負ののれんとは?のれんとの違いや発生原因、事例をご紹介

負ののれんは買い手となる会社にとっては一見利益のように見えるものですが、あくまで一時的な発生益に過ぎずその本質は潜在的なリスクだといえます。負ののれんが発生した際には適切な対処を行い、リスクを取り除けるような経営に取り組む必要があります。

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2020年1月29日更新

目次
  1. 負ののれん
  2. のれんとは
  3. 負ののれんが発生する原因とは
  4. 負ののれんの会計処理
  5. のれんによる節税効果
  6. 負ののれんの事例
  7. まとめ

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負ののれん

負ののれんという言葉は、M&Aについて調べているとよく見かけることがあるかと思います。そもそも「のれん」という言葉自体、M&Aでよく聞かれる言葉だといえるでしょう。負ののれんも、のれんもM&Aにおいては非常に重要なものです。

負ののれんは発生するとM&Aが失敗に終わってしまい、最悪M&Aを行った会社の経営を一気に傾かせてしまうこともあります。今回はそんな負ののれんについてお伝えしていきます。

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のれんとは

そもそものれんとは、M&Aの際に「売り手となった会社が実際に買収された時の価格」から「帳簿上の公正純資産価値」を差し引いた際に発生する差分のことで、販売価格と原価の差分ということになります。

これだけ聞くと「それって単なる利益では?」と感じるかもしれませんが、のれんには別の意味があります。公正純資産額は、その会社の総資産のうち負債の分だけを差し引いて算出した、帳簿上の純資産の価格を意味しています。M&Aでは、そこにさらに資産価値を追加することで取引価格を決定します。

この場合の資産価値は、売り手となる会社が持っているノウハウや人材、顧客ネットワーク、地理的条件、ブランド、そしてM&Aを行った際のシナジー効果などといった、帳簿では反映できない要素をさします。実際のM&Aではこれらの要素を公正純資産額に加味することで、最終的な取引価格を決定していきます。

のれんとは単純な利益のようなものではなく、売り手となる会社が持つ帳簿上に反映できない価値を換算したものだといえるため、負ののれんと対比して「正ののれん」や「超過収益力」といいます。

負ののれんとは

のれんとは逆のものが「負ののれん」だといえます。負ののれんは実際の公正純資産額と、それより低い金額で設定された取引価格のマイナスの差分のことをいいます。詳細は後述しますが、負ののれんは負債などのリスクが原因となって売り手の会社に発生します。

そのリスクを加味することにより、公正純資産額より低い取引価格が設定されるというわけです。正ののれんが売り手の会社のある種のポテンシャルを可視化しているものなら、負ののれんは売り手の会社のリスクを可視化しているものだといえるでしょう。

負ののれんは正ののれんと比べてあまり発生しないものですが、もし発生したら適切な対処を行う必要があります。

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負ののれんが発生する原因とは

負ののれんはどうして発生するのでしょうか?負ののれんが発生する原因には、主に以下の3つのようなものが挙げられます。

  1. 簿外債務がある
  2. 訴訟などによる損害賠償請求がある
  3. 赤字経営である

①簿外債務

基本的にM&Aの取引価格は帳簿上の公正純資産価値をベースにして算定するものですが、簿外債務があると負ののれんが発生しやすくなります。簿外債務はその名のとおり、帳簿上に反映されていない債務のことをさします。

簿外債務は「債務」と名付けられていますが、決して全てが負債というわけではありません。簿外債務には未払いの賞与や退職金、回収見込みが少ない売掛金、土壌汚染や訴訟のリスクなども含まれており、「将来的に発生する支払い」が簿外債務だといえます。

簿外債務は中小企業ではよく発生するものです。簿外債務の会計は税務会計が一般的であり、法人税の節税のために利益を圧縮する一環として、意図的に簿外債務を残しておくケースが多くなっています。上場しているような大企業は、投資家に向けて公正な情報を開示するために財務会計を行っています。

簿外債務は自然に発生することもあるため存在が必ずしもリスクだとはいえませんが、簿外債務の中には経営に致命的なダメージを与える損失になっているものもあり、そのようなものだと負ののれんとして計上されることがあります。

悪質な例では意図的にリスクが高い簿外債務を隠す会社もあります。後から簿外債務が発覚し、想定されていたシナジー効果が得られないばかりか、一気に赤字に転落することもあります。実際にM&Aを行う際は、デューデリジェンスなどを通じて徹底的に簿外債務を洗い出すことが重要です。

もしM&Aを検討している際は、M&A総合研究所にお任せください。M&Aに必要なデューデリジェンスや交渉などを、専門の知識を持つ経験豊富なアドバイザーがフルサポート致します。相談は無料で費用も国内最安値水準となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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②訴訟などによる損害賠償請求

売り手の会社が訴訟などによって損害賠償請求を受けている際にも、負ののれんが発生することがあります。損害賠償請求が発生していれば、当然将来的に莫大な損失が生まれる可能性があるからです。

注意しなければならないのは、もしM&Aが成立すると買い手が売り手に代わって損害賠償請求を受けることになるという点です。この際の負担の大きさに比例し、負ののれんは膨らんでいきます。

③赤字経営

赤字経営が続いている会社は倒産のリスクをはらんでいる状態であるため、当然ながら負ののれんとして反映されます。赤字状態を回復できれば負ののれんは解消されますが、そのまま悪化するようになればかなりの損失が発生してしまうでしょう。

M&Aにおいて赤字の会社が買収されるケースは珍しくありません。優れたノウハウや事業があれば、それだけでもその会社には価値がありますし、買い手となる会社に経営状態を立て直す術があればさらなる成長が見込めるでしょう。

赤字経営の会社の買収には一定の節税効果もあり、負ののれんによってコストを抑えてM&Aを実践することができるため、負ののれんが発生する赤字経営の会社を率先して買収する会社もあります

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負ののれんの会計処理

ここでは負ののれんの発生益や仕訳といった会計処理のやり方についてお伝えしていきます。

負ののれんの発生益

負ののれんは買い手にとって大きな利益を発生させ得るものです。買い手の立場からしたら、売り手の会社を公正純資産額より安く買収しているため、その分の差額を発生益として捉えられます。負ののれんの大きさによっては、かなり巨額の発生益になることもあります。

一見、これは買い手となる会社にとってメリットがあるようにも思えますが、実情は違います。のれんは単純な利益ではなく売り手となる会社のポテンシャル、あるいはリスクを可視化したものです。

負ののれんはれっきとしたリスクであり、もしこれが顕在化するようなことになれば、損失が発生し一気に経営状態が傾くことになります。負ののれんの発生益はあくまで一時的な利益に過ぎず、リスクが顕在化した際の損害が利益を上回る可能性は十分にあるということです。

会社によっては、負ののれんの発生益を利用することで業績が好調と見せかける手法を用いていることがあります。このような手法は粉飾決算ではないため違法ではありませんが、会社の売り上げの実態やリスクがわかりにくくなるので投資家には嫌われる方法です。

負ののれんの仕訳

負ののれんの仕訳は、正ののれんの仕訳とは異なっている点に注意しておく必要があります。正ののれんの場合、仕訳は日本の会計基準かIFRS(国際財務報告基準)のどちらを採用しているかによって変わります。

日本の会計基準の場合、貸借対照表にのれんを無形固定資産として発生益仕訳をした後、のれんの効果が及ぶ20年以内の期間にわたって規則的に償却していきます。

そしてIFRSを採用している場合、のれんを毎期ごとに減損テスト(時価評価)を行い価値が著しく下がっていた場合は、貸借対照表ののれんを減損処理します。

負ののれんの場合、どちらの方法を採用してもあまり結果は変わりません。負ののれんは本質的には違うとはいえ、買い手にとっては利益でもあるため仕訳の際は「一括利益計上処理」の記載区分で処理します。正ののれんのように償却していく必要はありません。

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のれんによる節税効果

のれんは会計処理と同様に正と負で税務処理にも違いがあります。正ののれんの場合、税務処理では損金として扱われ資産調整勘定として処理していきます。これは日本の会計基準、IFRSのいずれを採用していても変わりません。

負ののれんの場合、差額負債勘定調整として扱っていきそのまま5年かけて益金にしていきます。正ののれんは買い手にとっての「損金」、負ののれんは「益金」として扱われるということです。

買い手にとって節税効果が期待できるのは正ののれんとなります。M&Aをどのような手法で行うかによっても節税効果が変わることがあります。この点は税務や会計の知識が必要になるため、専門家と相談しておくようにしましょう。

M&A総合研究所では専門の知識と経験を豊富にもつ公認会計士が多数在籍しています。節税効果を含めたM&Aの手法を検討する際にはぜひご相談ください。これまでに培ったノウハウでM&Aの交渉から成約までをフルサポート致します。

また、M&Aは通常交渉から成約まで半年から1年はかかるとされていますが、M&A総合研究では早いクロージングを目指しており平均3ヶ月というスピーディーなM&Aの成約を実現しています。

完全成功報酬制ですのでM&Aが成約に至らなかった場合は報酬は頂きません。相談は無料ですので、ぜひ一度M&A総合研究にご相談ください。

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負ののれんの事例

ここでは実際に負ののれんが発生した以下のM&Aの事例についてお伝えしていきます。

  • RIZAP
  • 伊勢丹×三越
  • 日本郵政

RIZAP

負ののれんが発生したことによって経営状態が一気に転落した事例として有名なのは、やはりRIZAPの事例でしょう。RIZAPは2018年に負ののれんが顕在化し赤字に転落しました。

RIZAPは赤字経営の会社を優先して買収するようなM&Aを行っていましたが、これによる負ののれんの発生益を利用して会社の業績が好調であるように見せていました。

RIZAPの利益のうち、負ののれんの発生益が3分の1を占めていたなどその依存度はかなり高くなっており、それが裏目に出たためにRIZAPは赤字に転落しました。

赤字経営の会社を優先して買収するM&Aはその会社の経営状態を再建できることが前提の手法ですが、RIZAPは経営の再建に失敗し、負ののれんが丸々リスクに顕在化したために莫大な損失を発生させてしまいました。

本来RIZAPはこのような事態に陥る前に一度M&Aをやめて経営再建に努めるべきでしたが、負ののれんの発生益に依存したためにこのような結果を招いてしまったといえます。このような事例は、負ののれんの発生益が本質的な利益ではないことを如実に示しているでしょう。

伊勢丹×三越

2008年に伊勢丹と三越は共同株式移転により、三越を買収する形で三越伊勢丹ホールディングスを設立しました。この際、700億円という莫大な負ののれんが発生しています。

三越は銀座の一等地に土地を所有しているなど資産価値が高いうえに、両社はインカムアプローチの一つであるDCF法を利用したことが、負ののれんが発生した原因となっています。

日本郵政

日本郵政は2015年にオーストラリアの物流子会社のトールを買収しました。日本郵政は多大な正ののれん代を加味した、6000億円でトールを買収したことがかなり話題になりました。

しかし2017年になると状況は一転、日本郵政は4000億円の減損処理を発表し巨額の損失を被ることになりました。正ののれんが負ののれんに転化してしまい、さらにそのリスクが顕在化してしまったケースだといえます。

日本郵政のトール買収は、ゆうちょ銀行が買い戻した株の売り上げである1.3兆円のうち、退職給付債務の清算を終えた後に発生した6000億円をつかいきることも目的に含まれていました。6000億円という価格はあらかじめ既定路線で決定されていたものであり、綿密な査定で算出された数字ではないというわけです。

十分な査定を行わないままトールを買収し、加えてトールをさらに成長させるような経営戦略を行わなかった結果、日本郵政は巨額の損失を生み出す結果となりました。このように負ののれんは事後的に発生することもあります。

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インカムアプローチ

まとめ

負ののれんは買い手となる会社にとっては一見利益のように見えるものですが、あくまで一時的な発生益に過ぎずその本質は潜在的なリスクだといえます。負ののれんが発生した際には適切な対処を行い、リスクを取り除けるような経営に取り組む必要があります。

それを理解せずに発生益に依存するようなことになれば、RIZAPのような失敗を招くことになるでしょう。今回の内容をまとめると以下になります。

・のれんとは

 →売り手となった会社が実際に買収された時の価格」から「帳簿上の公正純資産価値」を差し引いた際に発生する差分のこと、売り手の会社のリスクを可視化しているものが「負ののれん」である

・負ののれんが発生する原因とは

 →主に簿外債務、訴訟などによる損害賠償請求、赤字経営であるといったものがある

・負ののれんの発生益

 →あくまで一時的な利益に過ぎず、リスクが顕在化した際の損害が利益を上回る可能性は十分にある

・負ののれんの記載区分と仕訳

 →「一括利益計上処理」の記載区分で処理する

・のれんによる節税効果

 →負ののれんは「益金」として扱われるため、買い手にとって節税効果が期待できるのは正ののれんとなる

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