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2021年4月22日更新会社・事業を売る
経営者の年金
国民年金のみに加入している経営者の多くは、老後の生活に不安を感じているでしょう。しかし、現在では国民年金以外にも、経営者向けの年金制度の活用、個人資産の運用、退職金などによって老後の生活に備えることができます。ここでは、経営者の年金についてご紹介していきます。
経営者における年金の現状
経営者の多くは老後の生活に関して不安を抱えています。なぜなら、中小企業の経営者および自営業者の方は、国民年金のみの加入者であるからです。
サラリーマンや公務員であれば、国民年金のほかに厚生年金基金、確定給付企業年金あるいは共済組合年金などの上乗せ年金があり、より多くの給付が受けられますが、経営者は国民年金のみの受給になるため、上乗せ年金の手段が限られます。
そのため、経営者の多くは、後継者に家業を継いだ後の生活にも不安が残っています。安定した老後生活を実現するためには、どのような方法があるのでしょうか?今回は、経営者の年金に関するさまざまな情報をご紹介します。
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経営者の老後生活の備え方
経営者は従業員と違って厚生年金や確定拠出企業年金などの上乗せ年金制度に加入できない立場です。そのため、国民年金にのみ加入しているケースがほとんどです。しかし、国民年金だけでは、経営者の老後生活を支えることはできません。
総務省「家計調査報告 2014年」によると、高齢夫婦無職世帯の1ヶ月間の消費支出は約23.9万円といわれています。しかし、国民年金は夫婦二人暮らしでも約11万円しか支給されません。そのため、今のままであれば1ヶ月約12.9万円も不足してしまうことになります。
そこで、今回は国民年金以外の老後生活の備え方をご紹介します。
- 経営者向けの年金制度を活用
- 個人資産の運用で備える
- 退職金で備える
①経営者向けの年金制度を活用
現在、経営者が活用できる年金は限定されていますが、以下の公的な年金制度を活用することはできます。
- 経営者年金共済
- 拠出型個人年金
- 小規模企業共済
上記の年金は60歳未満であれば原則どなたでも加入できます。また、掛金を一定の範囲内で自由に選択することも可能です。したがって、経営者にとっては加入しやすく、続けやすい年金制度であるといえるでしょう。
経営者向けの年金制度を活用するメリット
上記の年金制度を活用することで以下のメリットが得られます。
- 運用するお金が非課税になる
- 所得控除の対象になる
- 受け取る際も税制優遇装置が得られる
つまり、節税としても使える年金制度であるため、経営者にとっては非常に有用な制度であるといえます。中には受け取る金額が掛金総額の1.2倍になる年金もあり、老後の生活に備えるうえで大変心強いでしょう。
また、小規模企業共済については、一定の資金が必要になった場合、無担保・低金利で貸し付けを受けられるなど、融通が利くことも特徴です。
経営者向けの年金制度の注意点
上記の年金にはメリットだけでなくリスクもあるため、注意が必要です。元本保証がされていないプランに加入したり、一定年数より早く解約したりしてしまうと元本割れが起こるリスクがあります。特に小規模企業共済は、20年以上掛けていなければ元本割れが生じるため注意しましょう。
また、掛金を途中で減額したり掛け止めしたりしてしまうと、その分を運用してくれないケースもあります。
したがって、どの年金制度を活用する場合であっても、リスクが少なくリターンが大きいプランをしっかりと選ぶ必要があります。
②個人資産の運用で備える
経営者がある程度の資産を持っている場合は、経営者個人の資産運用により老後の生活に備えることができます。
個人資産を運用する手段はさまざまで、ある程度のリターンが欲しい場合は投資信託や株式、不動産投資、ドル建て保険(為替)、変額保険などが挙げられます。これらの方法は、運用次第で資産を増やすことができ、老後の生活をより安定させることができるでしょう。
一方、資産運用は悪化すると資産が減り、元本割れを引き起こす可能性もあります。資産運用に自信がある場合であっても、全財産を預けることは避けましょう。
また、定額貯金や貯蓄性のある生命保険など、低リスク資産を運用する手段もありますが、リスクが少ない分、リターンも少ないため、リスクヘッジとして活用することをおすすめします。
このように、個人資産を運用する際は、リスクが高いものと低いものをバランス良く配分することが重要です。
③退職金で備える
退職金を利用して老後の生活に備える方法もあります。退職金は、以下の理由から税制面で優遇されています。
- 社会保険料の計算範囲から外れている
- 法人税の節減につながる
退職金で老後生活に備える場合は、一時金として受け取る方法がおすすめです。一時金の形で退職金を受け取ることで、「退職所得」扱いとなり税制面が優遇されるからです。その結果、税負担を抑えることができます。
もし一時金ではなく年金の形で退職金を受け取りたい場合は、会社に貸し付ける形で利息を受け取る方法があります。会社にとっても、銀行から借り入れるよりも安心して運用できるため、有効な手段であるといえます。
このように、老後生活に備える方法は国民年金以外にもさまざまな方法があります。自分に合った方法を選び、しっかりと備えることが重要です。
退職金を積み立てる方法
先ほどの項目では、経営者の年金代わりとして退職金で備える方法をご紹介しました。そこで今回は、退職金を積み立てる具体的な方法を紹介していきます。
社会保険料の節減や役員報酬の削減により退職金を積み立てる場合は、以下のような方法があります。
- 法人保険
- オペレーティングリース
①法人保険
法人保険を活用すれば、保険料を損金として算入できます。法人保険の解約返戻金を退職金の支払い時期に合わせて受け取ることで、結果的に退職金の増額+法人税の節減を狙うことができるのです。
法人保険には「長期平準定期保険」「逓増定期保険」「全額損金算入定期保険」の3種類があり、商品によって、損金に算入できる保険料や保険料の額も異なります。また、解約返戻金が一番高くなる時期も異なるため、自分の退職金の支払い時期とうまく合わせる必要があります。
また、一度設定した保険料は解約まで払い続ける必要があるため、税負担を減らしたい場合は損金を超える営業利益を常時出し続けなければなりません。
②オペレーティングリース
オペレーティングリースは、数ある節税方法の中でも有用な方法です。オペレーティングリースとは、航空機や船舶、コンテナを匿名の組合で購入し、リース会社を通じて運用を実施します。
リース会社がその物件(航空機、船舶、コンテナのいずれか)をリースする場合は、組合に属する出資者が出資します。その際、1年目で80%、2年目で残りの20%が損金として算入されるため、抜群の節税効果を発揮する可能性もあります。
また、定期的な掛金とは違い、資金を一括で支払うため手間が少ない点もメリットです。さらに、物件を高額で販売できた際は分配金も多く得られるため、上手くいけば大きな利益を得ることもできるかもしれません。
一方で、オペレーティングリースは中途解約できないというデメリットがあります。オペレーティングリースには公的な救済措置がありません。したがって、リース会社を慎重に選ぶ必要があります。
まとめ
今回は、国民年金以外に経営者が老後生活に備える方法を紹介しました。各手法ごとにメリット・デメリットは異なりますが、長期的に備える点ではどの方法も同じです。そのため、長い目で見て老後の生活に備える必要があります。
要点をまとめると下記になります。
・経営者の老後生活への備え方→経営者向けの年金制度の活用、個人資産の運用、退職金
・退職金の積立方法→法人保険、オペレーティングリース
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。