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中小企業のM&Aに税制優遇措置が発表!内容をわかりやすく解説【2021年】

企業の成長にM&Aの活用は有効ですが、中小企業の場合はM&A時の税金が障壁となりやすいです。しかし、税制優遇措置によって税負担を抑えることが可能です。本記事では、中小企業のM&Aに活用できる税制優遇措置の内容をわかりやすく解説します。

目次
  1. 中小企業M&Aの税制優遇措置を解説【2021年】
  2. 中小企業M&Aの税制優遇措置のメリット【2021年】
  3. 中小企業M&Aの税制優遇措置に関する内容【2021年】
  4. 中小企業M&Aの税制優遇措置が適用される期間【2021年】
  5. 中小企業M&Aの税制優遇措置に関する相談先
  6. 中小企業M&Aの税制優遇措置まとめ
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中小企業M&Aの税制優遇措置を解説【2021年】

企業の成長や発展にM&Aの活用は効果的ですが、M&Aを実施すると多くの税金がかかります。中小企業にとってはM&Aで生じる多額の税金が障壁となり、M&A実施を躊躇するケースも少なくありません。そこで、M&Aで生じる税負担抑えてM&Aを活用しやすくなるよう、国はM&Aの税制優遇措置を設けています。

中小企業がM&Aの実施を検討する際は、M&Aに関する税制優遇制度を理解しておき、少しでも負担を抑えておくとM&A実施後の経営などに役立ちます。

税制優遇措置とは

税制優遇措置とは、要件を満たした対象者に対して税制優遇する制度のことです。制度の対象となれば、税制措置が受けられて減税されるメリットがあります。中小企業のM&Aに活用できるのは「経営資源集約化税制」と呼ばれる税制優遇措置です。

経営資源集約化税制は、既存の中小企業経営強化税制に経営資源集約化設備の追加および適用期限の2年間延長が加えられているうえ、所得拡大税制の適用などが含まれています。M&Aを考えている中小企業にとっては税制優遇が実施の大きな後押しともなるので、経営者の方は内容を把握しておきましょう。

税制優遇措置の対象

経営資源集約化税制は、対象となる中小企業に対して国が税制優遇を行い、M&A活用を活発化させて中小企業全体の生産性向上を目指すことを目的として設けられました。

税制優遇措置の具体的な内容は、設備投資減税(中小企業経営強化税制)、雇用確保を促す税制(所得拡大促進税制)、準備金の積立(中小企業事業再編投資損失準備金)の3つです。2021年度の経営資源集約化税制では、中小企業者等による以下のケースが税制優遇措置の対象となっています。

税制優遇措置 対象
設備投資減税 経営力向上計画にもとづき一定設備を新規取得して事業の用に供した場合
所得拡大促進税制 雇用者の給与を前年より一定額増額させた場合
準備金の積立 M&A実施後のリスクに備えて準備金を積み立てた場合

税制優遇措置を行う理由

税制優遇措置は、政府が政策の推進を図る分野に対して税制優遇を施すことで、政策を実現させることを目的としています。

経営資源集約化税制の主な目的は、中小企業が税制優遇措置を受けることでM&Aを行いやすくして規模拡大や生産性向上を目指すこと、後継者不足などによる中小企業の廃業増加をM&Aによって歯止めをかけて地域の経営資源の散逸を防ぐこと(詳細は後述)の2つです。

税制優遇措置によって、企業の内部留保を有効活用し経済成長の加速を図ることや、スタートアップ企業への投資を促進することも理由として挙げています。

企業の内部留保を有効活用し経済成長の加速

経営資源集約化税制によって中小企業が税制優遇を受けられれば、内部留保を有効活用して経営資源の集約化(M&Aによる統合や再編など)が実施しやすくなります。

今回の税制優遇措置には、中小企業が税制優遇を受けることでM&Aを実行し、事業再構築の実現や企業自体の生産性を向上させ、地域経済の成長を加速させる狙いがあります。

スタートアップ企業への投資

中小企業がウィズコロナ・ポストコロナ社会の新たな日常に対応していくためには、単に設備投資や研究開発等を推進するだけでは足らず、税制優遇の活用によって事業拡大や経営多角化を図ることも必要です。

税制優遇を受けずにM&Aを行えば、買収費用に加えて多額の税金も課されます。なかでもスタートアップ企業への投資は、デューデリジェンスを周到に行ったとしても、買収企業の将来性や簿外債務・偶発債務の発覚など多くのリスクなどがあるため、躊躇してしまいがちです。

しかし、税制優遇を施すことで、中小企業におけるM&A時点で発生する潜在的リスクを軽減できます。M&Aの活性化を図りスタートアップ企業への投資を後押しすることも、今回のM&Aの税制優遇措置を行う理由です。

【関連】中小企業の税制| M&A・事業承継の理解を深める

中小企業の事業承継問題の解決

現在、多くの中小企業が事業承継問題に悩まされている状況です。後継者が見つからずに中小企業が廃業すれば、雇用とGDPが失われるだけでなく、中小企業が持つ技術・ノウハウなど目に見えない財産も消失します。

かつて、経営者の息子などが後継者となり会社を存続させることが多かったものの、近年は親族内承継が少なくなっており、事業承継したくても後継者がいないケースが増加傾向にあります。

そこで国は、かねてよりM&Aによる事業承継を推進し、支援機関の設置などを実施してきました。今回の減税措置も、M&Aによる事業承継を推進する政策の一環として機能しています。

中小企業M&Aの税制優遇措置のメリット【2021年】

2021年度のM&Aに関する税制優遇策として、経営資源集約化税制に注目している中小企業経営者の方も多いです。税制優遇措置を活用中小企業の大きなメリットは、税制優遇を受けることで今までよりもM&Aを活用しやすくなり、結果として企業の生産性向上が可能になる点です。M&Aを実施した中小企業が各税制優遇を活用することで、さまざまなメリットが期待できます。

  • 設備投資に関する税控除が受けられる
  • 従業員給与が増額した場合、給与増額分の一部に対して税控除が受けられる
  • M&Aの準備金積立分は損金算入でき、企業の所得を減らして法人税額を抑えることでキャッシュフローの改善に期待できる

事業承継税制とは?メリットとデメリット、制度の概要や贈与税・相続税の仕組みなども解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

中小企業M&Aの税制優遇措置に関する内容【2021年】

2021年度の経営資源集約化税制とポイントしては、主に以下の3点が挙げられます。中小企業がM&Aの税制優遇措置を受ける際は、控除適用要件や対象者、注意すべき点などをよく理解しておくことが大切です。

  • 設備投資減税(中小企業経営強化税制)
  • 雇用確保を促す税制(所得拡大促進税制)
  • 準備金の積立(中小企業事業再編投資損失準備金)

投資額の税額控除、もしくは全額即時償却

設備投資に対する減税措置では、対象となる中小企業者等が適用期間内に要件に該当する設備投資を実施した場合に適用されます。

法人税の税制優遇措置では、投資額の10%資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除、または投資額全額の即時償却を選択適用することが可能です。

控除適用要件・対象者

設備投資減税の適用を受けるには、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画にもとづいて一定設備の取得が必要です。対象設備には、種類ごとの投資金額の下限・販売開始時期や、生産等設備を構成する新規購入による国内投資であることなどの要件も設けられています。

2021年度改正では、従来の生産性向上に資する設備のA類型、投資収益率向上に資する設備のB類型、デジタル化に資する設備のC類型に、経営資源集約化に資する設備のD類型が追加されました。対象者は青色申告している中小企業等経営強化法規定の特定事業者等であり、かつ租税特別措置法規定の中小企業者等に該当する必要があります。

注意点

設備投資減税の適用には、対象外となる法人や税額の控除条件があります。主に以下のような点があるので、事前に自社が該当しないか確認しておきましょう。

  1. 控除額の上限は事業年度の法人税額または所得税額の20%
  2. 前3事業年度の平均所得金額が15億円超の法人、大規模法人から過半数の出資を受ける法人、2つ以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人は対象外
  3. 電気業や水道業、性風俗関連特殊営業など対象とならない事業もある
  4. 設備については、原則として経営力向上計画の認定後に取得することが必要
  5. 要件のチェックに関して、工業会等や経済産業局公認会計士・税理士、認定経営革新等支援機関などの事前確認が必要

①は、中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制の各控除税額の合計額となります。④設備の認定は、例外的に設備取得後に計画申請する場合は取得日から60日以内に計画申請を受理し、取得した事業年度内に認定を受ける必要があります(※ただし、D類型は例外規定の適用なし)。

⑤は、A類型は工業会等、B~D類型は経済産業局の事前確認を受け工業会等の証明書や経済産業局の確認書の取得が必要です。ただし、令和3年8月2日以降の計画申請においては、コロナ特例措置として、事前確認と認定審査を同時並行で行う柔軟化措置が採用されています。

別途、申請書と添付資料に齟齬がないかについて、B類型・D類型は公認会計士・税理士の事前確認、C類型は認定経営革新等潜期間の事前確認を受けたうえで、事前確認書の添付が必要となります。

給与等支給総額の増加額の25%を税額控除

対象となる中小企業者等が、雇用者に対する給与等支払総額を前年よりも一定額以上増額した場合、法人税・所得税の税制優遇措置として、増加額の一部に対して税額控除が受けられます。

控除適用要件・対象者

適用要件は雇用者給与等支給額によって異なり、前年度比1.5%以上増加した通常の場合と2.5%以上増加した上乗せの場合があります。

上乗せの適用要件は、雇用者給与等支給額増額の要件に加えて、教育訓練費が前年比10%以上増額しているか、または経営力向上計画の認定を受け、経営力向上の実施に関して証明がなされているかどちらかの追加要件が必要です。

対象は青色申告している中小企業者等であり、通常の場合は増加額の15%、上乗せの場合は増加額の25%の法人税・所得税控除が受けられます。

注意点

継続雇用要件が撤廃され、適用要件は雇用者給与等支給額に一本化および簡素化されています。賃上げ及び雇用増加による所得拡大の取り組みも対象となり、手続きに関する事務負担も軽減されるようになりました。適用期間も2年延長され、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの期間内に開始する事業年度が対象です。

適用判定を行うに際して助成金支給がある場合、雇用者給与等支給額に雇用安定助成金などは含まれません。税額控除額の上限は、法人税額または所得税額の20%です。

M&A実施時に投資額の70%以下の金額を損金算入

対象となる中小企業者等が適用期間内に適用要件に該当するM&Aを実施する際、買手企業がM&A後に発生する簿外債務などのリスクに備え、株式等の取得金額等のうち一定金額を準備金として積み立てた場合は当該事業年度に損金として算入できます

ただし、M&A後に簿外債務が発覚するなど取崩要件に該当する行為が発生し、当該準備金を取り崩す必要が生じた場合は益金に算入します。準備金積立後5年間の据置期間内に準備金の取崩がなかった場合、据置期間の5年経過後にその後の5年間に均等額で準備金を取り崩し、益金として算入します。

控除適用要件・対象者

中小企業事業再編投資損失準備金制度によって税制優遇を受けるには、対象である中小企業者は適用期間内に事業承継等事前調査(デューデリジェンス)に関する事項が記載された経営力向上計画の認定を得ることが必要です。

そのほかの要件としては、計画にもとづき株式等を取得して事業年度末まで保有していること、株式等の取得金額として計上する金額の一定割合の金額を準備金として積み立てることなどです。対象者は中小企業等経営強化法規定の特定事業者等であり、かつ租税特別措置法規定の中小企業者等に該当していることが条件とされています。

注意点

中小企業事業再編投資損失準備金制度の活用を検討している場合は、以下のような点に注意が必要です。

  1. 積み立てられる準備金の金額は、投資額の70%が限度
  2. 損金に算入できるのは、据置期間の5年間のみ
  3. 準備金を損金に算入することはできるが、その後の処理として益金に算入して取り崩す必要があるので、工夫しないと節税にならない
  4. デューデリジェンスの確認のため、計画申請時に事業承継等事前調査チェックシートを添付
  5. 対象は、事業承継を伴うM&Aであり、事業譲渡合併、グループ内での事業移転や親族内の株式移転は含まれない
  6. M&A実施後、事業承継の実施やデューデリジェンスの内容などを主務大臣に報告し、確認書の交付を受けることが必要

このうち⑤⑥はM&Aに関する知識が必要なので、M&Aの専門家に相談しながら資料作成などを進めましょう。

【関連】M&Aの減税措置を解説!中小企業の優遇税制、受けられる控除を紹介【2021年】| M&A・事業承継の理解を深める

中小企業M&Aの税制優遇措置が適用される期間【2021年】

経営資源集約化税制は、中小企業のM&Aを活発化実現のための税制優遇措置ですが、ウイズコロナ・ポストコロナ時代を意識した内容です。M&Aに関する税制優遇措置には適用期間が設けられており、制度ごとに期間が若干異なるため間違いないよう注意が必要です。

経営資源集約化税制による税制優遇を受けてM&A実施を考えている場合は、事前に各適用期間を把握しておくようにしましょう。

  • 設備投資減税(中小企業経営強化税制):A類型・B類型・C類型については平成29年4月1日から令和5年3月31日まで、D類型については令和3年8月2日から令和5年3月31日まで
  • 雇用確保を促す税制(所得拡大促進税制):令和3年4月1日から令和5年3月31日まで
  • 準備金の積立(中小企業事業再編投資損失準備金):令和3年8月2日から令和6年3月31日まで

【関連】会社譲渡(株式譲渡)時にかかる税金とは?仕組みや計算方法について解説!| M&A・事業承継の理解を深める

中小企業M&Aの税制優遇措置に関する相談先

中小企業がM&Aを行う際に税制優遇措置を活用すれば、税金の障壁を大きく下げられます。税制優遇の適用を受けるためには、対象条件を正しく理解するだけでなく、専門的な資料の提出なども必要です。

M&Aをご検討の中小企業経営者の方は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。当社は、主に中小・中堅規模のM&A案件を扱う仲介会社で、さまざまな業種で成約実績を有しています。M&Aの支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで担当アドバイザーが親身になってフルサポートいたします。

当社の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際は、お電話・Webよりお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

中小企業M&Aの税制優遇措置まとめ

M&Aの税制優遇措置を受けられれば、中小企業にとってもM&Aは挑戦しやすいです。M&Aは企業の成長・発展を実現する有効な手段なので、税金面がネックとなりM&A実施を躊躇していた場合は税制優遇措置の活用を検討すると良いでしょう。

検討時は2021年度の税制改正内容を理解しておくことが重要であり、特に税制優遇措置の適用要件・対象者・適用期間などはしっかり確認することが必要です。専門的な知識が必要になる場合もあるので、M&AA仲介会社など専門家と相談しながら進めていくと安心です。

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