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葬儀会社におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

葬儀会社におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

目次

    葬儀会社のM&A

    葬儀会社のM&Aとは?

    葬儀業界でも、近年M&Aの事例がしばしば見られます。

    葬儀業とは、主に死体埋葬準備、葬儀執行を業務とする事業のことをいいます。葬儀業は、一般的な葬儀業者のほか、冠婚葬祭互助会、農協や生協など、様々な運営主体によって運営されています。

    近年では、鉄道会社やホテル、小売業者も葬儀業のサービスを展開し、新規参入も目立ちます。今後、異業種からの参入がさらに増加すれば、M&Aの増加も考えられます。

    新規参入の増加により、競争の激化が見込まれます。中小規模の葬儀会社にとっては、これまで以上にサービス向上や効果的な価格戦略が求められると言えます。

    葬儀会社の特徴と動向

    葬儀会社のM&Aを考えるにあたり、近年の葬儀会社の特徴や動向を整理してみましょう。

    葬儀は、以前は自宅葬が中心でした。一般財団法人日本消費者協会「第10回葬儀についてのアンケート調査」によれば、自宅を葬儀会場としている割合は1999年で38.9%でしたが、2014年では6.3%にまで下がっています。(内閣府「第37回消費者契約法専門調査会」の「【資料5­1】葬儀業界の現状」より)

    この数値を見ると、葬儀に対する考え方も変わり、外部の葬儀会場の利用を考える遺族が増えていることがわかります。

    同調査をさらに詳しく見ると、2014年の葬儀会場は、6.3%が自宅、81.8%が葬儀専用式場、7.6%が寺・教会、1.6%が集会所、2.8%がその他・無回答となっています。葬儀専用式場が圧倒的に多く、8割を超えています。

    葬儀専用式場の利用の増加は、葬儀業界の拡大として考えることができます。近年は異業種からの参入も多いため、葬儀会社の競争はさらに激化するでしょう。

    先ほども少し例に挙げましたが、葬儀会社の主体をさらに詳しく見ていきましょう。内閣府「第37回消費者契約法専門調査会」によると、葬儀社は「①葬祭専門事業者(長年、地域密着で葬儀を行う事業者)」「②冠婚葬祭互助会(割賦販売法・月々の掛金)」、「③JA(農協)(虹のホール、ルミエールの名称で展開)」「④その他(仏壇仏具会社、墓石会社、生協、鉄道会社、量販店〈小売業者〉、葬儀社紹介業者他)」に分類されています。

    業界団体は全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会)が1348社、全互協(一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会)が221社です。シェアとしては、互助会が約40%、専門業者が約30%、農協が約15%、その他が約15%とされ、互助会が一番多い状況です。業界としては中小零細業者が多く、90%以上の割合を占めています。

    また、葬儀会社は4000~5000社あると言われていますが、許認可・届出制ではないため、明確な数字は不明とされています。

    2016年の年間死亡者数は129万人で、業界規模としては年間約1兆5566億円とされています。また、2040年まで約170万人の死亡者数が予想されています。

    (以上、同調査会「【資料5­1】葬儀業界の現状」より)

    この調査結果を見ると、まだ中小規模の葬儀会社が多いことがわかります。一方で、葬儀専用式場の利用の増加や、異業種からの参入の増加といった傾向を踏まえると、業界の構造は変化しつつあります。

    異業種の大手企業が新規参入した事例としては、イオンリテール株式会社が2014年に「イオンのお葬式」を運営する葬祭事業を分社化し、イオンライフ株式会社が設立されたなどのケースがあります。

    イオンリテールは、もともとスーパーマーケット「イオン」の運営などに特徴がありました。一方で、2009年には全国約500社の葬儀社とのネットワークをもとに「イオンのお葬式」を開始しています。その葬祭事業が、2014年に分社化されたことになります。

    これはM&Aの事例とは異なりますが、業界再編の動きが活発化していることは事実です。そして、業界再編の過程として、今後は積極的なM&Aも考えられます。

    今後、さらなる高齢化社会が進むものと考えられます。人口の増加に伴い、年間死亡者数も増加傾向にあるため、葬儀業界自体が拡大すると予想できます。

    ニーズの拡大に伴い、葬儀業界への参入を考える企業も増えています。異業種からの参入の場合、鉄道会社や大手の小売業者など、大手企業による参入も見られます。首都圏をはじめとする都市圏では、特に競争が激化すると思われます。

    葬儀業界が拡大しても、価格競争によって単価は減少傾向にあります。また、核家族化によって家族葬が増加する傾向も見られ、葬儀の小型化もしばしば見られます。そのため、売上高としては今後も横ばいで推移すると思われます。

    競争の激化は、中小規模の葬儀会社にとってはやはり不利と言えます。これまで多くのシェアを抱えていたとしても、業界構造の変化には適宜対応する必要があるでしょう。その際の選択肢の一つとして、M&Aが挙げられます。

    葬儀会社のM&Aの現状と事例

    葬儀会社の特徴・動向を踏まえたうえで、葬儀会社のM&Aの現状と動向を見ていきましょう。

    先ほど述べたように、葬儀会社は中小規模の会社が多く見られます。競争激化によって不利な立場になる場合、M&Aを検討する会社が増加する可能性があります。

    中小企業は、後継者不足問題などの問題を抱えている場合があります。また、経営基盤も不安定になりがちです。

    もし良質なサービスを提供できても、後継者がいなければ事業の継続は難しくなります。長らく葬儀会社を経営している場合、引退を考える経営者もいるでしょう。大手であれば後継者も見つかりやすいですが、中小規模の場合は後継者を見つけることが難しい傾向にあります。

    また、経営基盤が不安定であれば、単価を上げざるを得ない場合もあるでしょう。しかし、葬儀会社の競争激化によって、現段階でも価格競争が起きています。その状況で単価を上げることは困難のため、経営基盤の改善も難しくなります。

    このような状況を解決するためには、M&Aは効果的な手法です。例えば大手企業に買収されれば、大手のノウハウによって事業継続ができます。資金面でも余裕があるため、競争激化にも対応できます。

    葬儀会社のM&Aの事例を具体的に見ていきましょう。

    葬儀会社のM&Aは、同業者同士の事例が特徴的です。例えば、冠婚葬祭事業とホテル業務を事業内容とする「あいネットグループ」(静岡県静岡市)は、同じ冠婚葬祭事業の「平安閣」「平安閣互助会」(静岡県藤枝市)を2013年に買収しています。

    また、葬祭事業や石材事業などを展開する「こころネットグループ」(こころネット株式会社の本社所在地は福島県福島市)は、2015年に茨城県牛久市の「牛久葬儀社」を、2017年に福島県本宮市の葬儀社「玉橋」を買収しています。

    これらの事例は、地域に根差した葬儀会社を買収するという点に特徴があります。地域密着型のM&Aにより、経営基盤の強化や事業領域の拡大を図り、広範囲によるサービス提供を可能とした事例です。

    葬儀会社同士のM&Aは、競争の激化に対処する手法でもあります。特に最近は、異業種の大手企業が葬儀業界に新規参入する事例が増えています。先ほど例に挙げた「イオンのお葬式」などは、その代表例です。このような動向に対抗するためにも、葬儀会社同士がM&Aによって高い経済効果を狙うことは大きなメリットがあります。

    競争の激化に伴い、葬儀会社同士のM&Aは今後も加速すると思われます。

    葬儀会社同士以外のM&Aの事例もあります。例えば千葉県千葉市の葬儀会社「博全社」は、2017年3月に同じ千葉県の葬祭業「アスカグループ」を買収したほか、人材派遣企業や外食分野でもM&Aによるグループ化を実現しています。葬儀会社同士による運営の効率化だけでなく、葬儀場での食事の質を向上させるなど、様々な観点からサービス向上を目指しています。

    葬儀会社のM&Aの相場と費用

    葬儀会社のM&Aは、同業者同士によるM&Aが多い傾向がありますが、近年では比較的バリエーション豊かに行われています。冠婚葬祭事業をメインにしたM&Aのほか、外食などの他分野を含めてM&Aを行うケースもあります。M&Aの対象事業が幅広くなれば、それだけ案件ごとにバラつきが発生します。

    また、これまでは中小規模の葬儀会社が多く見られましたが、業界再編の動きの中で葬儀会社の規模も多様化する可能性があります。そうなれば、同業者同士によるM&Aでも、案件ごとにバラつきが発生します。

    このような背景もあり、葬儀会社のM&Aの相場と費用を一概に握することは、現段階では難しいと言えます。

    現時点では、葬儀会社のM&Aは増加傾向にある段階と言えます。今後事例が増加することで、相場と費用もわかりやすくなると考えられます。一方で、大手企業が新規参入の際にM&Aを積極的に活用する可能性もあり、さらに案件のバラつきが発生するおそれもあります。

    M&Aの相場と費用は、似た事例をもとに判断する必要があります。案件ごとにバラつきがある以上、似た事例を見つけて概算しなくてはなりません。

    M&Aによって事業を拡大する場合、拡大する分野によって規模が大きく異なります。例えば葬儀に関連して食事の質の向上を考える場合、外食分野などで事業拡大をすることになります。葬儀業の拡大とは規模の異なる事業拡大になるでしょう。葬儀業と同じように考えるわけにはいきません。

    M&Aによって多角化経営を目指す葬儀会社は、今後も増加する可能性があります。葬儀業や葬儀に関連するサービスの中で、どこを事業拡大するかによって規模は異なります。そのため、似た事例を徹底的に分析し、ある程度の相場と費用の目安をつけておくことが大切です。

    M&Aの相場は、会社の適正価値、市場の動向や時期などを踏まえて考慮しなくてはなりません。様々な観点から客観的な金額を概算する必要があります。

    例えば買収の場合、売る側は高く売りたいと考え、買う側は安く買いたいと考えます。もし取引での相場金額を把握していなければ、安く売ってしまった、または高く買ってしまったという事態につながります。リスクを回避するためにも、ある程度の目安を考慮しておく必要があります。

    葬儀会社の買収とは?買う・買いたい場合

    葬儀会社の買収のメリットを考えてみましょう。

    葬儀会社が別の葬儀会社の買収を検討する場合、事業領域の拡大が一つのメリットです。買収対象の葬儀会社が特定の地域に特化していれば、その会社を買収することで、事業領域を拡大できます。

    先ほど例に挙げた葬儀会社のM&Aの事例も、地域に根差した葬儀会社を買収することで、地域密着型のM&Aとなっていることが特徴です。

    また、買収対象となる葬儀会社のサービスの質が高ければ、自社のサービス向上につなげることもできます。今後の競争激化を踏まえると、価格戦略やサービスの質の向上は必須です。買収対象となる葬儀会社のノウハウを得ることで、自社の競争力を上げることができます。

    今後は大手企業による新規参入の増加も考えられます。葬儀会社同士がM&Aによって協力することで、競争力の強化につなげることができます。

    葬儀会社の売却とは?売る・売りたい場合

    売却する側の企業は、後継者不足問題といった問題を抱えているケースが多いです。これは葬儀会社も例外ではなく、経営者は後継者不足問題を解決して事業を継続させることを考えます。その際に、M&Aはメリットの多い手法です。

    M&Aによる売却は、後継者不足問題の解決や事業の維持・承継だけでなく、経営基盤の安定化、創業者利益の獲得、個人補償や担保の解消、従業員の雇用の維持などのメリットがあります。

    大手企業による新規参入よりはるか前から、長く葬儀業を行っている葬儀会社もあります。せっかく良質なサービスを提供しているのであれば、様々な問題を解決して事業を継続することは、何より業界の発展につながります。そのためにも、M&Aは効果的な手法となります。

    葬儀会社のM&Aの成功・失敗事例

    先ほど例に挙げた、あいネットグループやこころネットグループ、博全社の事例は、現段階では成功事例として挙げられます。

    葬儀会社のM&Aは、現段階では目立った失敗事例は少ないと言えます。ただし、今後は葬儀会社のM&Aが増加すると考えられ、その中で失敗事例が発生する可能性はあります。

    M&Aによって多角化経営を目指す葬儀会社が増加すれば、様々な事業を対象に、様々な規模のM&A事例が発生します。しかし、事業を拡大しすぎて経営がうまく機能しなくなれば、M&A事例として失敗になってしまいます。

    葬儀業界は、価格面による競争激化、売上高の横ばい、新規参入企業による業界再編の加速など、その動向は比較的わかりやすいです。そのため、業界の動向を踏まえて適切なM&Aを考えることは、比較的やりやすいと言えます。

    ただし、葬儀に関連するサービスなど、他分野に事業を拡大したい場合は、関連する様々な市場の動向を把握しなければなりません。その点ではリスクが高いので、様々な事例を研究して検討する必要があります。

    まとめ

    葬儀会社のM&Aに関して、動向や相場、成功・失敗事例について解説しました。
    買い手、売り手によってM&Aを選択する目的は異なるため、メリット・デメリットをしっかり判断した上でM&Aを選択しましょう。
    大きな意思決定であるM&Aは注意点も多いため専門家を活用しましょう。

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