2023年12月5日更新会社・事業を売る

タイ企業のM&Aの特徴は?タイ企業の情報やM&A成功のポイントを解説

タイと日本は経済的な結びつきが強く、今後もその関係は強くなるでしょう。タイは社会情勢の不安定さや自然災害などのリスクはありますが、海外進出先の候補として魅力的です。タイ企業とのM&Aは外国人事業法などの法律がネックとなるため、事前に調査を進めましょう。

目次
  1. タイ企業のM&A
  2. タイの特徴とは?国民性や政治環境
  3. タイとのM&A動向
  4. タイ企業とのM&Aにおける注意点
  5. タイ企業とのM&Aを成功させるポイントは?
  6. タイ企業とのM&A事例
  7. タイ企業のM&Aの特徴まとめ

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タイ企業のM&A

M&Aによって海外進出を実現する会社は多いですが、最近はアジア圏に進出するケースも少なくありません。人気がある国の一つがタイです。東南アジアの国でも知名度が高いタイで、タイ企業とのM&Aを通じて海外進出を達成する会社は多いです。

しかしなぜタイへの進出、タイ企業とのM&Aが人気なのでしょうか?今回はタイ企業とのM&Aをピックアップし、タイ企業の情報やM&A成功のポイントなどについて解説します。

タイの特徴とは?国民性や政治環境

まずはタイがどのような国か、網羅的にお伝えします。

タイの環境

タイは熱帯気候で5月から10月はスコールが頻発する雨期、11月から3月は比較的涼しい寒期、4月は暑さがピークの暑期になります。東南アジアらしくタイは高温多湿で、降雨量がかなり多いです。そのため、スコールや台風、洪水により自然災害が起こりやすく、社会・経済全体にダメージを与える被害が発生することもあります。

過去には自然災害に政治情勢の不安定化が重なり、多くの海外企業が操業停止に追い込まれました。都市に関しては経済成長に合わせて都市部を中心にインフラが整っており、生活するうえで不自由は少ないです。

タイの国民性

タイ人の国民性は穏やかで、外国人に排斥的ではありません。教育水準も1970年以降向上し、1995年には日本とならぶ95%の識字率を誇るなど、世界的にも高い水準を保持しています。しかしタイ人は貧富の差が激しく、それによる犯罪は少なくありません。

とりわけ性犯罪に関してはアメリカに匹敵する件数があり、観光客狙いの犯罪も多いことから、治安に関してはやや不安です。違法産業も多く、とりわけ売春産業は人権問題やエイズが蔓延する原因になるなど、問題視されています。

タイの政治

タイは王国ですが、立憲君主制を採用しています。しかし、2019年にプラユット首相率いるプラユット新政権が発足後、景気低迷が続いています。2020年度の予算成立も遅れています。

2018年以降、民政移管が進むとみられていますが、軍事政権自体はしばらく続くでしょう。2014年にタクシン派と反タクシン派が衝突したり、過去にも大規模なデモ・クーデターが起こったりするなど、タイでは政治的な対立や問題が暴動につながります。タイの政治情勢は注視するべきでしょう。

タイの経済

タイは1980年以降、劇的な高度経済成長期を迎えて急速に発展しました。1985年から1995年は、毎年経済成長率が平均9%になるなど、驚異的な成長を見せました。それ以降はアジア通貨危機、リーマンショック、クーデターなどで経済が低迷しましたが、ある程度の経済成長は変わらず起きています。

日本との関係

タイと日本の関係は良好であり、タイの王室と日本の皇室の交流や私的訪問もあるなど、政治的にも有効的な関係を築いています。経済面でも、タイにとって日本は最大級の貿易相手で、1,700社以上の日本の会社がタイに進出しています。

日本にとってタイは国内市場の供給を行う拠点であり、ASEAN全域に向けた輸出の要所でもあるため、ビジネスにおいてタイは非常に重要といえるでしょう。

タイとのM&A動向

タイ企業とM&Aを行い、タイに進出する理由は何でしょうか?タイは他の東南アジア諸国と比べるとインフラが整っており、投資環境も充実しています。元々エレクトロニクス、自動車産業などの産業集積地として発展してきたタイですが、近年は所得向上もありサービス業も発展しています。

日本企業をM&Aで買収するタイ企業も現れるなど、タイ企業の成長が目立つようになりました。そのため、成長が著しいタイ企業に注目し、積極的にM&Aを行う日本企業も増えています。

以前はタイ経済が新興国バブルにより拡大していましたが、現在はその勢いが落ち着いています。それでもタイの企業は引き続き安定した成長を遂げており、日本企業から見れば、比較的割安な価格でのM&Aが可能です。

タイは地理的にも東南アジアの成長市場に接しており、日本企業にとってはアジア展開の拠点として魅力的です。加えて、発展したインフラと穏やかな国民性が、日本人駐在員にとって住みやすい環境を提供しています。これらの理由から、日本企業によるタイ企業のM&Aは今後も増加する可能性があります。

タイは経済成長が不安定化しやすい難点もありますが、海外進出をする土壌が整っており魅力的な企業が増えていることが、タイ企業とのM&Aを活発化する一因だといえるでしょう。

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タイ企業とのM&Aにおける注意点

タイ企業とM&Aを行いタイに進出する際、注意が必要なのが外国人事業法です。外国人事業法は外資規制のために施行する法律で、「当該企業の事業が規制対象となる事業であるか」「M&Aを行う当該企業が外国人企業として扱われるか」の2点により、規制の対象となるかが決まります。

外国人事業法の規制のポイントは以下のとおりです。

規制対象となる事業

外国人事業法において、規制対象となる事業は3種類43業種に分類されます。網羅的にお伝えすると、外国人事業法は大まかに製造業とサービス業に分かれます。タイの外国人事業法では、製造業の規制は緩い傾向があり、サービス業は規制が厳しいです。

そのため、タイに進出する際は製造業の会社が必然的に有利です。ただ、タイにおける製造業の定義が日本と異なり、製造業の種類が日本より少ない点に気をつけましょう。例えば、M&Aで買収したタイの会社に、自社の商品の製造を委託した場合、委託した会社は商品の製造を行うため製造業に見えます。

しかし、タイではその会社で企画・設計を行わなければ、例え商品を製造する会社でも製造業ではなく、サービス業として扱われます。

そのため、タイに進出する際は、設置する子会社やM&Aを行ったタイ企業の立ち位置が、製造業とサービス業のいずれに該当するかを入念にチェックしないといけません。

外国人の定義とは?

外国人事業法における外国人の定義は以下の5つです。

  1. タイ国籍を有さない個人
  2. 外国で設立した法人
  3. 資本を構成する株式の50%以上を、タイ国籍を有さない個人、あるいは外国で設立し得た法人が保有するタイ法人
  4. マネージングパートナー、あるいはマネージャーが、タイ国籍を有さない個人の有限パートナーシップ、または登録普通パートナーシップである
  5. 資本の50%以上を③の法人、あるいは④の個人のいずれかが保有するタイ法人

日本のM&Aでは、買収した会社の株式を過半数、あるいは全てを取得することで、経営権を獲得するのが第一です。しかしタイ企業とM&Aを行う際は、外国人事業法の外資規制を避けることを考えれば、日本で用いられるM&Aの方法を流用するのは困難です。

しかし、株式の保有率を下げれば子会社への影響力が下がり、コントロールが難しくなります。そのため、外資規制のリスクと子会社のコントロール権のバランスを踏まえたうえで、上手く関係性を構築する必要があります。

その他の法律にも注意

外国人事業法以外にも、タイ企業とのM&Aで考慮すべき点は多いです。タイは日本とは違う国であるため、会社法や税制、土地や資本金に対する扱いも異なります。会社設立の際に必要な株主の人数、賃金の設定方法、土地の扱いなど、その違いは細かい部分にまでおよび、いずれも隈なく把握する必要があります。

この違いはタイに新たな拠点を築く場合やM&Aでタイ企業を買収する場合に、念頭に置いておかなければなりません。ただ、タイにはBOI恩典のように、タイの発展に寄与すると認識した企業に対して外国人事業法の規制を緩和したり、課税の免除や土地保有の認可をしたりする制度も存在します。

このような制度を上手く利用すれば、タイで拠点を維持したりビジネスを展開するコストを減らしたりできるでしょう。

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タイ企業とのM&Aを成功させるポイントは?

ここではタイ企業とのM&Aを成功させるポイントについてお伝えしていきます。

現地に関する情報収集を徹底的に

タイ企業とのM&Aを行う際は、まず現地に関する情報収集を徹底的に行いましょう。これはタイに限らず、あらゆる国・地域への進出において一番重要といっても過言ではありません。日本とは違う国なので、そこには固有の特徴が数多くあり、日本とは言語、政治、経済、文化、環境などあらゆる点で異なります

そのためそれらを把握しなければ、海外企業とのM&Aを行うことはできません。タイであれば、外国人事業法などの法律・制度を把握しなければ、M&Aでタイ企業と経営統合を行ってからのビジョンも見えなくなります。また、体制作りや経営計画の策定もはかどらないでしょう。

さらに、現地の従業員に事業を任せるにせよ、日本から駐在員を派遣するにせよ、現地の文化や慣習を理解しなければ経営自体が上手く進みません。従業員同士のコミュニケーション、顧客や取引先との商談も上手くいかない可能性があります。

政治情勢や環境の知識もなければ、その国特有のトラブルや災害に見舞われた際のリスクコントロールも難しくなるでしょう。タイは軍事政権が政治を主導しているため、今後もクーデターやデモなどの事件が起こる恐れがあります。スコールや台風も多いため、自然災害への備えも非常に重要です。

違法産業や犯罪も日本より多く、コンプライアンスへの認識も異なるため、現地の従業員や駐在員の研修・指導も欠かせません。M&Aを行う前も行った後も、現地の情報は常に集める必要があります。

現地に強いコーディネーターの協力を得る

現地に強いコーディネーターの協力を得ることも、タイに限らずあらゆる国・地域に進出する際のポイントです。異なる文化・風土を持つ国・地域に関する情報は、現地に足を運ばなければわからないし、日本で学ぶには限度があります。そのため、現地に精通したコーディネーターの協力は、非常に重要です。

タイの場合は、交流があるタイ企業や現地で活動中のコーディネーターなどに依頼するのも良いです。また、タイ企業とのM&Aに特化したM&A仲介会社や経営コンサルティング会社に依頼するのもおすすめです。

昨今は中小企業の海外進出が珍しくなく、M&A仲介会社や経営コンサルティング会社には、タイへの進出に特化した業者も少なからずあります。そのような業者は独自のネットワークを形成しているため、M&Aの実践や現地での経営において、有益なバックアップを行う可能性が高いでしょう。

トレンドを抑える

進出する国・地域のトレンドを抑えることも大切なポイントです。タイの場合は、近年はインターネットの普及が急速に進み、タイの国民の多くがスマートフォンなどのツールを利用しています。そのためIT関連事業にとって、タイは良い市場になり得るでしょう。

また国家全体がキャッシュレス化を推進しているため、キャッシュレス決済に関連する事業も、タイは非常に魅力的です。他にも経済成長に伴う国民の所得向上もあり、タイ国民は健康志向が高く、スポーツ用品や健康器具、健康食品、和食のようなヘルシーな食事、などが人気です。

加えてタイは高齢化が徐々に進んでおり、福祉政策が追いつかないことから介護や医療のニーズが高まっています。これらの点を踏まえると、健康・医療・介護関係の企業が今後タイに進出するケースも増えるでしょう。

もしM&Aをお考えの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、M&Aを専任フルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)M&Aに関して、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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タイ企業とのM&A事例

2019年に、レッド・プラネット・ジャパンは、親会社のRed Planet Hotels Limitedが所有するタイのホテル運営会社 Red Planet Hotels(Thailand)、Red Planet Hotels Two(Thailand)、Red Planet Hotels Three(Thailand)、Red Planet Hotels Four(Thailand)、Red Planet Hotels Five(Thailand)、Red Planet Hotels Six(Thailand)の6社の普通株式を得て子会社化しました。

レッド・プラネット・ジャパンは両国間のさらなるグループシナジーの追求を図り、レッドプラネットグループの持続的成長に資するものとして、この買収を行っています。

タイ企業のM&Aの特徴まとめ

タイは日本との経済的な結びつきが強い国です。今後もその関係はより強くなる可能性が高いです。タイは社会情勢の不安定さや自然災害などのリスクはありますが、海外進出先の候補として非常に魅力的な国だといえます。

ただ、タイ進出を目的としたタイ企業とのM&Aは外国人事業法などの法律がネックとなるため、事前にしっかり調査を進めましょう。

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