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減価償却とは?計算方法や「償却率」「改定償却率」「保証率」の仕組みを解説

減価償却とは?計算方法や「償却率」「改定償却率」「保証率」の仕組みを解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

減価償却とは

減価償却というのは、長く使用する資産を購入したとき、その費用を分割して計上することをいいます。購入した年に全額計上するのではなく、1年ずつ分割して計上するという仕組みです。これが減価償却の簡単な意味ですが、正確な仕組みはもう少し複雑になります。
以下、減価償却の意味や特徴について、詳しく見ていきましょう。

減価償却の意味

減価償却の正確な意味を整理しておきます。
減価償却とは、時間の経過や使用によって価値が減少する資産を取得したときに、その費用を使用可能期間に応じて計上していくという会計処理のことです。減価償却は、企業会計の計算方法の一つになります。
先ほど、減価償却について「長く使用する資産を購入したとき、その費用を分割して計上する」とご紹介しましたが、「長く使用する資産」というのは、正確には「時間の経過や使用によって価値が減少する資産」を指します。また、「その費用を分割して計上する」というのは、具体的には「その費用を使用可能期間に応じて計上する」となります。
以下、「時間の経過や使用によって価値が減少する資産」「その費用を使用可能期間に応じて計上する」の2つのポイントを整理しておきます。

時間の経過や使用によって価値が減少する資産

パソコンを例に挙げて考えてみましょう。
新品のパソコンを購入しても、時間が経過するにつれて品質は劣化します。これは使用頻度が低い場合も同様です。つまり、時間の経過に伴い、パソコンの資産価値はどんどん下がります。また、パソコンを使用すればするほど、もちろん品質は劣化します。パソコンの各部品の消耗が進み、正常に機能せず壊れてしまうこともあります。つまり、使用によってパソコンの資産価値はどんどん下がります。
このような資産が、「時間の経過や使用によって価値が減少する資産」です。基本的に長期での使用を前提とし、時間の経過や使用によって資産価値がどんどん下がる資産のことを表しています。そして、減価償却とは、このような資産を取得したときに、その費用を使用可能期間に応じて計上するという仕組みです。
減価償却の対象となる資産としては、パソコンのほか、建物、車、機械、ソフトウェアなどがあります。一方、減価償却資産のうち、使用可能期間が1年未満のものと、取得価額が10万円未満のものは、一括して経費にすることができます。この場合、使用可能期間に応じた計上にはなりません。
減価償却の対象となる資産については、詳しくは後述します。

費用を使用可能期間に応じて計上すること

減価償却の大きな特徴は、使用可能期間に応じて費用を計上するという点です。資産を購入した年に経費として全額計上するわけではありません。
例えば、120万円で車(耐用年数6年)を購入したとします。この場合、購入した年に120万円全額を経費として計上するのではなく、使用可能期間である6年間の中で、1年ずつ分割して計上します。簡単に言うと、120万円を6年に分け、経費として計上することになります。例えば、毎年20万円ずつを計上すれば、6年間で120万円の計上になります。(この場合の20万円を、「減価償却費」といいます。これは、減価償却によって計上される経費のことを示す表現です。後ほど、「定額法」「定率法」などの分野で登場する用語ですが、ここで意味をおさえておいてください。)

なぜ減価償却が必要になるのか?

次に、なぜ減価償却が必要とされるのか、整理しておきます。
会計では、費用と収益が適切に対応していなければならないという「費用収益対応の原則」があります。これは、費用と収益は因果関係に基づいて把握するべきという考え方です。会計期間の中で考えると、その期間の収益と関係のある費用だけを把握するべきということになります。簡単にいえば、収益と関係のない費用は計算するべきではないということです。これは、企業の業績を正しく把握するために必要なことです。「どのくらいの費用が収益に関係したのか」という点が把握できれば、きちんとした損益状況がわかるからです。

さて、この「費用収益対応の原則」をもとに、減価償却について整理してみましょう。先ほどの「120万円で車(耐用年数6年)を購入した」という事例を例に挙げます。
例えば、車を運搬に使用する場合、会社の収益に大きく関係します。6年間運搬に使用すれば、その間の各年度(会計期間)の収益に、車の使用が貢献していることになります。この場合、120万円という費用を、各年度に配分する必要があります。それぞれの年度で車の費用を計上し、年度ごとの収益と関係性を持たせる必要があるからです。そのために、120万円を6年に分けて計上するという減価償却の方法が必要になるのです。こうすれば、それぞれの年度(会計期間)における車の費用と収益は、因果関係に基づいて計上されることになります。

もし、6年間の使用を前提に120万円の車を買ったとして、購入した年に全額を費用として計上するとどうなるでしょうか。この場合、初年度の費用は120万円、2年目以降の費用は0円となります。つまり、120万円という費用が貢献した収益は、初年度のみということになってしまいます。この事例では、6年間の使用を前提に車を購入しているはずです。それにもかかわらず、その費用は初年度の収益のみに反映されるというおかしな状態になります。これでは、それぞれの年度の収益に対し、車の費用が適切に計上されたとは言えません。こういった事態を防ぐために、減価償却として120万円を6年に分け、徐々に計上していく必要があります。

減価償却の対象となる資産の具体例

減価償却の対象は、ある程度長期での使用が見込まれる資産になります。上記の例でいえば、6年間の使用を前提とした車が、減価償却の対象です。減価償却が使用可能期間の中で徐々に計上していくという仕組みである以上、その対象は必然的に「長く使用する資産」ということになります。冒頭で「長く使用する資産」と表現したのはこのためです。そして、正確に言うと、「時間の経過や使用によって価値が減少する資産」が減価償却の対象となります。

さて、減価償却の対象となる資産について、具体的に整理しておきます。有形固定資産と無形固定資産に区別するとわかりやすいです。有形固定資産は形のある固定資産のことで、簡単に言えば目に見える固定資産を表します。例えば、パソコン、建物、車、機械などが挙げられます。一方で、無形固定資産は形のない固定資産を意味し、ソフトウェア、特許権、商標権、営業権などがあります。また、馬や果物などの生物も、資産として減価償却の対象に含まれます。こちらは農家の方などに特有の資産です。

また、減価償却の対象となる資産は、あくまで「時間の経過や使用によって価値が減少する資産」となります。そのため、土地や美術品などの固定資産は減価償却の対象に含まれません。これらの資産は、時間が経過しても価値が下がるわけではないからです。

減価償却の計算方法と選択

次に、減価償却の計算について整理しておきます。計算方法には「定額法」と「定率法」があります。

定額法

定額法は、減価償却の総額を使用可能期間で割るという方法です。先ほどの「120万円で車(耐用年数6年)を購入した」という事例であれば、120万円を6で割り、毎年20万円ずつ計上することになります。ただし、定額法によって割り切れない場合には、国税庁が定める償却率によって計算します。
例えば、耐用年数3年の小型車を100万円で購入したとすると、100万円÷3では割り切ることができません。この場合、耐用年数3年の定額法償却率である0.334により、100万円×0.334=33万4000円が、1年間で計上するべき金額(減価償却費)となります。(「減価償却費」という表現については、先ほどの「・費用を使用可能期間に応じて計上すること」内でも触れています。)

このように、償却率は耐用年数によって規定されています。例えば定額法償却率(平成19年4月1日以後取得の場合)であれば、耐用年数2年なら0.500、耐用年数3年なら0.334といったように定められています。

定率法

定率法とは、未償却残高に一定の率をかけて計算する方法です。「未償却残高(取得価額-減価償却費の累計)×一定の率」という計算式になります。つまり、資産の取得時は償却額が大きいものの、年々償却額が少なくなるという仕組みです。

こちらも、国税庁によって償却率が定められています。ただし、平成19年4月1日以後取得の場合、償却率のほかに「改定償却率」と「保証率」という仕組みが加わります。こちらは、後述する「平成19年度の税制改正で定率法はどう変わったか?」にてご紹介します。

定額法と定率法の選択

税制改正により、償却方法が定額法に一本化された資産もあります。例えば平成28年4月1日以降の取得の場合、建物附属設備や構築物などの償却方法から定率法が廃止され、定額法のみ選択可能となっています。このような資産には注意しなくてはなりません。

一方で、定額法と定率法のいずれも選択可能な資産もあります。このような資産の減価償却の場合、その時の状況によって使い分ける必要があります。例えば早めに経費にしたい場合は、最初の償却額が大きい定率法を選択するといったように、それぞれの状況に沿って最適な選択をする必要があります。経費として計上する以上、節税などの側面を踏まえて検討することが大切です。

平成19年度の税制改正で定率法はどう変わったか?

この税制改正前は、定率法も定額法と同じく「償却率」のみが規定されていました。しかし、平成19年度の税制改正により、定率法は「償却率」「改定償却率」「保証率」の3つが規定されています。この新たな定率法は「250%定率法」とも呼ばれます。

定額法の償却率の2.5倍に

250%定率法では、定率法の償却率は定額法の償却率の2.5倍となっています。例えば、耐用年数10年の償却率を見ると、定額法償却率は0.100、定率法償却率は0.250のように定められました。
ただし、こちらは平成23年度の税制改正により、平成24年4月1日から2.0倍に引き下げられています。現在は定額法の償却率の2倍で算出されていますが、この点については後述します。

「償却率」「改定償却率」「保証率」の仕組み

次に、「償却率」「改定償却率」「保証率」の仕組みについて整理しておきます。
先ほども見たように、定率法は資産の取得時は償却額が大きいものの、年々償却額が少なくなるという点に特徴がありました。しかし、償却額がどんどん少なくなる以上、場合によっては何年もかかるという問題点があります。そこで、償却がある程度進んだら、他のシステムで減価償却が行われるという仕組みになりました。そのシステムに「改定償却率」があります。簡単に言うと、通常の償却率のままでは多くの時間がかかる場合に、改定償却率によって算出し、強制的に償却を進めるというイメージになります。

具体的には、減価償却費が「償却保証額」を下回りそうな場合に、改定償却率による算出が行われます。償却保証額というのは、最低限確保するべき金額の基準です。そして、算出された減価償却費が償却保証額を下回りそうな場合には、通常の償却率ではなく、改定償却率を使って算出します。これにより、強制的に償却を進めることができます。
また、償却保証額は、「取得原価×保証率」で算出されます。ここで「保証率」が登場します。

償却率、改定償却率、保証率は、以下のように規定されています(平成24年4月1日以降取得、耐用年数3年の場合)。
 

定率法の償却率 改定償却率 保証率
0.667 1.000 0.11089

このように、耐用年数ごとに通常の償却率、改定償却率、保証率が規定されています。保証率によって償却保証額を算出することができ、この償却保証額を減価償却費が下回りそうな場合には、改定償却率を使うという仕組みです。

平成23年度税制改正で定率法の償却率が200%に引き下げ

平成23年度の税制改正では、再び定率法の償却率が見直されました。これにより、定率法の償却率が定額法の償却率の2.0倍に縮小されることになりました。具体的には、平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産を対象に、2.5倍から2.0倍に引き下げられています。これにより、250%定率法から200%定率法へ移行した形になります。

先ほど触れた、「平成24年4月1日以降取得、耐用年数3年」の場合の償却率、改定償却率、保証率についても、200%定率法によるものです。

まとめ

減価償却とは、時間の経過や使用によって価値が減少する資産を取得したときに、その費用を使用可能期間に応じて計上していくことを指します。大まかに言えば、長く使用する資産を購入したとき、その費用を分割して計上するという仕組みです。

減価償却の特徴は、購入した年に全額計上するのではなく、1年ずつ分割して計上するという点にあります。これは「費用収益対応の原則」にも関連しています。費用と収益を因果関係に基づいて把握することで、損益状況を正確に知ることができます。減価償却は、そのための方法の一つでもあります。
また、税制改正によって計算方法などが変わることもあり、その動向にはきちんと注意しておく必要があります。定額法と定率法のいずれも選択できる場合は、節税などの側面も踏まえ、それぞれの状況に沿った選択が重要です。

減価償却というと、難しいイメージを持つ方も多いかと思います。ただ、基本的な仕組み自体は意外にシンプルです。なぜ減価償却が行われるのか、その計算方法は何かといった点を知っておくと、減価償却の全体像がイメージできるようになります。ビジネスシーンでぜひ役立ててみてください。

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