2020年11月20日更新会社・事業を売る

株式取得とは?方法やメリット・デメリット、買収先が株式取得を望む理由を解説

株式取得とは、売り手企業の株式を取得して、M&Aを実施する手法です。株式取得には、株式譲渡や新株引受、株式交換などの手法があります。株式取得には、後継者問題の解決や経営権の掌握が比較的簡単であるメリットがあります。

目次
  1. 株式取得
  2. 株式取得とは?株式取得の意味
  3. 株式取得の方法と種類
  4. 株式取得の流れ
  5. 自社株を取得する際の手続き
  6. 株式取得のメリット・デメリット
  7. 株式取得と株式比率
  8. 株式取得の注意点
  9. 買収先が株式取得を望む理由
  10. 友好的買収と敵対的買収
  11. 株式取得の仕訳と会計処理
  12. まとめ
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株式取得

株式取得

M&Aは、買収、合併、会社分割、資本提携の4つに分類できます。さらに買収については、売り手の株式を買い占めて経営権を掌握する株式取得と、売り手における事業の一部を買収する事業譲渡に分けられます。

会社を丸ごと買い手に承継するのが株式取得で、事業を部分的に譲渡するのが事業譲渡です。本記事では株式取得に注目し、解説していきます。

株式取得とは?株式取得の意味

株式取得とは?株式取得の意味

株式取得とは、売り手企業の株式を取得し、買収を実施するM&Aの手法です。一般的に、シンプルで代表的な方法と考えられています。会社名をはじめ、資産や債務権利、契約関係など会社の全てを引き継ぎ、株主が変わる以外には大きな変化がないです。

また、個別に結んだ契約内容もそのまま承継可能で、時間やコストをおさえられるので、さまざまな場面で役立っています。しかし、企業を丸ごと引き継ぐため、買収した後に簿外債務などが発見されるケースがあります。

その場合、時間とコストを削減して買収したのに、かえって費用が高くなります。従って、健全な財務状況を維持する売り手企業を選ばなければ、株式取得が失敗しかねません。株式取得を活用する際は、デューデリジェンスと呼ばれるリスク調査を実施する必要があります。

その際にはぜひ、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロが業界最安値の水準でM&Aをフルサポートいたします。相談は無料なので、気軽にお問い合わせください。

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株式取得の方法と種類

株式取得の方法と種類

株式取得は、売り手の株式を買い取って会社を買収します。具体的な手法は、以下の3種類に分類できます。それぞれの特徴を知って適切に使い分けるようにしましょう。

①株式譲渡

既に発行されている株式を譲渡して、会社の経営権を掌握する株式取得の手法です。売り手企業の株式を大部分買い占めた状態で会社自体を承継し、一般的に売り手企業の株式を50%保有すれば買収や子会社化が実現します。

また、2/3以上の株式を保有すると、株主総会での特別会議を独自に実行できるようになり、経営の実権をさらに掌握できます。仕組みや手続きがシンプルなので、株式取得の中で頻繁に使用される方法です。

対価として現金が手に入るので、定年を悠々自適に過ごせるハッピーリタイヤが可能になります。また、株式譲渡は、後継者問題を解決できる手法としても注目を集めています。

②新株引受

発行済み株式を譲渡する株式譲渡に対して、新規に発行する株式を買い占めるのが新株引受です。売り手が新たに株式を発行し、買い手がそれを買い占めます。そうすることで株式の大半を所有し、会社の所有権を握れます。

株式譲渡との違いは、株式取得の対価が現金ではなく株式払込金である点です。基本的に資本の強化や財務状況の見直しなどを目的に実施されます。そのため、株式譲渡とは異なり、ハッピーリタイヤには不向きです。

それ以外に、売り手の規模が大きい企業や株主が分散している企業に対して、株式譲渡で買い占めた株式だけでは保有率が足りないときに、新株引受が活用されます。

③株式交換

株式交換では、売り手の発行済み株式の一部や全てを買い手に買収させます。その結果、売り手は買い手の子会社になり、完全親子会社関係が成立します。株式交換は、経営悪化や新たな事業参入を目的に、会社を立て直す際に活用できる株式取得の手法です。

以上、株式取得の種類について解説しました。株式取得は、いずれの手段も売り手の株式を買い手が買い占める点では共通していますが、目的が異なっています。

※関連記事

株式譲渡とは?メリット・デメリット、M&A後の社員や税務を解説

株式交換とは?メリット・デメリット、M&Aでの活用や自己株式の消却について解説

株式取得の流れ

株式取得の流れ

株式取得の流れは、上場会社と非上場会社で異なっています。それぞれの違いを把握すれば、株式取得の内容について、さらに理解を深められるでしょう。

①上場会社の株式取得

上場会社の場合、株式は市場に公開されているので、株式取得の際は一般的な投資家のように好きな銘柄を好きなだけ購入します。ただ、M&Aでは、会社同士の合意に基づいてTOB(株式公開買い付け)を実行するケースがほとんどです。

TOBは市場外で行われる株式取得のことをさし、会社同士が株式の価格や取得株数を決めたうえで実行されます。実施されるケースは、必要な株式取得に手間がかかる場合や、発行されている株式の1/3以上を取得する場合などです。

敵対的買収の場合は、TOBと市場での株式取得を組み合わせることが多いですが、市場での株式取得だけで買収するケースもあります。

②非上場会社の株式取得

非上場会社の場合、株式が市場に公開されていないため、株式取得には手間がかかります。基本的に非上場会社は株式の売買に対応していないので、取得自体が不可能なケースも珍しくありません。

また、株式の取得が可能でも、非上場会社の株式は譲渡制限株式であるケースが多く、取得には株式を発行する会社の株主総会で承認を得る必要があります。

自社株を取得する際の手続き

自社株を取得する際の手続き

株式取得は、ほかの会社を買収するケース以外に、自社株を取得するのにも用いられます。自社株を取得する際の手続きは、特定の株主から取得する場合と、株主を特定しないで取得する場合の2種類に分かれます。

①特定の株主から取得する手続き

  • 株主総会で決議する5日前までに、全ての株主に売主追加請求の行使について知らせる
  • 株主総会の特別決議で取得する自社株の種類・株式数や株式取得が認められる期間などについて定める
  • 株主総会の特別決議の結果をもとに取締役会の決議で取得する自社株の種類・株式数や取得する際の対価の総額について決定する
  • 取締役会における決定事項を株主に通知する
  • 自分が保有する株式の譲渡を希望する株主は、株式の種類と数を決めて申し込む。申し込まれた会社が意思表示をしなければ承諾されたことになる

②株主を特定しないで取得する手続き

  • 株主総会の普通決議によって、取得する自己株式数や株式を取得できる期間などを定める
  • 株主総会の普通決議にしたがって、取得する自己株式数や取得の引き換えに交付される総額などを決定し、株主に対して自己株式取得における決定事項を通知する。
  • 自分が保有する株式の譲渡を希望する株主は、株式数を決めて申し込む

株式取得のメリット・デメリット

株式取得のメリット・デメリット

株式取得には魅力的なメリットがある一方で、見落としてはならないデメリットもあります。株式取得を効果的に実施できるよう、長所と短所を事前に確認しておきましょう。ここからは、株式取得のメリットとデメリットをご説明します。

①株式取得のメリット

  • 手続きが簡単で、後継者不足の問題をスムーズに解決できます
  • 株式譲渡は売却の対価が現金なので、高齢や体調不良で会社を承継した際に老後の資金を得られます
  • 買い手は個別の契約を結び直す必要がなく、簡単に会社の経営権を握れます
  • 株式を買い占める割合によって、経営権掌握の度合いを調整できます。双方の持株比率によって、柔軟な資本設計が可能です
  • 会社の立て直し・再編・事業拡大を図れます。売却や傘下参入によって、資金面に余裕が生まれます
  • 買い手は、取引先のネットワーク、サービス、商品の振り幅などが増え、事業拡大につながります

②株式取得のデメリット

  • 会社全体を引き継ぐので、特定事業の所有権のみを保有できません。事業の一部を保有したい場合は、事業譲渡と呼ばれる手法を使いますが、取引ごとに契約を結び直す必要があります
  • 会社自体が全て買い手企業に譲渡されるので、その後の経営方針に現在のオーナーが納得できないケースも生じます。社風も変わる可能性があり、従業員が窮屈な思いをしかねません
  • 中小企業は株主の多くが身内ですが、株主が分散しているケースもあります。その際には株式を集約する手間がかかります
  • 売り手を譲渡するとき債権も承継されるため、簿外債務によって買い手が損するリスクがあります。そのため、買収する前には徹底的な事前調査が必要です

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株式取得と株式比率

株式取得と株式比率

株式取得の際、経営陣が意識すべき要素が株式比率です。株式比率は持株比率とも呼ばれ、株主が所有する株式比率のことをさします。株主は株式比率によって得られる権利が異なり、株式比率と株主の権利は以下のように推移します。

  • 株式の1%以上:株主総会における議案提出権を獲得
  • 株式の3%以上:株主総会の招集・帳簿の閲覧が可能
  • 株式の1/3以上:特別決議を拒否することが可能
  • 株式の1/2超:株主総会の普通決議が可能。特別決議は通せないが、この段階から会社内で一番の権力を持つようになる
  • 株式の2/3以上:株主総会の特別決議が可能。会社内の重要な事柄を決定できる。会社のオーナーであれば、株式比率を維持することが重要
  • 株式の100%:会社を完全に支配している状態

株式比率によって株主が得られる権利は大きく変わり、経営者は株式比率を意識しながら株数をコントロールする必要があります。

株式取得の注意点

株式取得の注意点

株式取得では主に株式比率について、注意すべき点があります。株式取得によって損をしないように、最低限2つのポイントを押さえておきましょう。

①意思決定のスピードが遅くなる

株式比率は株主の権利と直結しており、株式数を多く保有する株主が大きな権力を持ちます。株式数が発行済み株式全体の1/3以上を持つ株主は、経営に対して一定以上の影響力を及ぼします。

株式会社である以上、株主の権利や利益を保護するのは義務であり、経営に影響力を持つ株主にとって重荷になるリスクがあります。例えば、経営陣が迅速に進めたい経営改革があったとしても、株主が議案に反対すれば実行できません。

対立した株主は、会社の意思決定のスピードを低下させます。そのため、上場会社の中には、MBOによって非上場会社となり、短期的な利益を求める株主を切り捨てるケースもあります。

②後継者の支配権が弱まる

非上場会社であることが多い中小企業も株式比率に注意しましょう。株式比率は、事業承継の際にとりわけ大きく影響します。経営者は、後継者に経営権を獲得できるだけの株主を承継させますが、ほかの株主に株式が分散すると後継者の支配権が弱まります

そのため、非上場会社の中小企業であれば、後継者に可能な限り株式の100%を承継させ、難しい場合は最低でも2/3以上を引き継ぎましょう。これを実現するには、確実に後継者に株式を承継できるよう、経営者はさまざまな手段を活用する必要があります。

事業承継の手段に相続がありますが、遺留分減殺請求などで親族に分散される恐れがあるため、贈与や譲渡といった手段を組み合わせたほうがいいでしょう。

買収先が株式取得を望む理由

買収先が株式取得を望む理由

M&Aの手法は多数存在し、いずれもデメリットを兼ね備えています。近年、求人倍率が高く人手不足が深刻化しているため、買収時に再度雇用契約を結び直すと、その機会に従業員が転職して人材が減る可能性があります。

そのようなリスクを回避するために、個別契約を再度結ぶ必要がない株式取得を選択するケースもあります。 

友好的買収と敵対的買収

友好的買収と敵対的買収

株式取得は買い手が売り手の株式を買い占める手法です。株式の買い占めにはいくつか方法があります。双方の会社が合意して株式を譲渡する友好的買収と、売り手側の役員の同意なしに買収をしかける敵対的買収の2種類です。

日本の企業で実施されている株式取得は、友好的買収がほとんどです。しかし、ごくまれに敵対的買収をされる事例があります。対策として、自社株を自社で保有しておく自社株取得が活用されています。

自社の持株保有率を高めることで、経営権を獲得するのに必要な株式数をほかの企業に奪われずに済むからです。さらに、自社株を買収するほど株価を上昇させやすく、買収に必要な資金の引き上げによって株式公開買付のハードルを高められます。

株式取得の仕訳と会計処理

株式取得の仕訳と会計処理

株式取得の仕訳と会計処理はどうなっているのでしょうか?株式取得をした場合、会計処理は買い手・売り手によって異なっています。買い手と売り手に分けて、仕訳と会計処理について説明します。

①買い手の仕訳と会計処理

買い手の場合、株式を取得した量によって仕訳と会計処理は変わります。もし、支配権を獲得できるまで株式取得した場合、株式取得は子会社株式という勘定科目に計上します。

1/3超の株式を取得した場合は関連会社株式、売り手の意思決定に影響を及ぼさない株式数を取得した場合は、投資有価証券の勘定科目に計上します。

②売り手の仕訳と会計処理

売り手の場合、支配権や影響力の度合いに応じて計上した勘定科目から株式の取得原価を控除し、株式の売却対価との差額を売買損益に計上していきます。

まとめ

まとめ

株式取得は、M&Aの中でも比較的簡単に行える手法です。ただし、リスクを減らすためにもデューデリジェンスに力を入れる必要があります。買い手、売り手ともに、それぞれの条件に一致した企業との取引が重要です。株式取得を検討の際は専門家を活用しながら実施しましょう。

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