2025年4月24日更新業種別M&A

印刷会社のM&A・売却・買収の動向と今後の展望は?事例や案件例も解説

本記事では、印刷会社の特徴から現状を踏まえた最新動向、費用相場、M&A事例などを紹介します。電子媒体の普及により低迷が続いている印刷会社では、生き残りをかけたM&Aや事業承継のためのM&Aなどが行われています。M&Aを検討中の方は必見です。

目次
  1. 印刷会社の特徴と動向
  2. 印刷業界のM&Aの最新動向
  3. 印刷業界のM&A案件例
  4. 印刷業界のM&A成功事例
  5. 印刷業界のM&Aの相場と費用
  6. 印刷会社のM&A・買収の際の注目ポイント
  7. 印刷会社のM&A・売却の注目ポイント
  8. 印刷会社のM&A・売却・買収についてまとめ
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印刷会社のM&A・事業承継

印刷会社の特徴と動向

まず、印刷会社の特徴や動向について確認していきましょう。

総務省の「日本標準産業分類」によると、製造業のなかに「印刷・同関連業」という分類があり、印刷業・製版業・製本業・印刷物加工業・印刷関連サービス業などが含まれます。

印刷会社は、上記サービス(印刷・同関連業)を提供する会社です。印刷会社には小規模事業者が多い特徴があり、凸版印刷や大日本印刷といった売上高1兆円超の大手企業もありますが、業界全体としては小規模事業者が大半を占めています。

印刷会社の概要

印刷会社の代表的な業態は、以下のとおりです。

  • 商業印刷
  • 事務用印刷
  • 出版印刷
  • 包装印刷

商業印刷は広告など商業用のものを印刷する業態で、事務用印刷は事務用品一般やビジネスフォームなどの事務用印刷物を扱います。出版印刷は書籍や雑誌などの出版印刷物を扱い、包装印刷は包装やラベルの印刷を行う業態です。

印刷会社の特徴

ここでは、印刷会社の特徴を紹介いたします。

出版印刷でのシェア低下が目立っている

印刷会社における業態上位4つのうち包装印刷は、徐々にシェアを高めています。一方、上位3製品の商業印刷・事務用印刷・出版印刷のシェアが低下傾向で、上位2製品の商業印刷と事務用印刷は比較的安定しているものの、出版印刷は特にシェア低下が目立つ状況です。

この傾向は、デジタル化による電子媒体の普及が大きく影響しています。また、印刷会社・印刷業界には幅広い業態があるものの、一つひとつにおける製品の売上が低い問題を抱えています。

例えば、事務用印刷は手帳・封筒・名刺といった事務用品一般や、ビジネスフォーム(帳票・伝票)を扱っており、製品自体の需要は高いのですが、1つひとつの製品として捉えると単価は安く、大量の発注を受けなければ売上は低くなってしまうのです。

投資コストの回収可能性を見とおしにくい

印刷業界では、印刷機や加工機といった比較的多額の設備投資が必要です。製品ごとの売上が安価になってしまうため、製品における費用対効果がしばしば問題となります。また、印刷物の種類が多く、製品ごとの印刷工程が複雑になりがちです。

そのため、印刷業界は原価計算が難しい特徴も見られます。インクや紙などの資材は原油価格の高騰に大きく影響し、原油価格の相場によって資材調達にかかるコストが変わり、製品の価格設定に大きな影響をおよぼすため、高い価格交渉力も求められるのです。

以上のことから、投資コストを回収できる可能性の見とおしが立ちにくく、特に中小規模の印刷会社は設備投資をしたくてもリスクの方が高いとして、なかなか投資に踏み切れません。

印刷会社の市場規模

総務省と経済産業省は、2023年3月27日に「2023年経済構造実態調査(産業横断調査)」の一次集計結果(企業に関するデータ)を発表しました。

売上高では、製造業が前年比9.4%増の453兆8,466億円と大きく伸びた一方で、印刷・関連業は7兆5,639億円で前年比1.7%の減少となりました。

企業数に関しては、製造業が24万1,661社(前年比0.5%減)、印刷・関連業は1万6,734社(前年比0.8%減)と、いずれも微減傾向にあります。

なお、2021年時点の印刷・関連業の製造品出荷額等は4兆8,555億円でしたが、今回の調査では売上高が7兆5,639億円と報告されており、業界全体の取引規模の差異が見て取れます。

参考:公益社団法人 日本印刷技術協会「2022年の印刷産業売上高は7兆5639億円(「2023年経済構造実態調査」一次集計)」

印刷業界の動向

この章では、印刷業界の動向を見ていきましょう。以下2つのポイントに分けて紹介します。

  1. 印刷業界の市場は縮小傾向
  2. 紙媒体以外での事業展開の必要性

①印刷業界の市場は縮小傾向

印刷業界の市場は縮小傾向にあり、とりわけ出版印刷の売上減少が目立っています。出版印刷はデジタル化の影響を強く受け、書籍や雑誌の発行部数の減少に伴い、印刷の需要も減少傾向です。

印刷業界は基本的にエンドユーザーの動向に左右されます。出版社や新聞社といったエンドユーザーの売上が減少すれば、印刷会社に大きな影響をおよぼします。そのため、出版印刷の売上が大きな課題点です。

また、パンフレットやチラシなどの需要も縮小傾向で、商業印刷のシェアも低下傾向です。ただ、商業印刷のシェアは40%台で推移しており、比較的安定しています。印刷業界のなかで売上高が最も高い業態として、商業印刷は今後も高いシェアを維持する見込みです。

しかし、こうした市場が縮小する傾向にあるなかで包装印刷は徐々にシェアを伸ばしており、印刷業界の全業態で市場が縮小しているわけではありません。

印刷業界の市場傾向を踏まえると、「事業内容や領域の拡大」が有効策です。この際、同業者同士のM&Aが重要な選択肢の1つで、印刷会社は小規模事業所が圧倒的に多い状況ですが、印刷会社同士のM&Aでは規模の拡大が図れます。

M&Aをせずに事業規模を拡大するのは非常に困難で、多くの時間やコストを費やすでしょう。しかし、M&Aを活用すれば、短期間で実現できるうえにリスクも少ないことが多いです。

例えば、中堅印刷会社同士でM&Aを行うと、事業規模拡大や競争力強化などを短期間で実現できる可能性が高いでしょう。お互いのノウハウを生かせば、コスト削減や価格交渉力・サービスの向上などが目指せます。

この他にも、M&Aにより特定地域に特化する印刷会社を買収すれば、事業領域の拡大につながります。シェアが安定化している分野や徐々にシェアを伸ばしている分野を自社事業に取り込めば、縮小傾向にある市場での競争力強化が狙えるでしょう。

このように、M&Aにはさまざまなメリットがあるため、市場が縮小傾向である印刷業界においてM&Aは非常に有効な策といえます。

②紙媒体以外での事業展開の必要性

出版印刷をはじめ印刷業界では、紙媒体への評価に左右されます。電子媒体が普及しつつも紙媒体が再評価されれば、印刷業界に良い影響をおよぼすのです。ただし、紙媒体が再評価されても、電子媒体が衰退することはないといえます。

そのため、紙媒体の立場は弱くなる傾向にあるのです。こうした状況のなか印刷業界では、紙媒体以外の事業を進める必要性が高まっています。データ入力と印刷・データ管理サービスなど、印刷業界の強みを紙媒体以外で活用するケースです。

他分野で新規に開始した事業が軌道に乗るケースも多く、大手印刷会社が印刷分野以外でも幅広く事業を展開しているように、多岐にわたる視点を持たなければなりません。化粧品事業やイベント運営事業など、印刷とは離れた分野の事業で安定した売上を出す印刷会社もあります。

一見すると八方塞がりのような状況でも、M&Aは効果的な解決法です。紙媒体以外の事業も手掛ける企業に買収されて傘下に入れば、その企業や関連会社から安定した受注を受けられ、自社の従業員も落ち着いて業務に取り組めます。

紙媒体以外の事業も進める企業を買収し、その分野における新規参入を実現する方法もあるでしょう。M&Aによる買収では、事業の新規参入が迅速に行えるのが魅力です。ゼロから立ち上げることによるリスクも少ないため、新事業に取り組むならM&Aの活用が効果的です。

なお、紙媒体以外の事業を展開する印刷会社にとっても、同じ印刷会社の買収はメリットがあります。買収対象となる企業が特定の地域に強みがあると、紙媒体以外のサービスも含めて事業領域を拡げることが可能です。

しかし、M&Aにはさまざまなメリットがありますが、成功させることは決して簡単ではありません。成功させるためには、業界のことを知るだけでなくM&A専門家のサポートを受けましょう。

印刷業界のM&Aの最新動向

印刷会社のM&Aでは、地方の中堅印刷会社が都心の小規模事業者を買収するケースが増加中です。印刷会社の受注先は都市部に集中する傾向にあり、それに伴って印刷会社も都市部に集まる傾向があります。

地方で活躍する印刷会社が都市部で拠点を構築するためには、M&Aで都心の小規模事業者を買収することが有効策です。買収企業のサービス領域を活用すれば、比較的短期間でかつリスクの低い参入が可能となり、都市部の事業展開を実現できます。

印刷業界は今後も国内市場が縮小する見込みで、そのために成長中の海外市場へアプローチする事例が増えています。したがって、大手印刷会社が海外展開を狙う際も、M&Aは大いに活用できるのです。

中小企業や小規模事業者は事業承継問題を抱えているケースも多く、同業他社や銀行、投資ファンドに売却・事業譲渡を行うことで、事業承継を図るM&A事例も増えています。

印刷会社の経営戦略としてもM&Aは活用できる

近年の印刷業界では、デジタル化によって電子媒体が急速に普及していることを主因として市場が縮小し、特に中小規模の印刷会社は、今までの経営を継続していると生き残りが困難でしょう。

そのため、中小規模の印刷会社でも、事業承継のための解決策としてM&Aを活用するだけでなく、他の分野への進出や生き残りをかけた経営戦略としてのM&Aも視野に入れる必要があり、M&Aであれば中小規模の印刷会社でも事業展開は可能です。

実際、同業者同士でM&Aを実施して事業内容や営業領域を拡大して競争力を強化した事例も少なくありません。電子媒体が急速に普及している現状を踏まえると、スピーディーに対応できるM&Aはこれからさらに一般的な経営戦略の手法になるでしょう。

【関連】M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!

印刷業界のM&A案件例

弊社M&A総合研究所が取り扱っている印刷業界のM&A案件例をご紹介します。

【時価純資産程度/業歴50年以上】首都圏×印刷業

金融機関の販売促進資料や、大手企業の名刺や社内報も作成しています。CTP出力やオンデマンド印刷、本紙校正など対応可能です。
 

エリア 関東・甲信越
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 財務的理由、事業存続に対する不安、資金調達

【関連】【時価純資産程度/業歴50年以上】首都圏×印刷業(その他サービス等) | M&A総合研究所

【高粗利】首都圏 × シルクスクリーン印刷とプレス加工業

水と空気以外には印刷ができると言われるシルク印刷です。色褪せしにくく、簡単にはがれにくいため、長期間の発色を保てます。

粗利率は70%以上を実現しており、小ロットの対応と迅速な製品の投入が可能です。
 

エリア 関東・甲信越
売上高 5000万円〜1億円
譲渡希望額 1000万円〜5000万円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)、戦略の見直し

【関連】【高粗利】首都圏 × シルクスクリーン印刷とプレス加工業(その他サービス等) | M&A総合研究所

印刷業界のM&A成功事例

印刷会社のM&A・事業承継
印刷会社のM&A・事業承継

近年における印刷会社の代表的なM&A成功事例を紹介します。

日本創発グループがシルキー・アクトを買収

2025年4月、日本創発グループは、印刷関連製造販売を行うシルキー・アクトの株式を取得し、連結子会社化することを決定しました。日本創発グループは、印刷やプロモーション、商品開発などを手がけています。

今回のM&Aによりシルキー・アクトの一貫生産体制を生かしつつ、自社の多彩なソリューションを融合させることで、より付加価値の高い商品・サービスの提供を目指します。両社の連携によるシナジー効果も期待されています。

参考:株式会社シルキー・アクトの株式の取得による連結子会社化に関するお知らせ

大日本印刷がHKホールディングを買収

2025年2月、大日本印刷(DNP)は、光金属工業所の親会社であるHKホールディングの全株式を取得し、グループ化しました。DNPはモビリティ分野や産業用高機能材を重点領域としており、自動車内外装材や機能性フィルムなどの事業拡大を進めています。

光金属工業所は、自動車部品や産業機器向けの加飾部品の製造に強みを持つ企業です。今回のM&Aにより、両社の技術力とネットワークを融合させ、新たな市場ニーズに応える製品開発を加速させる狙いです。

参考:光金属工業所を運営するHKホールディングの全株式を取得

キヤノンが英イーデールを買収

2022年4月、キヤノンプロダクションプリンティングがイーデールの全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。イーデールは、フレキソ印刷技術を用いたラベル印刷機・パッケージ印刷機・各種フィニッシング処理機器の製造・販売事業を展開する英国企業です。

キヤノンは大手光学機器メーカーで、新規事業のひとつとしてプリンティング事業を展開しています。キヤノンプロダクションプリンティングはキヤノンのオランダ子会社で、産業・オフィス向けプリンターやデジタルプロダクションプリンティングシステムの研究開発・生産・販売事業を展開しています。

本件M&Aの目的は、ラベル・パッケージ印刷機分野の強化(現行ラベル印刷機シリーズの拡販、ラインナップ拡充、新製品開発)、プリンティング事業の高付加価値化・生産性向上にあります。

参考:キヤノンプロダクションプリンティング、ラベル・パッケージ印刷機メーカーの英イーデール社を完全子会社化

イムラ封筒がハシモトコーポレーションを買収

2022年1月に、イムラ封筒はハシモトコーポレーションの全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。ハシモトコーポレーションは、デザインから印刷に至るまでの各種印刷サービスを提供しており、イムラ封筒の主要な印刷業務を支えてきた会社です。

イムラ封筒自体は、オーダーメイドの封筒製作を中心に、ダイレクトメールの企画から発送までを手がけるメーリングサービス事業や、サードパーティーロジスティクス(3PL)事業などを展開しています。

このM&Aの主な目的は、パッケージソリューション事業の運営を安定させ、印刷工程を内製化することで業務の効率化を図ることにあります。

参考:株式会社ハシモトコーポレーションの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

凸版印刷がFace Technologiesを買収

2021年9月、凸版印刷の香港子会社で、金融決済システムを提供するToppan Gravityは、南アフリカのIT企業であるFace Technologiesを買収しています。フェーステクノロジーズは、アフリカで運転免許などの政府系システムを手掛ける会社です。

買収額は公表されていません。これにより、両社のノウハウを生かして、アフリカでの政府・金融機関向けサービスを拡げる見込みです。

参考:凸版印刷、南アフリカの政府系IDシステム インテグレーターを買収

凸版印刷がInterFlex Groupを買収

2021年7月、凸版印刷は、Interflex Investment Partners, LLCの100%子会社であるInterFlex Groupを買収しました。InterFlex Groupは、食品などの軟包装事業を手掛ける会社です。

これにより、凸版印刷は、米国で生産する世界トップシェアの透明蒸着バリアフィルム「GL BARRIER」と、InterFlex Groupが持つ製袋などのコンバーティング拠点を合わせて、欧米市場で包装材料供給から最終製品までワンストップで提供できるようになりました。

参考:凸版印刷、米国パッケージメーカーを買収

凸版印刷がアイオイ・システムを買収

凸版印刷は、アイオイ・システムにおける発行済み株式の75.8%を得て、2021年6月に子会社化の手続きを終えることを発表しました。

アイオイ・システムは、デジタルピッキングシステムの国内最大手で、グローバル市場でもトップクラスのシェアを持つ会社です。これにより、両社が保持する技術やノウハウを合わせて、物流業界のDX市場に本格的な参入を図ります。

参考:凸版印刷、デジタルピッキングシステムのアイオイ・システムを子会社化

凸版印刷がKabuK Styleと資本業務提携

2021年4月、凸版印刷は、KabuK Styleとyleと、資本業務提携を行っています。KabuK Styleは、定額制宿泊サービス「HafH(ハフ)」などのライフスタイル領域でITを生かしたサービスを行っている会社です。

これにより、凸版印刷が提供する「My Anchor®」などのセキュア領域における技術・ノウハウと、KabuK Styleのサービスを組み合わせ、ワーケーション支援などによる働き方改革を支援するなど、いろいろな共同事業をとおして相互の事業シナジー最大化を狙います。

参考:凸版印刷とKabuK Style、ワーケーション事業で協業

【関連】M&A・事業承継のニュース事例40選!2024年の最新ニュース・事業承継支援機関の動向も解説

印刷業界のM&Aの相場と費用

印刷会社のM&Aは、大規模であれば億単位の取引価格におよぶこともあり、小規模な印刷会社のM&Aでは、数千万円程度の事例が多いです。

印刷業界以外における業界でのM&A事例があることや、印刷会社ごとにM&Aの目的が異なることなどを考慮すれば、相場と費用の具体的な把握は困難です。

M&Aの売買価格は、売上・事業エリア・従業員数といったさまざまな要因で決まります。特に印刷会社は他分野への進出も積極的に行われ、M&A事例が多様化しています。相場と費用を知りたいときは、自社と類似する会社が実施したM&A事例を分析すると良いでしょう。

具体的な価格を知りたい場合はM&A総合研究所に相談

自社の具体的な売却価格や、M&Aを狙う印刷会社の具体的な買収価格を知りたい場合は、M&Aの専門家に相談しましょう。専門家に相談すれば、具体的な売買価格を計算してもらえます。印刷業界に詳しい専門家に相談することがポイントです。

印刷業界のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では知識や経験の豊富なM&Aアドバイザーが、M&Aのご相談からクロージングに至るまで案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

印刷会社のM&A・買収の際の注目ポイント

印刷会社を買収するときは、以下のポイントに注目して買収先企業を決めるとよいでしょう。

  • 工場の規模や立地に魅力があるか
  • 企画やデザインの能力を備える人材が在籍しているか
  • 特定分野において大きなシェアを占めているか
  • 設備・人材・技術に対して適切に投資がなされているか
  • その他、自社にはない強みを持っているか

これらのポイントを基準にして買収先を選ぶと、M&Aによるメリットを獲得しやすくなります。印刷会社を買収するケースでは、同業者による買収が多いです。地方中堅の印刷会社が都市部の小規模印刷会社を買収する事例は、まさに同業者による買収の代表例といえます。

買収の目的を明確にすると買収先企業を決めやすい

同業者による買収では、事業領域の拡大が大きなメリットです。買収対象企業が持つ事業領域を活用すれば、新規エリアにおいて比較的短期間で事業を始められます。また、同じ印刷会社の業種でも、それぞれの会社で強みは異なります。

買収により自社にはない強みを手に入れることで競争力を強化でき、経営の安定化が可能です。他業種の買収でも、印刷業界への参入や印刷会社の強みを生かしたデータ入力やデータベース管理を取り込めば、主業種のさらなる発展が期待できます。

買収にはさまざまなメリットがありますが、買収先の選定では買収する目的を明確にし、それを踏まえて企業を選ばなくては十分なメリットが得られません。そのため、まずは買収にあたり何を得たいのかはっきりさせることが大切です。

【関連】M&Aのメリット・デメリット一覧!買い手・売り手別にわかりやすく紹介

印刷会社のM&A・売却の注目ポイント

印刷会社を売却するときは、自社について事前に以下のポイントを確認しましょう。

  • 資格や高い技術力を持つ人材を抱えているか
  • 特定分野で大きなシェアを誇っているか
  • 大手企業など魅力的な取引先を抱えているか
  • その他、相手企業にアピールできる強みを持っているか

これらのポイントに注目して、M&A前にできるだけ企業価値を高めれば、多くの企業から魅力的な売却案件と判断されます。その結果、希望どおりの売却価格でM&Aできる可能性が高まります。

M&A前にできる限り自社の強みを固めておく

売却価格の獲得以外にもM&Aにおける売却側は、後継者不足問題の解決・経営基盤の安定化・個人保証や担保の解消・従業員雇用の維持といったメリットが得られ、印刷会社においても経営上の問題を解決するために売却を実行するケースが多いです。

しかし、事業の引き継ぎ先は簡単に見つかるわけではなく、売却側が魅力的なサービスの提供を行っていると評価されなければ買収に名乗りでてもらえる可能性が低くなります。

例えば、特定地域に特化している、シェアを伸ばしている分野に強みがある印刷会社は買収する側にとって魅力度が高いです。

また、他社にはない独自の技術・スピード・価格交渉力などを持っていれば売却先が多く現れ、優位に交渉を進められる可能性もあります。自社の事業を引き継ぐためにも、M&A前にできる限り自社の強みを固めることが重要です。

自社の強みはしっかりと相手に伝える

自社を売り込めるだけの強みを持っていても、それを買収の相手にうまく伝えられなければ魅力的だと評価してもらうことは難しいです。そのため、自社の強みはしっかりと相手に伝えられるよう入念に準備しなくてはなりません。

M&Aの交渉では、専門家にサポートしてもらうことも重要です。M&A仲介会社などの専門家に依頼すると、相手企業の選定やその後における交渉などのサポートが受けられます。

 

印刷会社のM&A・売却・買収についてまとめ

本記事では、印刷会社のM&Aについて、動向・相場・成功事例などを解説しました。M&Aはさまざまな問題の解決策や多くのメリットが得られるため、業界が低迷しつつある印刷会社では、会社の存続や事業拡大のために今後はM&Aが活発化すると予想されます。

しかし、M&Aは簡単に行えるものではなく、成功させるためには専門家のサポートが欠かせません。印刷会社でM&Aを検討する場合は、M&Aの専門家に相談することをおすすめします。

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