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社員への株式譲渡とは?メリット・デメリットや株式譲渡手続きの流れを解説

社員への株式譲渡とは?メリット・デメリットや株式譲渡手続きの流れを解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

社員への株式譲渡とは?

株式を第三者に譲渡することを、株式譲渡といいます。 株式譲渡はM&Aの手法の一つで、特に中小企業のM&Aでしばしば見られるスキームです。 さて、この株式譲渡ですが、会社が自社の株式を社員(従業員)に譲渡する場合があります。 例えば、信頼できる社員に株式を譲渡し、事業経営を任せるといったケースです。 また、福利厚生の一環として社員に株式を譲渡することもあります。 社員への株式譲渡はいろいろな目的がありますが、いくつか注意点もあります。 そのため、社員に株式を譲渡する流れ、メリット・デメリットなど、様々な観点からポイントをおさえておく必要があります。 以下、社員への株式譲渡について、まずその概要を見ていきましょう。

株式譲渡とは?

まず、そもそも株式譲渡とは何か、ポイントを確認しておきす。
株式譲渡とは、株主が保有する株式を第三者に譲渡することです。
例えば、A社が自社の株式をB社に譲渡すると、その株式においては、株主がA社からB社に変わります。
もしA社の株式の100%がB社に譲渡されれば、A社の株主はB社だけになります。
株式譲渡によってB社がA社の株式を全て取得するからです。
次に、株式譲渡がもたらす効果について整理しておきます。
株主は、基本的に株主総会の議決権がありますが、株主総会では役員の選任・解任といった経営に深く関係する決議が行われます。
つまり、議決権を持つことは、経営に関わる権利を得ることを意味します。
例えば、株式譲渡によってB社がA社の株式を取得すれば、取得した部分においてB社がA社の株主となるので、その持分によってA社の経営権を得ることができます。
つまり、B社がA社の株式の100%を取得すると、A社の経営権が全てB社に譲渡されることになるのです。
これが、株式譲渡によってもたらされる効果です。
また、上記のような株式の100%譲渡は、中小企業のM&Aスキームとしてしばしば見られます。
中小企業が自社の株式の100%を他の会社に譲渡することで、その会社に経営を任せ、事業継続を図るといったケースがあります。

社員に株式を譲渡するとどうなるか?

上記でご紹介した株式譲渡の内容を、社員(従業員)への株式譲渡に当てはめてみます。 A社が自社の株式を社員(Bさん)に譲渡すると、その株式において、株主がA社からBさんに変わります。 もし、A社が自社の株式を100%持っていたとして、その100%の株式をBさんに譲渡すれば、最終的にA社の経営権がCさんに移転することになります。 さて、上記の事例について、社員であるBさんに株式を譲渡する理由を考えてみましょう。 例えば、A社の経営者が高齢で、後継者を探しているとします。 経営を任せる以上、きちんと信頼できる人を後継者にしなくてはなりません。 そこで、長年会社を支えてくれた社員であるBさんに株式を譲渡すれば、Bさんに安心して経営を任せることができます。 Bさんがどの程度A社を支配できるかは、譲渡する株式の割合によって異なります。 例えば、Bさんに完全に経営を任せたい場合には、株式を100%譲渡します。 一方で、他の株主と共同で経営を進めてもらいたい場合には、株式の一部を譲渡することになります。 ただ、いずれの場合も、信頼できる社員であるBさんに株式を譲渡し、事業を継いでもらうという目的は同じです。

社員の定義について

会社法上、「社員」は「従業員」ではなく「出資者(株主)」を意味しますが、この記事での「社員」は、一般的な「従業員」を指すものとします。 一般的には、従業員のことを「社員」と呼ぶからです。 そのため、「社員への株式譲渡」というのは、社員(従業員)に株式を譲渡することで、その社員が株主になる、という流れになります。 株式の譲渡を受けるまでは、社員は株主ではありません。

社員への株式譲渡の目的

さて、社員(従業員)への株式譲渡について、その目的を整理しておきます。
近年のM&A事例の活発化の原因として、後継者不足問題が挙げられます。
例えば、先ほど挙げた例でも、A社の経営者が高齢になったため、後継者を探す必要性が生じています。
経営を任せられる後継者を見つけることは、会社の事業継続を左右する重大な問題です。
そこで、これまで会社に貢献してくれた社員に株式を譲渡することで、その社員を後継者とし、事業を承継させることができます。
このように、社員への株式譲渡の目的は、事業承継が代表的と言えます。
他には、安定株主の確保のため、社員に株式を譲渡するケースもあります。
これは、新たに敵対的な株主が登場することを防ぐため、社員を株主として確保しておくという方法です。
さて、社員(従業員)への株式譲渡について、その目的を整理しておきます。 近年のM&A事例の活発化の原因として、後継者不足問題が挙げられます。 例えば、先ほど挙げた例でも、A社の経営者が高齢になったため、後継者を探す必要性が生じています。 経営を任せられる後継者を見つけることは、会社の事業継続を左右する重大な問題です。 そこで、これまで会社に貢献してくれた社員に株式を譲渡することで、その社員を後継者とし、事業を承継させることができます。 このように、社員への株式譲渡の目的は、事業承継が代表的と言えます。 他には、安定株主の確保のため、社員に株式を譲渡するケースもあります。 これは、新たに敵対的な株主が登場することを防ぐため、社員を株主として確保しておくという方法です。

福利厚生としての株式譲渡

会社によっては、福利厚生として自社の株式を社員に譲渡する場合があります。 「社員持ち株制度」といった表現を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。 社員(従業員)持ち株制度は、自社や親会社の株式を社員に保有してもらう制度のことです。 これは、社員が毎月一定の金額を出し、共同で自社の株式を買い付けるという仕組みです。 具体的には、社員が「持株会」を設立して運営を行い、会員になった社員が給与から天引きされる形で自社株を購入するという流れになります。 これも、社員への株式譲渡の一つです。 社員は自社株を保有することで、持分に応じて配当金を得ることができます。 そのため、福利厚生の一環として位置づけられます。

社員への株式譲渡のメリット・デメリット

社員への株式譲渡のメリット

事業承継としてのメリット

特に事業承継で問題を抱えている会社の場合、信頼できる社員への株式譲渡はメリットがあります。 例えば、会社が後継者を探している場合、当然のことながらきちんと経営を任せられる人を後継者に指名する必要があります。 この場合、これまであまり面識がなかった人を後継者にすることは、会社にとっても不安が大きくなります。 その人が経営に関して実績があったとしても、あまり面識がなかった以上、後継者に指名することに抵抗を感じる方もいるでしょう。 一方で、これまで会社に貢献してくれた社員であれば、経営者としてもどういう人物かがわかっています。 そのため、気持ちの面でも安心して経営を任せやすくなります。 もちろん、会社への貢献という実績があるので、実績面でも信頼して経営を任せることができます。

福利厚生としてのメリット

福利厚生の一環として社員に株式を譲渡することは、安定株主を増やすというメリットがあります。 株式会社である以上、いつどのような株主が登場するかわかりません。 場合によっては、敵対的な株主が登場する可能性もあります。 一方で、社員に株式を保有してもらえば、会社にとっては安定株主を確保できることになります。 そのための方法として、配当金を得ることができる株式を、福利厚生という形で社員に譲渡するというケースが多く見られます。

社員への株式譲渡のデメリット

M&Aとしてのシナジー効果は期待できない

他社の合併や買収などのように、M&Aは会社同士で行うことが一般的です。 もちろん株式譲渡も買収の一つで、A社が株式の100%をB社に譲渡し、B社がA社を買収するといったケースがあります。 この場合、M&AによってA社とB社のそれぞれの強みが活かされ、シナジー効果が期待できます。 一方で、社員への株式譲渡は、こうしたシナジー効果が発生しません。 あくまで自社の社員に株式を譲渡しただけで、他社は登場しないからです。

社員に対する配当が経営に影響を与える

社員に株式を譲渡すると、その社員は従業員の地位に加え、株主としての地位も得ることになります。
会社としては、通常の給与とは別に、配当金の分配も行わなくてはなりません。
そのため、配当が会社の経営を圧迫する可能性もあります。
例えば、安定株主の確保を目的として社員への株式譲渡を進めていたら、気がついたら配当が経営を圧迫していた、などの事態も考えられます。

社員への株式譲渡手続きの流れとフロウ

一般的な株式譲渡の手続き

株式は、原則として自由に譲渡できます。
一方で、自由に譲渡することができない「譲渡制限株式」と呼ばれる株式もあります。
譲渡制限株式を譲渡する場合には、株主総会や取締役会といった承認機関の承認を得る必要があります。
そのため、社員への譲渡を考えている株式が譲渡制限株式であれば、それぞれの要件下で、株主総会や取締役会などの手続きを行わなくてはなりません。

福利厚生の一環として譲渡する場合

先ほどもご紹介したように、この場合は社員が持株会を設立して運営を行います。 持株会については、入退会や購入の手続き、拠出金などを定める必要があります。 会員となる社員が株式を購入するという形式のため、持株会の入退会手続きや株式の購入手続きなど、所定の事項を規約として決めなくてはなりません。 そして、会員になった社員が給与から天引きされる形で自社株を購入するという流れで、株式譲渡が行われます。

社員への株式譲渡の注意点

譲渡する株式の割合に注意

特定の社員に完全に経営を任せたい場合であれば、ある程度の株式を譲渡するケースも考えられます。 社員を後継者にしたい場合には、株式を100%譲渡することもあるでしょう。 ただし、こういったケースでないのなら、社員に譲渡する株式の割合には十分に注意しなくてはなりません。 先ほどもご紹介したように、株式には株主総会の議決権があります。 多くの株式を保有すればするほど、その株主は会社に対する支配権を強めることになります。 株主総会で重要な事項を決める際には、過半数の議決権、さらには3分の2以上の議決権が求められるケースが多いです。 もし、敵対的な社員が過半数の議決権、さらには3分の2以上の議決権を有してしまうと、会社の経営にとって好ましくありません。 社員に譲渡する株式の割合には十分に注意する必要があるのです。 あるいは、「議決権制限株式」を設けて譲渡するという方法もあります。 議決権制限株式は、株主総会における議決権が制限される株式のことで、「種類株式」の一つです。 株式の内容は、原則として同一の権利内容である必要がありますが、例外もあります。 それが「種類株式」です。 株式会社は、一定の事項について内容の異なる株式(種類株式)を発行することができ、議決権制限株式も種類株式の一つになります。

会社の発展とのバランスも考えるべき

社員への株式譲渡は会社同士の株式譲渡ではないため、M&Aとしてのシナジー効果は生まれません。
そのため、M&Aによって会社を発展させるケースとは異なります。
通常のM&Aは、基本的には会社の発展を目的として行われます。
売却する側にとっては、大手の傘下に入るなどして、安定した経営環境で事業を継続するといったメリットがあります。
買収する側にとっても、新規事業の開始や事業エリアの拡大など、M&Aには様々なメリットがあるのです。
このように考えると、買収側も売却側も、会社の発展を目的として株式譲渡などを行うと言えるでしょう。
一方で、社員への株式譲渡は、M&Aのようなシナジー効果は生まれません。
もちろん、社員を後継者にするために株式譲渡を行う場合であれば、会社の発展として重要なスキームとなります。
ただ、そういった事情でなければ、社員への株式譲渡は会社の発展につながりにくいです。
他社が関係するわけではなく、基本的に自社だけの問題となるからです。
社員への株式譲渡は、「会社の発展」という側面も踏まえ、バランスを考える必要があります。
社員だけに株式譲渡をしすぎて、他社とのM&Aのチャンスを逃すといった事態は、会社の発展としては好ましくありません。
確かに社員への株式譲渡にはメリットも多いですが、他社とのM&Aで大きなシナジー効果が期待できるなどの事情があれば、社員だけでなく他社への株式譲渡なども考えるべきでしょう。

社員への株式譲渡は専門家に相談

社員への株式譲渡といっても、基本的な仕組みは通常の株式譲渡と同じです。 そのため、株式を譲渡する際には専門的な知識が求められます。 例えば、株主総会などの承認機関の承認は必要か、譲渡する割合はどう考えるべきかなど、それぞれ専門的な知識がないと判断が難しくなります。 相手が社員だからといって、簡単に考えることは危険です。 あくまで株式譲渡の一つとして考え、きちんと専門家に相談して進めることが大切です。

まとめ

社員への株式譲渡は、事業承継を目的としたケースや、福利厚生の一環として行われるケースが見られます。 特に後継者不足問題を抱えている中小企業などは、長年活躍してきた社員に株式を譲渡し、経営を全面的に任せるといったメリットがあります。 これは、信頼できる社員に株式を譲渡することで、事業を継いでもらうというケースです。 また、配当金を得ることができる株式を譲渡するため、福利厚生として考えることもできます。 福利厚生の一環としての株式譲渡は、社員(従業員)持ち株制度により、持株会の会員である社員が自社株を購入するという仕組みになります。 これは、安定株主の確保にもつながりやすいです。 このように、社員への株式譲渡にはメリットが多いです。 一方で、M&Aのシナジー効果は期待できないというデメリットがあるため、会社の発展にはつながりにくくなります。 ただ、社員を後継者にするために株式譲渡を行う場合は、会社の発展として期待できる手法です。 社員への株式譲渡は、メリット・デメリットなども踏まえ、それぞれの目的に沿って様々な観点から検討することが大切です。

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