M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月28日更新事業承継
廃業手続きとは?廃業手続きの流れと費用
廃業手続きは法人と個人事業主で取るべきプロセスが異なり、いずれにしても多くの手間や時間が必要です。廃業には多くの費用も発生するため、最近ではM&Aを活用して事業承継する道を選ぶ経営者も増えています。廃業手続きの流れや廃業手続きにかかる費用などを解説します。
廃業手続きとは
経営者からすれば廃業は経験したくないものですが、どうしても廃業しなければならない状況に陥ることもあります。会社や事業を廃業するには、所定の手続きを取らなければなりません。廃業手続きは法人と個人事業主で取るべきプロセスが異なり、いずれにしても多くの手間や時間が必要です。
廃業手続きとは、経営不振など諸般の事情によって会社や事業をたたむための手続きをさします。つまり廃業は、会社をたたむというニュアンスが強い行為です。しかし同様のニュアンスを持つ破綻・破産などとは、発生する原因が若干異なっています。
ここからは廃業についてより深く理解するために、以下の2項目に分けて解説します。
- 廃業と破綻・破産の違い
- 廃業と後継者不在の関係性
それぞれの項目を順番に見ていきます。
①廃業と破綻・破産の違い
経営破綻という言葉があるように、破綻は経営が立ち行かなくなったために会社をたたむことです。そして、破産は会社が抱える負債が増加して返せない状態になったために破産法の適用を受けることをいいます。つまり破綻・破産は、いずれも会社の経営状態が悪化したことが原因で会社をたたむことです。
これらに対して廃業は、純粋に会社をたたむという意味合いを持っています。必ずしも経営状態の悪化という原因によるものではありません。そのため、経営状態が良好なまま会社をたたむことも廃業に該当する行為となります。
最近では、中小企業を中心に経営状態が良好であっても会社を廃業するケースが増加中です。
②廃業と後継者不在の関係性
経営が傾き始めて将来の見通しがなくなったたために早期撤退として廃業の道を選ぶこともありますが、最近では後継者不在に悩まされて中小企業が廃業を選ぶケースも多いです。経営者の高齢化が進む一方、会社の後継者が見当たらなかったり育成ができていなかったりする問題に直面する企業が増えています。
たとえ黒字経営が続いていても、後継者に会社を承継できないために仕方なく廃業することを強いられています。最近では国がこうした事態を鑑みて、後継者不在を原因とする中小企業の廃業を避けるために様々な施策を打つほどに、後継者不在の問題は深刻化しているのです。
以上のことから廃業を実施する理由は、時代・社会情勢の変化とともに変化していくことがわかります。
廃業はM&Aの活用で回避できる
後継者不在による廃業を回避する手段として、最近ではM&Aが広く活用されています。つまりM&Aを活用して事業を第三者に引き継げれば、廃業を回避できる可能性が高まります。さらにM&Aにより事業承継に成功すれば、以下のようなメリットを獲得できます。
- 会社が有するノウハウ・施設といった経営資産を維持できる
- 従業員の雇用を維持できる
- 譲渡利益を獲得でき、廃業後の生活資金などに充てられる
- 廃業に伴う費用を支払う必要がなくなる
M&Aに成功すれば上記のメリットが獲得できるため、最近では中小企業でもM&Aが実施されています。ところがM&Aの実施には複雑な手続きが求められるほか、成功確率も決して高くありません。そのためM&Aをスムーズに成功させたい場合には、専門家の協力を仰ぐのがおすすめです。
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廃業手続きの流れ(法人)
廃業手続きの流れはいくつかのプロセスに分かれており、法人が廃業するケースでは手続き完了までに最低でも3ヶ月程度はかかります。ここではそんな法人の廃業手続きの流れを簡単に紹介していきます。
法人の廃業手続きについては、会社解散や会社清算とほとんど同様の流れで進行していきます。会社解散とは法人格を消滅させる手続きであり、会社清算とは会社にある債務や債券などを整理して剰余財産を分配する手続きです。
したがって法人における廃業手続きは、基本的に会社解散や会社清算の手続きのことだと捉えて良いです。ここからは法人の廃業手続きの流れを、以下の項目に分けて紹介します。
- 営業終了日を確定する
- 株主総会で解散の承認を受ける
- 官報で解散公告を出す
- 清算を実施する
- 確定申告など諸般の手続きを完了させる
それぞれの手続きを順番に見ていきます。
①営業終了日を確定する
法人が廃業する場合、はじめに営業終了日(廃業日)を確定させます。営業終了日が決まったら、従業員・取引先・顧客などの関係者向けに「廃業のお知らせ」といった書面を作成して自社が廃業する旨を通知します。
自社が廃業すると取引先に少なからず影響を与えるため、トラブルを避けるためにもなるべく早い段階で情報を共有しておくことが大切です。前述したように法人の廃業手続きは完了までに3ヶ月程度要するため、営業終了日は余裕をもって設定しておくことをおすすめします。
②株主総会で解散の承認を受ける
法人が廃業するには、会社法に定めに則った解散手続きを取らなければなりません。つまり株主総会を開催して、会社の解散について特別決議による承認を得ます。特別決議が求められるため、株主の3分の2以上の賛成が求められます。
株主全員の招集が困難である場合には、書面決議を実施することで承認を得ます。書面決議を実施するには、株主全員の同意・賛成が求められます。さらに清算を実施するケースでは、このときの株主総会であわせて清算人を選任しておきます。基本的に清算人は、取締役が選任されることが多いです。
株主総会が終了したら、営業終了日から2週間以内に解散登記と清算人選任登記を法務局に、解散届を税務署にそれぞれ提出します。登記手続きを実施するときには登録免許税が発生するほか、株主総会の議事録などの書類提出が求められるため注意しておくと良いです。
解散登記後に求められる保険関係の手続き
解散登記が完了したら、以下のような手続きも並行して実施しなければなりません。
- 社会保険関係の手続き
- 労働保険の手続き
会社が解散した後も引き続き従業員が残る場合には、その期間は社会保険に加入することになります。しかし従業員が0人となった場合には事業所が廃止されるため、年金事務所に適用事業所全喪届を提出します。
上記の種類以外にも、あわせて雇用保険適用事業所廃止届・雇用保険被保険者離職証明書の提出も求められます。
③官報で解散公告を出す
登記手続きが完了したら、官報で解散公告を出します。解散公告は、最低でも2ヶ月間出しておかなければなりません。これは会社を廃業させる前に、債務を返済する必要があるためです。そこで債権者に申し出てもらうために、会社の解散させるときは官報への解散広告の掲載が法律上求められています。
解散公告が完了して始めて、清算手続きに移ることが可能です。
④清算を実施する
解散公告を出した後は、清算人による清算が実施されます。清算とは、会社の債権・債務・資産を整理する作業です。清算人は、会社の債権を取り立て、債務を弁済して、資産を換価するなどして会社の財産を整理します。このとき残余財産が発生したら、株主に分配されることになります。
ちなみに会社の貸借対照表において純資産額がマイナスで計上されたケースでは、債務超過に陥っていると判断されます。債務超過のケースでは自主的に廃業することは不可能であるため、倒産手続きを別に実施して廃業する形が取られます。
債務超過に陥ることなく清算が無事に終了すれば、決算報告書について株主総会から承認を受けます。そして承認から2週間以内に、法務局にて清算結了の登記手続きを実施します。
⑤確定申告など諸般の手続きを完了させる
清算終了後は、確定申告など諸般の手続きを済ませます。確定申告では、廃業してから50日以内に提出する確定保険料申告書と、清算事業年度の確定申告となる清算確定申告書の手続きが求められます。確定申告が終了すると、税務署と自治体に清算結了の届出書を提出して法人の廃業手続きが完了します。
なお業種によっては、所管官庁に対して追加で手続きを実施するケースもあります。具体的にいうと以下に列挙する業種に関しては、各所轄官庁に対して廃業に関する書類を提出します。
- あん摩マッサージ指圧・鍼・灸院
- 接骨院・整骨院
- 建設業
- 旅館・ホテル業
- 飲食業
- ガソリンスタンド
上記の業種を廃業させるときは提出書類が増えるため、漏れが無いよう準備を心がけることが大切です。
有限会社の廃業手続きに見られる相違点
法人のなかでも有限会社を廃業させる場合には、手続きが一部異なるため留意する必要があります。具体的には、以下の部分で手続きに相違点が見られます。
- 株主総会による解散の承認の議決要件
- 清算人選任登記の記入事項
株式会社における解散の承認を求める株主総会の特別決議では、議決権を持つ株主の3分の2以上の賛成があれば解散が承認されます。これに対して有限会社における株主総会の特別決議では、議決権を持つ株主の半数以上が出席した上で、4分の3以上の賛成を得なければなりません。
また株主総会後に提出される清算人選任登記については、記入内容に相違点が見られます。株式会社では清算人の氏名と代表清算人の住所・氏名を記入しなければなりませんが、有限会社の場合では清算人の住所・氏名を記入するだけで良いです。
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廃業手続きの流れ(個人事業主)
個人事業主の場合には、法人が廃業するケースと比べて手続きが簡素となります。とはいえ廃業手続き完了までにはおよそ1ヶ月程度はかかるため、余裕を持った計画を立てることが大切です。個人事業主の廃業手続きの流れは、以下のとおりです。
- 廃業日を確定する
- 廃業届などの必要書類を提出する
それぞれの手続きを順番に見ていきます。
①廃業日を確定する
個人事業主が廃業するケースでも、まずはじめに廃業日を定めます。法人と比べて個人事業主は廃業手続きに要する時間は短いものの、顧客や取引先などへの影響を考慮して余裕をもって廃業日を定めて、なるべく早い段階で情報を共有すると良いです。
とくに個人事業主の場合では地域に根差した事業が多く、突然廃業してしまうと顧客や取引先を混乱させやすいです。大きなトラブルにつながることもあるため、充分注意しておかなければなりません。
②廃業届などの必要書類を提出する
個人事業主の廃業手続きは、必要書類を提出することで完了します。ただし個人事業主の廃業に必要な書類の数は多く、業種によっては法人のときと同様に追加で書類を用意しておかなければならないため、事前に確認しておくことが大切です。個人事業主の廃業手続きに必要な書類は、以下のとおりです。
- 個人事業の開業・廃業等届出書(※税務署に提出)
- 個人事業廃業届出書(※都道府県税事務所に提出)
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書(※確定申告が青色申告である場合)
- 事業廃止届出書(※消費税を支払っていた課税事業者である場合)
- 予定納税額の減額申請書(※予定納税者である場合)
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書(※給与を払う従業員がいる場合)
上記のほかに業種ごとに廃業の際に提出する書類がある場合、それぞれ所定の機関に提出することとなります。これらの書類の提出後は、確定申告を実施することで廃業手続きが完了します。
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廃業手続きにかかる費用
廃業手続きでは登記申請などで費用が発生するため、具体的な金額を把握しておくことが大切です。廃業手続きの費用で代表的なものは、法人が廃業するときの登記申請で発生する登録免許税です。法人の廃業手続きで発生する登録免許税は、以下のとおりです。
- 解散登記:30,000円
- 清算人選任登記:9,000円
- 清算結了登記:2,000円
なお、司法書士や行政書士などの専門家に廃業手続きのサポートを依頼していると、専門家への報酬も費用として加算されます。さらに廃業手続きでは登録免許税だけでなく、官報公告への掲載費用(33,000円)・雇用保険を廃止する手数料なども発生します。
関連施設の処分・原状復帰にかかる費用が大きな負担となりやすい
これらの登録免許税や手数料などは、法人にとってはさほど大きな費用ではありません。法人・個人事業主問わず大きな負担となりやすいのは、事業に関連する施設・工場・店舗などの処分や原状復帰にかかる費用です。
詳細な費用額はケースによって多種多様ですが、1,000万円以上もの負担がのしかかることもあります。廃業手続きを実施するときには、いかに廃業費用を抑えるのか検討することが大切です。廃業費用を抑えて経営から退きたいならば、M&Aの活用を検討することもおすすめします。
M&Aを活用して成功すれば廃業を回避できるため、これらの費用を負担せずに済みます。またM&Aで会社や事業を売却すれば、譲渡益を獲得できる可能性もあります。
M&A総合研究所では、経験豊富なアドバイザーが担当につき、ご相談からクロージングまでしっかりサポートいたします。
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まとめ
廃業は会社をたたむ行為であり、かつてはネガティブなイメージで捉えられていました。しかし現在では経営状態が悪化する前に廃業するという手段も有効であることから、経営判断の選択肢として確立されています。
ただし廃業手続きにかかる手間や費用は、決して軽いものではありません。場合によっては、M&Aを実施して廃業を回避する道を選んだ方が、多くのメリットを獲得できるケースもあるのです。
以上のことから、経営者としては経営悪化や後継者不在という局面に立ったとき、廃業・M&Aなど慎重に検討した上で選択することが大切です。要点をまとめると以下のとおりです。
・廃業とは
→会社をたたむ行為であり破綻や破産のように明確な理由があるものではない
・廃業手続きの流れ
→法人と個人事業主で異なり、必要なプロセスや書類も異なる
・廃業手続きにかかる費用
→登録免許税・官報への掲載費用・施設の処分や原状復帰の費用
・M&Aとは
→成功すれば廃業よりも多くのメリットが獲得できる
・M&Aの成功率
→決して高くないため、専門家の協力を仰ぐことがベスト
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