M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年5月28日更新会社・事業を売る
株式譲渡の相談は税理士・弁護士にするべき?相談先一覧!
株式譲渡はM&Aのポピュラーな手法であり、簡便な手続きで迅速な取引が可能です。株式譲渡を含めたM&Aでは税理士や弁護士のサポートを受けることが多いですが、その理由にはどのようなものがあるのでしょうか。当記事では、株式譲渡を専門家に依頼すべき理由や相談先を解説します。
株式譲渡とは
株式譲渡とは、売り手側が買い手に対して対象企業の株式を譲渡することによって、会社の経営権を移転させ、対価として現金を受け取るM&Aの手法の1つです。
M&A手法のなかでは最もポピュラーであり、株式の譲渡のみで取引が完了するため、スピーディーに会社の売買を行うことができます。
株式譲渡と並んでよく利用される手法に事業譲渡がありますが、株式譲渡が株式の譲渡のみで売買が完了するのに対し、事業譲渡は事業資産の引継ぎを行うことになるため、売買の完了までに時間がかかるのが特徴です。
事業譲渡は事業のみの売買なので売り手側に会社が残るのに対し、株式譲渡では全株式を譲渡すれば会社自体を売却することになります。
M&Aには他にもさまざまな手法があるので、自社の状況や目的に合わせて使い分けることが重要です。
株式譲渡の相談は税理士・弁護士にすべき?
株式譲渡は当事者のみでも行うことが可能ですが、一般的には税理士や弁護士に相談することが多いです。
実際のところ、株式譲渡を当事者のみで完遂するのは至難の業であり、基本的には税理士や弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。
以下では、税理士や弁護士に株式譲渡の相談をするメリット・デメリットについて解説していきます。
税理士・弁護士に相談するメリット
税理士・弁護士に相談するメリットには、以下の4つがあります。
- 節税対策ができる
- 税務・財務に関する調査のレベルが高い
- 契約書を取り交わす際の重大なミスを防げる
- 適切は譲渡価格が算出できる
節税対策ができる
株式譲渡の譲渡益は所得としてみなされるため、税金がかかります。税金区分は申告分離課税となり、譲渡益の20%を納税しなければなりません。
税理士に相談すれば、取得費の上限まで引き上げるなど、さまざまな施策によって税額を抑えることができます。
株式譲渡に限らず、M&Aを行う際には税理士に相談することで、状況に合わせた税金対策を行うことが可能です。
また、譲渡益を受け取った年の確定申告は複雑になるので、適切な申告を行う意味でも税理士のサポートを受けるのは大きなメリットとなるでしょう。
税務・財務に関する調査のレベルが高い
株式譲渡を行う際は、対象企業の税務・財務情報を正確に把握するためにデューデリジェンスを実施することが慣例となっています。
元来、税理士は会社の財務アドバイスなどの業務を行っていることもあり、安心してデューデリジェンスを任せることが可能です。
また、デューデリジェンスを実施したうえで、取引相手が信頼できる企業か、譲渡価格は適切かなどを相談することもできるので、より信頼できる取引相手を吟味することもできます。
交渉や契約書を取り交わす際の重大なミスを防げる
M&Aの手法のなかでも手続きが簡単な株式譲渡ですが、実際に行ってみると想像以上に複雑であることが分かります。
売却先の選定や基本合意書締結前、最終契約書締結前の交渉や、各契約書の作成、締結など、個人では判断が難しい工程も多いです。
弁護士のサポートを受ければ、このような工程をスムーズに処理することができ、重大なミスも事前に防ぐことができます。
特に契約書の関連のミスは、後々重大な問題に発展する可能性があるので、可能な限り弁護士のサポートを受けておきたいところです。
適切は譲渡価格が算出できる
企業の譲渡価格を適切に算出できることも、税理士や弁護士のサポートを受けるメリットのひとつです。
売り手側の企業としては、対象の企業をなるべく高く売りたいところですが、譲渡価格が企業の価値に見合ったものでないと、売却先がいつまでたってもみつかりません。
信頼できる取引相手をみつけるためにも、税理士や弁護士のサポートを受け、適切な譲渡価格を算出することが重要です。
また、税理士や弁護士のサポートを受けていれば、対象企業の情報を元にした取引相手との適切な値段交渉も行ってくれるので、適切な価格で会社を売却したいのであれば、税理士・弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。
税理士・弁護士に相談するデメリット
税理士・弁護士に相談するデメリットは、費用がかかるという1点のみです。しかし、税理士や弁護士のサポートによって可能になる節税対策や不適切に取引が行われてしまうリスクを考慮すると、相談しない方がデメリットの方が大きいともいえるでしょう。
株式譲渡の際によくある相談内容
税理士・弁護士に相談される株式譲渡関連の相談内容には、以下のようなものがあります。なかでも、株式譲渡における譲渡条件やスケジュールについての相談が多くみられます。
- 株式譲渡の手順・流れについて
- 自社株の売却について
- 買収先の希望条件について
- 株式譲渡の期間
- 株式譲渡の際の準備
- 情報漏えいの心配について
1.株式譲渡の手順・流れについて
まず多く相談されるのが、株式譲渡の手順や流れについてです。株式譲渡は、M&Aのなかでも手続きが簡単ですが、やはり複雑な手順も多いです。
【株式譲渡の基本的な流れ】
- 譲渡承認の請求
- 取締役会・株主総会での承認
- 決定内容の通知
- 株式譲渡契約の締結
- 株主名簿の書き換え、証明書の交付
手続きはそれぞれ複雑なものとなっており、特に株式譲渡契約の締結は複雑であるため、当時者のみで完遂するのが難しくなっています。抜けなく株式譲渡を完遂するためにも、税理士・弁護士に相談するケースが多いです。
2.自社株の売却について
株式譲渡には、個人の取引だけでなく、会社で保有している自社株を売却するケースもあります。
自社株の売却は、非上場企業では自社株の売却と同義になりますが、上場企業では個人と意味合いが変わり、資金調達や事業承継、組織再編のための戦略として扱われることが多いです。
戦略的な自社株の売却を行う場合、自社の状況や目的によって、株式譲渡、株式交換・移転、第三者割当増資から選択することになります。
上記の売却手段のどれを利用するかを吟味するためにも、税理士・弁護士に相談することが重要です。
3.買収先の希望条件について
税理士・弁護士に買収先の選定をしてもらうために、相談するケースも多々あります。
M&Aの仲介も行っている税理士・弁護士事務所は独自のネットワークを持っており、買収先からのM&Aの相談も多いので、適切な買収先企業をマッチングしてくれる可能性が高いです。
相談者が税理士・弁護士に買収先の条件を提示することで、条件に見合った相手の選定や交渉をしてくれます。
また、税理士・弁護士に相談することで、売り手が提示している譲渡価格が適正かどうかを正確に評価することが可能です。
信頼できる買収先企業を探すためにも、税理士・弁護士に相談するのは有用といえるでしょう。
4.株式譲渡の期間
株式譲渡を考えている多くの人が気になるのが、譲渡までにかかる期間でしょう。
M&Aは基本的に時間かかる取引です。特に、譲渡先の選定やデューデリジェンスの実施にはある程度の期間が必要なことも多く、難航すると取引の完遂まで3ヵ月程度の時間がかかることもあります。
税理士・弁護士に相談することで、株式譲渡が完遂するまで大まかなスケジュール感の把握ができるだけでなく、各種手続きがスムーズになるため、完遂までの期間を短くすることも可能です。
株式譲渡のスケジュール感を把握するためにも、税理士・弁護士に相談することは有効な手段といえるでしょう。
税理士・弁護士に相談することで、株式譲渡が完遂するまで大まかなスケジュール感の把握ができるだけでなく、各種手続きがスムーズになるため、完遂までの期間を短くすることも可能です。
株式譲渡のスケジュール感を把握するためにも、税理士・弁護士に相談することは有効な手段といえるでしょう。
5.株式譲渡の際の準備
いざ株式譲渡を行いたいと考えても、実際にどのような準備を行えばよいか分からないという人も多いでしょう。
税理士・弁護士に相談すれば、M&Aの譲渡先を選定する前に準備すべき事項について、的確なアドバイスを受けることができます。
M&Aはどの手法であっても事前準備が重要であり、適格な準備を行えばより高い譲渡価格で譲渡することも可能です。
よりよい条件での株式譲渡を望むのであれば、税理士・弁護士に相談することをおすすめします。
6.情報漏えいの心配について
M&Aの取引を行っている際には、情報の漏えいがに気を配らなければなりません。特に、売却先選定やデューデリジェンスなどでは、会社の機密情報を扱うことになるので、情報が漏えいすると重大な問題になる可能性が高いです。
また、機密情報が漏えいすると信用を大きく失うことになってしまうため、M&A完遂後にも影響します。
税理士・弁護士に相談すれば、適正な秘密保持契約の締結を行うことができ、かつ機密情報の取り扱いにもなれているので安心して取引を進めることができます。
株式譲渡の相談先一覧
株式譲渡の主な相談先としては、以下のようなものがあります。それぞれ得意分野と不得意分野があり、併せて異なるメリット・デメリットが存在します。
- M&A仲介会社
- 地元の金融機関
- 地元の公的機関
- マッチングサイト
1.M&A仲介会社
まずはM&A仲介会社です。仲介会社はM&Aの専門家が揃っており、経験も豊富なので、安心してM&Aの相談をすることができます。
メリット
M&A仲介会社のメリットは、知見がノウハウが豊富なことと、専門会社ならではのネットワークにあります。
M&A仲介会社にはM&Aに関する法務・財務・税務的な知識やノウハウが蓄積されており、M&A特有の専門的な手続きをスムーズに進めることが可能です。
また、他のM&A仲介会社と連携して独自のネットワークを構築していることが多く、条件に合った譲渡先の選定が行いやすくなっています。
デメリット
デメリットとしては、企業ごとにサービスや金額に差があることです。企業によっては積極的なマッチング方式ではなく、FA方式を専門に行っている企業を行ってる企業もあり、自身の方針に合わせてどちらが向いているのか吟味する必要があります。
また、報酬体系も企業によって大きく異なることも大きな特徴です。完全成功報酬型の企業もあれば、別途相談料や着手金が必要になることもあり、企業の選定に時間がかかることがデメリットになります。
2.地元の金融機関
地元の金融機関も、株式譲渡の相談先として挙げられます。金融機関は会計に関する専門知識があり、規模の大きい企業のサポートに向いているのが特徴です。
メリット
金融機関のメリットは、会計についての豊富な知識と、紹介先の豊富さです。会計に関する知識やノウハウが蓄積されているので、譲渡価格の評価を適切に行ってくれます。
また、金融機関という仕事柄、取引先が多いので、紹介先企業が多いことも大きなメリットです。金融機関によってはM&Aの専門部署を持っている場合もあり、専門部署がある金融機関では、より専門的なサポートを受けることもできるでしょう。
デメリット
金融機関に株式譲渡の相談をするデメリットは、金額の高さと取り扱っている企業の規模です。
M&Aの報酬は、多くの場合歩合制となっています。しかし、金融機関は最低手数料を定額で設定していることが多いです。
結果的に、株式譲渡の規模によっては他の相談先よりも割高になることが多くなります。
また、金融機関の紹介先企業はある程度以上の規模の大企業が多いため、小規模の企業ではサポート業務を依頼できない可能性が高いです。
自社の規模があまり大きくないのであれば、ほかの相談先を利用した方がより適切な取引相手がみつけることができるでしょう。
3.地元の公的機関
商工会議所や自治体といった地元の公的機関も、M&Aの相談先として数えることが可能です。
地元に根付いたネットワークを持っていることや、中小企業への支援金が出る場合があるなど、ほかの相談先にはない独特な特徴を持っています。
メリット
公的機関に株式譲渡の相談をするメリットは、地域特有の情報やネットワークが充実していることと、支援金や助成金などの制度があることです。
自治体や商工会は、地域に根差した活動を行っている関係上、地元企業については数値では読み取れない細かい情報を保有している可能性があります。
よって、地元の企業に限っては、公的機関のネットワークが有用になるケースが多いです。
また、公的機関では中小企業を支援するための支援金や助成金がある場合も多く、特に小規模に企業が活用しやすくなっているのが特徴です。
デメリット
公的機関のデメリットには、そもそもM&Aの専門機関ではないことが挙げられます。
公的機関には基本的にM&Aの専門家が在籍していないので、株式譲渡を進める上での細かい手続きについてサポートを受けることができない可能性が高いです。
また、助成金や支援金は申請期間が限られていることが多く、受給までのスパンが長いこともあります。
よって、別途税理士・弁護士に相談したり、事前に入念な準備をする必要があるなど、当事者の負担が大きくなることがデメリットといえるでしょう。
4.マッチングサイト
近年では、ネット上でM&Aのマッチングをしてくれるサービスが増えてきています。
物件検索サイトやオークションサイトのように、売却希望・買収希望の企業が一覧として表示され、情報を吟味できるのがメリットです。
直接相談先に依頼するわけではないので、当事者同士が直接コンタクトを取ることができ、安価な分、専門知識がないとリスクが高いという特徴があります。
メリット
M&Aマッチングサイトのメリットは、幅広い企業から取引相手を選定できることと、仲介料が少ないことが挙げられます。
ネットの性質上、さまざまな企業が売り手・買い手として名乗りを上げており、幅広企業から取引相手を探すことが可能です。
また、仲介報酬が他の相談先と比べて少ないことも特徴で、上手くいけばより低コストでの株式譲渡を実現できます。
加えて、仲介人を通さずに直接交渉できることが多く、知識やノウハウが豊富であればより建設的な交渉ができることもメリットです。
デメリット
マッチングサイトのデメリットは、情報拡散のリスクが高いことと、専門知識が必要なこと、取引相手の選定や取引の完遂まで相当な時間がかかる可能性があることです。
マッチングサイトは登録さえすれば誰でも閲覧が可能になるため、掲載する情報を吟味しないと、機密情報の不用意な拡散に繋がってしまいます。
さらに、メリットの項でも紹介したように、交渉時に仲介人が挟まらないため、当事者同士に専門知識がないと、対等で適切な交渉ができません。
加えて、機密情報の漏えいリスクを考えると、掲載できる情報には当たり障りのないもののみになるため、取引相手からのマッチングや、マッチング後の交渉に相当な時間がかかることとなります。
総合すると、マッチングサイトは初心者向けとはいえず、ある程度の専門知識やノウハウを持っている場合の初めて有用になる相談先といえるでしょう。
株式譲渡の際に相談先を選ぶ基準
株式譲渡の相談先を選ぶ基準には、以下の5つがあります。
- 株式譲渡について詳しい
- 自社と同規模の案件実績がある
- 自社の業界に詳しい
- 買収先の候補を多く紹介できる
- 担当者との相性や信頼
1.株式譲渡について詳しい
まず最も重要になる選考基準は、株式譲渡について専門的な知識を有しているか否かです。
スムーズかつ適切な取引を行うためには、株式譲渡に対して専門的な知識とノウハウを持っている専門家のサポートが重要になってきます。
専門性の高さでいえば、M&A仲介会社や、M&A専門部署を持っている金融機関が最も優れているといえるでしょう。
対して、公的機関やマッチングサイトの場合は、自身の知識に自信があるか、別途専門家にサポートを依頼している場合にのみ活用するのがよいでしょう。
2.自社と同規模の案件実績がある
自社と同規模の案件実績があるかどうかも、相談先の選考基準としては重要になります。
M&Aの相談先はそれぞれ得意としているM&Aの規模があり、得意な規模のM&Aについてはネットワークも充実しているので、条件に合った企業を選定しやすいです。
よって、相談先を選ぶ際には、自社と同規模のM&Aが得意かどうかを吟味することが重要になります。
相談先の得意なM&Aの規模は、相談先の実績を確認すればある程度把握することが可能です。相談先を選定する際は、相談先候補の実績をしっかりと吟味するようにしましょう。
3.自社の業界に詳しい
自社の業界に詳しいかどうかも、相談先を選定する基準になります。株式譲渡を含めたM&Aを行う際には、業界の動向や特有の法律などの知識も必要です。
もし、業界の事情に詳しくない専門家に相談した場合、特殊な法律を考慮しない交渉をしてしまったり、譲渡後の手続きに問題が生じる可能性もあります。
相談先を選定する際は、自社の業界の企業を取り扱った実績があるか、専門家が業界の事情や法律に詳しいかもしっかりと吟味しましょう。
4.買収先の候補を多く紹介できる
多くの候補を紹介できるかどうかも、相談先を選ぶ際の基準になります。
自社の業界において紹介できる企業が多ければ多いほど、条件に合った取引相手とマッチングできる可能性が高くなるので、紹介してくれる企業の数は重要です。
M&A仲介会社であれば、どの程度他社と連携をしているかなどが重要になってくるので、相談先を決める際には相談先候補に紹介できる企業を提示してもらい、より買収先の候補が多い相談先を選びましょう。
5.担当者との相性や信頼
担当者との相性も、相談先を選ぶ重大な要素になります。担当者と相性がよければ、コミュニケーションが円滑になり、ビジョンの共有がスムーズになるので、より迅速かつ満足度の高い株式譲渡を行うことができる可能性が高いです。
実際に担当者と話してみて信頼できるかどうかを確かめるのも、相談先を選定する際には大切だといえるでしょう。
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まとめ
今回は、株式譲渡の相談先について解説しました。株式譲渡はM&Aの手法の中では最も手続きが簡単とはいえ、当事者のみで完遂するのが難しいので、M&Aに精通した税理士や弁護士に相談するのがおすすめです。
【株式譲渡の際によくある相談内容】
- 株式譲渡の手順・流れについて
- 自社株の売却について
- 買収先の希望条件について
- 株式譲渡の期間
- 株式譲渡の際の準備
- 情報漏えいの心配について
- 株式譲渡について詳しい
- 自社と同規模の案件実績がある
- 自社の業界に詳しい
- 買収先の候補を多く紹介できる
- 担当者との相性や信頼
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