が軌道に乗るケースも多く、大手印刷会社が印刷分野以外でも幅広く事業を展開しているように、多岐にわたる視点を持たなければなりません。化粧品事業やイベント運営事業など、印刷とは離れた分野の事業で安定した売上を出す印刷会社もあります。
印刷分野以外の事業を行う会社とのM&Aが有効策
一見すると八方塞がりのような状況でも、M&Aは効果的な解決法です。紙媒体以外の事業も手掛ける企業に買収されて傘下に入れば、その企業や関連会社から安定した受注を受けられ、自社の従業員も落ち着いて業務に取り組めます。
紙媒体以外の事業も進める企業を買収し、その分野における新規参入を実現する方法もあるでしょう。M&Aによる買収では、事業の新規参入が迅速に行えるのが魅力です。ゼロから立ち上げることによるリスクも少ないため、新事業に取り組むならM&Aの活用が効果的です。
なお、紙媒体以外の事業を展開する印刷会社にとっても、同じ印刷会社の買収はメリットがあります。買収対象となる企業が特定の地域に強みがあると、紙媒体以外のサービスも含めて事業領域を拡げることが可能です。
しかし、M&Aにはさまざまなメリットがありますが、成功させることは決して簡単ではありません。成功させるためには、業界のことを知るだけでなくM&A専門家のサポートを受けましょう。
印刷業界のM&Aの最新動向
印刷会社のM&Aでは、地方の中堅印刷会社が都心の小規模事業者を買収するケースが増加中です。印刷会社の受注先は都市部に集中する傾向にあり、それに伴って印刷会社も都市部に集まる傾向があります。
地方で活躍する印刷会社が都市部で拠点を構築するためには、M&Aで都心の小規模事業者を買収することが有効策です。買収企業のサービス領域を活用すれば、比較的短期間でかつリスクの低い参入が可能となり、都市部の事業展開を実現できます。
印刷業界は今後も国内市場が縮小する見込みで、そのために成長中の海外市場へアプローチする事例が増えています。したがって、大手印刷会社が海外展開を狙う際も、M&Aは大いに活用できるのです。
中小企業や小規模事業者は事業承継問題を抱えているケースも多く、同業他社や銀行、投資ファンドに売却・事業譲渡を行うことで、事業承継を図るM&A事例も増えています。
印刷会社の経営戦略としてもM&Aは活用できる
近年の印刷業界では、デジタル化によって電子媒体が急速に普及していることを主因として市場が縮小し、特に中小規模の印刷会社は、今までの経営を継続していると生き残りが困難でしょう。
そのため、中小規模の印刷会社でも、事業承継のための解決策としてM&Aを活用するだけでなく、他の分野への進出や生き残りをかけた経営戦略としてのM&Aも視野に入れる必要があり、M&Aであれば中小規模の印刷会社でも事業展開は可能です。
実際、同業者同士でM&Aを実施して事業内容や営業領域を拡大して競争力を強化した事例も少なくありません。電子媒体が急速に普及している現状を踏まえると、スピーディーに対応できるM&Aはこれからさらに一般的な経営戦略の手法になるでしょう。
印刷業界のM&A成功事例12選
印刷会社のM&A成功事例として、以下を紹介します。
- キヤノンが英イーデールを買収
- イムラ封筒がハシモトコーポレーションを買収
- 凸版印刷がFace Technologiesを買収
- 凸版印刷がInterFlex Groupを買収
- 凸版印刷がアイオイ・システムを買収
- 凸版印刷がKabuK Styleと資本業務提携
- IMAGICA GROUPが主婦の友インフォスを子会社化
- 日本創発グループが宏和樹脂工業を買収
- 凸版印刷がMax Speciality Films Limitedを関連子会社化
- ナカバヤシが八光社を買収
- 小松印刷がマツオカ・三幸を子会社化
- 共立印刷が西川印刷を買収
①キヤノンが英イーデールを買収
2022年4月、キヤノンプロダクションプリンティングがイーデールの全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。イーデールは、フレキソ印刷技術を用いたラベル印刷機・パッケージ印刷機・各種フィニッシング処理機器の製造・販売事業を展開する英国企業です。
キヤノンは大手光学機器メーカーで、新規事業のひとつとしてプリンティング事業を展開しています。キヤノンプロダクションプリンティングはキヤノンのオランダ子会社で、産業・オフィス向けプリンターやデジタルプロダクションプリンティングシステムの研究開発・生産・販売事業を展開しています。
本件M&Aの目的は、ラベル・パッケージ印刷機分野の強化(現行ラベル印刷機シリーズの拡販、ラインナップ拡充、新製品開発)、プリンティング事業の高付加価値化・生産性向上にあります。
②イムラ封筒がハシモトコーポレーションを買収
2022年1月に、イムラ封筒はハシモトコーポレーションの全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。ハシモトコーポレーションは、デザインから印刷に至るまでの各種印刷サービスを提供しており、イムラ封筒の主要な印刷業務を支えてきた会社です。
イムラ封筒自体は、オーダーメイドの封筒製作を中心に、ダイレクトメールの企画から発送までを手がけるメーリングサービス事業や、サードパーティーロジスティクス(3PL)事業などを展開しています。
このM&Aの主な目的は、パッケージソリューション事業の運営を安定させ、印刷工程を内製化することで業務の効率化を図ることにあります。
③凸版印刷がFace Technologiesを買収
2021年9月、凸版印刷の香港子会社で、金融決済システムを提供するToppan Gravityは、南アフリカのIT企業であるFace Technologiesを買収しています。フェーステクノロジーズは、アフリカで運転免許などの政府系システムを手掛ける会社です。
買収額は公表されていません。これにより、両社のノウハウを生かして、アフリカでの政府・金融機関向けサービスを拡げる見込みです。
④凸版印刷がInterFlex Groupを買収
2021年7月、凸版印刷は、Interflex Investment Partners, LLCの100%子会社であるInterFlex Groupを買収しました。InterFlex Groupは、食品などの軟包装事業を手掛ける会社です。
これにより、凸版印刷は、米国で生産する世界トップシェアの透明蒸着バリアフィルム「GL BARRIER」と、InterFlex Groupが持つ製袋などのコンバーティング拠点を合わせて、欧米市場で包装材料供給から最終製品までワンストップで提供できるようになりました。
⑤凸版印刷がアイオイ・システムを買収
凸版印刷は、アイオイ・システムにおける発行済み株式の75.8%を得て、2021年6月に子会社化の手続きを終えることを発表しました。
アイオイ・システムは、デジタルピッキングシステムの国内最大手で、グローバル市場でもトップクラスのシェアを持つ会社です。これにより、両社が保持する技術やノウハウを合わせて、物流業界のDX市場に本格的な参入を図ります。
⑥凸版印刷がKabuK Styleと資本業務提携
2021年4月、凸版印刷は、KabuK Styleとyleと、資本業務提携を行っています。KabuK Styleは、定額制宿泊サービス「HafH(ハフ)」などのライフスタイル領域でITを生かしたサービスを行っている会社です。
これにより、凸版印刷が提供する「My Anchor®」などのセキュア領域における技術・ノウハウと、KabuK Styleのサービスを組み合わせ、ワーケーション支援などによる働き方改革を支援するなど、いろいろな共同事業をとおして相互の事業シナジー最大化を狙います。
⑦IMAGICA GROUPが主婦の友インフォスを子会社化
2019年3月、IMAGICA GROUPが主婦の友インフォスを子会社化しました。IMAGICA GROUPはテレビドラマやアニメーション作品など映像コンテンツの企画や作成を行っている会社で、主婦の友インフォスはライトノベルの出版事業や写真集の発行などを行っています。
この買収は、IMAGICA GROUPがコンテンツビジネスで重要となるIP(知的財産)を取得するために行われました。
⑧日本創発グループが宏和樹脂工業を買収
2017年7月、日本創発グループは宏和樹脂工業を買収しました。日本創発グループは、一般印刷物や特殊素材の印刷・3Dプリンティングなどを手掛ける総合印刷会社です。買収した宏和樹脂工業は、ラミネート加工や樹脂コーティングなどの特殊印刷を得意分野としています。
このM&Aによって日本創発グループは、業界内で高い評価を受ける宏和樹脂工業の技術力獲得に成功し、需要が拡大している表面加工印刷に関する技術力を組み合わせて収益性の向上を目指します。
⑨凸版印刷がMax Speciality Films Limitedを関連子会社化
2017年2月、凸版印刷はMax Speciality Films Limitedを関連子会社化しました。凸版印刷は日本の大手印刷会社で、Max Speciality Films Limitedはインドや海外市場向けにBOPPフィルム(包装用・ラベル・書籍カバー用など)の製造・販売を行う会社です。
インドのパッケージ産業は世界的にも成長率が高く、今後も市場拡大が見込まれています。このM&Aにより凸版印刷は、インドのパッケージ市場や海外市場への事業拡大を進め、拡大するインドのパッケージ市場に対するアプローチとして大きな意味を持ちます。
⑩ナカバヤシが八光社を買収
2016年11月、ナカバヤシは八光社を買収しました。ナカバヤシはビジネス印刷物を得意とし、ラベル印刷も手掛ける印刷会社で、八光社はラベル印刷を得意分野とし、需要が高まっている小ロットのラベル印刷にも対応しています。
印刷機器の購入とM&Aという選択肢のなかから、ナカバヤシはより短期間で事業拡大が狙えるM&Aの手法を採用し、八光社を買収して小ロット印刷への対応を実現しました。
⑪小松印刷がマツオカ・三幸を子会社化
2016年9月、小松印刷はマツオカと三幸を子会社化しました。小松印刷は、新聞の折り込み広告における印刷を主力とした事業展開を行っており、マツオカは参拝用品の販売を手掛け、寺社の参拝で使用する納経帳で国内シェアの多くを占める会社です。
同じく子会社化した三幸も、巡拝用品の販売を事業内容としています。これら2つの企業を子会社化したことで、小松印刷は事業内容の拡大を進め、グループのネットワークを生かしたサービスの提供を図ります。
⑫共立印刷が西川印刷を買収
2015年7月、共立印刷は西川印刷を買収しました。共立印刷は、関東を拠点に事業を手掛ける総合印刷会社で、西川印刷は九州を拠点とした印刷会社でダイレクトメールのほか、情報に基づいて内容を変更しながら印刷する(バリアブル印刷)設備・技術力を備えています。
西川印刷の設備や技術力は、需要に対応する体制整備を進めていた共立印刷との親和性が高く、このM&Aで両企業ともに、需要が高まりつつある印刷サービスに対応可能となりました。拠点が離れていることもあり、需要を取り合うことがない面でも恩恵を得ています。
印刷業界のM&Aの相場と費用
印刷会社のM&Aは、大規模であれば億単位の取引価格におよぶこともあり、小規模な印刷会社のM&Aでは、数千万円程度の事例が多いです。
印刷業界以外における業界でのM&A事例があることや、印刷会社ごとにM&Aの目的が異なることなどを考慮すれば、相場と費用の具体的な把握は困難です。
M&Aの売買価格は、売上・事業エリア・従業員数といったさまざまな要因で決まります。特に印刷会社は他分野への進出も積極的に行われ、M&A事例が多様化しています。相場と費用を知りたいときは、自社と類似する会社が実施したM&A事例を分析すると良いでしょう。
具体的な価格を知りたい場合はM&A総合研究所に相談
自社の具体的な売却価格や、M&Aを狙う印刷会社の具体的な買収価格を知りたい場合は、M&Aの専門家に相談しましょう。専門家に相談すれば、具体的な売買価格を計算してもらえます。印刷業界に詳しい専門家に相談することがポイントです。
印刷業界のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では知識や経験の豊富なM&Aアドバイザーが、M&Aのご相談からクロージングに至るまで案件をフルサポートいたします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
印刷会社のM&A・買収の注目ポイント
印刷会社を買収するときは、以下のポイントに注目して買収先企業を決めるとよいでしょう。
- 工場の規模や立地に魅力があるか
- 企画やデザインの能力を備える人材が在籍しているか
- 特定分野において大きなシェアを占めているか
- 設備・人材・技術に対して適切に投資がなされているか
- その他、自社にはない強みを持っているか
これらのポイントを基準にして買収先を選ぶと、M&Aによるメリットを獲得しやすくなります。印刷会社を買収するケースでは、同業者による買収が多いです。地方中堅の印刷会社が都市部の小規模印刷会社を買収する事例は、まさに同業者による買収の代表例といえます。
買収の目的を明確にすると買収先企業を決めやすい
同業者による買収では、事業領域の拡大が大きなメリットです。買収対象企業が持つ事業領域を活用すれば、新規エリアにおいて比較的短期間で事業を始められます。また、同じ印刷会社の業種でも、それぞれの会社で強みは異なります。
買収により自社にはない強みを手に入れることで競争力を強化でき、経営の安定化が可能です。他業種の買収でも、印刷業界への参入や印刷会社の強みを生かしたデータ入力やデータベース管理を取り込めば、主業種のさらなる発展が期待できます。
買収にはさまざまなメリットがありますが、買収先の選定では買収する目的を明確にし、それを踏まえて企業を選ばなくては十分なメリットが得られません。そのため、まずは買収にあたり何を得たいのかはっきりさせることが大切です。
印刷会社のM&A・売却の注目ポイント
印刷会社を売却するときは、自社について事前に以下のポイントを確認しましょう。
- 資格や高い技術力を持つ人材を抱えているか
- 特定分野で大きなシェアを誇っているか
- 大手企業など魅力的な取引先を抱えているか
- その他、相手企業にアピールできる強みを持っているか
これらのポイントに注目して、M&A前にできるだけ企業価値を高めれば、多くの企業から魅力的な売却案件と判断されます。その結果、希望どおりの売却価格でM&Aできる可能性が高まります。
M&A前にできる限り自社の強みを固めておく
売却価格の獲得以外にもM&Aにおける売却側は、後継者不足問題の解決・経営基盤の安定化・個人保証や担保の解消・従業員雇用の維持といったメリットが得られ、印刷会社においても経営上の問題を解決するために売却を実行するケースが多いです。
しかし、事業の引き継ぎ先は簡単に見つかるわけではなく、売却側が魅力的なサービスの提供を行っていると評価されなければ買収に名乗りでてもらえる可能性が低くなります。
例えば、特定地域に特化している、シェアを伸ばしている分野に強みがある印刷会社は買収する側にとって魅力度が高いです。
また、他社にはない独自の技術・スピード・価格交渉力などを持っていれば売却先が多く現れ、優位に交渉を進められる可能性もあります。自社の事業を引き継ぐためにも、M&A前にできる限り自社の強みを固めることが重要です。
自社の強みはしっかりと相手に伝える
自社を売り込めるだけの強みを持っていても、それを買収の相手にうまく伝えられなければ魅力的だと評価してもらうことは難しいです。そのため、自社の強みはしっかりと相手に伝えられるよう入念に準備しなくてはなりません。
M&Aの交渉では、専門家にサポートしてもらうことも重要です。M&A仲介会社などの専門家に依頼すると、相手企業の選定やその後における交渉などのサポートが受けられます。
M&A総合研究所では、M&Aの知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが、親身になって案件をフルサポートいたします。スピーディーなサポートを実践しており、最短3カ月での成約実績を有する点も強みです。
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印刷会社のM&A・売却・買収についてまとめ
本記事では、印刷会社のM&Aについて、動向・相場・成功事例などを解説しました。M&Aはさまざまな問題の解決策や多くのメリットが得られるため、業界が低迷しつつある印刷会社では、会社の存続や事業拡大のために今後はM&Aが活発化すると予想されます。
しかし、M&Aは簡単に行えるものではなく、成功させるためには専門家のサポートが欠かせません。印刷会社でM&Aを検討する場合は、M&Aの専門家に相談することをおすすめします。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。