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廃業手続きの種類、業界別廃業手続きについて解説します

廃業手続きの種類、業界別廃業手続きについて解説します

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

目次

    廃業手続き

    廃業とは文字通り会社を「畳む」ことをいいます。

    廃業は経営者の方にとってはあまり考えたくないことではありますが、いざという時には選択肢の一つとして選ばなければならないかもしれません。

    一方、廃業は決まった手続きがあり、準備が必要で、すぐに済むような簡単なものではありません。

    廃業の手続きはちゃんと理解しておかなければ、余計な手間がかかってしまうことになるでしょう。

    今回は廃業手続きに関する情報をお伝えしていきます。

    廃業手続きとは

    まずは廃業手続きについて、全容をお伝えします。

    廃業は文字通り「会社をたたむ」行為を指しますが、それだけの意味で捉えると「破綻」や「破産」といったものと混同しがちです。

    「廃業」と「破綻」「破産」の違いを先ずはお伝えします。

    「廃業」とは、「破綻」や「破産」とは全く異なるものです。

    まず「破綻」とは、何らかの理由で経営が立ち行かなくなり、それが原因で会社を畳むことを指します。

    一般的にいう「経営破綻」がこの破綻に該当します。

    そして「破産」は負債が増加し、返せなくなったがために破産法の適用を受けている状態を指します。

    このように破綻・破産は「会社をたたむ」という事柄に関して一般的に抱かれるネガティブなイメージそのものだといえます。

    ただ、廃業は同じ「会社を畳む」という行為を指すものですが、その行為の理由は問われません。

    つまり「廃業=経営悪化」とは限らないのです。

    昨今は経営者の価値観が変わり、経営者の中には早期引退(俗にいうハッピーリタイアメント)のために進んで会社を廃業するというケースがあります。

    いってしまえば経営者を辞めるために、例え黒字経営であっても自主的に会社を畳むというわけです。

    また休眠会社を抱えている経営者の場合、営業を行っていなくても発生する法人税の支払いや毎年の決算の手間を無くすために廃業の道を選ぶこともあります。

    ただ、もちろんネガティブな理由で廃業手続きをせざるを得ないケースもあります。

    その典型例が「後継者不在」です。

    中小企業を中心に、最近は経営者の高齢化が進んでおり、それと反比例して後継者の確保ができていないというケースが増加しています。

    昨今では後継者不在でもM&Aなどで会社存続を図る会社も増えていますが、M&Aは決して成功率が高いものではなく(一般的には成功率3割といわれます)、失敗して泣く泣く廃業手続きを行わなければならない事例も少なくありません。

    この場合、黒字経営なのに廃業という選択肢を選ばざるを得ないことがあります。

    上記の解説の通り、廃業は理由を問われないものであり、決してネガティブなイメージ一辺倒のものではありません。

    ある意味、廃業は経営者が自主的に選びうる選択肢の一つであるといえるでしょう。

    ただ、廃業手続きはそれなりの労力を必要とするものであり、登記や法手続きを行った際、費用もかかります。

    ある程度の規模を持つ会社であれば一定以上の撤退コストがかかることも認識しておかなければなりません。

    また会社の状態や経営者の動機によっては廃業以外の選択肢の方が適しているケースもあります。

    経営者の方はあくまで廃業は選択肢の一つであることを踏まえたうえで、慎重に選択した方がいいでしょう。

    もし事業や雇用の存続を図るのであれば、M&Aを行うことも考えた方がいいでしょう。
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    ※関連記事

    廃業届は法人の解散に必要か?法人が廃業する際の手続きや費用を解説

    廃業手続きの種類

    さきほどお伝えしたように廃業手続きはそれなりの労力が必要であり、相応のプロセスを踏まえておかなければならないものです。

    廃業手続きの作業は税務、登記、法手続きなど様々なものがありますが、中でも主軸といえるものが2つあります。

    それは「解散」と「清算」です。

    ここでは解散と清算についてそれぞれお伝えしていきます。

    解散 

    解散とは文字通り会社の営業を全て停止し、法人格を消滅させる行為を指します。

    いってしまえば廃業と同じニュアンスになります。

    ただ、廃業手続きで行われる解散は株主総会での特別決議か書面決議で承認を得たうえ、法務局で登記をすることを指します。

    この解散の手続きを行って初めて会社は法人格を消滅させる段階に入っていくわけです。

    しかし、解散手続きを行えば廃業手続きは終わる訳ではありません。

    後述する清算を完了させて初めて会社の廃業は終了します。

    清算 

    清算は廃業の締めくくりの作業であり、会社の債務・債権を全て整理することをいいます。

    清算は清算人と呼ばれる人間が行う者(主に取締役がなります)であり、債権を取り立て、債務を弁済していきます。

    そして余った財産を株主に分配し終わった段階で生産は完了します。

    ※関連記事

    会社清算とは?費用や流れ、会社清算の種類をわかりやすく解説

    法人・個人事業における廃業手続き

    廃業を行う際、どういった手続きを行う必要があるのでしょうか?

    廃業手続きはどんな会社でも同じという印象がありますが、実は法人か個人事業によってプロセスが変わります。

    法人にせよ、個人事業にせよ、全てを把握して経営者だけで行うことは難しいため、実際に廃業手続きを行う場合は司法書士事務所、税理士事務所、会計士事務所といった専門家の手を借りることをおすすめします。

    それでは法人・個人事業それぞれの廃業手続きの流れをお伝えしていきます。

    法人の廃業手続き

    法人の廃業手続きは以下のような流れで行われます。

    • 廃業日の確定とあいさつ

    まずは廃業日を確定させ、取引先などに廃業を伝えるあいさつを行います。

    廃業日の設定には何かしらの決まりがあるわけではありませんが、法人の廃業手続きは全て行う場合、2、3ヶ月はかかるといわれています。

    全ての廃業手続きのプロセスを踏まえたうえで、余裕をもって廃業日を設定しておくようにしましょう。

    その後は廃業によって迷惑をかけることがないように取引先に廃業の旨を伝えるあいさつをしておきましょう。

    この際には「廃業挨拶状」と呼ばれる書状を出すことになります。

    取引先などにかかる負担を最小限に抑えるためにも、廃業のあいさつは早い段階で済ませておくことがおすすめです。

    • 株主総会

    廃業日を確定させたら次は株主総会を開催します。

    株主総会では株主から解散を承認してもらいます。

    株主総会で特別決議か株主全員の書面決議を行い、前者であれば株主の3分の2以上の賛成、後者であれば株主全員の賛成をもらうことができれば解散は承認されます。

    同時に株主総会では清算人を選出します。

    清算人は主に取締役がなります。

    そして解散と清算に関する決議が完了した段階でその会社の営業はできなくなり、会社は清算を遂行していくだけの組織になります。

    株主総会の後は2週間以内に法務局で解散登記と清算登記、税務署で異動届を提出します。

    • 解散公告

    登記が完了した後に行うのは解散公告です。

    これは官報で出すものであり、会社が解散する旨を開示する行為です。

    この解散公告は最低でも2ヶ月間公告を出し続けておく必要があり、2ヶ月が経過しなければ清算に移ることはできません。

    前述した「廃業には2、3ヶ月かかる」理由はここにあるといってもいいでしょう。

    • 清算

    公告期間が過ぎたら清算に移ります。

    清算人は会社の債権の取り立てや債務の弁済、その他会社の資産の換価を行い、会社の財産を整理していきます。

    この時、隠れ借金のようなものがないか綿密に確認しておきましょう。

    全ての資産の整理が終わったら余った財産を株主に分配していきます。

    清算が完了したら法務局に清算決了登記をしておきます。

    これが終わったら会社は完全に廃業します。

    • その他手続き

    廃業が完了しても作業はまだいくつか残っています。

    まずは廃業してから50日以内に労働保険を廃止するために確定保険料申告書を提出します。

    さらに清算確定申告書を作成し、清算事業年度の確定申告を行うことで初めて廃業手続きは完全に完了します。

    個人事業の廃業手続き

    個人事業は法人と違って規模が小さく、株主総会も存在しないため廃業手続きは幾分簡単になります。

    経営者の廃業の進め方によってばらつきはありますが、個人事業の場合の廃業手続きはトータルで1ヶ月くらいかかるようです。

    個人事業の場合の廃業手続きは以下のようになります。

    • 廃業日の確定とあいさつ

    個人事業の廃業手続きは法人と違って2ヶ月以上かかることが確定するようなプロセスはないですが、計画的に廃業手続きを進めるためにも廃業日はあらかじめ確定させておいた方が良いでしょう。

    もちろん取引先や顧客などに挨拶もしておくことも大切です。

    小さなお店であっても常連になっている顧客はいるでしょうし、いきなり廃業するとトラブルの種になりかねないので、廃業のあいさつは早めに済ませておくことがおすすめです。

    • 必要な書類の提出

    法人とは違い、個人事業の廃業では廃業届など必要な書類を税務署に届ける必要があります。

    書類の枚数は意外と多いので、しっかり把握しておきましょう。

    個人事業の廃業手続きの際に必要な書類は以下の通りです。

    1. 個人事業の開業・廃業等届出書
    2. 個人事業廃業届出書(こちらは都道府県税事務所に提出)
    3. 所得税の青色申告の取りやめ届出書(確定申告が青色申告の場合のみ)
    4. 事業廃止届出書(消費税を支払っていた課税事業者の場合のみ)
    5. 予定納税額の減額申請書(予定納税者の場合のみ)
    6. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書(給与を払う従業員がいる場合のみ)

    必要書類の提出が終わったら個人事業の廃業は完了です。

    後はこれまで通り確定申告を行います。

    廃業手続きにかかる費用

    廃業手続きは無料でできるものではなく、一定以上の費用がかかります。

    廃業手続きの費用はプロセスが違う法人・個人事業によって異なりますのでこちらも把握しておきましょう。

    法人の廃業手続きにかかる費用

    よく法人の廃業手続きでかかる費用は「解散が39000円」、「清算が2000円」といわれます。

    確かに解散の登記は解散登記に30000円、清算人登記に9000円、清算決了登記の2000円の登録免許税がかかりますが、実際にかかる費用はこれ以外にもあります。

    例えば官報公告の費用で33000円、厚生年金保険や雇用保険などの廃止手続きで50000円、店舗や工場の原状復帰を行う際の費用を踏まえるとさらに大きな金額がかかる可能性があります。

    また、廃業手続きを円滑化するために司法書士や税理士に依頼した場合は当然依頼料が発生するため、さらに費用が増えると認識しておいた方がいいでしょう。

    個人事業の廃業手続きにかかる費用

    個人事業は法人と違って官報で公告を出したり、登記をする必要がないため、その方面での費用は発生しません。

    ただ、廃業を進める際に税理士や会計士などといった専門家の協力を得ていた場合は報酬がかかりますし、店舗や工場の原状復帰の費用も当然発生します。

    法人と違って個人事業だと資金に限度があるため、なるべく費用がかからないように慎重に対処しておいた方がいいでしょう。

    税理士や会計士などといった専門家に協力を得る際にも、実費を含めた報酬になっているかどうかなどを確認しておかないと思わぬ出費をしてしまうリスクがあります。

    業界別の廃業手続き

    廃業手続きの流れは基本的にどの会社でも共通しているものですが、業界によってはさらに提出する書類が増えるケースがあります。

    なぜなら業界によっては関係省庁に許認可を得なければならないものがあり、廃業するならそれらに対しても何かしらの手続きを行わなければならないからです。

    例えば廃業の際に何かしらの手続きを行う必要がある業界は以下のようなものが挙げられます。

    • 建設業

    行政庁に建設業許可の廃業届を廃業から30日以内に提出。

    • 旅館業(ホテルも含める)

    保健所に旅館業廃止届を廃業から10日以内に提出。

    • 宅地建物取引業

    県土整備事務所に廃業届と宅地建物取引業者免許証を廃業から30日以内に提出。

    • 飲食業

    保健所に廃業届と飲食店営業許可書を10日以内に提出。

    営業内容によっては警察署に廃止届出書や風俗営業許可証、返納理由書を10日以内に提出。

    • あん摩マッサージ指圧・鍼・灸院、接骨院・整骨院

    保健所に施術所廃止届出書を廃業から10日以内に提出。

    ここまで見て頂ければわかりますが、どの業界でも提出書類や提出先の役所に違いがあり、業務形態によっては提出する書類がかなり多いケースもあります。

    提出期限も異なっているため、自分の業界の廃業はどんなプロセスで行うのか、どんな書類があるのかを事前に把握しておくようにしましょう。

    中には警察署に届け出る風像営業許可証(提出と記載していますが正確には返納です)のように、提出を怠ると罰則が発生するものもあるので気を付けてください。

    また、業界によっては何かしらの特別な設備を持っており、廃業の際にその設備を処分しなければならないことも充分に考えられます。

    例えば印刷業であれば印刷機、運送業であればトラック、医業であれば治療設備といったものです。

    こういった設備はそのまま処分するにはもったいないですし、ただ処分費用をかけるだけになってしまってもよくないので、できることなら同じ業界に身を置く他の業者に引き取ってもらうことが一番でしょう。

    できるだけ高値で引き取ってもらうように交渉することをおすすめします。

    さらに廃業した場合の設備の処分の費用が高くなったり、設備の引き取り先が見つからないようなら廃業以外の選択肢に目を向けておくのもよいでしょう。

    M&Aを行い、会社そのものを売却することで廃業の手間も費用もかからず、譲渡益が発生し手元に現金が入ってくる可能性もあります。

    M&Aは必ず成功するものとはいえませんが、廃業よりメリットが多いことは充分に考えられるので、いざという時のために、頭の片隅に入れておきましょう。

    ※関連記事

    会社の解散

    まとめ

    今回の記事をまとめると以下のようになります。

    • 廃業手続きとは文字通り「会社をたたむ」行為だが、破綻や破産と違って理由は問われない。廃業=ネガティブなものとは限らない。
    • 廃業は主に解散と清算が主軸となっている。
    • 法人の廃業手続きは株主総会による決議や解散公告、清算、各種登記などを行う必要がある。
    • 個人事業の場合は登記などがなく、必要な書類(廃業届)の提出で完了する。
    • 廃業手続きにかかる費用は法人や個人事業によって異なる。
    • 専門家に協力を依頼したり、会社の設備によっては更に費用がかかることも。
    • 業界によって廃業手続きは提出する書類が増えるなど、異なるケースがある。
    • また業界によっては会社の設備の処分などでさらに負担がかかることもある。
    • 廃業はあくまで選択肢の一つなので、メリットがあるなら廃業以外の選択肢も考えておいた方がよい。

    廃業手続きは意外と手間がかかるものであり、一般的には司法書士、税理士といったプロフェッショナルの力を借りるケースが多いです。

    廃業手続きの流れを見てみると提出する書類が多く、登記や公告といった作業も行わなければなりません。

    清算を行う手間や設備の処分を考えると、経営者1人で行うことは難しいでしょう。

    廃業を行う際はプロセスをよく確認したうえで、入念に計画を立てておくことをおすすめです。

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