2024年4月15日更新会社・事業を売る

株価算定方法とは?非上場企業の活用場面、必要費用、手続きの流れを解説

株価算定方法は多くの種類があり、それぞれ活用する場面や特徴が異なります。この記事では、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチといった株価算定方法の種類、株価算定のプロセス、株価算定方法ごとにメリットや用いる場面を紹介します。

目次
  1. 株価算定とは
  2. 株価算定方法の種類
  3. 株価算定の必要な費用・料金
  4. 株価算定のプロセス・手続きの流れ
  5. 株価算定書の作成について
  6. 株価算定方法のまとめ
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株価算定とは

株価算定とは

株価算定はどのようなシーンで必要となるのでしょうか?非上場企業の場合、事業承継やM&Aの場面で、株価算定が必要となりますが、上場企業では不要と考える方もいるかもしれません。

しかし、今後市場で生き残る為には、効率的に経営戦略を展開する必要があります。そのためには、株価算定方法を知っておき有効に活用することが大切です。

この記事では、M&Aや事業承継で利用できる株価算定方法について解説しますが、本章では株価算定に関する基本的な知識をみていきましょう。

  1. 株価算定の基礎知識
  2. 企業価値と株価の関係
  3. 株価算定の活用場面
  4. 株価算定と法律

①株価算定の基礎知識

「株式算定」とはどのようなものかと聞かれると、具体的に説明できる人は少ないかもしれません。株価算定とは、企業の価値となる株価を算定する行為を指します。

株価の観点からみると、企業は株価公開企業と非公開企業の2種類に分けられ、公開企業の場合は市場全体の取引によって株価が決まります。

一方、非公開企業の場合は市場で取引されていないため、明確な株価はありません。明確な株価はないといっても、M&Aを行うときなど株価算定が必要になる場面もあります。どのような場面で株価算定が必要になるのかは、後ほど解説します。

②企業価値と株価の関係

企業価値=株価であると思われがちですが、2つは異なる概念です。まず、企業価値とは、その企業の「現在から将来までの収益力」を示した概念です。

つまり、企業価値とは、企業が保有している現金・工場・機械・株・債権などの資産をベースに算出されるものといえます。

そのため、企業価値は株主価値に負債価値を足した値となり、簡単に計算式に表した場合は以下のようになります。

  • 企業価値=株主価値(株価×発行済株式総数)+負債価値

一方で、株価は市場動向で変動するその会社の買値を指します。そのため、必ずしも株価が企業価値を表しているとはいえません。

「株価=時価総額」は、外的要因によって短期的にランダムに変動します。ただし企業の価値(稼ぐ力)は投資家の判断に影響されないため、短期間で株価が急変動することは稀です。

株価は、企業価値から負債価値を引いた残りを、発行済株式総数で割った値となります。簡単な計算式にすると以下のようになります。

  • (理論)株価=(企業価値−負債価値)÷発行済株式総数

③非上場企業における株価算定の活用場面

ビジネスでは、さまざまな場面で株価算定が必要となります。株価算定が必要となる主な場面としては、以下のケースが挙げられます。

  • M&A
  • 事業承継
  • 相続
  • ベンチャーキャピタルからの資金調達
  • ストックオプションの発行
  • 第三者割当増資
  • 少数株主からの株式買い取り
  • 種類株式の発行

上記のケースでは株価算定が必要となりますが、実際の株価算定方法は状況などによって異なり、その方法もさまざまです。またこれらはあくまで一般的なよくある活用場面であり、株価算定が活用される場面は他にも複数あります。以下では株価算定が活用される特殊な場面について、いくつか紹介します。

株式公開準備会社における活用

株式公開準備会社は、株式公開申請書類において、株式公開直前期末までの2年間、株価算定の根拠や株価算定方法の採用理由などの開示が義務付けられています。

しかし、未公開会社においては、株価算定書を入手せず、根拠に乏しい価格での株式移動が行われるケースもみられます。

根拠に乏しい価格での株式移動は、株式公開審査上や税務上において大問題に発展しかねないため、第三者による株価評価が必要です。

裁判目的での活用

裁判を行うときにも株価算定が必要となる場合があります。裁判目的で活用されるのは、少数株主の保護譲渡制限株式の売買価格決定に関するケースなどです。

前者は主に、定款変更や組織再編に反対する株主への買取請求や、全部取得条項の発動に反対する株主への価格決定の申立てなどで必要になります。

後者は譲渡制限株式の譲渡が行われる際に、売買価格が当事者間で決まらない場合に、裁判所への決定を求めるケースが多いです。

どのような場合に裁判所が株式の価格設定を決定するのかは、会社法、会社更生法、家事裁判法でそれぞれえ定められています。

それらによれば、株式価格の申し立てを裁判所に行える場合(会社法117条2項等)、更生会社が保有する株式を更生管理人が評価する場合(会社更生法83条1項)や、遺産に含まれる株式を家事裁判官が評価する場合(家事裁判法9条1項乙類10号)など、とされています。

PPAが求められる場面での活用

PPAとは「取得原価の配分に伴う無形資産の評価」を意味し、M&Aを行った際は買収企業が取得原価(買収価額)について、被買収企業の認識可能な資産及び負債を自社(買収企業)の資産及び負債に配分します。

国際会計基準においてPPAは必須でしたが、2010年の法改正からは日本の基準でも必要とされており、PPAは、M&A実施後(企業結合日以降)1年以内に完了しなければなりません。

以前の会計基準では無形資産の計上が強制されていなかったため、買収される会社の無形資産を含めた純資産と買収額の差額をのれんとして一括計上するのが一般的でした。

しかし、現在の基準では無形資産の計上が必要であり、これまでのれんとして一括計上していたもののうち、商標権や特許権、意匠権、著作権、などの特定された無形資産を計上し、これらを配分した後の残額をのれんとして処理します。

無形資産の価値を評価する際に株価算定が必要になり、主な評価方法にはコストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチがあります。

各手法の詳細は後述しますが、どの手法を採用するかは、評価対象の無形資産の内容や、評価に使用できるデータの整備状況などからの判断が必要です。

しかしながら、無形資産のみを販売する市場がほとんどないうえ、無形資産資産自体の個性が強いので類似するものは想定しづらいため、マーケットアプローチを用いるケースはほとんどありません。

④株価算定と法律

さまざまな理由から、ビジネスの現場では株価算定が重要視されています。ここでは、深くかかわりのある法律別に紹介します。

会社法における重要性

未公開会社が第三者割当増資等を実施する際には、適正時価で株式を発行する必要があります。

しかし、未公開会社には市場株価がありません。そこで、適正な株価を算定する必要がでてきます。

税務上の株価算定

例えば、時価よりも著しく低い株価で株式譲渡等を行うと、課税が発生します。このように、本来不要な税金が発生するため、好ましいことではありません

課税を回避するといった観点からしても、株価の算定は大切です。

株価算定方法の種類

株価算定方法の種類

株価算定方法は大きく分けると以下の3種類があり、これらの中から自身の目的や状況に合う方法で算定することが大切です。

  1. マーケットアプローチ
  2. インカムアプローチ
  3. コストアプローチ

1つの方法のみを使うのではなく、複数の方法を併用することもよいとされています。なぜなら、それぞれの方法が持つ短所を別の方法によって補えるからです。

また、上記3つの方法はさらに細かく分けることができるので、実際には多くの算出方法があります。ここでは、各算出方法の内容やメリットデメリット解説します。

動画でも、それぞれの概要をまとめて解説しておりますので、ぜひご覧ください。

【関連】M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!

マーケットアプローチ

はじめに、マーケットアプローチとは、市場や類似会社・取引等を基準に用いる株価算定方法です。つまり関連性の高い対象、同業者などとの比較により、株価を算定します。その為、最も客観性の高い株価算定方法です。

この方法は、現在利益が出ていない企業にも適用できます。ただし、市場の株価は短期間で変動し易く、国際情勢などの影響も受けやすいです。

そのため、短期的な市場の影響を受けやすいデメリットもあります。それにより、本来理論的な株価とはかけ離れた株価となる場合もあります。マーケットアプローチに該当する手法は、主に4つあります。

①市場株価法

市場株価法とは、過去数ヶ月の平均株価を基準にする株価算定方法です。1〜3ヶ月分の平均株価を算出し、それを理論的な株価にする方法です。

市場の株価は、様々な利害関係者の意思を反映しています。その市場株価の平均を取る為、マーケットアプローチの中でも非常に客観性が高いです。

マーケットアプローチには、市場の影響を受けやすいデメリットがあります。しかし、市場株価法の場合、数ヶ月の平均株価を用いるので、マーケットアプローチの中では、短期的な影響を受けにくいのが特徴です。

市場株価法は、市場株価がある企業にしか適用できないので、活用できるのは上場企業に限られます

②類似会社比準法(マルチプル法)

類似会社比準法とは、自社と類似する上場企業を基にする株価算定方法です。M&Aの実務上、マルチプル法とも呼ばれます。

具体的には、類似会社のPERやEBITDAを株価算定に用います。特にベンチャー企業のM&Aでは、EBITDAが好んで用いられます。EBITDAとは、税引き前当期純利益に特別損益や支払利息、減価償却費を足した指標のことです。

一方でPERとは、株価を一株あたり当期純利益で割った指標です。類似する企業との比較なので、非常に客観的な株価算定方法です。ただし、類似する上場企業が存在しない場合、この株価算定方法は利用できません。

以下の動画で弊社M&Aアドバイザーが計算例を用いて、マルチプル法について解説しておりますので、ぜひご覧ください。

③類似取引比準法

類似取引比準法は、M&A等の取引で活用されている株価算定方法です。自社が行うM&Aと類似する取引を基準に、適正株価を算定します。こちらも比較的客観性の高い株価算定方法です。

しかし、類似取引をみつけるのは困難なため、実務上では、先に述べたマルチプル法が多く使われています。

④類似業種比準法

類似業種比準法は、自社と同じ業種に属する上場企業を参考にする株価算定方法です。これまで紹介した方法とは違い、相続の場面に特化した方法です。

相続を目的とした株式算定の場合、正確に相続財産の評価が必要になり、相続財産には当然未公開株式も含まれます。

この株価算定方法は、その際に正確な評価額を算定するために利用し、基本的にM&Aでは利用されません。

【関連】マーケットアプローチ

インカムアプローチ

インカムアプローチとは、対象企業の将来性に基づいた株価算定方法です。具体的には、対象企業の将来獲得し得るキャッシュフローや利益等を株式算定に用います。そのため、M&Aの企業価値算定で広く用いられています。

ほかの手法では、基本的に現在または過去に主眼を置いていますが、インカムアプローチは、将来に主眼を置く株価算定方法です。よって、将来的な成長性を株価(企業価値)に加味できます。

将来性を加味できるため、株価算定以外にもさまざまな場面で活用されています。設備や事業投資など幅広い局面で活用できるのは、この株価算定方法の大きな強みです。

ただし、算定される株価が現実とはかけ離れたものとなる恐れもあります。株価算定の際には、将来的な予想や事業プロジェクトを参考にします。

その予想や事業プロジェクトが見当違いであれば、当然算定される株価も現実的ではなくなります。加えて、算定する人が恣意的に株価を算定できてしまいます。

よって、この株価算定方法は、取引の利害に無関係な第三者が実施するのがベストです。以下では、インカムアプローチに属する株価算定方法を、3つ紹介します。

①DCF

DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法とは、将来企業が創り出すフリーキャッシュフロー(FCF)を用いた株価算定方法です。

FCFとは、その企業が自由に使える資金を指しています。FCFは、下記の通り計算されます。

  • FCF=営業利益×(1−税率)+減価償却費−運転資本増価額−設備投資額

DCF法で算出した企業価値を基に、株価を算定できます。DCF法は、最も理論的かつ合理的な株価算定方法だといわれており、多くのM&Aで活用事例があります。

ただし、DCF法を活用するには高度な専門知識が必要です。まず、現在価値と将来価値の違いについての理解が必要です。

加えて、割引率として用いるWACCの算出も難しいので、基本的には、M&Aのアドバイザーなどの専門家が利用する株価算定方法です。

②収益還元法

収益還元法とは、対象企業の予想利益額を用いた株価算定方法です。利益には、1株当たり予想税引後純利益を用います。

DCF法の簡易版ともいわれるように、比較的簡単に利用できる株価算定方法です。ただし、簡易版である為、DCF法よりは株価算定の精度が落ちます。

また、DCF法と同様、将来得られる利益の予測には不確実性が残ります。とはいえ、非上場企業でも簡単に株価を算定できる点は強みといえるでしょう。

③配当還元法

配当還元法とは、将来的な配当金を用いる株価算定方法です。主にこの方法は、非上場企業の相続で活用されています。

ただし配当金額は、経営陣の戦略次第で変動します。そのため、必ずしも将来の成長性を反映しているとは限りません。

この株価算定方法の精度を高めるには、配当金額が妥当かつ変動しにくい必要があります。

【関連】インカムアプローチ

コストアプローチ

コストアプローチとは、対象企業の純資産額を用いる株価算定方法です。純資産額とは、貸借対照表に記載されている項目です。

純資産は、資産−負債の値と等しくなります。純資産さえ分かれば、比較的簡単に株価を算定可能です。専門的な知識も不要なため、非上場企業でも活用しやすい株価算定方法です。

また、貸借対照表のデータを利用するので、この株価算定方法は客観性にも長けています。ただし、この株価算定方法では、対象企業の将来的な成長性を全く考慮していません。

よって、基本的には今後会社を継続しない企業の株価算定に利用され、将来的な利益を期待して行われるM&Aで用いることはほとんどありません。

ただし、赤字の非上場中小企業の場合は、M&Aの株価算定で用いられるケースもあります。以下では、コストアプローチに属する4つの株価算定方法を紹介します。

①簿価純資産価額法

簿価純資産価額法とは、純資産をそのまま(簿価のまま)用いる株価算定方法です。貸借対照表に記された純資産を、株主価値と考えます。

つまり、純資産を発行済株式総数で割れば、株価を算定可能です。コストアプローチの中でも、特に簡便な株価算定方法です。

赤字企業や清算予定の企業の場合、この算定方法が活用されます。また、資産や負債に一部の含み損益を加味する、「修正簿価純資産価額法」と呼ばれる方法もあります。対象企業に含み損益が多く存在する場合、簿価を修正した方が正確に株価を算定できます。

②時価純資産価額法

時価純資産価額法では、一度純資産を時価換算し直します。時価純資産は、売上債権の評価減や簿外処理された負債のオンバランス化等により算出します。

時価換算するため、簿価純資産価額法よりも正確な株価算定方法です。如何に正確な時価評価を出来るかが、この株価算定方法の精度を左右します。

ただし、無形資産(営業権や知的財産権)の時価評価には、高度な専門知識が必要です。したがって、非上場企業が独力で株価算定するのは非常に困難です。

③再調達原価法

再調達原価とは、会社が所持している資産や負債を、改めて再取得するのに要する費用です。再調達原価法は、この費用を用いた株価算定方法です。

再調達原価は、対象会社と全く同様の企業を、再び設立する際に必要な費用総額を表します。以上の性質から、M&Aの実行可否を判断する際に活用されています。

純資産価額法でも、簡易的にM&Aの実行可否を判断できます。しかし再調達原価法の方が、より正確にM&Aの実行可否を判断できます。ただし、あくまでも実行可否を判断するのであって、適正な株価算定が可能である訳ではありません。

④清算価値法

株価算定方法の中には、清算の場面に特化した方法も存在します。それが清算価値法です。清算価値法では、正味売却価額と呼ばれる指標をベースにします。

正味売却価額とは、全資産を売却して得られる金額から、返済が必要な負債全額を引いた残りです。つまり、清算後に手元に残る最終的な金額です。

非上場の中小企業では、いつ清算の場面が訪れるかは分かりません。近年は企業間の競争が激化しているため、中小企業の経営者は清算価値法を知っておいて損はないでしょう。

【関連】コストアプローチ

税務上の評価方式

税法上の評価方式は主に以下4パターンがあり、どのように算定すべきかが決められています。
 

  1. 売買実例がある場合
  2. 株式公開途上にある株式の場合
  3. 類似会社がある場合
  4. その他

まず、売買実例がある場合は、その際の売買価格を用います。株式公開途上にある株式の場合は、入札等の公募価格を参考として、通常取引と認められる価格により算定します。

類似会社がある場合は類似会社比準方式によって算定し、事業内容が類似する上場企業の株価を参考に、評価額を決定します。

これらの方法以外では、課税上弊害がない場合に限り財産評価基本通達も認められています。(法人税法基本通達9条)

しかし、財産評価基本通達は客観性・一画性を求められる相続や贈与の際に使用するものであり、M&Aや裁判、ベンチャー企業のエクイティ・ファイナンス目的として利用するにはあまり向いていません。

折衷評価方式

折衷評価方法とは、複数の株価算定方法で算定した株価を用いて、一定の折衷割合で平均をだす方法です。

一般的に、複数の追加増資を予定している場合は、株価に一定の幅を持たせておいたほうがよいとされています。というのは、幅を持たせておいたほうが、次回の増資の際、株価算定根拠の整合性に配慮しやすいためです。

しかし、この方法は複数の方法を用いるため、折衷割合をどうするかが問題になるというデメリットもあります。

株価算定の必要な費用・料金

株価算定の必要な費用・料金

株価算定にかかる費用は、一概にいくらというのは難しいのが実情です。というのも、依頼内容や財務諸表の複雑さによっても金額が変わってくるためです。

一般的な相場は50万~200万ほどといわれていますが、正式に依頼を考えている場合は、必ず見積もりをだしてもらうようにしましょう。

株価算定のプロセス・手続きの流れ

株価算定のプロセス・手続きの流れ

最後に、株価算定のプロセスを紹介します。株価算定方法を知っているだけでは、株価算定の過程でつまずく可能性があります。円滑に実行するためにも、株価算定のプロセスを把握しておきましょう。

株価算定のプロセスについて順を追って解説しますが、ここで取り取り上げるのはあくまでも一般的なものです。必要に応じて順番を変更するなど、新たなプロセスを付け加えるのも可能です。

①株価算定の目的確認

初めに、株価算定の目的を確認することが大切です。何故なら、ここまで述べたように算定方法にはさまざまな種類があり、目的次第で株価算定方法が異なるからです。

M&Aや事業承継、VCからの資金調達等、企業によって目的はさまざまなので、まずは何を目的とするのかを明確にしておくことが大切です。

②株価算定方法の選択

目的が定まったら、次に利用する株価算定方法を決定します。例えば、ベンチャー企業のM&Aならば、マルチプル法といった感じです。

この際、使用する株価算定方法は一つである必要はありません。むしろ複数の方法を用いて、さまざまな角度から妥当な株価を検討するのが望ましいでしょう。しかし、くれぐれも、本来の目的に適する株価算定方法を使用することが大切です。

③株価算定の資料集め

使用する株価算定方法が決まったら、必要となる資料を集めます。必要な資料は、用いる株価算定方法によって異なります。主な必要資料には、以下のようなものがあります。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書
  • 設備投資計画
  • 事業計画
  • 株主名簿
  • 類似業種の上場会社資料
  • 事業報告書

上記以外にも、資料が必要となる場合があります。用いる方法や自社の状況に合わせて、資料を揃えましょう。

資料の中には、準備するまでに時間がかかってしまうものもあります。M&Aではタイミングが重要になるケースも多いため、必要な資料を前もって確認しておくようにしましょう。

④株価算定方法による試算

資料が集まったら、実際に株価算定を実施します。計算ミス等も考えられるので、複数回試算するのがベストです。

また、複数の株価算定方法を用いて試算しておくとよいでしょう。ただし、DCF法など、株価算定に専門的知識を要する方法もあるので、その際には、専門家に株価算定を依頼するのが無難です。

株価算定には意外と手間がかかります。よって株価算定は、早い段階から実施することをオススメします。

【関連】企業価値の算定方法

第三者による株価算定が必要になるケースも増えている

上記のような未上場企業の株取引は増加しています。加えて、企業買収や合併・不正会計など株取引を巡る不祥事や、訴訟事例なども増え、取引価額の透明性や客観性が必要とされる場面も増えました。

未上場企業の株式は近似商品の価額や市場での共通認識があるわけでもないため、価額の透明性や客観性を確保する上でその取引価額の評価を第三者の専門家が行うことが重要であり、意思決定の際に内部資料として必要とされる場面が多くあります。

また、上場会社の場合は他社の第三者割当増資を引き受け、未上場企業の買収を行う際、上場準備会社であれば左記に加えて自社株式の評価額を算定する際などに、第三者による株価算定を行います。

スキルの高い専門家へ依頼すべき理由

算定方法の複雑さや、数種類ある算定方法のうちどの方法を使うのが最も有効か、など作成ルールに精通するには、企業ごとの担当社員では限界があり、専門性の高い第三者による株式算定書を入手し判断資料として使うこと自体に、信憑性のある取引であるとの印象を与えます。

なお、株価算定は第三者の専門家や公認会計士による評価ならどれも同じというわけではなく、経験豊富でスキルの高い専門家へ依頼することが大切です。

取引において、相手の担当者との交渉が生じるかもしれず、その際に同席してもらうには十分な知識と経験を持った専門家が頼りになるからです。

また、相手側が取引に不満を持ち裁判に発展してしまう場合もあり得ます。その際に根拠となる株価算定書は正当で透明性や客観性を確保していることが効果的です。

株価算定書の作成について

株価算定書の作成について

株式算定書(株式算定報告書、株式価値算定報告書などともいいます)とは、 株価が公開されていない企業の株取引の際に意思決定の根拠とするため、その企業の価値や評価を計算して一株あたりの評価額を報告する書類です。

事業承継やM&A、企業再編、または新興企業によるIPOの資金調達や新株予約権の発行など、未上場企業の株取引などの場面で大切な資料であり、試算が終わり次第株価算定書を作成します。

株式算定書の要件

要件は以下の通りです。

作成元 :公認会計士や監査法人事務所)

目的 :依頼者が株式算定を必要としている取引の概要、背景

評価基準日 :直近の決算日など、取引の根拠とするための適正な基準日

評価額の結果およびその説明 :算出された株式評価額と説明

評価額算定方法 :採用された算定方法と理由

外部公表資料として用いられる場合

例えば、裁判では証拠資料として提出され訴訟記録として開示される例や、TOBやMBOの際は公開買付届出書に参考資料として添付される例、第三者割当による株式発行では取引所、監査役、第三者委員会などに開示される場合もあります。

自社株式の評価において自社に株式算定業務を担当する者がいる場合でも、取引に際しては恣意的に評価額に影響してしまうことや、相手から結果に不満を持たれる状況になりやすい側面があります。

取引実行者

株価算定書はあくまで株取引を行うための参考資料・判断材料としての位置づけに過ぎません。その算定書の内容を理解して取引を実行する責任は取引実行者にあります。

そのため、担当者の責任は重大であり担当者自身が十分に理解をすることに加え、これから株価算定業務が必要となる方は、対応できる身近な専門家を確保することが重要です。

株価算定方法のまとめ

株価算定方法のまとめ

今回は、株価算定方法についてご紹介しました。株価算定は、M&Aや資金調達をはじめとして、様々な場面で実施されます。今後M&Aや事業承継の件数は、さらに増加すると予想されています。

株価算定方法は覚えておくべきです。株価算定方法には、多種多様な種類があります。

各株価算定方法ごとに、着眼点や使用する場面が異なります。使用する方法次第で、取引の成功可否が左右される可能性があります。

よって、基本的には全ての株価算定方法の特徴を掴みましょう。そして自社の状況や目的に合わせて、最適な株価算定方法を使用するのが大切です。

ただし中には、非常に専門的な知識を要する株価算定方法も存在します。具体的には、DCF法や時価純資産価額法等です。ご自身で実施しても、正確な株価が算定できない可能性が高いです。

また一部の株価算定方法では、恣意や主観が入るデメリットがあります。公正な取引を実現する上で、このデメリットは取り除くべきです。

以上の点を踏まえると、第三者の専門家に株価算定を依頼するのがベストです。確かに専門家に依頼すると、それ相応の費用はかかります。

ですが、起こり得るリスクを軽減する為には、専門家に依頼する方が無難です。経営者の方は、状況を省みて最適な選択を実践するのが求められます。

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