2020年2月17日更新業種別M&A

旅行代理店における事業売却(M&A)とは?メリット・デメリットを解説

近年、旅行代理店業界は従来の店舗販売型スタイルとOTAとで激しいしのぎ合いとなっています。その競争の影響で事業売却などM&Aによる業界再編も進行中です。旅行代理店業界で行われている事業売却に着目し、詳細を確かめていきます。

目次
  1. 旅行代理店における事業売却とは
  2. 旅行代理店業界の現状
  3. 旅行代理店の事業売却におけるメリット
  4. 旅行代理店の事業売却のデメリット
  5. 旅行代理店の事業売却における注意点
  6. 旅行代理店の事業売却の事例
  7. 旅行代理店の事業売却はM&A仲介会社の専門家に相談
  8. まとめ
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旅行会社 旅行代理店のM&A・事業承継

旅行代理店における事業売却とは

旅行代理店、または旅行会社とは、自社で企画、または仲介して旅行商品を販売するビジネスを行っている会社です。日本では1900(明治33)年前後に、現在の旅行代理店の起源となる会社がいくつか設立され、事業を始めたとされています。

現在、日本国内の旅行代理店は、大手企業や中堅企業、各地方の中小企業に加え、オンライン販売を主とする新規参入企業といった具合に、会社がひしめいている状況です。そのせいもあってか、合従連衡な傾向があり、M&Aも活発に行われています。

本記事では、そのような旅行代理店業界におけるM&Aのうち、事業売却に焦点を当て、その特徴を分析していきます。

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事業売却とは

旅行代理店業界の現状

まずは、現在の国内における旅行代理店業界の状況分析から話を始めましょう。一番のポイントは、旅行代理店業界における新しいビジネスモデルの出現です。

国際的なイベントが後押しに

現在、日本はさまざまな国際的ビッグイベントが控えており、それらが旅行代理店業界への強大な後押しになっています。代表的なものとしては、2020(令和2)年の東京オリンピック、2025(令和7)年の大阪万博などです。

これらの国際的なビッグイベント開催時は、全世界から訪日外国人観光客が多数やってきます。注目が集まるイベント開催時期だけでなく、その前後の期間も流れにうまく乗って集客できれば、収益を大きく増やせる可能性が高まります。

昨今の日本は、クールジャパンと銘打って日本産のコンテンツを世界中に発信しています。その効果により、海外では和食がブームになるなど、日本を訪れる動機付け・政府の後押しは今後も積極的に行われるはずです。

少子化による人口減という国内情勢を考えれば、旅行代理店業界において外国人観光客をターゲットにするのは当然の帰結といえるでしょう。

日本人旅行者の趣向の変化に注意

旅行代理店業界が注意すべきものとして挙げられるのが、日本人旅行者の趣向の変化です。昨今は、「近い場所へ安く短期間で旅行する」という旅行者が増えて、かつてのように海外や国内の遠方へ旅行する傾向は弱まっています。

実際のところ、長期間の大型旅行プランは販売数が減少してきており、新たな趣向に合わせた旅行を企画する必要が出てきているのです。しかし、リーズナブルな旅行企画であれば、利益性は低くなります。

したがって、これからの旅行代理店は、いかに収益性を高めるかが経営上の重要な課題です。また、昨今はインターネットの普及もあって、旅行者が口コミや情報を共有しやすくなっています。自分で旅行の情報を集めたり、乗車券や宿泊施設を簡単に確保できたりするようになりました。

加えて、自分で自由に観光することを好む旅行者も多く、旅行代理店自体を利用しないことも近頃では珍しくありません。このことは旅行代理店業界全体の問題として、各旅行代理店が危機感を持ち、自分たちの価値を顧客にアピールする努力が必要な時代になったことを示しています。

利益が不安定になりやすい

現在の旅行代理店業界の難点は、利益が不安定になりやすいことです。天候の変化や自然災害、景気の変動などの影響で、旅行者数や旅行数は大きく変わります。海外旅行では、テロなどの事件や政治情勢、また、各国の法改正や税制改正なども影響をおよぼします。

旅行とは、そもそもレジャーです。つまり、旅行代理店業とはレジャー産業ですから、景気が停滞し消費者の財布のひもが固くなれば、最初に影響を受ける業種の1つともいえるでしょう。また、自然災害の当事者であったならば、旅行どころの話ではありません。

このように旅行代理店業界は、エンターテインメント業界と同様に、社会情勢の影響をもろに受けて、収益が下振れしやすいビジネスだということを絶えず意識しておかないと、経営がおぼつかなくなる可能性があります。

OTAの台頭

社会におけるインターネットの普及により、旅行代理店業界でも顧客への販売方法が大きく様変わりしました。それは、従来型の店舗での旅行商品販売スタイルに加えて、実店舗を持たずオンライン上のみで販売を完結させるスタイルの台頭です。

この新しいタイプの旅行代理店は、通称OTA(Online Travel Agent)と呼ばれ、2010(平成22)年代に入って一気に広まりました。OTAの最大の強みは、まさにインターネット上のみで全ての手続きを完了できることです。

手続きに時間や労力を割きたくない昨今の消費者ニーズにピッタリと合致したのでしょう。現在、OTAは旅行代理店業界の中で勢いを増しており、従来の店舗型旅行代理店の優勢を脅かしています。

そのため、昨今では、店舗型旅行代理店の大手がM&Aを実施し、OTAを買収するケースが増加中です。店舗型旅行代理店としては、OTAのノウハウを取り入れ、そのシステムを活かして新たな事業展開とすることを企図しています。

OTA以前の旅行代理店業界は、店舗を増やし事業エリアを拡大していくことが業績拡大方法でした。しかし、OTAの台頭でその流れは大きく変わりつつあります。とりわけ、中小規模の店舗型旅行代理店にとってはシビアであり、苦境に立たされている旅行代理店も少なくありません。

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旅行代理店の事業売却におけるメリット

一般的にM&Aというと、会社の売却・買収がイメージされることが多いでしょう。事業売却も同じM&Aの手法ではありますが、会社の売却・買収とは内容が異なります。会社の売却・買収では、その対象が会社丸ごと全てです。端的にいえば、子会社化する・されることになります。

一方、事業売却・買収は、その対象が事業単位です。つまり、事業売却する側でいえば、売却するのは特定の事業とそれに関わる資産だけであって、会社は存続します。子会社などにはならず、以前のまま独立した存在です。これが事業売却・買収と、会社の売却・買収の違いになります。

さて、それでは、旅行代理店の事業売却には、どのようなメリットがあるのでしょう。買い手側・売り手側で異なる、旅行代理店の事業売却におけるメリットについて掲示します。なお、事業売却は別称として事業譲渡と呼ばれる場合もあります。同じ意味の言葉として覚えておいてください。

買い手のメリット

OTAが台頭する以前の旅行代理店業界であれば、事業売却先となる買い手のメリットは2種類でした。1つは、事業売却先が同じ旅行代理店業界の場合、事業規模の拡大です。もう1つは、事業売却先が異業種であれば、新規事業への進出が事業売却の目的となります。

さらに、OTA台頭後の現在、旅行代理店の事業売却における買い手のメリットは、OTAのシステムそのものやノウハウを丸ごと取得できることです。時間と労力を節約できるのが、M&Aの1つの特徴といわれています。

また、事業売却では会社を丸ごと買収するのとは違って、買収する資産や権利・義務などを契約時に選択できます。買い手として望まない資産や負債などを、買収対象から除くことができるのです。

売り手のメリット

旅行代理店の事業売却において、売り手側の直接的なメリットは売却金の取得です。事業を売却することは、当該事業からの撤退を意味します。昨今では他の業界同様、旅行代理店業界においても、大手企業による業界再編が進みつつあります。

OTAの台頭もあり、中小規模で地方の従来型旅行代理店は、業績回復は難しいという判断に至る場合もあるでしょう。そうであるならば、事業売却によって資金を確保し、今後の新たな事業展開に転じる方が得策となる可能性があります。

事業内容に固執せず、新たな事業で会社の経営再建を図るための資金を得られることは、旅行代理店に限らず、全ての業種の事業売却に共通するメリットです。また、買い手と同様に売却したくない資産などがあれば、売却対象から外せます。

旅行代理店の事業売却のデメリット

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旅行代理店の事業売却のデメリットは、旅行代理店特有のものではなく、どの業種にも共通していえるものです。事業売却は、前述したように会社を丸ごと売却するわけではありません。特定の事業を売却するにあたって、その事業と関連ある資産や権利・義務などが選択され売却されます。

この時、会社を丸ごと売却・買収するのであれば、端的には会社の株主が変わるだけの手続きで済みます。しかし、事業売却の場合、事業、資産、権利・義務などを個別に売却・買収することになるので、対外的な契約や許認可などは、全て一から取得し直すことになります。

従業員が移籍するのであれば、売却側で退職手続きをした後、買収側では雇用契約をそれぞれと結ばなくてはいけません。これらの手間と労力が発生してしまうのは、事業売却における最大のデメリットです。中でも特に注意しておきたいのは、従業員との雇用契約です。

買い手側としては、人材を得ることも含めて事業売却に応じたはずですが、雇用契約を結び直すプロセスがあることから、従業員が離職しやすい環境になります。これを防ぐためには、売却側の会社にも協力してもらい、従業員への対応をセンシティブに行わなければなりません。

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事業譲渡のメリット・デメリット

旅行代理店の事業売却における注意点

少子化で人口減少過程にある日本において、旅行代理店業界は市場を激しく取り合う状況です。それゆえ、旅行代理店業界ではM&Aも盛んに行われており、業界再編も日に日に進んでいます。もし、頭の片隅に事業売却の考えがあるのなら、今が良い機会だといえるでしょう。

仮に、これ以上の業界再編が進行していった後では、もうM&Aの需要はなくなってしまうかもしれません。事業売却を含めM&Aは、マッチングから始まり成約するまでに数ヶ月を要します。また、成約できる相手とすぐにマッチングできるかどうかも約束されたものではありません。

時間が経過してしまうと、事業売却の条件面も不利になってしまう恐れもあります。「機会」を逃さず実施に向けて行動することが、現在の旅行代理店業界の事業売却における注意点です。

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会社売却の方法とは?手続き・売却後の従業員の処遇・注意点を解説

旅行代理店の事業売却の事例

旅行代理店業界の会社が、実際に行った事業売却のM&A事例について見てみましょう。M&A事例として公表されているものは、いずれも上場企業関連のものしか明らかになっていない関係で、以下の2事例を紹介します。

ティ・エ・エス←トレンダーズ

2017(平成29)年、東京の旅行代理店ティ・エ・エスが、同じく東京のトレンダーズから、訪日外国人観光客向けメディア「ZEKKEI Japan」の事業売却を受け、これを買収するM&Aを実施しました。

トレンダーズは、メディア事業、マーケティングPR事業などを行っているが、インバウンド旅行を専門とするティ・エ・エスがシナジー効果のある事業獲得を標榜し、両社が合意に至ったものとみられます。

「ZEKKEI Japan」が展開しているのは、訪日外国人観光客向けに、プロカメラマンが撮影した絶景写真によって、日本への興味と理解を深めてもらおうというサービス事業です。

エイチ・アイ・エス←インデックス

2016(平成28)年、旅行代理店大手であるエイチ・アイ・エスは、東京の情報通信業インデックスから「アクティビティジャパン」事業の売却を受け、買収しています。このM&Aでは単なる事業売却ではなく、新設分割という手法が用いられました。

アクティビティジャパン事業とは、インターネットで展開される日本国内のアクティビティ予約サイトです。エイチ・アイ・エスは、これを活用してオンラインでの事業展開強化を目論んだものでした。

国内旅行代理店業界で取扱高2位のエイチ・アイ・エスですが、2018(平成30)年の統計では1位のJTBと金額で3倍以上の開きがあり、何とかその差を埋めるべく練った戦略の1つであったと推測されます。なお、事業売却を行ったインデックスは当時の社名で、現社名はiXIT(イグジット)です。

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旅行代理店の事業売却はM&A仲介会社の専門家に相談

実際に旅行代理店の事業売却を実施しようと考えた時には、M&A仲介会社のような専門家に相談することをおすすめします。同業者同士であればM&A仲介会社などを起用せず、直接交渉で何とかなるだろうと思うのは禁物です。

事業売却などのM&Aは、専門的な手続きをふんで慎重に進める必要があります。M&Aが成約できるとしても、通常は半年以上の時間がかかり、破談となるリスクも含んでいます。破談を防ぎ、問題なくM&Aのプロセスを進めていくためには、M&A仲介会社は必須ともいえる存在です。

もし、どのM&A仲介会社にすればよいかお悩みの場合には、ぜひ一度、M&A総合研究所にご相談ください。ご相談は無料で受け付けています。また、M&A総合研究所にM&A業務を委託いただける場合には、豊富な知識と経験を持つ公認会計士が、M&Aを徹底サポートいたします。

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まとめ

旅行代理店業界の激動と業界再編が予測される昨今、中小企業の旅行代理店事業は転換点として思案のしどころなのかもしれません。チャンスロスしないように情報収集を怠らず、機会到来と感じたら積極的に事業売却を検討してみる価値はあるといえるでしょう。

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