M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年4月12日更新会社・事業を売る
業務提携と資本提携の違いとは?メリットとデメリット・M&Aとの相違点も解説
混同されがちな経営施策として業務提携、資本提携、資本業務提携があります。特に業務提携と資本提携には大きな違いがあり、厳密な区別が必要です。あらためて、それぞれの具体的な手法やメリット・デメリット、事例などをわかりやすく紹介します。
目次
業務提携と資本提携とは
一見すると似たように感じますが、業務提携と資本提携には会社経営上、大きな違いがあります。その違いをよく理解するためにも、それぞれの意味と、そのほかにも類似する別の経営施策との比較を見てみましょう。
業務提携の定義
業務提携とは、資本の移動を伴わないまま企業が共同で事業を行うことをさします。平たくいえば、経営組織の異なる別会社同士が共同事業をするものです。
通常は、別会社同士であれば利害が対立する関係ですが、お互いのリソース(資金、技術、ノウハウ、アイディア、人材など)を出し合うことを約定し、それによってシナジー効果を得て単独で事業を行うよりも大きな業績を出すことを目指すのです。
この場合の事業とは、業種、業態、各会社の事情などによって、さまざまな取り組みが考えられます。業務提携は内容によって、以下の3種類に分けられます。
業務提携種別 | 概要 | 業務提携例 |
---|---|---|
技術提携 | 特許やノウハウ、設備などの技術資源を共有利用する | 共同開発・研究、ライセンス契約 |
生産提携 | 製品製造工程の一部を相手方に委託する | 製造委託、OEM契約 |
販売提携 | 販売チャネル・人材の活用、または提供し共同販売 | 販売店契約、代理店契約、フランチャイズ契約 |
それぞれ詳しく説明していきましょう。
①技術提携
技術提携は、他社が持っている技術資源を自社の技術開発や製造、販売などに活用する業務提携です。技術提携には2通りの契約形態があり、それぞれライセンス契約、共同研究開発契約といいます。
ライセンス契約は、ライセンサーがライセンシーに対して契約条件の範囲内で、技術資源を自由に使用するのを許諾する契約です。
共同研究開発契約は、複数の当事者が特定の技術または製品の研究開発を分担し、協力して取り組んでいくことを目的として締結される契約です。
②生産提携
生産提携は、生産工程や製造工程の一部を委託し、生産能力を強化する目的の業務提携です。一般的に生産提携では、製造委託契約の形態で締結します。
契約で重要視されるのは、製品の仕様、品質レベル、原材料、製造数量、対価、検収方法などです。その理由は、欠陥製品ができた際に対応措置がないと、大きなトラブルになってしまうことによります。
なお、OEM契約も生産提携の1つです。これは、依頼主のブランド製品をメーカー側が製造する、あるいは依頼主がそのブランドの製品をメーカーに製造委託する契約をさします。
③販売提携
販売提携は、販売に関連する要素の強化・拡充を目的とした業務提携です。他社が有しているブランドや販売チャンネル、販売に必要な人材などの販売資源を活用します。
販売提携における主な契約形態は、販売店契約や代理店契約、フランチャイズ契約などです。販売店契約は、販売店が自分の名前と責任で仕入れた商品を、指定された範囲内で再販売し、在庫リスクを負担する契約のことをいいます。
代理店契約は、代理店がメーカーの代理となって商品を販売する契約です。フランチャイズ契約は、特定の商品、サービスの提供に関して独占的な権利を有しているフランチャイザーが、加盟店に対し独占的販売権を与え、加盟店は特約料を払います。
資本提携の定義
資本提携とは、端的にいうと資本参加です。資本の移動を伴うので、資本提携も広義のM&A(Mergers and Acquisitions)とされています。ただし、合併(Mergers)や買収(Acquisitions)などのように経営権に関わることはありません。
したがって、あくまでも該当会社の経営権は、従来どおりに保たれる範囲の比率にとどめた出資を行うのが、資本提携になります。その比率は、特別決議の単独否決が行えない3分の1未満とするのが一般的です。
資本提携の形式としては、経営規模の大きい方の会社など一方だけが出資するケースが多いですが、双方で出資し合う資本提携も行われています。なお、資本提携の具体的な方法としては、株式譲渡か第三者割当増資のどちらかです(両方同時もある)。
①株式譲渡
株式譲渡は主に、相対取引や市場買付、公開買付(TOB)があります。相対取引は、ある程度の株式を所有する株主より、株式を買い取る方法です。例えば、売り手側が非上場企業だった場合、株式譲渡は相対取引の手法となります。
相対取引は、株主ごとに株式の買取価格が変動するケースもあるので注意が必要です。市場買付は、売り手側の株式を証券取引所などで購入する譲渡方法となります。
発行済みの株式と、将来株式に変わる可能性のある潜在的株式の合計で5%を超えて購入した時点で、報告書の提出が必要です。市場買付は、買い手側の買付動向がわかりやすく、株価が上昇してしまう恐れもあり、資本提携のために必要な資金が高騰する可能性もあります。
公開買付(TOB)は、売り手側の株主に対して、株式の売り渡しを公募する形で募り、市場の外で株式を買い集める方法です。上場企業の株式取得に関する条件を満たす場合は、必ず公開買付を行う必要があります。
②第三者割当増資(新株引き受け)
第三者割当増資は、新規に発行する株式を特定の第三者に割り当てる方法です。既存の株主もそのまま株式を保有継続するため、新株を受け取る第三者は大きな影響力はありません。
したがって、第三者割当増資は支配権獲得を目的としない資本提携と相性が良い方法です。他にも、新株予約権の行使といった方法があります。新株予約権は、会社が発行予定の新株を、決定済みの価格で購入できる方法です。
資本提携の形態
資本提携とは、企業がお互いに株を持ち合ったり、片方がもう片方の株を買うような形で協力することです。このやり方で、企業は強力なパートナーシップを築けます。
例えば、ある企業が別の企業の株を一定の割合以上(よく20%がその基準とされます)持つと、その企業に対して何らかの影響力を持つことが可能です。だから、お互いにどれだけの株を持つかは慎重に考えないといけません。資本提携が進むと、両社は「お互いの成功も自分たちの成功」という考え方になります。その結果、協力がより強固になると期待されます。
また、大企業がスタートアップ企業の株を買うというケースもよくあります。これはスタートアップにとっては大きなメリットで、大企業の支援を受けられるだけでなく、「大企業が信頼している企業だ」という評価も得られます。
資本提携のほうがシナジー効果は高い
資本提携では、直接的な経営権への関与はないとはいえ、出資側は大株主に該当します。また、業務提携の当事者と比べれば、入手できる内部情報に格段の差があるのは歴然です。
つまり、業務提携での当事者同士と、資本提携での当事者同士を比較したとき、資本提携の当事者同士で行う共同事業のほうが、得られるシナジー効果は高くなります。
業務提携と資本提携、経営統合、合併の違い
業務提携と資本提携には、ほかにも類似して考えられがちな経営施策として、経営統合や合併があります。経営統合とは、ある会社間の経営を連動化させるために持株会社を設立し、当時会社はその持株会社傘下になることです。
世間でよく聞かれる「~ホールディングス」といった社名の会社は、この持株会社になります。当時会社同士は、同じ親会社(持株会社)の下に存在するグループ会社となり、そのつながりは資本提携よりも強いといえるでしょう。
一方、M&Aの代名詞でもある合併とは、複数の会社組織を1社に統合する方法です。会社組織として残る会社を存続会社、吸収される会社を消滅会社といいます。
合併には新設合併や吸収合併の種類があり、それぞれの手続きや合併方法は異なります。いずれにしても当時会社が1社に統合され、ここで挙げた4種のなかで最も結びつきが強い傾向です。
以下の表に業務提携、資本提携、経営統合、合併の違いを端的に示します。
資本関係 | 会社の経営状態 | |
---|---|---|
業務提携 | なし | お互いに独立している |
資本提携 | あり | お互いに独立しているが出資側は株主でもある |
経営統合 | グループ会社 | 同じ持株会社傘下の子会社(兄弟会社) |
合併 | 一体化 | 存続会社以外は吸収され消滅する |
業務提携・資本提携とM&Aの違い
資本提携、つまり企業がお互いの株を持ち合って協力する方法は、成功するとさらに強いパートナーシップが築けます。その成功が明らかになれば、将来的には両社が完全に一つの会社になる可能性も考えられます。このように、資本提携は企業が合併する前の「お試し期間」のようなものとも言えます。
資本提携のメリットは、お互いの企業がどれだけうまく働くかを試す安全な方法である点です。企業が完全に一体化するよりもリスクは少ないですし、いつでも手を引くことができます。
簡単に言えば、資本提携は将来的な合併や買収(よくM&Aと呼ばれます)への第一歩と見ることも可能です。
業務提携と資本提携のメリット・デメリット
ここでは、業務提携を行うことによるメリット・デメリットをみていきます。
業務提携のメリット
業務提携を結ぶことのメリットは、他社の経営資源やノウハウが活用できるため、新事業や技術開発などに対して有効なシナジー効果が得られ、同時にリスクを軽減できる点が挙げられるでしょう。
シナジー効果が得られる点だけを見るならM&Aも同様ですが、業務提携はあくまで別々の企業同士の契約によって成立するものであり、買収や合併などを行うための資金を用意する必要がありません。
また、業務提携は比較的緩やかな関係であるため、終了させるのも当事者の判断で簡単にできます。いい意味で互いを束縛し過ぎない点も、業務提携のメリットといえるでしょう。
業務提携のデメリット
業務提携のデメリットとしては、企業が有しているノウハウや技術などが流出してしまうリスクが挙げられます。業務提携は、良くも悪くも企業同士がお互いにノウハウや技術などを提供し合うことです。
したがって、企業の貴重な財産であるノウハウや技術などを、限定的であれ開示します。業務提携中はよいのですが、業務定期終了後、開示したノウハウや技術が流出してしまう可能性は捨てきれません。
実際に、業務提携の過程でノウハウが流出してしまい、結果的に訴訟に発展してしまった失敗例もあります。つまり、このデメリットを極力避けるために、情報管理をいかに相手方に徹底させるかがとても重要です。
資本提携のメリット
資本提携は、業務提携よりも強固な関係性を築きやすいため、財務や経営レベルで企業同士のシナジー効果を得やすい点がメリットです。出資した側には、業務提携では得られない内部情報が開示されます。
内部情報を知り得てこそ提案できる提携内容もありますから、その結びつきの強さが好影響をもたらすでしょう。一方、出資を受けた側としては、その出資金を新たな経営資金として活用できることは、大きなメリットです。
資本提携のデメリット
資本提携のメリットである出資側からの別視点による経営提案は、それが度を越せば他社からの経営介入となってしまいます。その意味で、出資側の提案があくまで提案で済むように、全体の3分の1を超えるような比率での出資は受けないようにしましょう。
また、将来的なリスクとしてあり得るのは、出資側が自社の意見を通すために敵対的TOBに転じることや、その逆で、資本提携の解消を求められ株式の買取要求をしてくることなどがあります。
いずれの場合も、その対応には資金面の準備も含め簡単なものではありません。したがって、資本提携を実施する際には、慎重な相手選びが求められます。
資本業務提携とは
業務提携と資本提携の違いが明確になったところで、次は、資本業務提携に関して確認しましょう。資本業務提携とは、資本提携と業務提携を同時に行うことです。対象会社に対しては資金注入を行い、提携先に対しては議決権を与えます。
したがって資本提携として出資した側は、提携先に対し議決権を持つので、ただの業務提携よりも強固な関係性の提携になります。
上場企業同士の資本業務提携では、相互に株を持ち合うことが多く、また、それとは違う形式として、共同出資で合弁会社を設立する例もあり、これも資本業務提携です。
なお、一方が非上場の中小企業であった場合、将来的には完全子会社となることを視野に入れた1つのプロセスとして、資本業務提携が実施される場合もあります。
資本業務提携のメリット・デメリット
ここまで概要を説明してきましたが、経営者にとって資本業務提携のメリット・デメリットが気になるところでしょう。ここでは、企業が資本業務提携を行った場合のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
資本業務提携のメリット
資本業務提携は、契約関係のみで結ばれるケースと比較して、はるかに強固な企業関係が作られるといえるでしょう。長期的かつ戦略的に重要なアライアンスを行う際は、資本業務提携を行うケースが多く見られます。まずは、資本業務提携のメリットは以下の3つです。
①成長速度の向上
資本業務提携のメリットとして、時間を買うといった表現をされる場合が多くあります。なぜなら、単独で本業の強化や新規参入など、多角化経営の手間を資本業務提携によって、対価で購入するのを意味するからです。
一から事業を組み立てていくのは、相当な時間がかかります。しかし、経営資源を持っている企業と資本業務提携をすれば一気に事業が進むため、利益の獲得機会を逃さずに済むといったメリットが得られるのです。
②経営資源の吸収
自社だけでは早期の獲得が難しい経営資源の場合、資本業務提携で獲得できます。獲得可能な主な経営資源は、技術資源や生産資源、販売資源、人材資源です。
技術資源の内容は、製品技術、生産技術、ノウハウ、特許などが挙げられます。 生産資源の内容は、工場、設備、生産システム、生産のノウハウなどです。
販売資源の内容は、販売チャネルや店舗、倉庫、ブランド などが挙げられるでしょう。人材資源の内容は、経営者や研究者、技術者、販売員です。
③シナジー効果の獲得
資本業務提携は、資本提携における財務的支援や経営への参画と、業務提携におけるお互いのノウハウや技術などの提供を同時に行うため、それぞれのメリットをうまく活用して高いシナジー効果を得られるでしょう。
得られるシナジー効果も多種多様なものが想定され、大きく分類するとそれは以下の4種です。
- 売上シナジー効果:ブランド効果、販売チャネル増強、アップセリング、クロスセリングなど
- コストシナジー効果:営業・生産拠点の統廃合、価格交渉力アップ、販売管理費削減など
- 研究開発シナジー効果:技術・ノウハウの融合、投資増強など
- 財務シナジー効果:他人資本を削減し調達余力を持つなど
資本業務提携のデメリット
資本業務提携のデメリットは、一度構築した関係は強固であるため、ただの業務提携と比べて解消が簡単ではない点が挙げられます。
相手の企業に一定以上の経営参加権を与える提携であるため、出資比率を調整しておかないと、不必要な発言権を与えてしまうこともデメリットです。
資本業務提携の手続きを行う流れ
資本業務提携契約を結ぶ際の手続きに関して見ていきましょう。資本業務提携の手続きは、手法によって異なりますので、それぞれ解説します。
①業務提携契約
業務提携は、企業の成長スピードを加速させるため、強い関係性を構築できます。そのため企業が事業を行う際に、パートナー企業の資金、技術、人材などの経営資源を獲得し、シナジー効果を得る方法です。
協力関係の内容としては、研究、製品開発や生産、マーケティング、販売、資金調達、人材交流などさまざまな分野があります。そのため、業務提携を行う場合に業務提携契約を締結するのです。
業務提携契約に関して基本となる内容は以下となります。
- 定義
- 実施許諾
- 制約条件
- 経営資源の対価
- 保証と補償
- 終結
②株式譲渡契約
株式譲渡は、売り手側と買い手側の株式売買に関して合意する契約です。株式譲渡の取引は、最終的に実行に至るまでにある程度の期間を要するため、単純な売買契約とは異なる側面があります。
実質的な対象物は会社であり、経営している中で内容が刻々と変化することから、さまざまな規定が設定されているのです。また、従業員や取引先に関して多くの条項が決められています。
株式譲渡契約で定められている条項は、基本的には以下の内容です。
- 取引に関する概要
- クロージングの前提条件の規定
- 表明および保証の規定
- クロージング前とクロージング後の義務
- 補償・損害賠償
- 解除
③第三者割当増資契約
第三者割当増資は、特定の第三者に対して募集株式の申込み勧誘、割当てを行う手法をいいます。第三者割当増資で締結される契約は、株式引受契約です。
株式引受契約では、割り当てる株式の種類、数、払込金額などの発行条件に関して合意がなされるのです。
業務提携と資本提携のリスク・注意点
業務提携や資本提携、資本業務提携を行う際に、注意点がいくつかあります。まず、共通するのは情報管理と提携解消の難易度です。また、資本提携と資本業務提携に関しては出資比率も注意が必要でしょう。
【共通】情報管理
業務提携では、企業が所有するノウハウや技術などを、資本提携では機密情報など含めた全てを提携先の企業に開示する可能性が非常に高くなます。
資本業務提携にも通ずることはいうまでもなく、重要な情報が流出するリスクが非常に高い傾向です。したがって、お互いにどれだけの情報を開示するかを事前にしっかり定めておく必要があります。
ただし、厳しすぎる情報管理は提携交渉をスムーズに進められない原因にもなります。将来的にM&Aによる経営統合を目指しているような場合には、許容範囲をできるだけ広げておくとよいでしょう。
【共通】提携解消の難易度
業務提携から資本提携、そして資本業務提携と関係性をより強固にしていくことで、提携の解消はどんどん難しくなります。特に資本提携や資本業務提携では、出資側はある程度の議決権を持っている状態です。
業務提携であれば、必要性を感じなくなった段階で比較的簡単に提携を解消できますが、資本レベルで結びついている資本提携や資本業務提携は、そう簡単には解消できません。
したがって、資本提携や資本業務提携を行う際は、お互いの提携が長期的に持続できるか判断したうえで実施しましょう。そのためには、提携先となる相手選びが重要となりますので、M&A仲介会社などに相談するのをおすすめします。
【資本提携および資本業務提携】出資比率
資本提携や資本業務提携では、出資側は議決権を持ちます。M&Aとは異なり、資本提携や資本業務提携は支配権の獲得を狙うものではありませんが、一定以上の議決権を与えることには多少なりともリスクはあります。
したがって、提携をする段階で十分に考慮したうえで出資比率を定め、そのように提携先と交渉するのが非常に重要です。
業務提携と資本提携の最新事例
業務提携と資本提携といっても、企業同士の提携はさまざまな目的があります。ここでは、業務提携と資本提携の最新事例をそれぞれ紹介していきましょう。
①商船三井と北拓の事例
2024年1月、商船三井は北拓の過半数の株式を取得し、資本提携を行いました。
商船三井は世界に約800隻の船舶を運航する世界有数の海運会社です。対象会社の北拓は国内最大手の風力発電メンテナンスの会社です。2017年より商船三井は北拓と協議を行い、風力発電業界への参入をスタートしていました。
今回のM&Aにより、非海運事業のさらなる成長拡大を目指します。
②⼤⽇本印刷株式会社とラトナの事例
⼤⽇本印刷とラトナは、2021年8月に資本業務提携を締結しました。ラトナは、IoTやエッジコンピューティングの分野で高い技術を有する会社です。
⼤⽇本印刷は、情報コミュニケーション部門、生活・産業部門などを手掛けています。今回の提携は、⼤⽇本印刷の「P&I(印刷と情報)」の強みと、ラトナの強みを掛け合わせるのが目的です。
高度な情報セキュリティや安価な運⽤コストといったエッジコンピューティングの特⻑を生かし、事業領域の拡大と物や顔の画像認識などの多様な課題解決を目指します。
③パラカと伊藤忠商事の事例
パラカと伊藤忠商事は、2021年8月に資本業務提携契約を締結しました。パラカは、駐車場の運営、管理業務、駐車場の運営、管理に関するコンサルティング、資産運用・資金調達に関するコンサルティングなどの事業を行う会社です。
伊藤忠商事は、繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、金融などさまざまな分野で、国内、輸出入、事業投資などを手掛けています。
今回の提携により、パラカが有する豊富な不動産情報や事業ノウハウを相互活用するなど協力関係を強化し、新たな事業機会の創出を目指します。
④日本郵政グループと楽天グループの事例
日本郵政、日本郵便と楽天は、2021年3月に資本業務提携を行いました。日本郵政グループは、全国にある郵便局や物流のネットワークを基盤として、生活に必要な社会インフラの事業を行っています。
楽天グループは70以上のサービスと1億以上の楽天会員を保有し、ECや通信事業者としてさまざまな事業を行っている会社です。
この提携により顧客の利便性の向上や事業の拡大を目的とし、両社グループの経営資源や強みを生かしたシナジー効果の最大化を目指します。
⑤ブシロードとブロッコリーの事例
ブシロードとブロッコリーは、2020年11月に資本業務提携を行いました。ブロッコリーは、コンテンツメーカー・リアルグッズメーカーとして事業を手掛けています。
ブシロードとブロッコリーは事業モデルや商材が似ており、ターゲットとするファン層の重なりもあるため、効率的な連携によって利益の拡大も可能です。
この提携により、両社はデ・ジ・キャラットのリブートプロジェクトの展開など古巣の人気コンテンツの復活を目指します。
⑥日総工産とクロスコンパスの事例
日総工産とクロスコンパスが、2020年9月に資本業務提携を結びました。日総工産は、製造業分野におけるAIの開発や技術コンサルティングを行う会社です。
そしてクロスコンパスは、製造業分野における顧客の課題解決に向けたAIの開発や技術コンサルティングを手掛けています。
今後は製造現場でも、自動化やAI導入の動きはさらに加速するとされているのです。今回の提携により、両社の強みとノウハウを生かしたデジタル化による製造現場の生産性や品質の向上を目指します。
⑦セブン・フィナンシャルとフィンプラネットの事例
セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン・フィナンシャルとフィンプラネットは、2020年7月に資本業務提携を締結しました。セブン・フィナンシャルは、金融商品の開発・提供を行うデータマーケティング事業を行っています。
フィンプラネットは、保険・資産運用に関する消費者向けアドバイスを提供している金融会社です。今回の資本業務提携により、サービスや経営資源とのシナジーを創出、顧客の利便性・満足度の向上を目指します。
⑧日本電信電話(NTT)とトヨタ自動車の事例
日本電信電話(NTT)とトヨタ自動車は、2020年3月に業務資本提携に関する合意をしました。両社間では、すでにコネクティッドカー分野での協業を行っています。
今回の提携の目的は、両社の更なる協力関係構築として、スマートシティの事業化、長期的かつ継続的な協業関係の構築です。スマートシティ事業は、今後さらに注目される領域の一つであり、共同で運営し、国内外に展開を図っていきます。
⑨伊藤忠商事とクーガーの事例
伊藤忠商事とクーガーが、2020年1月に資本業務提携の合意をしました。クーガーは、オンラインゲームの開発や、画像認識AI・ブロックチェーンなどの最先端技術の開発実績を持っています。
今回の資本業務提携は、伊藤忠商事の強みである生活消費関連・介護・教育・エンタメなどの幅広い分野のネットワークと、クーガのAIエージェントの強みを生かし、課題解決や新たなサービス開発に取り組むとしています。
業務提携と資本提携のまとめ
業務提携と資本提携は、それぞれの特徴やメリット・デメリットが異なります。その点をよく理解し、自社と相手企業にとって最良な提携方法を選ぶことが重要です。
また、業務提携と資本提携を同時に行う資本業務提携もあり、最終的にはM&Aによって経営統合を行うケースも少なくありません。資本提携は広義のM&Aであり、その段階からM&A総合研究所のようなM&A仲介会社へ相談するのをおすすめします。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。