株式交換と株価の関係

株式交換と株価は密接に関係しています。特に株式交換比率を決定する際は、株価算定が重要なポイントになります。ここでは、株式交換によって株価がどう変動していくのか、M&Aや事業承継についても言及しながら、株式交換と株価の関係について詳しく解説していきます。

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2020年2月4日更新

目次
  1. 株式交換と株価
  2. 株式交換とは
  3. 株式交換のメリット
  4. 株式交換のデメリット
  5. 株式交換による株価への影響
  6. 株式交換比率と株価
  7. 株式交換を用いた株価引き下げ対策
  8. まとめ

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株式交換と株価

近年、新規事業の創出や新規市場の開拓を目的としたM&Aが増加してきました。M&Aにはさまざまな手法がありますが、その1つに「株式交換」があります。ところが「株式交換」はビジネスの場で活用されるシーンが少なく、株式譲渡や事業譲渡とは違って、経営者にとってあまりなじみがないものです。

しかし「株式交換」は、工夫次第で事業承継の株価対策に役立つものです。経営者の方は株式交換のメリットやデメリットについて理解しておくと大変有用です。また、株式交換は当事会社の株価に大きな影響を与えるものであるため、株式投資している方にとっても役立つ知識といえるでしょう。

この記事では、株式交換によって株価にどのような影響が生じるのかなど、株式交換と株価の関係についてわかりやすくご紹介していきます。経営者に限らず、株式投資をしている方もぜひご覧ください。

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株式交換とは

はじめに、株式交換について解説していきます。

①株式交換の仕組み

「株式交換」とは、全発行済株式を既存他社に移転するM&A手法です。株式交換では、対価として相手企業の株式を受け取ります。基本的に株式交換は完全親子会社関係を構築する目的で用いられ、片方の企業が他方企業の全株式を保有することをさします。

自社株式と子会社側株主の保有株式を交換することで、親会社側は子会社の全株式を保有します。また、子会社側の株主も親会社の株式を保有することになります。例えば、株式譲渡の場合には対価を現金で得ることができますが、株式交換の場合には対価として株式を得ることができます。

さらに、株式交換は組織再編を目的に使用されるケースが多いですが、他社とのM&Aのために用いられるケースもあります。M&Aで用いる場合は、条件の合う売り手を見つけることが重要です。例えば、M&A総合研究所のM&Aプラットフォームであれば、理想的な売り手を見つけることができます。

M&A総合研究所は、豊富なM&A案件の中からAIがマッチングするという独自のシステムを持っています。そのため、買収ニーズを登録するだけで自動的に条件の合う案件が紹介され、効率的にM&Aの候補探しをすることができます。

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②株式交換の手続き

ここでは、株式交換の手続きについて順を追って説明していきます。

  • 株式交換契約の締結
  • 事前開示
  • 特別決議
  • 反対株主の買取請求・債権者保護
  • 事後開示

株式交換契約の締結

はじめに、当事会社間で株式交換の契約締結を完了します。交換契約を結ぶ際はしっかりと契約書を作成する必要があるため、書式や内容には注意を払わなければなりません。詳しく知りたい方は関連記事をご覧ください。

事前開示

株式交換を実施する場合は、株主に対して株主総会の2週間前までに事前開示を行わなくてはいけません。なぜなら事前開示を行わなかった場合、株主の利益が損なわれる可能性があるからです。

株式交換を行うと、ほぼ確実に株価が変動します。場合によっては、株価変動によって株主が損する恐れがあります。株主の損失を最小限にするためには、前もって株式交換の実行を知らせる必要があるのです。

ただし、当事会社の株価は事前開示がなされた時点で大きく変動する可能性もあるため、注意が必要です。株価が高騰するか下落するかは、ケースバイケースであるため、投資家の方は株式交換が発表された時点で株価変動に注意する必要があるでしょう。

特別決議

株式交換では、株価変動によって既存株主に大きな影響を与えます。従って、株式交換を実行する際には、通常よりも厳格に決議する必要があります。具体的には「特別決議」によって、株式交換の実行可否を採決することとなります。

特別決議では、全議決権の過半数を有する株主が出席したうえで3分の2以上の賛成を得ないとM&Aを遂行できないことになっています。そのため、確実に株式交換を実行するためには、株主を説得する必要があるのです。

反対株主の買取請求・債権者保護

既存株主は、株価変動による損失を避けるため、M&Aの実施に反対することができます。反対された場合、会社側は反対株主が保有する株式を買い取らなくてはなりません。

一方、株式交換の場合、基本的に債権者保護は不要とされています。債権者保護とは、反対した債権者に対して弁済、担保提供などを行うことです。株式交換は株主が代わるだけで、資産や負債は変動しません。そのため、債権者は基本的に損失を被りません。

ただし、自社株式以外を対価とする場合には債権者保護が必要となるため注意しましょう。

事後開示

株式交換が完了すると、事後開示を行う必要があります。また、株式交換に関する書面を半年間本店に置いておく義務が生じます。

③適格株式交換とは

株式交換を実行すると、子会社側に譲渡益が課税されます。しかし、株式交換では対価としての現金を獲得していないため、税金を支払えない恐れがあります。その結果、資金繰りが悪化し会社全体に悪影響が生じるとともに、株価にも悪影響が生じるため株主も損失を被ります。

このような事態を防ぐためには、適格株式交換の遂行が必要不可欠です。適格株式交換とは、非課税でM&Aを実行する方法をさします。適格株式交換を遂行するためには、さまざまな適格要件を満たす必要がありますが、その中で最も重要な適格要件は「金銭等不交付要件」です。

簡単にいうと「金銭等不交付要件」とは、親法人の株式以外が対価として交付されないことをいいます。また、この「金銭等不交付要件」を満たしたうえで、満たすべき適格要件が変わってくるため、注意が必要です。さらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

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株式交換のメリット

ここでは、株式交換のメリットである以下の項目について詳しく解説していきます。

  1. 独立性を維持したまま実行できる
  2. 資金力がなくても実行できる
  3. 株価の上昇も期待できる

①独立性を維持したまま実行できる

株式譲渡や事業譲渡の場合、自社は相手企業に取り込まれる形となり、取引先や社員が不満に思う場合があります。また、従来のように自由に経営できなくなるため、これまでとは違うシステムに適応できず、辞職する従業員が出るリスクもあります。

一方、株式交換では、あくまで子会社となるだけです。法律上は、従来通り1つの会社として独立性を維持することができます。そのため、これまで通り事業を運営することができ、社員や取引先に不満が出るリスクを軽減することができるのです。

②資金力がなくても実行できる

株式交換以外のM&A手法では、基本的に現金を対価とします。そのため、会社を丸ごと買い取るとなると、莫大な買収資金が必要になるのです。従って、株価が高い優良企業を買収する場合には、自社の資金力のみでは不足する可能性が高くなります。

一方、株式交換では株式を対価としてM&Aを実行することができます。つまり、全く現金がない場合でもM&Aを実施することができるのです。

③株価の上昇も期待できる

優良な企業と株式交換を行えば、株価の上昇も期待できます。もしくは、株式交換後に業績が良くなると予想される場合にも株価が上昇します。

株式交換のデメリット

株式交換には、メリットだけではなく、デメリットもあります。ここでは、株式交換のデメリットである以下の項目について詳しく解説していきます。

  1. 株式の現金化が困難である
  2. 部分的な買収ができない
  3. 株価が下落するリスクがある

①株式の現金化が困難である

現金を対価として受け取りたい場合、「株式交換」は不向きな手法です。ほとんどの株式交換では、M&Aの対価として株式を受け取ります。その際、非上場企業の株式を対価として受け取った場合は、現金化が非常に困難です。

また、M&Aの契約に株式売却を制限する条項を盛り込む場合があります。その条項があると、上場企業の株式を受け取っても現金化することができません。株式交換を実施する場合、株式の現金化はほぼ不可能といえるでしょう。また、売却できたとしても、割安での売却となるケースがほとんどです。

②部分的な買収ができない

株式交換は、相手企業の全株式を受け取る手法です。つまり、欲しい事業や資産のみ買収することは不可能です。加えて、簿外債務や訴訟案件などのネガティブな要素まで引き継ぐものになります。その結果、株式交換後に財務状況が急降下し、株価が急落することで株主が大損害を被る可能性も否定できません。

このようなリスクを考え、部分的に買収することを検討する場合は「事業譲渡」を用いることをおすすめします。さまざまなM&Aの手法の中で、自社に適切な手法が何かを判断するには、知識と経験が必要です。そのため、M&Aの際には専門家に相談することをおすすめします。

例えば、M&A総合研究所では、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーのサポートを受けながら、M&Aをよりスムーズに進めることができます。ぜひ一度、M&A総合研究所にご相談ください。経験が豊富なアドバイザーがフルサポートいたします。

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③株価が下落するリスクがある

株式交換の前後では、株価が大幅に変動しやすいです。そのため、今後業績が悪化すると予想されれば、株価が下がる恐れがあります。株価が下がれば、既存株主も損をするため注意が必要です。

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株式交換による株価への影響

株式交換を実施すると、株価はどのように変動するのでしょうか?ここでは、「株価が上がる場合」と「株価が下がる場合」に分けて詳しく説明していきます。

①株価が上がる場合

株式市場では、基本的に各投資家の期待値によって株価が決定します。投資家が「今後業績が上がる」と判断すれば、株価は上がります。一方、「業績が下がる」と判断されれば、株価は下がります。つまり、株価は、投資家の予想次第で変動するのです。

このような株価の仕組みは、当然M&A取引にも当てはまります。株式交換によって、業績が今後上がると予想されれば株価は上昇し、期待値が高ければ高いほど株価の上昇具合も顕著となります。

では投資家は、どのような根拠を持って業績を予想するのでしょうか?結論を述べると、各投資家によって判断基準はさまざまです。ビジネスプランを基に判断する方もいれば、現在の財務指標を基準にする投資家もいます。しかし、一般的には、下記の要素が業績予想(株価)に影響します。

  • ビジネスプラン
  • 財務状況
  • 企業のブランド力
  • 業界全体の成長性

企業のブランド力

株式交換の際、特に重要な指標は「企業のブランド力」です。当然ながら、親会社が優良な大企業の場合には、子会社側の株価は上がる可能性が高いです。また、子会社側が赤字でも親会社次第で株価が上がる場合もあります。さらに、互いに優良な企業同士が株式交換を行った場合でも、株価は上昇する可能性が高いです。

②株価が下がる場合

前述の通り、株価は株式交換に対する期待値が高いと上昇し、株式交換に対する期待値が低いと株価は下落します。また、M&A後に業績が下落すると予想された場合でも株価が下がります。

とりわけ親会社が赤字企業と株式交換を行う場合は、株価が下がりやすいです。赤字企業を傘下に置くと、親会社の財務状況も悪化するリスクがあり、リスクがあると投資家が判断すれば、親会社側の株価は下がってしまいます。結論として、市場全体が低い評価を下せば、株式交換の際に株価は下がります。

このように、株価について理論的に説明することは簡単ですが、実際に予測することは非常に困難です。株式交換の前後で株価が急落する可能性もゼロではありません。投資家の方は、株を持っている会社が株式交換を行う場合、十分に注意する必要があるでしょう。

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株式交換比率と株価

次に、株式交換比率と株価の関係についてお伝えします。株式交換比率を決定するためには、妥当な株価算定が欠かせません。特に非上場企業の場合は、株価次第で比率が大きく変動するため注意しましょう。

①株式交換比率とは

株式交換の際、親会社が対価として交付する株式の数は株式交換比率に基づいて決定します。株式交換比率とは子会社の株主に対し、持ち株数に応じて割り当てられる親会社の株式比率をいいます。

株式交換比率は、「親会社(買い手)の1株あたり価値:子会社(売り手)の1株あたり価値」で表します。例えば、株式交換比率が10:1の場合は、子会社株10株に対して親会社株が1株付与されます。つまり、株式交換比率は親会社の株式が子会社株式の何株分の価値であるかを表す仕組みであるため、単元未満株が発生する場合があります。

この例でいうと、子会社株式を10株未満しか持っていない場合、親会社の株式を受け取ることはできませんが、発生した単元未満株式は会社側に買い取ってもらうことができます。

②株式交換比率の決め方

一般的に株式交換比率は、当事会社間の株価の比較により決定します。子会社の株価を親会社の株価で割った値を使用する場合もあります。しかし、株式交換比率の決め方はケースバイケースであるのが現状です。最終的には、株価などを基に話し合いで決定することになります。

ここでは、一般的な株式交換比率の決定プロセスをお伝えします。株式交換比率の決定プロセスは以下の通りです。

  • 第三者機関に株価を算定してもらう
  • 当事会社間で交渉

第三者機関に株価を算定してもらう

はじめに、専門知識を持っている第三者機関に、売り手・買い手双方の企業価値(株価)を算定してもらいます。

とりわけ非上場企業の場合は、市場における株価がありません。そのため「マーケットアプローチ」を用いて、妥当な株価を試算します。また、非上場企業の株価算定方法には、「マーケットアプローチ」以外にも2種類の方法があります。

1つ目は「インカムアプローチ」です。「インカムアプローチ」では、企業の将来性を基に株価を算定することができます。2つ目が「コストアプローチ」です。「コストアプローチ」では、純資産を基に株価を算定することができます。このように企業の規模や状況に合わせて、最適な株価算定方法を用いましょう。

さらに、算定してもらった結果は、「算定書」として取得・保管する必要があります。なぜなら、交換比率が明らかに現実的でない場合には、株式交換の効力が失われるからです。第三者の公平な意見を残すことで、M&Aの実行に正当性を持たせることができます。

当事会社間で交渉

そして、算定された株価を基に、交渉によって最終的な株式交換比率を決定します。

以上が株式交換比率の決定プロセスです。株式交換比率は専門的な分野ですので、専門家に株価算定も含めて相談することをおすすめします。例えば、M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートします。

加えて、M&A総合研究所では事前相談を無料で承っております。完全成功報酬制をとっており、着手金などもかかりません。成功報酬も業界最安値の水準で設定しているため、よりリーズナブルにご利用いただけます。M&Aをご検討される際には気軽にご相談ください。

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株式交換を用いた株価引き下げ対策

最後に、株式交換を用いた株価引き下げ対策をご紹介します。「株式交換」は工夫次第で、事業承継の株価対策に役立つものです。事業承継を検討している方は、ぜひとも参考にしてください。

①株式交換を用いた事業承継対策

事業承継を実施する場合、自社株の引き継ぎ時に相続税もしくは贈与税が発生します。このような税負担は、株価が高ければ高いほど大きくなるため、株価の高い優良企業では株価の引き下げ対策が必要になる場合があるのです。

株価を引き下げる方法はさまざまですが、「株式交換」を用いることでも課税対象となる株価を引き下げることができます。これは、株価の高い企業と低い企業を2社経営している場合に活用できる株価対策です。株式交換によって、株価の低い企業を親会社に、株価の高い企業を子会社にします。

そうすることで、株価の低い親会社のみが課税対象となるのです。ただし、このような方法は、あまり実施例がありません。そのため、場合によってはトラブルが発生する恐れもあります。株式交換を用いた株価対策を行う際には、必ず専門家に相談しましょう。

②株式交換以外の株価引き下げ対策

最後に、株式交換以外の株価引き下げ対策をご紹介します。株価の引き下げに最も効果的な対策が「生命保険への加入」です。

生命保険に加入した直後は、生命保険の価値がゼロとみなされる場合があり、株価が下落します。そのタイミングで自社株を引き継ぐことで、通常よりも税負担が軽く済むのです。

また、経営者に役員退職金を給付する方法も効果的です。役員退職金を支払うと、その金額分利益が少なくなります。利益が少なくなれば、株価が下がります。株価が下がったタイミングで株式を引き継げば、税負担を軽減できるのです。

このように、株価を引き下げる対策にはさまざまな方法があります。どの方法を用いてもある程度の節税効果が期待できるため、株式交換の活用も含めて、さまざまな株価引き下げ対策を検討しましょう。事業承継の対策について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

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事業承継の株価算定

まとめ

今回は、株式交換と株価の関係についてお伝えしました。株式交換は、完全子会社化を目的に活用される手法です。効率的にM&Aを遂行できる反面、株価の変動が生じやすい手法でもあります。株式交換は、非常に専門的な取引です。

実際に株式交換を実行する際は、M&A総合研究所のようなM&A専門の税理士や弁護士が在籍する仲介会社に相談することをおすすめします。要点をまとめると、下記の通りです。

・「株式交換」とは
→全発行済株式を既存他社に移転するM&A手法

・株式交換の手続き
→株式交換契約の締結⇒事前開示⇒特別決議⇒反対株主の買取請求と債権者保護⇒事後開示

・適格株式交換とは
→非課税でM&Aを実行する方法

・株式交換のメリット
→独立性を維持したまま実行できる、資金力がなくても実行できる、株価の上昇も期待できる

・株式交換のデメリット
→株式の現金化が困難である、部分的な買収ができない、株価が下落するリスクがある

・株式交換比率とは
→子会社の株主に対し、持ち株数に応じて割り当てられる親会社の株式比率

・株式交換を用いた株価引き下げ
→株価の低い企業を親会社に、高い企業を子会社にして株式交換を行う

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