2022年6月7日更新業種別M&A

SES会社の売却額とは?相場やM&A事例32選、成功させるコツ、積極買収企業も解説【2021年最新】

SES会社とは、システムエンジニアリングサービスを行う会社です。慢性的な技術者不足が続いており、会社の売却や買収を考える経営者は少なくありません。この記事では、SES会社を売却する方法や売却相場、売却額の上げ方などについて解説します。

目次
  1. SES会社の売却・M&A事例32選
  2. SES会社の売却額相場
  3. SES会社とは
  4. SES会社の代表的な売却方法
  5. SES会社を売却するメリット・目的
  6. SES会社を売却する際の注意点
  7. SES会社の売却額を上げるコツ
  8. SES会社の売却はM&A仲介会社に相談
  9. SES事業の積極買収企業
  10. SES会社の売却額まとめ

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SES会社の売却・M&A事例32選

まずは、SES会社が実際に行ったM&Aの事例を32選紹介します。

①セキュアヴェイルの売却

2021年2月、情報セキュリティ対策の分野で事業を行うセキュアヴェイルは、SES事業やシステム受託開発を手掛けるインサイトの全株式をアステックコンサルティングへ売却しました。

これにより、セキュアヴェイルは主力事業への集中を狙っています。アステックコンサルティングは、生産性向上やサービスにおけるソフトウェア面からのサポートが可能となります。

②コンピュータシステムの売却

SES事業やソフトウェア開発などを手掛けるコンピュータシステムは、2021年2月、シノケンオフィスサービスの完全子会社となりました。株式は全て売却しています。

これにより、シノケングループの経理や社内システム開発などを行うシノケンオフィスサービスは、不動産テック分野の開発力を強めます

③LLLの事業譲渡

2020年11月、マーケティングやデザイン実装などを主に手掛けるLLLは、システム開発などを行うマイクロウェーブデジタルへ、事業譲渡を実施しました。

これにより、マイクロウェーブデジタルは、開発案件を強めることを狙っています。LLLの目的は明らかではありませんが、主力のマーケティング事業に専念するためでしょう。

④キャスレーコンサルティングの事業譲渡

SES事業やITコンサルティング事業などを手掛けるキャスレーコンサルティングは、2020年8月、電通グループのIT会社であるISIDインターテクノロジーへSES事業の売却を行いました。

これにより、キャスレーコンサルティングは、さらなるSES事業の拡大を狙っています。ISIDインターテクノロジーは、開発体制を強めて事業領域を拡げることを見込んでいます。

⑤デジタル・スパイスの売却

受託開発やSES事業を行うデジタル・スパイスは、2020年7月、請負・受託開発を手掛けるIT企業のアルプス技研へ、株式譲渡の手法で株式を売却しました。

これにより、アルプス技研は、シナジー効果やノウハウを獲得し企業価値を高めることを狙っています。

⑥Fabeeeの資本業務提携

SES事業やAI・システム開発などを手掛けるFabeeeは、2020年7月に、データ解析サービスを提供するデータセクションと資本業務提携を行いました。

これにより、両社は、音声解析AI事業を強めることを狙っています。今回の資本提携は、Fabeeeがデータセクションから出資の払込を受けています。

⑦アローインフォメーションの売却

SES事業を行うアローインフォメーションは、2020年6月、ITエンジニアの派遣事業などを手掛ける夢真ホールディングスへ株式を売却し、子会社となりました。

これにより、アローインフォメーションは夢見ホールディングスと顧客基盤を共有し販路を拡げ、夢真ホールディングスは育成力を高めることを狙っています。

⑧ケンファーストの売却

フィンテック分野に強みがあるSES事業会社のケンファーストは、2020年4月、不動産事業などを手掛けるFPGへ、株式譲渡の手法により全ての株式を売却しました。

これにより、FPGは、最先端のIT技術をグループの商品開発・販売に生かすことを狙っています。業務の効率化や顧客に対するITソリューションの提供も見込んでいます。

⑨スプレッドシステムズの売却

2020年4月、フロントエンドエンジニアリング業務などを主力にSES事業を手掛けるスプレッドシステムズは、企業のWebサイト構築などを行うインフォネットの子会社となりました。手法は株式譲渡です。

これにより、スプレッドシステムズは、経営基盤をより安定させることを狙っています。インフォネットは、事業規模を拡げることや企業価値の向上、充実したサービスの提供を見込んでいます。

⑩EPコンサルティングサービスの事業譲渡

2020年4月、バイリンガルのデジタル人材が強みのSES事業会社を手掛けるEPコンサルティングサービスは、情報セキュリティとサイバーセキュリティに特化した事業を行うグローバルセキュリティエキスパートへ事業譲渡を行いました。

両社はビジネスブレイン太田昭和のグループ会社なので、このM&Aは、グループ内のシナジー効果を最大化するために行われたといえます。グローバルセキュリティエキスパートは、ワンストップの提供などが可能になります。

⑪クレスコによるエニシアスの買収

2020年4月、クレスコはエニシアスを買収して子会社化しました。クレスコは複合IT企業グループの親会社で、すでに子会社を11社と持分適用会社を3社有し、幅広いシステムエンジニアリングサービスを提供している会社です。

エニシアスもSES会社で、特にクラウド関連の分野に強みを持ちます。クレスコはこの買収により、グループの価値向上を図ります。

⑫アクシス・クリエイトの売却

2019年11月、エンジニアが400名以上いるSES事業会社を手掛けるアクシス・クリエイトは、システム開発などの開発系事業と技術者派遣・請負など製造系の事業を行うトラスト・テック(現:ビーネックスグループ)へ、株式譲渡の手法により売却を行いました。

トラスト・テックは、中期経営計画に基づきIT技術領域を拡げることを狙っています。アクシス・クリエイトは、東証一部上場のIT企業傘下に入り、安定的な経営を見込んだと考えられます。

⑬群青の事業譲渡

2019年8月、SES事業を手掛ける群青は、ソフトウェア開発やインフラ設計・運用などのサービスを提供するファンリードに対し、事業譲渡を実施しました。

これにより、ファンリードは、事業を拡げることを狙っています。

⑭アムズブレーンの売却

2019年7月、ソフトウェアの受託開発やシステム運用などの事業を手掛けるアムズブレーンは、通信事業やシステムインテグレーション事業などを行うTOKAIコミュニケーションズへ、株式譲渡の手法により発行済株式のうち99%を売却しました。

経営資源を相互に活用して開発体制を強めるために、このM&Aは行われました。多様化する顧客ニーズに、スピーディーで柔軟に対応できることを狙っています。

⑮ITソフトジャパンの売却

2019年3月、大手企業を中心に優良な顧客を持つSES事業会社のITソフトジャパンは、トライアンフコーポレーションの連結子会社としてSES事業を手掛けるインフォメーションサービスフォースへ、株式譲渡の手法で株式を売却しました。

ITソフトジャパンは、経営者の高齢化による事業承継を解決するために売却を実施しました。インフォメーションサービスフォースは、この買収により、主力事業の規模を拡げます。

⑯ゼロディブの売却

2019年3月、SES事業などを手掛けるゼロディブは、ゲーム開発・発売が主な事業であるシティコネクションへ、株式譲渡の手法により株式を売却しました。

これにより、開発体制を強め東北を中心とするSES事業の発展を狙っています。ゼロディブの代表取締役は、シティコネクションの執行役員に就きました。

⑰リアルタイムアニバーサリーの売却

2018年12月、人材育成やSES事業を手掛けるリアルタイムアニバーサリーは、IT技術者の育成事業やスマートフォン向けコンテンツ事業を行うアイフリークモバイルへ、株式譲渡の手法により株式を売却しました。

これにより、アイフリークモバイルは、人的リソースの獲得を狙い、主な事業への人材補強や効率の良い業務体制を築くことを見込んでいます。

⑱日本ペイメント・テクノロジーの売却

2018年12月、各種ペイメント・カードにおけるコンサルティングやSES事業を手掛ける日本ペイメント・テクノロジーは、システムコンサルティング業務やシステム開発事業などを行うビジネスブレイン太田昭和へ、株式譲渡の手法により会社を売却しました。

これにより、ビジネスブレイン太田昭和は、ビジネスの拡大を狙い、フィンテック領域の開拓を実現できます。

⑲ビクタスの売却

2018年10月、SES事業やIT技術者教育・育成支援事業などを手掛けるビクタスは、クラウドサービスの開発・販売事業を行うナレッジスイートへ、株式譲渡の手法により全ての株式を売却しました。

これにより、ナレッジスイートは、優秀なエンジニアの獲得を狙い、開発体制を強めたり事業領域を拡げたりすることを見込んでいます。

⑳RINETの売却

2018年8月、SES事業やWebアプリケーション開発・マイグレーション事業を手掛けるRINETは、官公庁や独立行政法人などへITコンサルティング業務やシステム開発業務などを提供するITbookへ、株式譲渡の手法で全ての株式を売却しました。

これにより、ITbookは、新事業分野へ進出することや既存事業とのシナジー効果を狙っています。

㉑ナレッジスイートによるフジソフトサービスの買収

2018年6月、ナレッジスイートはフジソフトサービスを約6億3,000万円で買収し、子会社化しました。ナレッジスイートはクラウドサービスを開発し販売している会社で、フジソフトサービスは高い技術力を持つSES会社です。

ナレッジスイートは今回の買収で、技術者の育成や先端エンジニアの提供により事業領域の拡大を図ります。

㉒デジタルフォルンの資本業務提携

2018年4月、アジャイル型の開発支援や先端技術に関する技術者の支援などを手掛けるデジタルフォルン(旧:大洋システムテクノロジー)は、音声・映像のメディア処理やIP電話のコア技術を持つソフトフロントホールディングスと資本業務提携を行いました。

資金の提供により、協業でボイスコンピューティング市場における利益と成長を狙います。

㉓イマークの売却

2018年1月、SES事業などを手掛けるイマークは、システム開発などを行うメディアジョイントへ、株式譲渡の手法により全ての株式を売却しました。

メディアジョイントは、技術者の調達力を強め販路を拡げることを狙い買収しています。

㉔従来技術の事業譲渡

2018年1月、SES事業を手掛ける従来技術は、同業の方正へ、事業譲渡を実施しました。譲渡したのは、SES事業とソフトウェア受託開発事業です。

これにより、方正は、事業規模を広げて新事業分野へ展開することを狙っています。

㉕KAGネットワースソリューションズの売却

2018年1月、金融システムの運用・保守などを手掛けるKAGネットワークソリューションズは、さまざまなAIソリューションを提供するデータセクション(現:ディーエスエス)に対し、株式譲渡の手法により連結子会社となりました。

これにより、データセクションは、AI投資環境整備へのさらなる財務基盤を強め、システム運用の知見を有するエンジニア人材の獲得を狙っています。

㉖インフォメーション・ディベロプメントの吸収合併

2017年7月、システムの運営管理やソフトウエア開発などを行うインフォメーション・ディベロプメントは、テラコーポレーションと吸収合併し、消滅会社となりました

吸収合併の相手会社が連結子会社であるため、株式や金銭の交付はありません。

㉗システム情報パートナーの売却

2016年11月、医療情報システムの運用・受託開発システムを手掛ける情報パートナーは、ITサービスをつうじたヘルスケアの支援会社であるCEホールディングスへ、株式譲渡の手法により全ての株式を売却しました。

これにより、CEホールディングスグループは、お互いのサービスや開発ノウハウを生かし、ソリューション力を強めてシステム開発を拡げることを狙います。より付加価値の高い製品やサービスの提供を見込みます。

㉘SHIFTによるバリストライドグループの買収

2016年10月、SHIFTはバリストライドグループを約8億円で買収し、子会社化しました。SHIFTはソフトウエアテストを行う会社で、バリストライドグループはシステムエンジニアリングサービスを多くの業界に提供している会社です。

SHIFTは、この買収によって優秀な人材を確保し規模の大きなプロジェクトや難易度の高いプロジェクトへ対応できるグループの成長を図り、高度な技術力を持つ人材の育成も行うとしています。

㉙エイムの売却

2016年4月、組込みソフトウェアやサーバー系の分野に優れたエンジニアを有するエイムは、組込みソフトウェア製品などを開発するユビキタスへ、株式譲渡の手法により株式を売却しました。

これにより、両社は、車載機器メーカーなどに向けて製品やサービスの拡販を達成しています。

㉚アンドールシステムサポートの売却

2015年5月、車載システム開発や物流搬送設備の制御システム開発などに強みがあるアンドールシステムサポートは、組込み開発が得意なシステム開発会社のソーバルへ、株式譲渡の手法により株式を売却しました。

これにより、ソーバルは、組込み用ソフトウェア・ハードウェアの受託開発分野で、業態をより拡げることを狙っています。

㉛アスカ・クリエイションの売却

2012年1月、通信・IT分野に特化したSES事業を手掛けるアスカ・クリエイションは、幅広い領域でアウトソーシング事業を行うアウトソーシングへ、自己株式を除く全ての株式を売却しました。

これにより、アウトソーシングは、IT・通信分野での事業を強めることを狙いました。そして、受注拡大などで、シナジー効果が発揮されています。

㉜GIMの売却

エスプールの完全子会社であるGIMは、ITエンジニアサービスやWebサービス受託開発など技術系アウトソーシングを行う会社です。

2011年9月、GIMは、R&Dに特化したエンジニア派遣や請負開発の事業を行うアウトソーシングテクノロジーへ、会社を売却しました。

これにより、専門分野に重点を置いた技術力の取得が実現しています。

SES会社の売却額相場

SES会社を売却しようと考えたとき、経営者が気になるのは「どのくらいの金額で売却できるのか?」という点でしょう。SES会社の売却額相場に断定的な数値はなく、売却する会社の従業員数や会社の業績、固定客の有無や数などによって変動します。

これまでの事例をみると、数千万円から1億円前後もあり、規模の大きいSES会社では数十億円のケースもあるのです。

①売却相場の簡単な計算方法

時価純資産法にのれん代である営業権をプラスした手法を使うと、SES会社の相場が簡単に計算できます。営業権には、2〜5年分の営業利益をプラスするのが一般的です。

株式譲渡と事業譲渡で、異なる計算式を用いて相場を計算する方法もあります。株式譲渡では、時価純資産に2〜5年分の営業利益と役員報酬のトータルをプラスして相場を出します。事業譲渡では、売却資産の金額に2〜5年分の事業利益をプラスして相場を計算するのです。

②相場はエンジニアの人数・価値単価にも影響される

一般的な会社・事業売却では、純資産と数年分の営業利益を使って大体の相場を計算します。しかし、「エンジニアの人数×エンジニアの価値単価」」で計算した価格を、交渉で提案する買収会社も存在します

M&A仲介会社などの専門家に依頼して、適正な売却額相場を計算してもらいましょう。

③SES会社の売却価格を構成する企業価値・株主価値

SES会社における最終の売却価格は、業種、競合度合い、市場の成長性などを基に計算した企業価値や、株主価値を基に決まります

企業価値と株主価値の関係性

企業価値とは、株主価値と債権者価値を合わせた額のことで、株主価値とは、株主に帰属するキャッシュフローの現在価値合計額のことです。債権者価値は、債権者に帰属するキャッシュフローの現在価値合計額です。

インカムアプローチなどで計算した株主価値に、債権者価値をプラスした金額である企業価値を基として、最終的な売却価格を決めます

企業価値から余剰資金や遊休資産などの事業外資産をマイナスした額は、事業価値です。

企業価値・株主価値・の算出方法

企業価値の算出(評価)を、バリュエーションといいます。バリュエーションには、インカムアプローチ、コストアプローチ、マーケットアプローチの算出方法が使われます。

インカムアプローチは収益力を基に算出し、コストアプローチ では貸借対照表の純資産が基準です。マーケットアプローチでは、過去のM&A事例や似た企業などを基準に算出します。

④売却額が高くなる傾向がある

SES会社の売却額は、買収する会社が必要と考える事業内容の場合に高くなる傾向があります。SES会社の業界は、システムエンジニアが慢性的に不足し、仕事が激務などブラック企業のイメージがあることから若い年齢層の人材が集まりにくいです。

そのため、人材を確保するために買収を考える経営者は多く、優秀な人材が多くいるほど売却額が高くなる可能性があるのです。得意とする分野があったり特定の分野に特化したりする場合は、そのノウハウを得ようとして高い売却額になることもあります。

SES会社は専門性の高い業種であるため、M&Aの売却額は高くなる傾向にあります。

⑤事例から売却額を予測

SES会社売却の相場は、実際に売却の交渉を始めなければわかりません。しかし、過去に行われた事例からある程度の売却額を予測できます。できるだけ自社と規模やシステムエンジニアの数などが似ている事例で予測しましょう。

ただし、日本ではM&Aの情報を非公開とする会社が多く、確認できる事例の多くが大企業です。その中で同規模の事例を探すのは難しいですが、見つけた場合は売却額を予測しましょう。

なお、M&A仲介会社などの専門家に相談すれば企業の価値を算定してもらえ、サポートを依頼すれば交渉も代行してもらえます。

SES会社の売却をお考えの際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが案件をフルサポートいたします。

また、M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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SES会社とは

SES会社とは、システムエンジニアリングサービスを行う会社のことです。主な業務はソフトウエアやシステムの開発・保守・運用です。SES会社では、IT関連の技術者を他社に派遣したり常駐させたりするケースが多く、高い技術を持った人材を抱えています。

高いIT関連の技術が必要なため、若い年齢層の人材育成が必要です。しかし、技術者の育成にはある程度の期間を要するため、業界全体で技術者が不足しています。

SES会社は、システム開発などの依頼を受けて、要望に合致した技術を持つ技術者を派遣したり常駐させたりしています。しかし、SES会社はIT関連業界の中でも競争が激しく、同業他社との競争を勝ち抜くだけの人材や高いサービスを有することが求められるのです。

①SES業界を取り巻く環境

経済産業省の「IT人材不足等に関する企業ヒアリング結果について」によると、50社のうち42社の企業がIT人材不足と回答しています。特に不足の人材が、システムエンジニアとプログラマでした。

また、矢野経済研究所の「国内企業のIT投資に関する調査を実施(2019年)」によると、2015年以降は国内民間企業におけるIT投資の市場規模が増えています。

人材不足とはいえ、IT投資の市場は増えているため、IT業界の一部であるSES会社へのニーズは高まると見られます。

②SES会社のM&A最新動向

経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、IT人材の不足は2030年に78.9万人へ達するとの予測です。

SES会社は技術者不足に対応するため、人材の採用や育成に力を入れながらM&Aで人材確保を行うケースが増えると考えられます。

また、優秀な人材が離職したり採用ミスなどで事業を続けることが難しくなったりしたSES会社が、同業者や自社開発を望む企業へ売却するケースも増加すると予測できます。

SES会社の代表的な売却方法

SES会社の売却はM&A手法の株式譲渡、合併、事業譲渡が代表的です。同業他社との競争が激しいSES業界で、業績が良い間に会社を売却し新しい事業へ転換しようとする経営者も存在します。

①株式譲渡

株式譲渡は、会社が持つ株式を買収する会社に譲り渡す方法です。買収した会社が、譲り受けた株式の対価を支払うことで成立します。

売却する会社の株式を100%譲り受けて完全子会社化する場合や、経営権を得られる50%以上の株式を譲り受けて子会社化する場合もあるでしょう。

中小企業は、売却する会社の経営者が100%の株式を譲り渡したいと考えることが多く、買収側の会社もそれを了承して売買を行います。中小企業の場合は、株式に譲渡制限が設定されることがあまりないため、この点には注意が必要です。

株式譲渡は包括的な承継であり、買収した会社は負債や訴訟などのマイナス面まで譲り受けるため、リスクの有無はしっかりと把握しなければなりません。しかし、株式譲渡の手続きは他の方法よりも簡単なため、多くのケースでこの方法が用いられます。

②合併

合併は、2つ以上の会社が1つとなる方法です。合併には吸収合併と新設合併があります。

吸収合併は2つ以上の会社のうち、いずれかがもう一方の会社を吸収する形で1つの会社となるため、吸収された会社は消滅します。一方、新設合併は、2つ以上の会社がそれぞれ消滅して新しく設立した会社に統合されるでしょう。

吸収合併は比較的コストがかからず、新設合併は新しく会社を設立するコストや時間がかかるため、一般的には吸収合併を選択することが多いです。

ただし、いずれの方法も包括的な承継なので、資産などのプラス面だけでなく負債などのマイナス面も一緒に承継することに注意が要ります。

③事業譲渡

事業譲渡は、事業の一部または全部を売却する方法です。SES会社は複数の事業を行っていることも多く、SES事業だけを売却したいと考えるケースもあります。買収側の会社も、SES事業だけを買収したいときは事業譲渡でSES事業だけを強化することが可能です。

株式譲渡や合併とは異なり、会社のすべてを譲り受けないため、M&Aの実施後にトラブルが発生しにくい取引です。しかし、煩雑な手続きと多くの時間を必要とします。

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SES会社を売却するメリット・目的

SES会社を売却するメリットや目的について、詳しく見ていきましょう。

①事業承継の実現

経済産業省の「2020年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要」では、経営者の高齢化や後継者不足のために休廃業・解散する中小企業のうち、約60%が黒字です。

つまり、後継者不在を解消できなければ、業績が良くても廃業となる可能性があるのです。廃業すれば、築き上げた技術力を次の世代に残せない、従業員を解雇する、などの状況に陥ります。

しかし、株式譲渡でM&Aを実施すると、SES事業を手掛ける同業他社や意欲ある経営者が事業を引き継いでくれるのです。SES会社が存続でき、従業員が路頭に迷うこともありません

②譲渡利益の獲得

SES事業や会社を売却すると、約数年分の営業利益に該当する譲渡利益を獲得できます。多額の現金が入るので、新規事業や主事業への投資、会社の負債返済などが可能です。

廃業とともに生じる費用が不要な点もメリットです。廃業するよりも多くの現金が手元に残るので、リタイアして余裕のある生活も堪能できます。

③大手傘下のもとで経営の安定化

SES会社の売却後は、買収企業の傘下として事業を運営します。規模が大きな会社に売却すると、相手企業の資金力や販売網などを生かしてSES事業を運営できるのです。そのため、経営の安定化が可能となったり、事業の成長するスピードが速まったりします

売却の際、「従業員が不幸になるかもしれない」と不安に思う経営者もいるでしょう。しかし、SES会社の売却では、すぐに社長交代となることは少ないです。

ほとんどの場合、しばらくは社長として経営を続けるので、買収側に即刻乗っ取られて従業員の待遇が悪くなる状況はないといえます。買収側は、成功には従業員の力が欠かせないことをわかっているので、従業員の待遇は良くなる可能性が高いです。

SES会社を売却する際の注意点

SES会社の会社売却は積極的に行われており、買収したいと考える会社も多いです。この章では、SES会社を売却する際、どのようなことに注意すれば良いのか見ていきましょう。

①早めに準備に取り掛かる

会社の売却は、品物を売るように簡単にはできません。会社を売却する際は「売却しよう」と決めてから早めに準備に取りかかりましょう。

他者にはない強みを把握したり、売却の希望金額を決めたり、相手会社との交渉時にしっかりと希望条件が伝えられたりするよう内容を精査します。

M&Aは数ヶ月、場合によっては1年以上かかり、その間に多くのプロセスを経て成約となります。長期間に渡るM&Aをスムーズに進めるためには、それだけの準備が必要です。売却を考えたらすぐに準備を始めましょう。

②売却する目的を明確にする

M&Aを進めるうえで陥りやすいのが、M&Aを成功させる、つまり会社を売却すること自体が目的となることです。

会社の売却自体を目的にしてしまうと、買収する会社の条件をほぼ受け入れてしまい、最初に希望していた価格で売却できないことや、社員への待遇が悪くなる可能性があります。これは避けなければならないことです。

目的を明確にし、どうしても譲れない条件は時間をかけてでも交渉しましょう。ただし、厳しい条件を突きつけるだけでは交渉になりません。ある程度の妥協点は設定してください。

③希望の条件は明確にしておく

目的を明確にすることと似ていますが、SES会社の売却をする際は、希望の条件を明確にする必要があります。M&Aの交渉では買収する会社が主導権を握り、優位に進めてくる場合もありますが、希望の条件を明確にしておくことではっきりと希望を伝えられるのです。

交渉の主導権はあるものの、対等な立場で話を進める必要があるため、売却する側だからといって買収する側の条件ばかりを受け入れるのではなく、売却の条件もきちんと相手に伝えましょう。

④情報は内容が確定してから公表する

SES会社はM&Aについて前向きに考える傾向があり、会社が売却されることを知っても大きなトラブルになりにくい特徴があります。しかし、会社が売却される情報は、社員が不安を抱く可能性が高い要素です。

社員の間で「会社の業績が悪いのではないか?」「経営者が変わったら、リストラされるのではないか?」などの憶測やうわさが広がり、社員が仕事に集中できずにモチベーションが下がってしまう可能性もあります。

会社の売却は社員にとっても重要な事柄ですので、売却する際は内容が確定してから公表しましょう。売却の内容が確定している場合でも、社員へは適切なタイミングで公表しなければなりません。

⑤売却先企業を慎重に選ぶ

自社の従業員を大切にしてくれる会社へ売却すると、従業員は良い待遇を受けられます。しかし、使い捨てのように従業員を働かせる会社へ売却してしまうと、待遇面で厳しい扱いを受けるリスクがあるのです。

また、サービスの質が下がってしまい、取引先へ迷惑をかける可能性も考えられます。自社の従業員や取引先に迷惑をかけないよう、従業員や取引先を大切にしてくれる会社を売却先に選びましょう。

⑥デューデリジェンスを徹底する

多額の負債や訴訟リスクなどを抱えた会社を買収するのは、ハイリスクです。そのため、買収側は、売却側が持つリスクの抽出を目的として、デューデリジェンスを行います。

デューデリジェンスの結果により、売却金額の減額やM&Aの断念が生じることもあります。売却側は、減点要素となる可能性がある簿外債務などの要素を早期に除去しましょう。

デューデリジェンスに必要な財務諸表などの資料提出を求められるので、迅速に提出できるようM&A専門家の協力を得て準備することも必要です。

SES会社の売却額を上げるコツ

SES会社を売却して、新たな事業に取り組みたいと考える経営者もいるでしょう。そのために、会社をできるだけ高く売却したいと思うのが売却側の希望です。しかし、買収側は、会社の買収はできるだけ安くしたいと考えます。

実際の売却金額は売買の交渉を重ねて決定しますが、売却する会社ができるだけ高く売却したい場合は、どのようにすれば良いのか見ていきましょう。

①買収するメリットをアピールする

SES会社を売却する場合、買収する会社にどのようなメリットがあるのかアピールすることが重要です。

例えば、同業種の場合は技術者不足を補うために買収を検討している場合があります。このケースでは、技術者の人数やスキルが十分にあることをアピールできれば、売却額が上がるでしょう。

また、すでに大手との取引があり、今後も継続することがアピールできれば収益性があると判断され売却額が上がることもあります。

買収側は、SES会社の買収によりシナジー効果を期待する場合も多いです。希望するメリットをしっかりとアピールすることで、売却額が変わります。

すでにあるSES会社を買収するため、何かしらのメリットがなければ買収しようとは考えません。売却額も下がる可能性があります。

②人材が流出しない環境づくり

激務で専門性の高い技術を持つSES会社の社員は、ある程度の技術を持っていれば他社への転職を考えるなど、人材が流出しやすい傾向が強いです。システムエンジニアですから自分で何かしようと考えるケースも多く、独立する人も少なくありません。

この状況により、SES会社を売却する際に優秀な人材が流出する可能性は高いです。M&Aでは大きな損失と捉えられ、売却額に影響する可能性があります。そのため、人材が流出しない組織づくりが重要です。

給与や待遇、評価制度の見直しで環境をつくり、売却後も同条件やそれ以上の待遇となるよう買収会社と十分に交渉し、人材が流出しない対策を取りましょう。

③会社の財務状況を整理しておく

SES会社を売却する際は、会社の財務状況を整理する必要があります。優秀な技術者がいて、安定した収入が見込める取引先があっても、負債が多く経営がうまくいっていない状況は買収する会社から見ればリスクが高いです。

リスクが高ければ買収を断念する可能性は十分にあります。そうならないためにも、会社の財務や税務などはきちんと整理し、会社の経営を良好な状態にすることが重要です。

借入が多く収支のバランスが崩れている場合は、できるだけ借入金を減らして収益が出るよう事業全体を見直す必要があります。

M&Aではデューデリジェンスという買収対象会社のリスクを洗い出すプロセスがあります。簿外債務や訴訟などのリスクは隠そうとせず、できるだけ解消する努力をしましょう。

④赤字から黒字に転換させておく

営業利益により、売却金額の相場はかなり異なります。そのため、営業利益が赤字であれば、優れたエンジニアがいて技術を保持していても、安い価格での売却になる可能性が高いでしょう。

できるだけ高い価格で売却したい場合は、少なくとも赤字から黒字へ転換させることが重要です。

⑤優秀な技術者・汎用性のある技術を抱えておく

人材確保のために、SES会社を買収する企業も少なくありません。買収で複数のエンジニアを得ると、採用や人材育成の時間・労力を大きく減らせます。

つまり、買収側にとって、優秀な技術者は価値の高い経営資源です。そのため、一度にたくさんの優秀なエンジニアを譲渡できれば、高い金額で売却できるでしょう。

汎用性の高い技術に対応できるエンジニアを抱える企業も、高い値段で売却しやすいといえます。汎用性の高い技術は、需要が多いからです。早期に汎用性の高い技術に対応できるエンジニアを育てたり確保したりしましょう。

⑥海外企業との取引実績を集める

海外企業との取引実績を集めることも、SES会社の売却額を上げるコツです。SES会社の買収を検討する買い手には、海外進出を検討・実施する会社もあります。

一般的に、海外進出は、失敗する可能性が高く多額の費用がかかります。そこで、海外企業と取引をした経験があるSES会社を買収すると、現地顧客や海外事業に必要とするノウハウなどが得られ、海外へ進出するリスクが減るのです。

海外企業との取引実績が多ければ、買収側から高評価がもらえるといえます。

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SES会社の売却はM&A仲介会社に相談

SES会社の売却を検討している経営者で、悩みや不安を抱えながら誰にも相談できない人も少なくありません。そのようなときは、M&A仲介会社に相談しましょう。そもそもM&Aは法務や税務など高度な専門知識が必要であり、専門家を起用して進めるのが一般的です。

①まずは事前相談

M&A仲介会社には、M&Aに精通したスタッフがアドバイザーとしてM&Aをサポートするところや、各士業と連携しているところがあります。M&Aに関するあらゆる相談に応じてくれるため、会社売却の不安を払拭できるでしょう。

ひと昔前まではM&Aは大企業の経営戦略として浸透し、大規模なM&Aしか扱わないM&A仲介会社もありました。しかし、近年は、M&Aが一般的な経営戦略や事業承継の方法として活用されることもあり、規模に関係なく相談やサポートに応じるM&A仲介会社が多いです。

M&A仲介会社の多くは相談料が無料ですので、会社売却を考えた場合はまず事前相談をしましょう。

②大手と地元密着型

M&A仲介会社には東証一部上場を果たして全国に支店や営業所を構える大手の会社や、地元に密着した形で運営しているM&A仲介会社で、地域性を活かした運営をするところもあります。

いずれもM&Aに関して十分な知識や経験があり、会社売却に関する適切なアドバイスやサポートをしてくれます。

会社売却は、法的手続きや財務、税務などを理解しているスタッフがアドバイスやサポートをしてくれるので、安心して会社売却の交渉や取引を進められるでしょう。

M&A仲介会社をお探しの際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所ではこれまでさまざまな業種でM&A支援実績を有し、全国の案件に対応しております。豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが案件をフルサポートいたします。

また、M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

SES事業の積極買収企業

この章では、SES事業を積極的に買収している企業を紹介します。SES事業の売却予定があれば、ぜひ参考にしてください。

①夢真ホールディングス

建設技術者・エンジニアの派遣業を中心に事業を手掛ける夢見ホールディングスは、2019年9月期から2021年9月期までの中期経営計画で、オリンピック開催における建設需要増加とIT技術者不足に対応するため、人材の確保を目標に掲げています。

2019年4月には、必要とする技術者確保のため、高い技術力のある人材を揃えるインフォメーションポートを買収しました。同時期に侍の株式も取得して、新しい採用ルートの確保や採用を行うメディアの強化を狙っています。

夢真ホールディングスは、高い技術力を持つ人材を獲得するために、これからもM&Aを行う可能性は高いでしょう。

②ブレインパッド

ブレインパッドは、経営改善のためにビッグデータを生かしたサービスやデジタルマーケティングサービスの提供を手掛ける会社です。

ブレインパッドは、2020年6月期~2023年6月期の中期経営計画で、データを活用するサービスの拡大を狙うため、必要とする人材獲得を掲げています。

そのため、既存の資源やノウハウを使用しデータを活用した事業を成長させるために、M&Aによる人材確保を検討しています。先進技術の調査や実用化を図るためにも、M&Aを行う予定です。

③ビジネスブレイン太田昭和

ビジネスブレイン太田昭和は、主に、経営とITの視点から改善案を提案するコンサルティングサービス、システム開発、会計・税務・IT分野などのマネージメントサービス提供による問題の発見から成果の確認までのトータルサポートなどを手掛ける会社です。

ビジネスブレイン太田昭和は今後の事業戦略として、コンサルティング事業を強めること、マネージメントサービス事業を拡げること、を掲げています。

2018年12月に日本ペイメント・テクノロジーを買収したように、シナジーやノウハウが得られる同業者へM&Aを行い、事業の領域を拡げることが予想されます。

④エアトリ

エアトリ(旧・エボラブルアジア)は、オンライン・訪日旅行業や海外でのIT開発事業、成長企業への投資事業を行う会社です。

2016年から投資事業を手掛け、企業価値の向上による利益獲得や自社で行う事業とのシナジー創出を狙います。

今までにも、グループ会社エボラブルアジアソリューションズがラボ型のオフショア開発事業を譲り受けたり、ベトナム法人Evolable Asia Co., Ltd.がカヤックの開発子会社を得たりするなど、開発基盤を広げる目的の買収が実施されました。

今後も、M&Aや資本業務提携による成長企業への投資が継続されるでしょう。海外のIT開発事業でも、前向きな買収が予測されます。

⑤セグエグループ

セグエグループは、ITシステム・インフラ・ネットワークセキュリティの製品に関する設計から保守まで一貫したサービスを手掛ける会社です。

2019年には、情報セキュリティの技術者育成や自社開発の推進を掲げています。そして、前向きに人材やノウハウを確保するためのM&Aを実施するとしています。

そのため、セグエグループは、必要とする人材確保を目的に、SES事業を買収するでしょう。

⑥アイフリークモバイル

アイフリークモバイルは、分野ごとに人材を育て、派遣・請負・エンジニアリングを提供するコンテンツクリエイターサービス、モバイルコンテンツサービスなどを提供する会社です。

コンテンツクリエイターサービスに関しては、2019年4月から2020年3月末までに、500人の人員増とする計画を立てています。そのため、M&Aを用いたSES事業の買収で、技術者確保を実施するでしょう。

⑦デジタルフォルン

デジタルフォルン(旧・大洋システムテクノロジー)は、アジャイル型の開発支援や先端技術に関する技術者の支援、ビジネスコンサルティングなどを手掛ける会社です。

デジタルフォルンは、2018年4月に、音声などのメディア処理やIP電話のコア技術を持つソフトフロントホールディングスと資本業務提携を行いました。資金提供により、協業でのボイスコンピューティング市場における利益と成長を狙っています。

また、ソフトフロントホールディングスをとおしてボイスコンピューティング事業の先端技術を持つ会社の情報を得て、対象となる会社の買収を計画しています。デジタルフォルンは、ボイスコンピューティング関連の技術を有するSES事業の買収を行うでしょう。

⑧SHIFT

SHIFTは、ソフトウエアの品質保証とテスト事業を手掛ける会社です。

SHIFTは、中期計画で、サービス領域の拡大と高付加価値化を戦略の1つに掲げています。2019年の上半期では、4件のM&Aを行いました。そのため、上半期以降もサービス領域の拡大と高付加価値化を目的として、SES会社などIT企業の買収を促進すると見込まれます。

⑨シティコネクション

シティコネクションは、ゲームの開発・販売などのコンテンツ事業、ゲームサウンドトラックの製作や海外ゲームのローカライズや公開などを手掛ける会社です。

2019年3月、シティコネクションは、ゲームなどのコンテンツ事業や人材派遣を行うビジネスソリューション事業を営むゼロディブの全株式を得て、完全子会社化しています。これにより、自社の開発体制を強め、東北エリアのSES事業を促進する見込みです。

今後もシティコネクションは、事業を拡げるためにSES事業の買収を行う可能性があるといえます。

⑩ナレッジスイート

ナレッジスイートは、クラウドソリューション事業とシステムエンジニアリング事業を手掛ける会社です。2018年に、2社のSES会社を買収しました。

ナレッジスイートは、必要とするIT人材が集まったので、これからは提供サービスの質を高めることに重点を置くとしています。

ただし、M&Aによる人材確保も検討しているので、今後もSES事業の買収を実施する可能性があります。

SES会社の売却額まとめ

SES会社とは、システムエンジニアリングサービスを行う会社です。慢性的な技術者や開発者が不足する状態が続いており、会社の売却や買収を考える経営者は少なくありません。

専門性の高い職種であるため、会社売却の相場は高くなる傾向にあります。しかし、目的や条件を明確にしなければ希望する価格での売却は難しいといえます。そのため、M&A仲介会社などの専門家を用いて、できるだけ高く売れるようアドバイスやサポートを受けましょう

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