2021年8月9日更新会社・事業を売る

株式譲渡を親族内でする場合の注意点は?メリット・デメリットも解説

親族内で経営権を移譲する方法には、生前贈与・株式譲渡・相続などがあり、それぞれ異なったメリットとデメリットがあります。この記事では、株式譲渡を親族内で行う場合の注意点や、メリットとデメリットについてくわしく解説します。

目次
  1. 親族内での株式譲渡
  2. 株式譲渡を親族内でする場合の注意点
  3. 株式譲渡を親族内で行う主な手法
  4. 株式譲渡を親族内で行う場合のメリット・デメリット
  5. 株式譲渡を親族内で行う場合の手順
  6. 株主譲渡を親族内で行う場合におすすめの相談先
  7. まとめ

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親族内での株式譲渡

株式譲渡は企業のM&Aの際によく利用される手段ですが、同族経営企業において、経営主がその後継者に経営を引き継ぐ際にも株式譲渡の手段が利用されます。

では、そもそも株式譲渡とは何か、また、親族内での株式譲渡の特徴などを見ていきましょう。

株式譲渡とは

株式譲渡とは、対価と引き換えに自社の株式を他者に譲り渡す方法で、企業のM&Aで最も利用されています

具体的には、売主と買主間で株式譲渡契約を締結し、株式買取代金を買主が支払、売主が保有している株式を買主へ渡すことで取引が完了します。

株式譲渡は大別すると、第三者に対する株式譲渡と親族に対する株式譲渡に分けられます。第三者に株式譲渡をする場合は売買によって行われることが一般的であり、公開買付(TOB)・相対取引・市場買付などの方法が用いられます。

対して、親族内の株式譲渡は主に売買、生前贈与、相続によりなされることが多いのが特徴です。

【関連】会社譲渡時にかかる税金とは?仕組みや計算方法について解説!

親族内での株式譲渡とは

親族内の株式譲渡とは、現在株主を保有している人が配偶者や子に対し、売買・贈与・相続などの手段により株式を譲り渡すことをいいます。

国内中小企業の多くは同族企業であり、特に経営移譲を行う場合は後継者である子に株式譲渡するケースが多くみられます。

親族内で株式譲渡を行う場合、売買・生前贈与・相続のいずれかの方法が用いられることが一般的です。それぞれの譲渡方法には、以下のような特徴があります。

売買 売主と買主間で株式譲渡契約を締結し、売主が保有している株式を買主へ渡し、その対価を買主が支払う手法
生前贈与 株主所有者である個人が生存しているうちに、他の個人に対し株式を無償で譲り渡す手法
相続 株主所有者である個人が死亡したと同時に、相続人が株式を取得する手法

3つの方法については以降でくわしく説明をしていきますが、それぞれ注意すべき事項やメリット・デメリットが存在します。

株式譲渡による経営移譲を検討する際は、各手法の特徴をきちんと把握したうえで計画的に譲渡を実行していく必要があります。

【関連】家族間の株式譲渡のポイントとは?課税される税金や事業承継税制の活用もご紹介

株式譲渡を親族内でする場合の注意点

親族間で売買により株式譲渡を行う場合、遺留分減殺請求の対象とならないため、相続人間のいざこざを回避できるというメリットがあります。しかし、親族内で株式譲渡する際は、注意すべき点もあります。

【株式譲渡を親族内でする場合の注意点】

  1. 不適正価格の設定による課税関係
  2. 贈与税や譲渡所得税を比較衡量し、売却価格を決定する
  3. 自社株式の時価の決め方

1.課税関係に注意

親族間で株式譲渡を行う場合、株式の買取金額を決めることになります。親族間であることから売買価格を低く決定しようと考えるかもしれませんが、思わぬ税務リスクを避けるために適正な時価で買取金額を決定するようにしましょう。

なぜなら、買主に贈与税が課税されるケースがあり、税金負担が重くのしかかる可能性があるからです。

株式を譲渡する際、売主に譲渡所得税が課せられることは当然ですが、適正な時価を下回る価格で譲渡すると、その差額分は贈与とみなされて買主に贈与税が課せられることになります。

2.売却価格の決定に注意

先述したように、売主には譲渡所得税が課せられますが、買主にも贈与税が課せられる可能性があります。売却価格を決定する際は、譲渡所得税と贈与税について考慮しておかなければなりません。以下では、譲渡所得税と贈与税の算出方法および税率について解説します。

譲渡所得税の計算方法と税率

ここでは、売り手が個人である場合の譲渡所得税の計算方法をみていきましょう。株式譲渡所得は申告分離課税となっており「譲渡益×20%(国税15%、地方税5%)」で算出できます。

この際用いる譲渡益は「売却代金̠-(取得費+譲渡費用+借入利子など)」で算出することが可能です。それぞれの項目に該当するのは下表のとおりです。
 

取得費 株式を実際に取得した費用、売却代金の5%を概算取得費とすることも可
譲渡費用 譲渡する際に必要となった費用
借入金利子 株式取得のための借入金利子で譲渡年の1月1日~譲渡日までの間に支払う金額

【関連】株式譲渡所得の税率

贈与税の計算方法と税率

贈与税の計算期間は1月1日~12月31日であり、まずはその間に贈与により受領した財産の価額を合計します。

そして、財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた額に税率を掛け合わせ、定められた控除額を差し引くと贈与税を算出できます。

また、税率は基礎控除後の課税価格により変動し、課税価格が増加するほど税率と控除額が増加していきます。

控除額の計算方法は以下のとおりであり、税率一覧や算出方法および詳細は国税庁のHPで確認することができます。

  • 基礎控除後の課税価格=1年間の贈与による財産受領額-基礎控除額110万円
  • 贈与税額=基礎控除後の課税価格×贈与税率-控除額

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3.自社株の時価に注意

親族内での非上場株式売買では、自社株を高額で譲渡する場合あるいは低額で譲渡する場合、それぞれに譲渡所得税や贈与税の観点でデメリットがあります。

ポイントとなるのは、自社株の時価をどのように設定するかということです。自社株の時価設定する場合、公認会計士などの評価があればその価格を採用するのがよいでしょう。

時価設定をする場合は、まず税法上の時価を念頭に置きます。税法上の時価は、国税庁が示す財産評価基本通達に基づき、相続税法上の評価額で時価の設定をします。

相続税法上の評価額は、株式を発行している会社を従業員数や資本金額などに応じて、大会社・中会社・小会社の3種に分け、それぞれ決められた方法で株式の時価設定を行います。
 

大会社 上場している類似業種企業の株価を参考に設定する方法(類似業種比準方式)
中会社 純資産価格を1株あたりの株価に割り戻す方法(純資産価額方式)
小会社 上記2つの方法を併用して評価する方法

親族内の非上場株式の株式譲渡の場合は恣意的に時価設定が可能であるため、税務署にも目を付けられやすくなります。自社株の時価の評価方法には、十分注意するようにしましょう。

株式譲渡を親族内で行う主な手法

親族内で行われる株式譲渡の手法は、売買だけではありません。この章では、株式譲渡を親族内で行う際に利用される3つの手法を紹介します。

【株式譲渡を親族内で行う主な手法】

  1. 生前贈与
  2. 相続贈与
  3. 売買

1.生前贈与

生前贈与とは、保有している財産を生きている内に無償で譲渡することです。生前に親族へ贈与という形で株式譲渡することで、後継となる親族は贈与税の負担のみで株式を取得することができ、経営権を得ることが可能です。

【関連】生前贈与のメリットとデメリット

2.相続贈与

相続贈与は、現在株式を保有している経営者が死亡した時に、後継者である子どもなどの親族に相続によって贈与することです。株式を保有する被相続人の死亡により、自動的に相続人へ譲渡される方法です。

3.売買

前述のとおり、親族間で株式譲渡契約を締結し、売主が株式譲渡、買主がその対価を支払う方法です。

株式譲渡を親族内で行う場合のメリット・デメリット

親族内で株式譲渡を行い経営移譲することはメリットとデメリットがあります。以下では、親族内の株式譲渡における3つの方法について、それぞれのメリットとデメリットを整理します。

生前贈与のメリット・デメリット

まずは、生前贈与により親族に株式譲渡する際のメリット・デメリットについてみていきましょう。

メリット

生前贈与により親族に株式譲渡する際のメリットには、主に以下の2つがあります。親族内で株式譲渡を行う際は相続時精算課税制度を利用することもできますが、譲り受ける株式の総額を念頭に置いて検討する必要があります。

  1. 数年に亘り計画的に贈与することで、贈与税を抑えることが可能
  2. 相続時精算課税制度の利用により株式譲渡を早めに実施できる。
親族内の株式譲渡を生前贈与で実施する場合、暦年課税には年間110万円の基礎控除があります。株式価値が多額となる場合は、株式譲渡を毎年110万円に納まる範囲内で計画的に贈与することで、贈与税の課税負担を減らすことが可能です。

また、相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子に対し生前贈与が行われた場合に利用できる制度で、贈与時に課税される贈与税を軽減させることが可能です。

同制度には2500万円の特別控除があり、株式譲渡の価格が2500万円以下の場合は、贈与により株式譲渡を受けた年に贈与税が発生することはありません。

ただし、2500万円の特別控除額を超えた部分については20%の贈与税が課税されることとなり、相続時に同制度を利用した取得贈与財産にほかの相続財産を加算した額が基礎控除額を超えた場合は、相続税が課税されることとなります。

デメリット

生前贈与により親族に株式譲渡する際は、メリットだけでなくデメリットも把握しておく必要があります。

  1. 贈与する株式の時価が高いと、多額の贈与税が課税される可能性がある
  2. 株式の贈与が特別受益に該当する場合、他の相続人から遺留分を主張される可能性がある
贈与税は暦年課税で110万円の基礎控除しか認められていないため、相続税の基礎控除と比較すると控除額が少なくなっており、基礎控除後の課税価格が増加するほど、贈与税率も増加します。

そのため、株式譲渡を生前贈与により行う場合は、贈与税の課税額を意識しておくことも大切です。

遺留分とは、一定の法定相続人(親・子・配偶者・兄弟姉妹などは含まない)が、相続時に最低限主張できる財産割合のことです。

ある相続人が被相続人より特別に利益を受けることを特別受益といいますが、生前贈与はこの特別受益に該当する可能性があります。

つまり、生前に株式譲渡がなされていたとしても同株式譲渡が特別受益とみなされ、その結果、一定の法定相続人より遺留分の減殺請求がなされた場合に、受け取った株式の一部権利が侵害されるリスクがあります。

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相続贈与のメリット・デメリット

次は、相続により親族へ株式譲渡される場合のメリット・デメリットをみていきましょう。

メリット

相続により親族へ株式譲渡される場合のメリットには、主に以下の3つがあります。

  1. 株式を保有する被相続人が死亡することによって、自動的になされる
  2. 相続税計算の際は基礎控除3000万円が考慮される
  3. 遺言書を作成することで資産の引き継ぎ先を特定できる
相続は被相続人が死亡することを契機として自動的に行われるため、特別なことをせずとも株式譲渡される点はメリットといえるでしょう。

また、相続税には基礎控除が最低3000万円あるため、相続財産の時価が3000万円を下回る場合、相続税は発生しません。

なお、相続税の基礎控除には、この3000万円に法定相続人数×600万円分を加算することが可能であり、ほかの法定相続人が存在する場合は、相続財産について相続税が課税されない範囲が広がることになります。

さらに、被相続人が遺書を作成すれば、相続財産の引き継ぎ先を予め定めておくことができます。ただし、遺書による相続には欠点もあるので、以下のデメリットでくわしく紹介します。

【関連】相続における遺言とは?遺留分との優先順位も解説

デメリット

続いて、相続により親族へ株式譲渡される場合のデメリットを3つみていきましょう。

  1. 他の相続人が存在する場合、相続争いが起こる可能性がある
  2. 相続財産の時価によっては高額の相続税が課税される
  3. 他の相続人が存在する場合、遺留分を主張される可能性がある
複数の相続人が存在した場合、被相続人がなんの相談もなく、特定の相続人へ遺書によって相続財産を引き渡すと、ほかの相続人から反発を招く可能性も高いです。もし相続争いが起これば、円滑な経営権の掌握に支障をきたす恐れもあります。

また、先ほど基礎控除について述べましたが、相続財産の時価が基礎控除額を上回った場合、多額の相続税が発生する可能性があります。

さらに、例え遺書により被相続人が後継者のような特定相続人へ株式などの相続財産を相続させたとしても、法定相続人から相続財産の一定割合を受け取る権利である遺留分を主張される可能性があります。

売買のメリット・デメリット

最後に売買の方法により株式譲渡を行った場合、どのようなメリット・デメリットがあるのかをみていきましょう。

メリット

売買のメリットには、主に以下の2つがあります。

  1. 現経営主は所得税、住民税を負担するものの、それ以上の売却益を得ることが可能
  2. 贈与や相続と違い、他の相続人に遺留分を主張されることがない
株式譲渡する側の売主は、多額の売却益を得られるというメリットがあり、新たな事業の資金、老後資金などとして利用することが可能です。

また、後継者などの買主側からみても、ほかの法定相続人から遺留分を主張されることはないので、円滑な経営承継がなされるという観点から大きなメリットを享受できるといえるでしょう。

デメリット

一方で、売買のデメリットには、主に以下の2つがあります。

  1. 後継者などの買主に十分な資金力が必要
  2. 不当に安い価格で株式譲渡すると、買主に贈与税が課税される可能性がある
買主は実際に株式を買い取ることとなるので、自己資金の用意や銀行からの借入などにより、資金を用意する必要があります。

また、資金を用意できないからといった理由で不当に安い価格で株式譲渡を行うと、その分買主側に贈与税が課税されることとなります。

株式譲渡を親族内で行う場合の手順

親族内で株式譲渡を行う方法には、生前贈与・相続・売買の3つがありますが、具体的にはどのような手順で譲渡を進めればよいのでしょうか。ここでは株式譲渡を親族内で行う場合の手順をそれぞれの方法ごとにみていきましょう。

生前贈与による手順

親族内の株式譲渡を生前贈与の方法で行う場合、以下の手順を踏む必要があります。

  1. 株式価格の評価
  2. 贈与契約書の作成
  3. 契約実行
  4. 確定申告

1.株式価格の評価

生前贈与を行う場合、どの程度贈与税が課せられるのかを考えておかなければなりません。

そのため、贈与する株式の時価評価額をしっかり計算して、贈与税負担ができるだけ少なくなるよう計画的に贈与していく必要があります。

2.贈与契約書の作成

生前贈与は株式譲渡する側と受け取る側の合意のもと成立します。よって、この合意を証明するため、贈与契約書を締結する必要があります。

3.契約実行

贈与契約書に基づき、贈与契約を実行します。株式譲渡を贈与にて受けた際は、必ず、名義変更を行います。

4.確定申告

買主側において、贈与を受けた株式価格が贈与税の基礎控除額110万円を超過する場合、基本的に贈与税が発生するので、贈与税の申告をしなければなりません。

相続贈与による手順

相続贈与で親族内株式譲渡を行う場合は、以下の手続きを踏みます。

  1. 遺産分割
  2. 名義書換

1.遺産分割

株式の所有者が死亡した場合、まず、他の相続人との間で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。この遺産分割協議により、株式を相続する人を誰にするかを決定します。

ただし、死亡した株式所有者が遺書を作成している場合はこの限りでなく、この遺書に書かれた相続人に株式譲渡されることになります。

遺書があったとしても他の相続人から遺留分を主張される可能性があるので、注意が必要です。経営移譲などが絡む株式譲渡の場合は、あらかじめほかの相続人と良好な関係を保ち、実際に相続となった場合も円滑に株式を取得できるよう、根回ししておくことも大切です。

2.名義書換

株式を相続により取得した場合は、株式の名義書換手続きが必要です。上場株式の場合は証券会社、非上場株式の場合は株式を発行している会社に名義書換の申請をします。

なお、名義書換の申請に必要な書類は、ケースごとに異なるので、注意が必要です。

【名義書換の申請に必要な書類】

  1. 遺言書が存在する場合
  2. 遺産分割協議書を作成した場合
  3. 相続人が一人の場合
  4. 裁判所の遺産分割調停、審判の場合
【①に該当する場合に必要な書類】
新株主の印鑑証明書
遺言書写し
除斥謄本、戸籍謄本など被相続人が死亡したこが分かる書類
検認証書写し
請求書など、証券会社や株式発行会社所定の書類


【⓶に該当する場合に必要な書類】
相続人の戸籍謄本(全員分)

相続人の印鑑証明書(全員分)

遺産分割協議書写し

被相続人の戸籍謄本や除籍謄本(出生から死亡までの流れが表示されたもの)

請求書など、証券会社や株式発行会社所定の書類

【③に該当する場合に必要な書類】
相続人の戸籍謄本

被相続人の戸籍謄本や除籍謄本(出生から死亡までの流れが表示されたもの)

相続人の印鑑証明書

請求書など、証券会社や株式発行会社所定の書類

【④に該当する場合に必要な書類】
新株主の印鑑証明書
審判所謄本、確定調書謄本
請求書など、証券会社や株式発行会社所定の書類

【関連】相続における必要書類一覧

売買による手順

売買による親族内の株式譲渡では、株式に譲渡制限がある時は、株式売却前に株式売却に関する可否について、発行会社からの承認を得なければなりません。

なお、司会者の承認なしに株式譲渡を行った場合、譲渡は無効となります。譲渡制限有無は法人の登記簿謄本や定款にて確認ができ、日本の非上場企業の場合は、基本的に株式の譲渡制限が存在します。

  1. 株式譲渡承認の請求
  2. 株式譲渡の承認決議
  3. -1.株式譲渡契約の締結 -2.株式譲渡の承認通知
  4. 株主名簿の書き換え
  5. 株主変更手続き

1.株式譲渡承認の請求

株式譲渡の際はまず、会社に対し株式を譲渡して良いかの承認を得る必要があります。実務では、以下の事項を明記した株式譲渡承諾請求書を、会社に対し提出するパターンが一般的です。

【株式譲渡承諾請求書に記載する主な事項】

  • 譲渡先
  • 譲渡する株式の数や種類
なお、株式譲渡承認の請求は、株式の売主であれば単独で会社に対して請求することができますが、株式の買主が請求する場合は、売主と連名で請求する必要があります。

2.株式譲渡の承認決議

上記請求後、会社の取締役会において、株式譲渡の承認決議を行います取締役会非設置会社の場合は、取締役会でなく株主総会で決議します。

ただし、会社の定款で株式譲渡の承認について別の組織や役職者が決定する旨を定めている場合は、規定に従って決議します。

例えば、株式譲渡の承認は代表取締役が行う旨が規定されていると、代表取締役のみの権限で譲渡承認を決定することができます。

3-1.株式譲渡契約の締結

会社から株式譲渡の承認が下りたあと、株式譲渡契約を締結します。株式譲渡は売主と買主の合意のもとに成立するものですが、この合意の内容を書面に記したものが株式譲渡契約です。

株式譲渡契約には、どれくらいの株式をいくらで買うかなどの基本合意事項や、売主が買主に対し保証する事項である表明保証事項を記載し、売主・買主双方の署名、捺印を行います。

3-2.株式譲渡の承認通知

取締役会(株主総会)での株式譲渡承認後、会社は請求を行った株主へ譲渡を認めた旨を通知する必要があります。

株主が請求を行った日より2週間以内に通知をしなかった場合、会社が譲渡を認めたとみなされます。

なお、この2週間という期限は会社と請求者との話合いで変更することが可能です。また、会社側は承認しない場合でも、その旨の通知が必要です。

4.株主名簿の書き換え

株式譲渡の承認が下り、株式譲渡契約の締結と実行が完了した後、株主名簿を書き換えるため、会社に書き換え請求を行います。

株式名簿の書き換えは、株式を譲り受けたことを第三者に主張するための重要な手続き
です。

例えば、株式の所有者が二重に株式譲渡を行っていた場合、株式名簿に自身の名義が記載または記録されていないと、もう一人の買主から株式の所有権を主張されても、対抗できなくなってしまいます。

株式不発行会社の場合、書き換え請求は売主・買主共同で行うことが原則ですが、株式発行会社の場合には買主のみで請求することが可能です。

5.株主変更手続き

株主の変更手続きが済んだら、会社へ株主名簿記載事項証明書の交付請求を行い、同証明書の内容に新株主の名義が記載されていることを必ず確認しておきましょう。

【関連】株式譲渡の手続き

株主譲渡を親族内で行う場合におすすめの相談先

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まとめ

親族内での株式譲渡を計画せずに行うと、譲渡所得税や贈与税など多額の税金が発生する可能性があり、円滑に後継者へ株式を引き継ぎ、経営権を取得させることが困難になる可能性もあります。

どの方法を採用したとしても、今後の事業承継を見据え計画的に株式譲渡を行うことが必要です。

【親族内で株式譲渡をする方法】

  1. 生前贈与
  2. 相続
  3. 売買
【生前贈与のメリット】
  • 数年に亘り計画的に贈与することで、贈与税を抑えることが可能
  • 相続時精算課税制度の利用により株式譲渡を早めに実施できる

【生前贈与のデメリット】
  • 贈与する株式の時価が高いと、多額の贈与税が課税される可能性がある
  • 株式の贈与が特別受益に該当する場合、他の相続人から遺留分を主張される可能性がある

【相続贈与のメリット】
  • 株式を保有する被相続人が死亡することによって、自動的になされる
  • 相続税計算の際は基礎控除3000万円がある
  • 遺言書を作成することで資産の引き継ぎ先を特定できる

【相続贈与のデメリット】
  • 他の相続人が存在する場合、相続争いが起こる可能性がある
  • 相続財産の時価によっては高額の相続税が課税される
  • 他の相続人が存在する場合、遺留分を主張される可能性がある

【売買のメリット】
  • 現経営主は所得税、住民税を負担するものの、それ以上の売却益を得ることが可能
  • 贈与や相続と違い、他の相続人に遺留分を主張されることがない

【売買のデメリット】
  • 後継者などの買主に十分な資金力が必要
  • 不当に安い価格で株式譲渡すると、買主に贈与税が課税される可能性がある

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