M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年10月5日更新会社・事業を売る
MBIとは?意味やMBOとの違いを解説
株式を買い上げて経営者を送りこみ経営の立て直しによって資産価値を高めるのがMBIです。当記事はMBIの大まかな解説をはじめ、MBIの意味や、比較されるMBO・TOB・LBOとの違い、MBIに見られる3つの種類を解説します。
MBIとは?
MBOの手法の1つで、ファンド・投資家・出資した金融機関が取り組む買収のことをMBIと呼びます。買収・出資側は、経営権を得られる分の株式を買い集めます。
経営権を握れる株式を保有した段階で、買い取った会社へ人材を派遣し、経営の立て直しを図ります。
MBIに取り組む目的は、利益の確保です。認知や知名度が高く、あるいは高い技術を備えていても、経営に優れた人材が不足していることで上手に活かされていない会社もあります。
そのような会社に経営に精通した人物を派遣することで、企業価値を上げて利益を得られる可能性が高まります。まさにMBIによる経営立て直しの実現に繋がります。
このほかにもMBIに取り組む例には、対象企業の価値が正しく見定められていない・管理が徹底されていない・事業承継が求められるときなどが挙げられます。
MBIで正しい評価が下されたり、管理の徹底を満たしたりできれば会社の資産価値が上がります。また、外部に株式を譲れば社内から承継者を探す手間が省けるなどのメリットがあります。
MBIの意味
MBIは「Management buy-in」の頭文字を並べた略称です。MBIでは、社外の者が経営管理に関わるため「Management」という言葉が使われます。
さらに、MBIでは経営権を得られるだけの株式を買い上げるため、株の買い付けを意味する「 buy-in」という言葉があてられます。要するに、買い手側が対象会社へ外部から経営陣を送り込み、キャピタル・ゲイン(債券や株式など資産を売却することによって得られる売買差益)の獲得を狙うものです。
大多数の事例を見ると株式を買い取る外部の者を主体にMBIに取り組むため、MBIは「Management」と「 buy-in」という言葉を組み合わせて構成されています。
したがって、MBIは技術力・ノウハウ・ブランド力は保有しているものの、経営に優れた人材が不足している企業などでは有効な手段といえるでしょう。
MBIとMBOとの違い
似通った用語のMBIとMBOの区別をしたい方に向けて、ここではMBIとMBO・TOB・LBOとの違いを明らかにします。
MBIとMBOの違い
会社の経営権を持つ者とスキームに取り組む目的が、MBIとMBOの大きな違いです。
- 経営権を持つ者
- スキームに取り組む目的
経営権を持つ者
混同しがちなMBOは、自社株式を役員が買い上げて経営権を握ることを指します。一方のMBIの経営権は買い取った外部の者に握られています。
MBOは現在の経営陣が会社の指揮をとりますが、MBIは株式を買い取った外部の者が経営の指揮をとるので、経営権を持つ者が違います。
それゆえ、MBIでは運営するうえでの決断を外部の者が行うため、経営への強い関与が窺(うかが)えます。
スキームに取り組む目的
MBOに取り組む目的は、上場廃止による敵対的買収への対抗・意思決定の迅速化・上場コストの削減をはじめ、子会社による独立などです。
非上場会社へと変われば望まない相手からの買収を避けられますし、投資家の意見を反映させる義務からの解放により長い目で見た経営へのシフトが可能です。また、上場を続けるための費用も減らせます。
子会社を独立させられれば、意思決定の速度を早められますし、会社に縛られない経営方針を打ち出せるため、企業はMBOに取り組みます。
一方のMBIにも子会社の独立を目的にした取り組みが見られるものの、大多数の事例では会社の資産価値を高めて利益を得るために取り組みます。
それゆえ、MBOではより良い経営状況をつくるために取り組まれ、MBIは社外から力を借りて既存の経営を立て直すために行われると判断できます。
TOBやLBOとの違い
TOBは市場の外で上場株式を買い取る方法で、前もって取得する期間・株式の数・価格を知らせてから取り組みます。
MBIとの相違点は買いとる目的です。TOBでは対象会社を傘下に加えるために行い、MBIでは買い取ってから資産価値を高め、いずれは株式を売却して利益を得るために行います。
また、LBOは買収先が有する資産などを保証にお金を借りて対象会社を買い上げます。買う側は資金を借りるために会社をつくり、株式を買い取ったあとにその会社との合併を行います。
MBIでは買収先の株式買い取りによる経営への関与に留まるため、買収に伴って資金を借りる・会社をつくる・合併する点がLBOとの相違点です。
MBIの種類
買収先に経営者を送りこんで経営を立て直すMBIは3つの種類にわけられます。1つは新たな経営者とファンドが共同で出資するMBIで、もう1つが別事業へのシフトにより買収先が主体となったMBIで、3つ目が買収側に属さない者を経営者に招くMBIです。
ファンドと共同出資
1つ目のMBIは、ファンドと経営を担う人物とで共同出資する例です。MBOで実績を上げた人物・投資先の経営を行いたい人物などが、出資に賛同するファンドを探し、共同で対象会社を買い上げます。
この種類のMBIでは、経営する人物がMBIの候補企業を探し、利益を望めるかを調べてから、出資をもとめるファンドへと提案を持ち掛けて、買収の資金を出してもらう流れで進められます。
余談ですが、イギリスでは1990年代にMBOの活用がひと段落したことから、MBIの活用が盛んになった要因は市場における取引の機会を求めたためといえます。
買収先が経営陣を招く
2つ目のMBIは、買収先が主体となって経営陣を迎え入れる例です。事業を続けたくても、市場に変化が起きれば、別の事業への移行を余儀なくされます。
しかし、取り組んでいる事業から別の事業に変えるには、現在の役員をそのままにしておくと、移行のリスクが高まります。
そこで、ファンドの力を借りてMBIを行い、移行する事業に通じた経営者などを迎え入れます。これなら、移行で生じるリスクを押さえつつ、市場の変化に応じた事業内容の変更が行えます。
買収先に外部から経営者を送る
3つ目のMBIは、買収した先へ経営者を派遣させる例です。外部から招いた経営者が買収先の運営に取り組んで資産価値を高めます。
MBIの種類のうちでは一般的な事例で、送りこむ人物は買収側に属さない者から選ばれます。
ちなみに、ファンドと共同出資によるMBIでは経営を担う人物を買収側から派遣するため、送りこむ経営者が買収にかかわる点で、ファンドと共同出資によるMBIとは異なるといえます。
MBIを検討する際の相談先
MBIでファンドと共同した買収・自社事業へのシフトのためには、各自が買収先と協力してくれるファンドを探す必要があるので、M&Aの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。
M&A総合研究所は、中堅・中小規模の案件を扱うM&A仲介会社です。さまざまな業種で成約実績を積み重ねており、M&Aの専門知識・経験豊富なアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。
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MBIの際はぜひ一度M&A総合研究所へご連絡ください。無料相談は電話・メールで受け付けております。
MBIのまとめ
買収先の株式を買い上げて経営者を送りこみ資産価値を高めたのちに売却するMBIは、企業の知名・認知度や技術力を活かしきれていない会社を対象にして行われます。
MBIの種類は、取り組む主体と送りこむ経営者の所属によって3つに分けられます。
【MBIの種類】
- 新たな経営者とファンドが共同で出資し経営者を送りこむMBI
- 別事業にシフトによる買収先を主体としたMBI
- 買収側に属さない者を経営者に招くMBI
また、MBIに取り組む際は、似ているMBOでの買収と誤認を避けるためにも、各スキームとの相違点を押さえることをおすすめします。そのほかにも、自社だけで進めずM&Aの専門家に協力をもとめる点への留意も肝要です。
【MBOと違う点】
- 経営権を握るのは、MBOでは現在の経営陣、MBIでは買収側
- 取り組む目的は、MBOではより良い経営状況をつくるため、MBIでは経営を立て直すため
【TOBと違う点】
- 買収の目的は、TOBでは対象の会社を傘下に収めること、MBIでは資産価値を高めて利益を得ること
【LBOと違う点】
- MBIは買収に伴って資金を借りる・会社をつくる・合併するなどは行わない
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。