M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年5月20日更新会社・事業を売る
M&Aの手法・形態を徹底比較!特徴・検討方法・流れを紹介
M&Aは手法・形態がたくさんあるので、初めての方には分かりにくい部分があります。本記事では、M&Aの各手法・形態を一通り紹介して徹底比較します。各手法・形態の内容と特徴、数ある手法・形態から一つを選ぶ時の検討方法、実際にM&Aを行う時の流れなどを解説します。
M&Aの手法・形態一覧
M&Aのスキームは数多くありますが、それらは買収・合併・分割・提携・買付といった5つの手法・形態に分類されます。
この章では、これら5つの手法・形態について、それぞれどのようなスキームがあるのか解説し、M&Aの全体像を見ていきます。
【M&Aの手法・形態】
- 買収
- 合併
- 分割
- 提携
- 買付など
買収
買収の手法・形態には、株式譲渡・事業譲渡・株式移転・株式交換・第三者割当増資の5つがあります。この節では、この5つの手法・形態について一つずつ解説します。
【M&Aの買収の手法・形態】
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 株式移転
- 株式交換
- 第三者割当増資
株式譲渡
株式譲渡とは、株主が持っている株式を売却し、その株式を買い取った会社が新たに経営権を獲得するM&Aの手法・形態です。
株式譲渡では、一般に過半数の株式を取得して子会社化することを指します。
半分以下の株式しか取得しない、すなわち子会社化しないケースとして、資本提携や資本業務提携がありますが、これらと株式譲渡は別物と考えます。別物ではありますが、両者の主な違いというのは、株式を取得する割合だけです。
株式譲渡の特徴は、株式を買い取るという比較的シンプルな手続きで、会社をまるごと手に入れられることです。
売却する側としては、株式を保有している個人に売却益が入るという特徴があります。したがって、経営者が引退して老後の生活費を得る目的などでも、株式譲渡が利用されることがあります。
事業譲渡
事業譲渡とは、株式ではなく事業に必要な資産を売買するM&Aの手法・形態のことです。店舗などの不動産や設備を売却することで、事業を新しい経営者に譲渡します。
事業譲渡は株式譲渡と違い株式は売買されないので、会社そのものは買収・売却されないのが特徴です。譲渡する事業は会社が持っている複数の事業のうちの一部でもいいですし、全事業を譲渡することもできます。
事業譲渡の特徴は、会社をまるごと譲渡する株式譲渡と違い、事業の一部分だけを売買できること、そして株式を発行しない個人事業でも実行できることなどです。
事業資産を個別に売買するのは手続きが複雑になること、従業員にとっては別の会社に移籍することになるため、再雇用の手続きが必要になることなども、事業譲渡の特徴として挙げられます。
株式移転
株式移転とは、自社の親会社となる企業を新規に設立し、その会社に自社の株式を取得させて、自社を子会社化するM&A手法・形態のことをいいます。
株式移転には、持株会社を設立して、自社をその子会社にできるという特徴があります。ただし、主に大企業の組織再編で利用される形態なので、中小企業のM&Aではあまり利用されません。
株式交換
株式交換とは、ある会社の全株式を取得して、その会社を完全子会社化するM&Aの手法・形態のことです。
そして株式を取得して完全親会社となる企業は、その対価として自社の株式を支払いますが、場合によっては現金を支払うこともできます。
株式交換は、完全子会社化する時のみを指すことや、現金を対価にしてもよいことなどが特徴で、単に株式を交換するという意味ではないことに注意しましょう。
株式移転と比較すると、株式交換はすでに存在する会社の子会社になるためのM&A手法・形態だといえます。こちらも主に大企業の組織再編で使われる形態なので、多くの中小企業にとってはあまり関わる機会はないでしょう。
第三者割当増資
第三者割当増資とは、会社が指定した特定の第三者に、新株を発行して増資する手法・形態のことをいいます。新株を発行する第三者は誰でもいいですが、一般的には自社の役員や取引先など、会社と関係のある人物が選ばれます。
第三者割当増資は、取引先に株式を発行して関係を強めたり、非上場企業の資金調達手段、そして「ホワイトナイト」という敵対的買収の防衛策など、幅広い活用方法があります。
第三者割当増資をすると一株当たりの価値が薄まるので、既存株主が不利益を被る可能性があるのも特徴です。
合併
続いてこの節では、合併の手法・形態について見ていきます。合併の手法・形態には、吸収合併と新設合併があります。
【M&Aの合併の手法・形態】
- 吸収合併
- 新設合併
吸収合併
吸収合併とは、一方の会社の資産をもう一方の会社が全て引継ぎ、一つの会社に統合するM&A手法・形態です。
資産を譲渡した会社は法人格が消滅するので消滅会社といい、譲受した会社は存続会社と呼びます。
合併には吸収合併と新設合併がありますが、実際は吸収合併が利用されることの方が多く、単に合併といえば吸収合併のことを指すこともよくあります。
合併は他のM&A手法・形態に比べて比較的手続きが複雑ですが、吸収合併は新設合併に比べると手続きが簡単になります。
一つの会社が消滅する手法・形態なので、株主総会での承認や債権者保護手続きなど、関係者が不利益を被らないように配慮しなければならないのが注意点です。
新設合併
新設合併も吸収合併と同じように2つの会社を1つに統合しますが、新設合併では新しい会社を設立して、その会社に消滅会社を吸収させます。新設合併は手続きが面倒でコストもかかるので、吸収合併に比べるとあまり利用されることはありません。
新設合併は新たに会社を設立するため、吸収合併に比べて手続きが複雑で期間と費用もかかります。
会社設立の手続きだけでも面倒ですが、さらに許認可の再取得が必要だったり、上場企業の場合は再上場の申請を行わなければならないなど、多くの手続きが必要となります。
分割
続いてこの節では、分割のM&A手法・形態について解説していきます。分割には吸収分割と新設分割があり、それぞれ特徴が違います。
【M&Aの分割の手法・形態】
- 吸収分割
- 新設分割
吸収分割
吸収分割とは、事業の一部分(全部でもよい)を他の会社に吸収させるM&A手法・形態です。合併と違って、事業を譲渡した会社は存続します。
吸収分割には分社型吸収分割・分割型吸収分割という2種類の手法があります。
分社型吸収分割は分割した会社が対価を受け取り、分割型吸収分割は分割した会社の株主が対価を受け取ります。
【吸収分割の種類】
- 分社型吸収分割
- 分割型吸収分割
吸収分割は一見すると事業譲渡に似ていますが、吸収分割は対価として株式を譲渡するため、株主構成が変化するという特徴があります。つまり、事業譲渡は会社同士の事業の売買なのに対し、吸収分割は組織再編行為の一つとなります。
他には、分社型吸収分割と分割型吸収分割の違いも特徴の一つだといえます。分社型吸収分割は親会社・子会社の関係を作るのに対して、分割型吸収分割は対等な兄弟関係を作ることができます。
新設分割
新設分割も吸収分割と同じ分割の一種ですが、新設分割では新しく会社を設立し、その会社に事業を吸収させるという違いがあります。
新設分割も吸収分割と同様、会社が対価を受け取る分社型新設分割と、株主が対価を受け取る分割型新設分割があります。
【新設分割の種類】
- 分社型新設分割
- 分割型新設分割
吸収分割や新設分割は組織再編の手法・形態の一つなので、基本的には大企業が行うことが多く、中小企業が関わることはあまりないでしょう。中小企業では、分割よりも事業譲渡を用いるのが一般的です。
提携
提携は会社を買収するわけではないので、狭義のM&Aには含まれませんが、広い意味でM&Aの手法・形態の一つに含める解釈もあります。
提携をM&Aと区別する場合は、「アライアンス」と呼ばれることもあります。
提携は他のM&A手法・形態と違い、一時的に提携を結んだ後、最終的には提携を解消して元の独立した企業同士に戻るのが特徴です。
提携の主な手法・形態は、業務提携・資本提携・資本業務提携の3つです。この節では、この3つの提携手法・形態について一つずつ解説します。
【M&Aの提携の手法・形態】
- 業務提携
- 資本提携
- 資本業務提携
業務提携
業務提携とは、企業同士がお互いの技術やノウハウを出し合って、協力して開発や販売などの業務を行うことです。
業務提携と資本提携を一緒に行う資本業務提携に対して、業務提携は資本の提携を伴わない場合を指します。
業務提携はどの業務を提携するかによって、生産提携・販売提携・技術提携に分類することができます。
【業務提携の種類】
- 生産提携
- 販売提携
- 技術提携
業務提携は他のM&A手法・形態と違い、生産業務・販売業務・開発業務など、特定の業務だけを提携できるのが特徴だといえます。さらに、資本関係がなく企業同士が独立性を保っているので、業務提携が終わった後はまた元の独立した企業同士に戻ることができます。
一方で、企業同士が独立性を保っていることは、お互いの足並みを揃えにくいという欠点にもつながります。さらに、提供した技術やノウハウが、提携後に漏えいする可能性にも注意しなければなりません。
資本提携
資本提携とは、お互いの企業がある程度の株式を持ち合うことで、協力関係を築いて業務を行っていくことです。
他のM&A手法・形態では、過半数の株式を取得して子会社化しますが、資本提携では取得する株式の割合を数%から30%くらいにとどめ、子会社化はしないのが特徴です。
資本提携はお互いの企業が資本関係を持つので、業務提携に比べて強固な関係を築けるのが特徴です。一方で、たとえ子会社化しなくても資本関係を持つ以上、相手の企業が経営に関する介入を行うことがあります。
業務提携と違って、実行するのに資金が必要になるのも注意点です。
資本業務提携
資本業務提携とは、資本提携と業務提携を同時に行うことです。子会社化しない程度の株式を取得して資本関係を築いたうえで、同時に業務提携も締結します。
株式を過半数取得すると子会社化されるので、この場合は株式譲渡など別のM&A手法・形態に分類されます。資本業務提携は、M&Aとアライアンスの中間的な位置づけの手法・形態だといえるでしょう。
資本業務提携は、お互いの独立性をある程度維持したまま、高いシナジー効果の獲得を目指せるのが特徴です。
完全子会社化する前段階として、一定期間資本業務提携を結んで様子を見るという使い方もできます。上場企業の場合は、株式を一部しか取得しないことで、お互いの企業が上場を維持できるのも特徴の一つです
買付など
TOBやMBOといった買付の手法・形態も、M&Aの一種に含めることがあります。この節では、TOBとMBOとは何かについて解説します。
【M&Aの買付などの手法・形態】
- TOB
- MBO
TOB
TOBとは株式公開買付のことで、上場企業の株式を売ってくれる人を市場外で募集し、その会社の株式を取得する手法・形態です。
上場企業の株式を市場で一度に大量に取得すると、株価が大きく変動して混乱を起こす恐れがあります。しかしTOBなら市場外で買付けるので、混乱を起こさずに大量の株式を取得することができます。
TOBで株式を買付けると、市場で買い付けるのと違い、決まった価格で決まった株数を取得できるという特徴があります。よって取得のコストが予想できるので、予想以上にコストがかかって株式の取得ができなくなる、といったトラブルを防ぐことができます。
TOBの買付価格は通常プレミアムがつくので、株主にとっては利益を出すチャンスであることも、特徴の一つといえるでしょう。
MBO
MBOは「マネジメント・バイアウト」の略で、自社の経営陣が株式を買い上げて、経営権を強化する手法・形態のことです。
目標を設定して管理する組織マネジメント手法である、「目標管理制度」のこともMBOと呼ばれますが、これはマネジメント・バイアウトとは全く別物なので注意しましょう。
経営陣ではなく従業員が株式を取得する場合は、エンプロイー・バイアウト(EBO)と呼ばれることもあります。
MBOは自社の経営陣が大株主となるため、上場企業の場合の場合、他の株主を排除して一般の株主の意見に左右されない経営を行うことができます。一般の株主は短期の利益を求める傾向があるので、長期的視点で経営を行いたい時にMBOを使うのは効果的です。
他にも、敵対的買収への対抗策や、グループ企業の一部が独立する時などに利用されます。MBOは資金調達をどうするかが大きな問題で、プライベート・エクイティ・ファンドなどを利用する事例が多く見られます。
M&Aの手法・形態を比較するポイント
M&Aの手法・形態を比較するポイントは、中小企業か大企業かで大きく異なってきます。
まず中小企業のM&Aでは、ほとんどの場合株式譲渡か事業譲渡が用いられ、選択肢はほぼこの2択に絞られます。
特に株式譲渡が用いられるケースが多いので、まずは株式譲渡を検討して、他の手法・形態も考慮したいなら事業譲渡と比較していけばよいでしょう。
大企業の場合は株主が多く株式譲渡は使いづらいため、株式交換やTOBなど、他の手法・形態も比較していくことになります。
組織再編をする場合は、合併や分割の中から適切な手法・形態を選んでいくことになります。
M&Aの手法・形態を徹底比較
M&Aの手法・形態はたくさんあるので、その中からどれを利用するのが最適か考える必要があります。どの手法・形態が最適かを考えるには、それぞれの特徴を把握しておく必要があるでしょう。
M&Aの4つの検討方法
M&Aの手法・形態は非常に多いので、その中からどれを採用するか検討することが重要になります。
検討の方針は、どのような理由でM&Aを行うのか、会社の規模はどれくらいかなど、個々の条件によって変わってきます。
まず大まかな方針として以下の4点を検討し、その後個々の事例によって手法・形態を絞っていくとよいでしょう。
【M&Aの手法・形態の検討方法】
- 株式か現金か
- 費用や時間などのコスト
- 買収対象の範囲
- 課税の有無
1.株式か現金か
M&Aの手法・形態には、株式譲渡のように対価として現金を支払うものと、株式交換などのように対価として株式を譲渡するものがあります。
対価として支払う現金が用意できているのか、それとも株式の譲渡で済ませたいのかによって、M&A手法・形態を検討してくとよいでしょう。
2.費用や時間などのコスト
費用や時間などのコスト面から、M&A手法・形態を比較していくのも有効です。
中小企業のM&Aではほとんどの場合株式譲渡か事業譲渡が用いられますが、株式譲渡は事業譲渡に比べて手続きが簡単で、費用も安く済む傾向があります。
大企業の組織再編については、新設合併や新設分割といった、新会社を設立する手法・形態は費用や時間がかかる傾向があります。
3.買収対象の範囲
M&Aの手法・形態には、株式譲渡や株式交換のように会社を包括的に売買するものと、事業譲渡や分割のように一部分だけを売買するものがあります。
M&Aの手法・形態を検討するにあたっては、買収対象の範囲が会社全体なのか、それとも一部の事業なのかを考慮する必要があります。
4.課税の有無
M&Aは、どの手法・形態を用いるかによって、かかる税金の種類や額が変わってきます。どの手法・形態でどういった税金がかかるのかを理解して、比較検討していくことが重要です。
例えば株式譲渡と事業譲渡を比較した場合、株式譲渡では株式の譲渡益に対して所得税が課され、事業譲渡では法人税や消費税が課されます。一般に株式譲渡のほうが、税金が安くなる傾向があります。
合併や分割といった大企業の組織再編では、適格要件を満たすかどうかが税務に大きく影響します。
適格要件を満たすと税制が大幅に優遇されるので、適格要件を満たせるかどうか検討することが重要になります。
M&Aの流れ
どの手法・形態を用いるにしろ、M&Aを成功させるためには、手続きの流れを把握しておくことが重要です。
M&Aの流れは手法・形態によって大きく異なりますが、この章では一例として、中堅・中小企業がM&A仲介会社を利用し、株式譲渡や事業譲渡で会社を売却・買収すると想定して、その流れを解説します。
【M&Aの流れ】
- 事前準備・M&A戦略の策定
- 相談する専門家の選定
- M&A候補の選定・交渉
- 秘密保持契約の締結
- 譲受側へのIMの提示
- トップ同士の面談
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージング
- 経営統合(PMI)
1.事前準備・M&A戦略の策定
M&Aを成功させるには、事前準備をしっかり行っておくことが重要です。
企業の磨き上げを行い、企業価値を高めてから本格的な手続きに進むのが理想です。
もし可能なら、M&A戦略の策定もこの段階で行っておくとよいでしょう。
ただし、経営者が自分だけの判断でM&A戦略の策定を行うのはリスクもあるので、できればM&A仲介会社と相談しながら決めることをおすすめします。
2.相談する専門家の選定
事前準備が整ったら、次はM&Aの手続きをサポートしてくれる専門家の選定に入ります。
一般的にはM&A仲介会社を選ぶことになりますが、弁護士や会計士といった士業事務所、事業引継ぎ支援センターといった公的機関を利用するという選択肢もあります。
M&A仲介会社は、中小企業のM&Aを専門としているところや、特定の業種に特化しているところなど、それぞれが独自の強みを持っています。
自社に合った仲介会社を選ぶことも、成功率を高めるためには重要です。
3.M&A候補の選定・交渉
相談するM&A仲介会社が決まったら、仲介会社が持っているネットワークを利用して、買収先・売却先候補の選定と交渉に入ります。
4. 秘密保持契約の締結
候補会社から情報開示を求められた場合、秘密保持契約を締結します。
秘密保持契約とは、公開されていない情報を受け取った者が、その情報を第三者に無断で漏らしたり、契約の目的以外に使用したりしないことを約束する契約です。M&Aでは、M&Aの実施自体が秘密であることが多く、この契約は非常に重要です。
5.譲受側へのIMの提示
秘密保持契約を結んだ後、買い手企業にIM(Information Memorandum)という詳細資料を提供します。
IMは、売却対象となる企業や事業の情報を詳しく記載した資料です。買い手企業は、この情報をもとに対象企業や事業の評価を行い、次の交渉に進むかどうかを判断します。
6.トップ同士の面談
買収先・売却先の候補が絞れたら、相手の経営者と実際に会ってトップ面談を行います。
トップ面談では価格面などの交渉に加えて、相手の経営者の人柄や経営理念なども見て、この会社とならM&Aを行いたいと思えるかどうか検討しましょう。
7.基本合意書の締結
トップ面談の結果基本的な契約内容が固まったら、基本合意書を締結してその時点での合意内容を書面にします。
8.デューデリジェンスの実施
基本合意書を締結した時点では、買い手はまだ売り手企業の詳細について分かっていないので、デューデリジェンスを実施して詳しく調査します。
デューデリジェンスでは、売り手側企業の財務内容や業務内容、法的なリスクを抱えていないかなどを調査し、買収しても問題ないか判断します。
売り手側はデューデリジェンスにしっかり協力し、不都合な事実を隠したりすることがないようにしなければなりません。
9.最終契約書の締結
デューデリジェンスの結果売り手側企業に問題がなかったら、最終契約書を締結してM&Aを確定させます。
最終契約書を締結すると法的効力が発生するので、違反した場合は損害賠償の対象となることがあります。契約内容をしっかりと確認し、納得いくまで交渉・相談するようにしましょう。
10.クロージング
最終契約書が締結されたら、その契約内容に基づいて経営権や事業資産を移転するクロージングを行います。
クロージングをもってM&Aの手続きは完了となりますが、この後は企業同士が円滑に経営できるようすり合わせていく、統合プロセスを行う必要があります。
M&Aの締結に成功しても、統合プロセスに失敗するとシナジー効果が得られなくなるので、他の手続き同様統合プロセスも徹底して行うようにしましょう。
11.経営統合(PMI)
M&A(企業の合併や買収)は、契約が成立した時点で終わりではありません。実際の事業の引き継ぎや経営は、M&Aが正式に成立した後に始まります。
この過程を「統合作業」や「PMI(ポストマージャーインテグレーション)」と呼びます。PMIには2つの側面があります。一つは企業文化などの「ソフト面」で、もう一つは制度や業務プロセスなどの「ハード面」です。
これらの作業を行うことで、新しく合併・買収された会社が円滑に経営され、効果的な結果が生まれます。
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M&Aの手法・形態まとめ
本記事では、M&Aの手法・形態について、主な手法を網羅的に解説しました。
M&Aの全体像を把握して、最適な手法・形態を選択できるようにしておきましょう。
【M&Aの手法・形態】
- 買収
- 合併
- 分割
- 提携
- 買付など
【M&Aの買収の手法・形態】
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 株式移転
- 株式交換
- 第三者割当増資
【M&Aの合併の手法・形態】
- 吸収合併
- 新設合併
【M&Aの分割の手法・形態】
- 吸収分割
- 新設分割
【吸収分割の種類】
- 分社型吸収分割
- 分割型吸収分割
【新設分割の種類】
- 分社型新設分割
- 分割型新設分割
【M&Aの提携の手法・形態】
- 業務提携
- 資本提携
- 資本業務提携
【業務提携の種類】
- 生産提携
- 販売提携
- 技術提携
【M&Aの買付などの手法・形態】
- TOB
- MBO
【M&Aの手法・形態の検討方法】
- 株式か現金か
- 費用や時間などのコスト
- 買収対象の範囲
- 課税の有無
【M&Aの流れ】
- 事前準備・M&A戦略の策定
- 相談する専門家の選定
- M&A候補の選定・交渉
- トップ同士の面談
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。