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SESの事業売却とは?メリット・デメリットや事例をご紹介!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

近年特にSESに需要が高まっており、競争力の強化などを目的にM&Aを実行するケースも増えています。SES事業で事業売却/会社売却・M&Aを検討する場合、業界動向やM&A事例を総合的に判断し、分析を進めることが大切です。

目次
  1. SESの事業売却について
  2. SESとは何か?
  3. SESの事業売却の現状
  4. SESの事業売却/会社売却のメリット・デメリット
  5. SESの事業売却/会社売却の注意点
  6. SESの事業売却/会社売却の事例5選
  7. まとめ

SESの事業売却について

事業の強化・拡大や新規業界への参入などを目的に、M&A・事業売却/会社売却を検討する企業も増えています。様々な業界でM&Aが活発化しており、「子会社化」「買収」「事業売却」といった言葉を見聞きする機会も増えているかと思います。

さて、こうしたM&A・事業売却/会社売却ですが、近年はSES事業を行う会社の間でもしばしば見られます。以下、SESに関するM&A・事業売却/会社売却について、その現状や具体的な事例などをご紹介していきます。まずはSESとは何かという点から整理しておきましょう。

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SESとは何か?

SESとは、「システムエンジニアリングサービス」の略称です。これは、主にソフトウェアやシステムの開発・保守・運用などで行われる委託契約の一種になります。また、「SES事業」と表現すると、IT関連の技術者を他社に派遣することでシステム・ソフトウェアなどの開発・保守・運用を行う事業のことを指します。こうしたSES事業を手がける会社が、「SES事業会社」となるわけです。

SES事業のニーズ

外部のエンジニアに対するニーズの高まりに伴い、SES事業の重要性もますます高まっています。これは、それぞれの会社でエンジニアが足りていない、またはエンジニアの育成が追いつかないことなどが主な要因として挙げられます。

会社内に優秀なエンジニアが多く在籍していれば問題ありませんが、近年は特にIT業界で人材不足が深刻化していることもあり、それぞれの会社で人材が足りない、または人材の育成が間に合わないなどのケースも目立ちます。

そうなると、どうしても外部のエンジニアに頼らざるを得ないでしょう。そこで、SES事業会社がエンジニアを対象企業に常駐させることで、システム・ソフトウェアなどの開発・保守・運用などのサービスを提供する形になるわけです。

SES契約の仕組み

SES契約というのは、エンジニアを対象企業に常駐させ、期間内の労働に対して報酬を支払う契約のことを指します。SES契約は請負契約や派遣契約との違いも重要ですので、以下で整理しておきます。

請負契約との違い

請負契約というのは、ある仕事を完成することを約束し、それに対して報酬を支払うという契約のことです。成果物を引き渡すなどの形で仕事を完成させなければ、対価は支払われないという点に特徴があります。

一方、SES契約は期間内の労働に対して報酬が支払われることに特徴があり、この点がSES契約と請負契約の違いになります。つまり、SES契約の場合、もしシステムなどが完成していなかったとしても、その期間内の労働については対価が支払われることになります。

派遣契約との違い

派遣契約は、対象企業が実施するプロジェクトに応じてエンジニアが派遣される形になります。つまり、対象となるプロジェクトが完了すれば別の企業に移ることになります。そのため、同じ企業に長期間常駐する契約とは異なります。

一方、SES契約は契約内容によって雇用期間が定められ、対象企業に常駐して業務を進めます。また、SES契約はSES事業会社にエンジニアへの命令権がありますが、派遣契約は派遣先の企業にエンジニアへの命令権があります。このような点が、SES契約と派遣契約の違いです。

SES事業の動向

先ほども述べたように、様々な会社でエンジニアが足りていない傾向が強いので、外部のエンジニアに対する需要は高く、SES事業に対する需要も高まっています。また、SES事業はIT業界でも特に競争が激しいとされています。

SES事業が属するソフトウェア業はIT業界でも特に企業数が多く、どうしても競争相手は多くなります。また、IT分野におけるニーズは日々めまぐるしく変化しており、最新技術をはじめ様々な動向・ニーズに対応できるかがカギとなります。

保有する技術、ノウハウ、エンジニア個人の技術力など、それぞれで高い競争力が求められるわけです。さらに、IT業界全体で人材不足が深刻化しているため、もちろんSES事業会社も人材の効率的な確保は急務となります。そして、優秀な人材の有無は、もちろんSES事業会社の競争力に影響します。

SESの事業売却の現状

次に、SESに関連する事業売却について、その動向や現状についてご紹介します。まず、「事業売却」という言葉の意味から整理しておきます。M&Aが活発化している現在、事業売却や会社売却、事業譲渡など、それぞれの言葉が持つ意味が曖昧になっているケースもあります。いずれもM&Aの手法として考えることができますが、事業売却という言葉が使用される場面も非常に多いので、まず事業売却の意味からきちんとおさえておきましょう。

事業売却とは?

事業売却というのは、基本的には会社の事業の全部または一部を他の会社に売却することを表します。字の通り「事業を売却する」という意味があります。また、会社の事業を第三者に売却(譲渡)するという意味で、事業譲渡とも言われます。

さて、この「事業譲渡」という言葉は、あくまで事業を切り離して譲渡することを意味します。そのため、株式そのものが動くわけではありません。この点が、「事業譲渡」と「株式譲渡」の違いです。ただし、「事業譲渡」ではなく「事業売却」と表現する場合、事業譲渡だけでなく株式譲渡を含むケースもあります。

つまり事業売却には、事業の全部または一部を譲渡する方法(事業譲渡)と、株式を譲渡して経営権を移転させる方法(株式譲渡)があるわけです。また、株式を譲渡する形で会社の全ての事業や資産を他社に譲渡することを、「会社売却」といいます。

まとめると、事業売却には、事業譲渡と株式譲渡(会社売却)があることになります。後ほどSESの事業売却/会社売却の事例をご紹介しますが、基本的には株式譲渡(会社売却)の事例が多く見られます。また、このような事業売却、つまり事業譲渡と株式譲渡(会社売却)は、いずれもM&Aの手法に含まれます。

このように、定義が複雑かつ曖昧な点も見られますが、近年様々な業界で活発化しているM&Aの一例として考えて差し支えありません。そのうえで、表現として「事業売却」という言葉を使うケースも多いということを知っておくと便利です。

SESのM&A・事業売却/会社売却の現状・動向

後ほどSESの事業売却/会社売却、M&Aの事例について代表的なものをご紹介しますが、その現状・動向について簡単に整理しておきます。

人材確保のためのM&A

IT業界では特に人材不足が深刻化しています。いずれの企業も優秀な人材の効率的な確保が急務となりますが、これはSES事業会社も例外ではありません。そこで、M&Aによって優秀な人材を効率的に確保するケースも増えています。優秀な人材が多く在籍するSES事業会社を買収し、比較的短期間で多くの人材の確保を実現するといったケースがあります。

IT企業によるSES事業会社のM&Aは増加していますが、特に今後は人材確保を目的としたM&Aが加速する可能性があります。また、買収されるSES事業会社からすると、優秀な人材を多く抱えていれば、それだけ様々な企業が買い手に名乗り出てくれる可能性があるということです。資金力の豊富な大手企業に売却できれば、売り手となるSES事業会社にとっても大きなメリットがあるわけです。

特に創業して間もないSES事業会社であれば、経営基盤の安定化などを目的に事業を売却するメリットは大きいはずです。そして、優秀な人材が多く在籍するということは、事業売却を成功させる大きな強みになります。

同業者同士によるM&A

先ほども述べたように、SES事業は競争が激しい傾向があります。こうした状況で競争力の強化を図るため、同業者同士のM&Aが加速する可能性もあります。同業者同士であれば、双方のノウハウや技術、サービス体制、人材などをスムーズに活用でき、競争力の強化につなげやすくなります。後ほどSESの事業売却/会社売却・M&Aの事例をご紹介しますが、そちらでも双方のノウハウ・技術などを活かす形で事業拡大を図るケースが見られます。

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SESの事業売却/会社売却のメリット・デメリット

事業売却/会社売却・M&Aは、事業の強化・拡大、競争力の強化、新規業界への参入などのメリットのほか、後継者不足問題の解決や経営基盤の安定化など、経営上の問題を解決するための手法としても効果的です。

同業者がSES事業会社を買収するケースであれば、SES事業の強化・拡大や競争力の強化につながり、異業種の企業がSES事業会社を買収すれば、一からSES事業を開始するより比較的短期間で新規参入を果たすことが可能です。

また、SES事業会社が事業売却/会社売却を行う場合であれば、大手の傘下に入って経営基盤の安定化などのメリットを狙うといったケースが考えられます。一方、事業売却/会社売却・M&Aは、売り手・買い手ともに適切な対象企業と取引をして初めて成功します。

ただ事業売却/会社売却・M&Aを進めればよいわけではなく、適切な対象企業はきちんと見極める必要があります。そうでないと、事業売却/会社売却・M&Aによってかえって損失が発生してしまった、従業員が反発したなどの事態になりかねません。ただ、この点はデメリットというより注意点としておさえておくべきでしょう。

SESの事業売却/会社売却の注意点

SES事業会社に限った話ではありませんが、事業売却/会社売却・M&Aについては、目的の明確化と対象企業の選定に特に注意する必要があります。もちろん他にも注意点はありますが、そもそも事業売却/会社売却・M&Aによって何を成し遂げたいのかという目的と、その目的に合った適切な対象企業選定は、事業売却/会社売却・M&Aを成功に導くための大前提となります。

これらの点が曖昧だと、事業売却/会社売却・M&Aの失敗につながります。特にSES事業会社の場合、優秀な人材の確保や技術の強化など、事業売却/会社売却・M&Aをする目的は様々です。

何を優先すべきかをはっきりさせ、目的とし、それに合った対象企業を見つけ、競争力の強化などにつなげる必要があります。また、事業売却/会社売却・M&Aは専門的な手続きが多いので、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家のサポートを受けることが大切です。

SESの事業売却/会社売却の事例5選

以下、SESの事業売却/会社売却、M&Aの事例について、代表的なものを5つご紹介します。ここまでご紹介したSESの意味や、事業売却/会社売却の意味、メリット・デメリットなどのポイントも踏まえ、各事例を参考にしてみてください。

じげんがマッチングッドを子会社化

2018年12月、ライフメディアプラットフォーム事業を展開する株式会社じげん(東京都港区)は、業務支援システムの開発などを手がけるマッチングッド(東京都港区)を連結子会社化することを発表しました。2019年1月にマッチングッドの子会社化が完了しています。また、同年2月には、じげんの子会社であるブレイン・ラボ(東京都港区)とマッチングッドが同年4月1日付で合併することが発表されました。

じげんは2014年、人材紹介会社向けに採用管理基幹システムを提供しているブレイン・ラボを子会社化しています。ブレイン・ラボを子会社化して以来、じげんはHRテックの推進などに取り組んでいます。また、ブレイン・ラボはじげんグループに入ってから売上高が倍増するなど、確かな実績と業績を残しています。

そして、じげんが子会社化したマッチングッドは、人材紹介会社、人材派遣会社、企業の採用担当者向けに採用管理業務を支援する基幹クラウドシステム「matchingood(マッチングッド)」を提供し、約260社の顧客基盤を有している会社です。このマッチングッドをじげんが子会社化することで、マッチングッドとブレイン・ラボの協業による顧客社数の増加、商品ラインナップの拡充を実現し、収益拡大を目指すとしています。マッチングッドとしては、会社売却に加えて合併という形で、ブレイン・ラボとさらに一体化したサービス体制のもと、これまでのノウハウや事業基盤が活かされる形となっています。

ナレッジスイートがビクタスを子会社化

2018年9月、クラウドソリューション事業などを展開するナレッジスイート(東京都港区)は、IT技術者派遣サービスなどを手がけるビクタス(東京都千代田区)を子会社化することを発表しました。同年10月にビクタスは子会社化され、取得価額は3億円とされています。

ナレッジスイートは営業活動における生産性向上や働き方改革を推進するクラウドサービスの開発・販売、クラウドインテグレーションをはじめとしたソリューション事業を行っています。また、ビクタスはIT技術者派遣事業、IT技術者教育・育成派遣事業、IT技術者求人メディア事業を展開し、特に高度なIT技術と人材を豊富に擁していることに強みがあります。

ビクタスを子会社化したことで、ナレッジスイートは優秀な人材の確保を実現し、ナレッジスイートが長年培ったノウハウによる先端IT技術者の育成、市場ニーズに沿った先端技術力、研究開発体制を共有することで、サービス開発体制の強化や事業領域拡大などを目指します。

近年、IT人材の不足は特に深刻化しており、M&Aなどを通じて人材確保を進めるケースも見られます。ナレッジスイートがビクタスを子会社化したのも、まさにこのような事例の一つです。そして、ナレッジスイートは人材確保と先端IT技術者の育成を通じ、市場ニーズに沿ったIT人材の創出や収益基盤の拡大・強化を図るとしています。

ナレッジスイートとインプリムの資本業務提携

ナレッジスイートの事例について、もう一つご紹介します。ナレッジスイートは2018年8月、オープンソースのWebデータベース「Pleasanter(プリザンター)」の開発・販売などを手がけるインプリム(東京都中野区)との間で、資本業務提携を行うことを発表しました。

資本提携の内容としては、インプリムが行う第三者割当増資をナレッジスイートが引き受け、普通株式100株(発行済株式数の14.3%)を2,800万円で取得するという形になっています。ナレッジスイートは中小中堅企業の働き方改革を目的として、統合ビジネスアプリケーション「KnowledgeSuite(ナレッジスイート)」の提供を行っており、累計4,900社以上の導入実績があります。また、インプリムはオープンソースのWebデータベース「Pleasanter(プリザンター)」の開発・販売を行っています。

「Pleasanter(プリザンター)」は金融機関や大手企業での導入実績や、第30回中小企業新技術・新製品賞の受賞などで注目されています。ナレッジスイートとインプリムの提携により、「KnowledgeSuite(ナレッジスイート)」と「Pleasanter(プリザンター)」を組み合わせて利用して業務系アプリケーションをより多く作成することが可能となり、中小中堅企業の業務効率の活性化、働き方改革を目的とした業務の自動化・効率化の推進などが行われます。

ITbookがRINETを子会社化

2018年8月、官公庁や民間企業向けのITコンサルティングなどを展開するITbook(東京都港区)は、エンジニア派遣などを行うRINET(東京都中央区)を子会社化することを発表しました。取得価額は1億円とされ、同年9月にRINETはITbookの子会社となっています。

ITbookはITコンサルティングを事業内容とするほか、新しい事業創生にも積極的に取り組んでいます。RINETの子会社化も、新たな分野への進出の一環として行われたものです。RINETはエンジニア派遣や受託開発などの事業を展開しており、AIやIoT向けの社内教育、システム開発なども行っています。ITbookはRINETを子会社化したことで、新たな分野への進出、そして既存事業とのシナジーの創出、事業の発展などにつなげるとしています。

日本プロセスがアルゴリズム研究所を子会社化

2018年5月、制御/組込システム開発などの事業を展開する日本プロセス(東京都港区)は、社会インフラ分野のシステム開発を行うアルゴリズム研究所(東京都渋谷区)を子会社化することを発表しました。同年8月に株式交換が完了し、アルゴリズム研究所は日本プロセスの完全子会社となっています。

日本プロセスはIoT、自動車、環境・エネルギー分野を重要視し、次の中核ビジネスへの注力や人材への重点投資に取り組んでいました。特に自動車を注力分野とし、車載制御システムや車載情報システムの開発、自動運転に向けた先進運転支援システム(ADAS)分野の拡大などを進めています。

また、アルゴリズム研究所は鉄道、道路、消防・防災といった社会インフラ分野のシステム開発を行い、確かな顧客基盤を誇ります。アルゴリズム研究所の子会社化により、日本プロセスは共同営業や業務委託などを行うことでグループの成長につなげるとしています。

完全成果報酬制のM&A仲介会社No.1「M&A総合研究所」とは?

まとめ

SESというのは「システムエンジニアリングサービス」の略称で、ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用などで行われる委託契約の一種となり、SES事業はIT関連の技術者を他社に派遣してシステム・ソフトウェアなどの開発・保守・運用を行う事業のことを意味します。近年特にSESに需要が高まっていますが、SES事業の競争激化も目立ちます。

こうした中、競争力の強化などを目的にM&Aを実行するケースも増えています。また、人材不足が深刻化していることもあり、優秀な人材を抱えていると多くの買い手が魅力を感じ、それだけ事業売却/会社売却も成功しやすくなります。SES事業で事業売却/会社売却・M&Aを検討する場合、こうした業界動向やM&A事例を総合的に判断し、分析を進めることが大切です。

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