2021年6月1日更新会社・事業を売る

民事再生法とは?条文、手続きや費用、JALとレナウンの事例も解説

民事再生法とは、事業あるいは経済生活が窮境にある場合に再生を目指すことを目的とした法律です。会社だけでなく個人にも適用されますが、活用する際はメリットだけでなくデメリットも把握しておくことが大切です。当記事では、民事再生法の条文、手続きや費用を解説します。

目次
  1. 民事再生法とは?
  2. 民事再生法の条文
  3. 民事再生法の手続き方法
  4. 民事再生法の費用
  5. 民事再生法の手続きをしたスカイマークの事例
  6. 民事再生法の手続きをしたレナウンの事例
  7. 会社更生法の手続きをしたJALの事例
  8. 民事再生のメリット・デメリット
  9. 会社の再生を検討・相談におすすめの仲介会社
  10. まとめ
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民事再生法とは?

民事再生法とは?

民事再生法とは、事業または経済生活が非常に苦しい状態にある債務者の再生を目的とする法律です。

民事再生法には債務者の範囲に関する制限は設けられていないため、法人(株式会社など)だけでなく、個人でも活用することができます。

また、民事再生法は主に中小企業の利用を想定されて定められた法律ですが、実際には大手の上場会社でも活用された事例もあります。

民事再生法と混同しやすいものに会社更生法がありますが、会社更生法は株式会社のみに適用されます。民事再生法を活用する場合は経営陣が退任する必要はありませんが、会社更生法の場合は経営陣全員が退任しなければなりません。

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民事再生法の条文

民事再生法の条文

民事再生法は、1999年(平成11年)12月22日に公布された倒産法のひとつです。民事再生法は全15章(全266条)から成り立っています。民事再生手続きに必要な再生計画などについては、第2章以降に定められています。

開始だけでなく棄却要件についても定められているため、民事再生法の活用を検討している際は、専門家に相談のうえ進めることをおすすめします。

【民事再生法】

  1. 総則
  2. 再生手続の開始
  3. 再生手続の機関
  4. 再生債権
  5. 共益債権、一般優先債権及び開始後債権
  6. 再生債務者の財産の調査及び確保
  7. 再生計画
  8. 再生計画認可後の手続
  9. 再生手続の廃止
  10. 住宅資金貸付債権に関する特則
  11. 外国倒産処理手続がある場合の特則
  12. 簡易再生及び同意再生に関する特則
  13. 小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則
  14. 再生手続と破産手続との間の移行
  15. 罰則

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民事再生法の手続き方法

民事再生法の手続き方法

民事再生法の適用を受けるためには、必要な手続きを踏まなければなりません。この章では、民事再生法の手続き方法を流れに沿って解説します。

【民事再生法の手続き方法】

  1. 民事再生手続を申し立てる条件を満たす
  2. 裁判所に相談する
  3. 民事再生手続開始の申立てを行う
  4. 保全処分の発令される
  5. 監督委員の専任する
  6. 債権者への説明する
  7. 手続開始の決定
  8. 財産目録や報告書などを提出する
  9. 債権者の債権届出
  10. 認否書の提出期限
  11. 一般債権調査期間の開始
  12. 再生計画案を提出する
  13. 監督委員による報告書の提出期限
  14. 債権者集会の招集決定
  15. 書面投票の実行
  16. 債権者集会・認否決定
  17. 認否決定が確定される

1.民事再生手続を申し立てる条件を満たす

まずは、民事再生法の手続きは申し立てる条件を満たしているかどうかを確認します。主な条件には以下があり、これらを満たしていれば申し立てを行うことができます。

【民事再生法の適用を申し立てるための条件】

  • 民事再生手続きが必要であると認められる原因があること
  • 債権者の賛成を得られるような再生計画案の作成が可能であること
  • 手続きに必要な費用や一定期間の運転資金があること
  • 税金や社会保険料などを滞納していない、あるいは滞納額が少ないこと
  • 繰越欠損金などにより債務免除額を相殺できること
なお、上記の条件を満たしていない場合は民事再生法の利用が難しくなることもあり、そのようなケースでは倒産や破産の手続きを検討しなければならないこともあります。

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2.裁判所に相談する

民事再生法を利用するための条件を満たしている場合、次は裁判所へ相談します。民事再生法による手続きは裁判所の許可が必要であるため、申し立てを行う1週間前くらいに事前相談をするのが一般的です。

3.民事再生手続開始の申立てを行う

いよいよ民事再生法手続き開始の申立てを行います。申し立ては必要書類を用意したうえで行いますが、その際に予納金を収めることになるため、併せて用意しておきます。

民事再生法の適用を受ける場合の予納金は各裁判所に問い合わせて確認しておく必要がありますが、例えば、東京裁判所では負債総額が5000万円未満の場合の予納金は200万円となっています。

予納金を一括で納めることが難しい場合は分割で納めることもできるので、裁判所に問い合わせてみるとよいでしょう。

【民事再生手続開始の申立てに必要な書類】

  • 再生手続開始申立書
  • 弁護士に民事再生法適用申立を委任する旨の委任状
  • 定款
  • 再生手続申立に関する取締役会議事録
  • 会社の登記簿謄本
  • 債権者一覧表
  • 決算書類
  • 資金繰実績表(過去1年分くらい)
  • 今後の資金繰予定表(6か月分くらい)
  • 今後の事業計画の概要
  • 会社案内
  • 就業規則
なお、本社以外に営業所などがある場合はその所在一覧表、支店登記がなされている場合は管轄法務局の一覧表も用意します。

4.保全処分の発令される

民事再生法の申し立てが受理されたら、保全処分の発令がされます。保全処分とは、債務者が申立日までに生じた債権について、弁済及び担保提供の禁止を指示することです。

もし、債務者などの関係者に民事再生法の申し立てを行った情報が伝わってしまうと混乱が生じかねず、場合によっては債権者からの取り立て行為などが行われる可能性もあります。

そのような事態を避けるために保全処分の発令がされ、以降、債務者は債権者への支払いや担保の差し入れを行うことができなくなります。

5.監督委員の選任する

次は、監督委員を選任します。民事再生法の手続き開始後、保全処分の発令とともに監督委員の選任が行われます。

民事再生法における監督委員は、債務者と利害関係のない1人ないし数人の弁護士を裁判所が選任し、監督委員の同意が必要となる再生債務者の行為を指定します。

6.債権者への説明する

続いては、民事再生を行う旨を債権者に対して説明します。民事再生法の適用を受けて民事再生を進めるうえでは債権者の協力が不可欠であるため、説明会を開いて民事再生法の適用を受けるに原因、負債および財産の状況、今後の進め方(予定)などを丁寧に説明します。

7.手続開始の決定

ここまでの手続きを問題なく終えたら、民事再生の手続き開始の決定がなされます。もし、前述した債権者に対する説明会において反対者が多数いた場合などは、民事再生法適用の申し立ては棄却されます。

債権者からの反対が少なく、再生計画もしっかり策定できると判断されれば、1週間程度で民事再生手続き開始の決定がなされます。

8.財産目録や報告書などを提出する

民事再生の手続き開始が決定されたら、財産目録や報告書などを提出します。財産目録は裁判所や監督委員に会社の財産状況を把握してもらうために必要であり、そのほかにも貸借対照表や破産配当率表を提出します。

また、財務状況に関する書類のほかに報告書の作成も必要であり、以下の内容を記載して提出します。

【報告書に記載する主な内容】

  • 民事再生法による手続きを行うに至った理由
  • 債務者の業務や財産の経過と状況
  • 役員に対する損害賠償請求権や保全処分を必要とする事情の有無 など

9.債権者の債権届出

必要書類と報告書を提出したら、次に債権者の債権届出を行います。民事再生法における債権届出とは、自らの債権の発生原因・債権の種類・金額などを裁判所に届け出ることをいいます。

債権届出には期限が設けられているため、忘れずに行わなければなりません。届出のない債権については、債務者による自認がなされない限り手続きに参加することができず、失権する可能性があります。

10.認否書の提出期限

債権届出については債権が存在しているかどうか、またその金額がいくらなのかを調査し、認否書に内容を記載して裁判所へ提出します。

認否書には提出期限が設けられており、民事再生法による手続きの場合は、債権届出がされてから認否書の提出までを8週間以内に行わなければなりません。

11.一般債権調査期間の開始

続いて、般債権調査期間が開始されます。民事再生法における債権調査は、一般調査と特別調査とに分かれます。

そのうち、一般債権調査は通常の債権調査を指し、債権届出の期間内に届出が行われたかを調査・判断します。

12.再生計画案を提出する

次は、再生計画案を作成して裁判所へ提出します。民事再生法の適用を受ける会社は、再生計画案を一般調査期間の末日から数えて二月以内の日までに提出しなければならないとされています。

ただし、特別な事情がある場合は除くとされているので、期限内の提出が難しい状態であるならば、事前に問い合わせておくとよいでしょう。

再生計画案に記載する主な内容は、負債の具体的な返却方法や年数、会社のリストラ計画などがあり、これらを具体的にまとめる必要があります。

13.監督委員による報告書の提出期限

先に提出した再生計画案については、監督委員が裁判所へ意見を申し述べます。報告書は監督委員が申立日から16週間の間に裁判所へ提出しなければならないと定められています。

報告書の作成にあたり、債務者は監督委員やその補助をしている公認会計士などから質問を受けたり、必要事項の報告をする必要があります。

14.債権者集会の招集決定

再生計画案を提出したら、債権者集会の招集決定を行います。債権者集会は裁判所の管理下で開かれ、債務者と債権者以外に、裁判官・破産管財人弁護士・破産申立代理人弁護士などが出席し、再生計画案の可否を決定します。

15.書面投票の実行

再生計画案の可否は、債権者集会の招集して行う以外に書面投票を利用することもできます。どちらかの方法しか選べないとうわけではなく、招集と書面投票を併用することも認められており、併用を選択するケースが一般的です

ただし、書面投票により可決されても、債権額の10分の1以上を持つ債権者が債権者集会の招集を申立てた場合、債権者集会により決議が行われます。

16.債権者集会・認否決定

再生計画案の認否は、多数決によって決まります。再生計画案が承認されるためには、債権者集会に出席した債権者の賛成が過半数、かつ、欠席した債権者を含む議決権額の過半数の賛成が必要になります。

17.認否決定が確定される

再生計画案が承認されて裁判所の認可が下りれば、以降は民事再生法で定めに従い、策定した再生計画のとおりに債務者は支払いを行うことになります。

また、債権者集会で否決された場合は、裁判所が再生手続廃止決定を職権により行い、破産手続の開始が決定がされることもあります。

民事再生法の費用

民事再生法の費用

民事再生法の適用を受ける場合、手続きなどに費用がかかります。主なものには以下の3つがあるため、民事再生を検討している場合は用意しておく必要があります。

【民事再生法の費用】

  • 裁判所への予納金
  • 弁護士や会計士への費用
  • 当面の運転資金・リストラ費用
まず、裁判所への予納金が必要になりますが、これは負債額によって変わります。東京裁判所の場合は負債総額が5千万円未満なら予納金は200万円、1000億円以上であれば1300万円の予納金が標準とされています。

また、民事再生法の適用を受ける場合は会社の経営を続けていくことが前提となるため、取引先などへの支払いも当面必要になりますが、手形は使えなくなるので現金で支払わなければなりません。

つまり、運転資金として少なくとも2〜3ヶ月賄える程度は事前に準備しておく必要があります。

予納金と運転資金のほか、弁護士への依頼費用もかかるため、どの程度の現金が必要になるかを事前によく確認しておくことが大切です。

民事再生法の手続きをしたスカイマークの事例

スカイマーク

スカイマーク

出典:https://www.skymark.co.jp/ja/

航空会社スカイマークは、民事再生法の手続きを行った会社です。2015年、スカイマークは民事再生法の適用の申し立てを裁判所に行っており、その際の負債額は710億円とされています。

初就航時のスカイマークは大手航空会社に比べると格安の運賃をアピールし、その後は売上を順調に伸ばしていました。

しかし、複数の国内LCCの台頭で価格競争が激化したことにより売上が減少し、2014年には18億円の赤字を抱えることになりました。その後も赤字から経営状態が回復することはなく、民事再生法の手続きを行いました。

1年2ヶ月後の2016年には、再生手続きが終結したことをスカイマークは発表しており、短期間で再建手続終了しています。

民事再生法の手続きをしたレナウンの事例

レナウン

レナウン

出典:https://www.renown.com/index.html

アパレル企業のレナウンは、2020年に民事再生法適用の申し立てを行い、民事再生手続きへ入りました。

レナウンは1902年に創業された老舗アパレル会社で、メンズからレディスまで幅広い衣類を扱っています。百貨店・総合スーパー・ショッピングセンターでの売上げが中心で会社全体の約8割を占めている状態でした。

そのようななか、新型コロナウイルスの感染拡大により外出自粛要請がだされ、多くの百貨店・総合スーパー・ショッピングセンターが休業せざるを得ない状況になりました。

百貨店などにテナントを入れていたレナウンの売上は激減
、負債額は138億円にもなり、民事再生法の手続きに入ることになりました。

会社更生法の手続きをしたJALの事例

JAL

JAL

出典:https://www.jal.co.jp/jp/ja/

JALは民事再生法の適用ではなく、会社更生法の手続きを行っています。2010年、JALは裁判所に会社更生法の適用を申請していますが、その負債額は約2兆3000億円と戦後4番目に大きな経営破綻となりました。

JALは日本で最も長い国内線と国際線の歴史を持っており、ANA・JASとともに三大航空会社として活躍していました。

しかし、2008年のリーマン・ショックが引き金となり、収益不足や多額の人件費・企業年金などが原因で債務の支払いができなくなり、会社更生法の手続きを行いました。

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民事再生のメリット・デメリット

民事再生のメリット・デメリット

民事再生法の適用を検討する際は、どのようなメリットとデメリットがあるのかを理解しておくことが大切です。この章では、民事再生法を利用する際のメリット・デメリットを解説します。

民事再生のメリット

民事再生法の適用を受ける主なメリットには、以下の2点が挙げられます。

【民事再生法のメリット】

  1. 会社を存続できる
  2. 経営陣を変える必要がない

1.会社を存続できる

1つ目のメリットは、民事再生を行うことにより会社を存続できることです。民事再生法の適用を受けるためには会社の経営を続けることが前提となるため、破産手続きのように会社が消滅することはありません。

再計計画とおりに弁済を進めるためにはリストラや規模の縮小などが必要になりますが、今まで積み上げてきたノウハウなどを失わずに済むのは大きなメリットといえるでしょう。

2. 経営陣を変える必要がない

2つ目のメリットは、経営陣を変える必要がないことです。会社更生法の適用を受ける場合は経営陣をすべて退任させなければなりませんが、民事再生法では経営陣の退任についての定めはありません。

民事再生法の適用後は監督委員がつくことになるため、今までと全く同じように経営を行うことは難しいものの、経営陣が変わらないため従業員など周囲に対する影響も比較的少なくて済みます。

民事再生のデメリット

民事再生には当然デメリットになり得る要素もあるので、それらを理解したうえで適用の申し立てを行うか否かを検討する必要があります。

【民事再生のデメリット】

  1. 積み重ねてきた信頼やブランドイメージが低下する
  2. 担保として提供している財産を喪失してしまう

1.積み重ねてきた信頼やブランドイメージが低下する

1つ目のデメリットは、デメリットは積み重ねてきた信頼やブランドイメージが低下することです。

民事再生は会社経営を継続させるための有効な手段ではありますが、民事再生法の適用申し立てを行った情報はすぐに広まってしまうため、信頼やブランドイメージが低下することにもつながりかねません。

2.担保としている財産を失う可能性がある

2つ目のデメリットは、担保としている財産を失う可能性があることです。民事再生法による手続きを行うと、通常の債務は弁済が猶予されるものの、担保としている財産は手放さなくてはならない可能性があります。

多くの会社が担保としている資産は会社経営に大きく関わるものであるため、担保権者の協力がなければ今後の経営に影響を及ぼすことにもなります。

【関連】業界ごとにM&Aを行う目的、メリットを紹介!

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まとめ

まとめ

民事再生法の適用を受けることは、会社を再生するために有効な手段ですが、条件が厳しく手続きも複雑です。

民事再生法を利用を検討している場合は、専門家のアドバイス下で準備をし、債権者に協力してもらえるよう進めていくことが重要といえるでしょう。

【民事再生法の手続き方法】

  1. 民事再生手続を申し立てる条件を満たす
  2. 裁判所に相談する
  3. 民事再生手続開始の申立てを行う
  4. 保全処分の発令される
  5. 監督委員の専任する
  6. 債権者への説明する
  7. 手続開始の決定
  8. 財産目録や報告書などを提出する
  9. 債権者の債権届出
  10. 認否書の提出期限
  11. 一般債権調査期間の開始
  12. 再生計画案を提出する
  13. 監督委員による報告書の提出期限
  14. 債権者集会の招集決定
  15. 書面投票の実行
  16. 債権者集会・認否決定
  17. 認否決定が確定される
【民事再生法の費用】
  • 裁判所への予納金
  • 弁護士や会計士への費用
  • 当面の運転資金・リストラ費用
【民事再生法による手続きのメリット】
  • 会社を存続できる
  • 経営陣を変える必要がない
【民事再生法による手続きのデメリット】
  • 積み重ねてきた信頼やブランドイメージが低下する
  • 担保として提供している財産を喪失してしまう

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