M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年5月20日更新業種別M&A
バス会社のM&A・売却・買収の事例を紹介!案件の探し方や費用の相場も徹底解説!
本記事では、バス会社のM&Aの実態を知るべく、近年、実際に行われたM&A事例をまとめました。合わせて、バス事業の内容確認、現状や問題点、バス会社のM&A動向・相場・メリット、バス会社のM&A案件の探し方なども解説しています。M&Aを検討している方は必見です。
目次
バス会社の事業について
バス会社は、運輸局の認可を得なければ事業を行えません。バス会社が得られる認可には以下の2種類があります。
- 一般乗合旅客自動車運送事業
- 一般貸切旅客自動車運送事業
一般乗合旅客自動車運送事業(乗合バス)とは、いわゆる路線バスや高速バスの運行をさしています。一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス)とは、ツアー観光や企業の送迎バスのことです。
貸切バス事業とは
一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス)について、もう少し詳しく見てみましょう。貸切バスと乗合バスの違いは、以下のとおりです。
- 貸切バス:団体客などがバスを借り切って利用する
- 乗合バス:不特定多数の個人客が利用するバス
観光バス事業とは
観光バス事業は、許可の種類としては一般貸切旅客自動車運送事業に該当します。したがって、観光バス事業は、貸切バス事業の中の1つです。前項で例示したような貸切バスと観光バスの違いは、以下のようなものが挙げられます。
- 長時間移動でも疲れない座席
- カラオケの設置
タクシー業界のM&A・売却・買収については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
バス会社の現状
バス会社の業界では、乗合バス・貸切バスの運行においては免許制でした。しかし、2000(平成12)年に貸切バスの運営、2002(平成14)年には乗合バスの運営に対して法改正が行われ、規制が許可制になったので新規参入する事業所が増えています。
公益社団法人日本バス協会の「2020年度版(令和2年度)日本のバス事業」によると、1968(昭和43)年前後は乗合バスの利用者が多く、年間100億人超が利用していましたが、2018(平成30)年度の輸送人員は43億4,773万人でした。
乗合バスは、大手・中堅のバス会社が運行していることが多く、経営破綻にすぐに陥るような状況ではないにしても、バス会社全体の約70%が赤字経営となっている実情があります。
そのような中、高速バスの利用者は、統計を始めた1999(平成11)年には約6,600万人でしたが、その後も徐々に利用者数が増え、2018年度は2億9,804万人まで増加しました。
その背景には、バス会社の多くが高速道路を利用して中長距離の運行を行っていることもありますが、何よりも新幹線や格安航空会社を利用するよりも運賃が安いことが挙げられます。日中だけでなく、深夜の運行も多いので寝ている間に目的地に到着する利点もあります。
それ以外にも、東京には「バスタ新宿」が開業し、訪日外国人向けの高速バス情報サイトも開設され、高速バスの利用者が増加中です。特に、外国人旅行客は1回の訪日で多くの観光地に向かう傾向があり、できるだけ旅費を抑えようとする傾向もあります。
日本バス協会の「2022年度版(令和4年度)日本のバス事業」によると、令和3年度乗合バス事業の収支状況は前年度と比較して8.0%減少しました。また支出については、前年度と比較して2.5%減少しました。
バス会社の4つの課題
ここでは、バス会社の具体的な4つの課題について解説します。
- 運転手不足
- バス購入・維持費用
- 法規制の強化
- 大型車両の納品
①運転手不足
バス会社の現状は大変厳しい局面を迎えており、さまざまな角度で日本バス協会も検討を行っています。バス会社にとって利用客が減少していくのは死活問題の1つですが、もう1つ大きな問題が運転手不足です。
バス運転手の不足は、2002年に行われた規制緩和によって、中小のバス会社が増えたことにも一因があります。規制緩和による新規参入でバス事業者が約5倍にも増え、業界内での競争が激しくなりました。
その結果、バスの運転手の労働環境が変化し、大変な仕事という認識が広まったのです。バス運転手を目指す若者が減り、後継者がいないため、60歳を超えても運転手を続けているケースもあり、6人に1人が60歳以上となっています。
このような背景から、バス会社の労働環境の改善や給料のベースアップ、大型二種運転免許取得費用の支援制度などを取り入れているバス会社も増えてきました。
バス会社の労働環境が整っても、週休二日の習慣が身についている若い世代にとっては、休日問題や労働形態などが今後の課題となりそうです。
②バス購入・維持費用
バス会社は、利用客を乗せるバスの維持にも経費がかかります。路線バスの購入代金は1台約1,800~2,100万円、高速バスは約3,000~4,500万円ほどです。このようなバスを購入した後には、相当のメンテナンス費用もかかります。
中小のバス会社では、バスそのものの維持に大きな費用がかかり、存続していくのが難しい場合もあるのが現状です。
③法規制の強化
バス会社の多くは、高速バスツアーの事故などを受けて規制を強化しています。貸切バスをメインにしている事業では、許可申請や監査が厳格に行われるようになりました。中小のバス会社では、それに対応できず廃業に追い込まれる可能性もあります。
④大型車両の納品
バス車両のメーカーにもキャパシティーの制約があり、大型車両の納品に相当な期間がかかるという問題もあります。
運送会社・トラック物流業界のM&A動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
バス会社のM&Aの事例27選
ここでは、バス会社が関わった実際のM&A事例を見てみましょう。
- 東急バス×東急トランセ
- 日野自動車×三菱ふそうトラック・バス
- 京福バス×京福リムジンバス
- みちのりホールディングス×佐渡汽船
- 名古屋鉄道×名鉄運輸
- 小田急箱根高速バス×小田急シティバス
- 宮崎交通×宮崎トヨタ自動車
- 茨城交通×なの花交通バス
- 名古屋鉄道×ヒーロー
- 丸建つばさ交通×丸建自動車
- ナオヨシ×海部観光
- 住友商事×Teroplan S.A.
- 博報堂×やさいバス
- 京成電鉄×関東鉄道
- 阪急バス×阪急田園バス
- 茨城交通×日立電鉄交通サービス
- 小田急電鉄×小田急バス
- 西日本鉄道×西鉄高速バス
- エイチ・アイ・エス×九州産業交通ホールディングス
- 網走バス×きたみ観光バス
- 関東自動車×東野交通
- みちのりホールディングス×東日本交通
- WILLER×国光暇期旅行社
- みちのりホールディングス×日立製作所
- 北海道中央バス×ダイヤ冷暖工業
- 東武鉄道×BOJ
- 岩手県北バス×南部バス
東急バス×東急トランセ
2023年8月、東急バスは、子会社である東急トランセを吸収合併しました。東急バスは、東急グループの企業で自動車運送事業・不動産賃貸業、旅行業などを行っています。
東急トランセは、自動車運送事業、運輸業の運行を行う企業です。渋谷~代官山の循環バスなどの運行を機に「従来とは異なった輸送サービスの提供」を目的として設立されました。路線バスをはじめ、東急バスの路線バスの運行受託、空港高速バス、貸切バス事業の事業を行っていました。
バス輸送業界の乗務員の人手不足が拡大し、輸送力の維持課題を抱えています。今回のM&Aにより、組織を一本化することで乗務員採用活動の強化、柔軟な乗務員配置、事業運営全体の効率化を目指します。
日野自動車×三菱ふそうトラック・バス
2023年5月、日野自動車は三菱ふそうトラック・バス株式会社との間で経営統合を行いました。さらに親会社であるトヨタ自動車、ダイムラートラック社の2社が加わり、4社で基本合意書を締結しました。
今回の経営統合により、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが、統合会社の完全子会社となります。持分比率に関しては、トヨタ自動車とダイムラートラック社で別途合意する予定です。
今回のM&Aにより、開発・生産など事業効率をアップさせ、日本およびアジアの自動車産業の基盤を強化し、顧客、ステークホルダー、そして日本の自動車産業への貢献を目指します。
京福バス×京福リムジンバス
2022(令和4)年4月、京福バスは、完全子会社の京福リムジンバスを吸収合併しました。京福バスが存続会社、京福リムジンバスが消滅会社です。京福バスは、京福電気鉄道の完全子会社であり、グループ内事業の効率化・合理化・営業力強化のために合併が行われました。
みちのりホールディングス×佐渡汽船
2022年3月、みちのりホールディングスは、佐渡汽船の第三者割当増資を引き受けて出資し、佐渡汽船の株式66.7%を取得して子会社化しました。出資額は公表されていません。佐渡汽船は、同年5月に上場廃止予定となっています(2022年4月現在)。
みちのりホールディングスは、バスをはじめとする公共交通事業を行うグループの持株会社です。佐渡汽船は、佐渡島と本土を結ぶ海上交通事業を行ってきましたが、新型コロナウィルス感染拡大問題の影響もあって経営難に陥っていました。
そのような事情により、佐渡汽船は、みちのりホールディングス傘下で経営再建に取り組むことを決めています。
名古屋鉄道×名鉄運輸
2022年3月、名古屋鉄道は、連結子会社の名鉄運輸に対し、TOB(Take Over Bit=株式公開買付け)を実施しました。51.09%の株式を所有していた名古屋鉄道は、TOBで70.11%まで議決率を上げています。TOBに要した費用は43億1,478万6,000円でした。
名古屋鉄道は、グループで鉄道・バス・タクシー・船事業、運送・引越事業、ホテル事業、百貨店事業、旅行・レジャー事業、不動産事業などを行っています。今回のTOBの目的は、名鉄運輸の上場を廃止し、スピーディーな事業運営への切り替えです。
今後は、日本通運が所有する20.08%分の株式を除いて、残りの株式取得のためにスクイーズアウトなどの手続きを行う予定と発表されています。
小田急箱根高速バス×小田急シティバス
2022年1月、小田急箱根高速バスと小田急シティバスが吸収合併を行いました。存続会社が小田急箱根高速バス、消滅会社が小田急シティバスです。合併後、商号を小田急ハイウェイバスと改めました。両者はともに、小田急電鉄グループの会社でした。
小田急電鉄によれば、この合併はグループ内のバス事業の効率化・経営基盤の強化が目的です。
宮崎交通×宮崎トヨタ自動車
2021(令和3)年8月、宮崎交通は、オーシャンブルースマートと共同で行ってきたシェアサイクルサービス事業を、宮崎トヨタ自動車に譲渡しました。譲渡価額は公表されていません。今後は、オーシャンブルースマートと宮崎トヨタ自動車の共同運営になります。
宮崎交通は、乗合・貸切・広告バス事業、旅行事業、航空事業、保険事業、遊園事業を行っていますが、特に主力のバス事業に経営資源を集中する目的で今回の事業譲渡を行っています。
茨城交通×なの花交通バス
2021年8月、茨城交通は、なの花交通バスの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。みちのりホールディングス傘下の茨城交通は、茨城県でバス事業、旅行業、タクシー事業、自家用自動車管理事業などを行っている企業です。
なの花交通バスは、千葉県でのバス・ハイヤー事業、成田空港~東京間のバス送迎事業などを行っています。今後は、みちのりホールディングスの他のグループ会社も含め、公共交通事業の連携を深め企業価値向上を図る方針です。
名古屋鉄道×ヒーロー
2021年3月、名古屋鉄道は、完全子会社である金沢名鉄丸越百貨店と金沢スカイホテルの全株式をヒーローに譲渡しました。譲渡価額は公表されていません。茨城県のヒーローは、ディスカウントスーパーなどの運営を行っている企業です。
金沢名鉄丸越百貨店、金沢スカイホテルは、ともに新型コロナウィルス感染拡大問題の影響で業績が落ち込んでいました。名古屋鉄道としては、両社の事業再生・収益改善のためには、ヒーロー傘下となるのが最良と判断し、株式譲渡に至っています。
丸建つばさ交通×丸建自動車
2021年2月、丸建つばさ交通は、丸建自動車からバスを中心とする公共交通事業の全てを譲受しました。譲受価額は公表されていません。丸建自動車は前年5月に民事再生法を申請しています。
丸建自動車がそのまま倒産してしまうと、地域の公共交通に与える影響が大きいため、事業の受け皿となる会社ができるまでの間、裁判所命令により事業を継続していました。
ナオヨシ×海部観光
2020(令和2)年11月、ナオヨシは、海部観光の株式を取得し子会社化しました。取得価額は公表されていません。海部観光は、徳島県でバス事業を行っている企業ですが、新型コロナウィルス感染拡大問題の影響で業績が悪化していました。
経営コンサルタントのナオヨシは、傘下にコールドチェーン事業、食品物流事業、データセンター事業、青果物仕入・販売事業、輸出入事業、IT事業、映像・デザイン事業などを行う子会社があります。今後、海部観光は、ナオヨシ傘下で経営再建を図る考えです。
住友商事×Teroplan S.A.
2020年6月、大手総合商社の住友商事は、ポーランドのTeroplan S.A.に出資しました。出資額は公表されていません。Teroplan S.A.は、バス・鉄道チケットのオンライン販売、民間バス事業者向けシステム提供、オンデマンド型バスサービスを行っている企業です。
住友商事としては、今後、オンデマンド型バスサービスの普及が伸びると判断し、出資を決めています。
博報堂×やさいバス
2020年2月、広告代理店の博報堂とやさいバスが資本業務提携を締結し、博報堂がやさいバスに出資しました。出資額・取得株式数は公表されていません。やさいバスの行う「やさいバス」事業とは、野菜の生産者と需要者を結ぶ新しい物流システム事業です。
具体的には、生産した野菜とそれを購入したい一般消費者や料理店の受け渡し場所として、各地にあるバスの停留所を利用し、共同配送トラックが巡回します。物流コスト削減と生産者・需要者間の交流サービスを付加した新しさを、博報堂は評価しました。
京成電鉄×関東鉄道
2019(令和元)年10月、京成電鉄は、関東鉄道にTOBを実施し連結子会社化しました。従来から所有していた30.09%に加え、TOBで26.38%を取得しています(合計56.46%)。取得価額は、13億3,882万9,500円です。
京成電鉄は、東京都・千葉県・茨城県で鉄道事業、流通業、不動産業、レジャー・サービス業、建設業などを行っています。関東鉄道は、茨城県と千葉県の一部で鉄道事業、バス事業、タクシー事業、不動産業、流通業、レジャー・サービス業を行ってる企業です。
京成電鉄としては、関東鉄道を子会社化することで各事業のシナジー効果が得られ、企業価値向上につながると判断しました。
阪急バス×阪急田園バス
2019年7月、阪急バスは、完全子会社である阪急田園バスと吸収合併を実施しました。阪急バスが存続会社、阪急田園バスが消滅会社です。阪急バスは、阪急電鉄の完全子会社であり、グループ内のバス事業を統合することで、効率化による収益拡大を見込みます。
茨城交通×日立電鉄交通サービス
2021年5月、茨城交通と日立電鉄交通サービスは吸収合併を実施しました。茨城交通が存続会社、日立電鉄交通サービスが消滅会社です。両社はともに、みちのりホールディングスの完全子会社として、茨城県でバス事業、タクシー業、旅行業、運行請負業などを行ってきました。
今後、さらなる業績の向上を図るうえでは、経営統合し経営資源を共有して最適活用を行うべきと判断したもようです。
小田急電鉄×小田急バス
2019(平成31)年4月、小田急電鉄は、完全子会社の小田急バスとの間で吸収分割を実施し、小田急バスのホテル用不動産賃貸業を承継しました。この吸収分割の目的は、ホテル不動産事業を小田急電鉄に一元化することと、小田急バスがバス事業に専念するためです。
西日本鉄道×西鉄高速バス
2019年4月、西日本鉄道は、完全子会社である西鉄高速バスと吸収合併を実施しました。存続会社が西日本鉄道、消滅会社が西鉄高速バスです。合併後、北九州エリアにおけるバス事業は、西日本鉄道の完全子会社である西鉄バス北九州に吸収分割で承継されました。
一連のM&Aは、西日本鉄道グループ内における事業再編のために行われています。
エイチ・アイ・エス×九州産業交通ホールディングス
2019年4月、旅行代理店大手のエイチ・アイ・エスは、連結子会社である九州産業交通ホールディングスに対しTOBを実施しました。エイチ・アイ・エスは、TOB実施前に九州産業交通ホールディングスの株式84.64%を所有しています。
今回のTOBは、第2位株主(5.00%所有)である澤田ホールディングスから株式譲渡の打診があったことが理由です。TOB後、エイチ・アイ・エスの株式所有率は91.58%となりました。取得価額は11億277万5,960円です。
網走バス×きたみ観光バス
2019年3月、網走バスは、きたみ観光バスの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。網走バスは、北海道の網走市・札幌市・函館市・恵庭市エリアでバス事業を中心に自動車分解整備事業、旅行業などを行っている企業です。
きたみ観光バスは、北海道の北見市エリアで貸切バス事業を行っています。網走市と北見市は隣接しており、両社が連携することで利用者の利便性を向上させ、業績拡大につなげる考えです。
関東自動車×東野交通
2018(平成30)年10月、関東自動車と東野交通は吸収合併を実施しました。関東自動車が存続会社、東野交通が消滅会社です。両社はともに、みちのりホールディングスの完全子会社として、栃木県でバス事業、車両 整備事業、旅行業、不動産事業などを行ってきました。
今後は、経営統合による効率化と規模拡大により、業績アップが望めるとしています。
みちのりホールディングス×東日本交通
2018年4月、みちのりホールディングスは、東日本交通の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。みちのりホールディングスは、バスをはじめとする公共交通事業を行うグループの持株会社です。
東日本交通は、岩手県エリアおよび栃木県宇都宮エリアでの貸切観光バス事業、運行受託業務、乗合バス事業を行っています。後継者不在で経営者が高齢となり、事業承継のため、みちのりホールディングスに株式譲渡を申し入れました。
WILLER×国光暇期旅行社
2017(平成29)年12月、WILLERは、台湾の国光汽車客運と事業提携を締結し、国光汽車客運の完全子会社である国光暇期旅行社に出資を行いました。出資額は公表されていません。WILLERは、グループとしてバス事業、旅行事業などを行っています。
国光汽車客運は台湾最大手の高速バス会社で、子会社の国光暇期旅行社は旅行代理店です。事業提携の内容は、国光暇期旅行社の扱う旅行へのWILLERビーグル(旅行者用特別車両)の提供、国光客運の高速バスやターミナルでの広告掲載などとなっています。
みちのりホールディングス×日立製作所
2017年12月、みちのりホールディングスと日立製作所は、日立製作所の完全子会社である日立電鉄交通サービスの株式譲渡契約を締結し、日立電鉄交通サービスはみちのりホールディングスの完全子会社化になりました。譲渡価額は公表されていません。
日立電鉄交通サービスは、茨城県北エリアでバス事業、 旅行事業、自動車運行管理業、レンタカー事業、タクシー事業などを行っている企業です。みちのりホールディングスの傘下には、北関東・東北地方のバス会社が多く、多くのシナジー効果が期待されています。
北海道中央バス×ダイヤ冷暖工業
2017年9月、北海道中央バスは、ダイヤ冷暖工業の株式75.0%を取得し子会社化しました。取得価額は公表されていません。北海道中央バスは、北海道でバス事業、不動産事業、ホテル業、飲食業、公衆浴場業、旅行業などを行っています。
ダイヤ冷暖工業は、建築・設計施工工事、冷蔵・冷凍設備の設計施工、冷暖房・空調・給排水・衛生設備の設計施工、冷凍機器の販売・修理などを行っている企業です。北海道中央バスでは、グループの事業多角化を進めています。
その1つに建設事業があり、グループ内の建設事業強化のため、ダイヤ冷暖工業を子会社化しました。
東武鉄道×BOJ
2017年8月、東武鉄道とBOJは資本業務提携を締結しました。東武鉄道は、首都圏エリアで鉄道・バス・タクシー事業、不動産事業、電気通信・有線放送事業、旅館業、飲食業、物品販売業、旅行業、建築事業、発電事業などを行っている企業です。
BOJは、ツアー旅行やイベントなどの企画・手配・運営などを行っています。資本提携の具体的内容は公表されていません。業務提携の主な内容は、東武グループの事業エリア・施設を活用した欧米豪向け商品開発・販売、海外の営業拠点を活用したプロモーションなどです。
岩手県北バス×南部バス
2017年3月、岩手県北バスは、南部バスの全事業を譲受しました。この事業譲渡により、岩手県北における一般乗り合いバスの営業エリアが拡張されることになります。岩手県北バスとしては、利用者の利便性のさらなる向上に努め、公共交通の役割を全うする所存です。
バス会社におけるM&Aには大きな失敗例がない
バス会社におけるM&Aは、現在、注目される経営戦略となっていますが、大きな失敗例はほとんどありません。倒産に至ったバス会社でも、隣接したバス会社や鉄道会社などの子会社となって、経営を存続させているバス会社が多くあります。
そのため、路線バスの運行が突然ストップすることは少なく、何らかの措置が取られている場合が多いようです。岡山県笠岡市の井笠鉄道は、2012(平成24)年10月31日限りで事業がストップし、会社自体も破産手続きとなり解散に至りました。
しかし、臨時で中国バスが同年11月1日から暫定的に運行を行い、その後、中国バスが出資して井笠バスカンパニーを子会社として設立し、現在もバスの運行を行っています。
旅行代理店のM&Aの現状と動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
バス会社のM&Aの現状と動向
バス会社におけるM&Aは、以下のような動きがあります。
- 大手バス会社による中小バス会社の買収
- 鉄道やタクシーなどの事業を行っている会社によるバス会社の買収
また、異業種からバス業界への参入を試みる会社(たとえば旅行業を本業とする会社など)も、資本提携やM&Aを実施する見込みがあります。経営者の高齢化やバス運転手などの不足によって、事業承継問題を解決するためにM&Aを望む可能性も高くなるでしょう。
ホテル・旅館業界のM&A事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
バス会社のM&Aの相場と費用
日本で公表されるM&Aは、具体的な取引価額情報が開示されないことが多く、相場や費用を体系的に表すのは難しいものがあります。また、売却側各社によって経営状況や会社規模が異なるため、横並びの評価もできません。
バス会社のM&Aで取引価額を決める大きな要素となるのは、所有しているバスの台数や運転手の人数、複数の営業所を持っているかなどといった点です。
路線バスの運営は、その地域の主要バス会社が行っていることが多く、他のバス会社に買収されることは少ないですが、規模の小さいバス会社を買収して事業拡大を行っているバス会社は多くあります。
規模の小さなバス会社は、貸切バスやツアーバスの運営を主に行っていることが多く、バス運転手の確保が主な買収目的のM&Aも多いです。また、地方の交通網を網羅した路線バスの運行を行っている会社でも、経営赤字の解消・再建を目指して買収を試みるケースもあります。
M&Aの費用については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
バス会社のM&Aの買収・売却のメリット
ここでは、バス会社のM&Aを実施した場合に得られるメリットについて考えます。買収側・売却側それぞれの観点でM&Aのメリットを確認しましょう。
バス会社のM&A・買収のメリット
バス会社を買収する際に得られるメリットは、以下のとおりです。
- バス運転手の確保
- バスや設備の一括取得
- ノウハウの獲得
- 事業所の拡大(地域の路線バスを運行している場合)
バス会社の設立には、バスの購入、バス運転手の確保、バスを整備する施設などが必要です。全て整った状態のバス会社を買うことで、通常はゼロから準備が必要なところ、すぐに戦力として活用できます。
たとえば、一般の路線バスに相当するバスを1台の購入費用は、約2,000万円です。バス会社を買うことでバスを一括で入手でき、その後は自社のデザインに合わせてバスの改装を行うだけですみます。
また、運行範囲を広げられるのもバス会社を買う大きなメリットです。これまで関東圏の範囲でしか運行していなかった場合、中部や関西、東北地方まで運行範囲を広げられる可能性があります。
バス会社を買うことは、そのバス会社の整備施設やバス運転手の確保もメリットです。バスは多くの人の命を乗せて走るため、定期的な整備も欠かせず、安全にも気を配る必要があります。
そのため、国土交通省でも、バス事業についてさまざまな関係法令を定めているのです。それらをクリアするための設備や条件が整っているバス会社を買うことは、事業を拡大できる機会となるでしょう。
バス会社のM&A・売却のメリット
バス会社を売却する場合の方法は、株式譲渡や事業譲渡などです。規制緩和の際に中小規模で設立したバス会社は、会社設立後の運営に行き詰まることも多く、会社を売却して他の事業を行いたいと考える経営者も多くいます。
路線バスの運行は、すでに地域のバス会社が行っていることが多いです。規制緩和した当時に設立した中小のバス会社は、旅行会社などに働きかけて観光ツアーの貸切バスや、地域企業の送迎バスの運行などを行っているのが実情です。
しかし、バスの購入やバス運転手の確保、整備設備などに費用がかかるため、実質、赤字のバス会社も多くあります。また、地域の中堅バス会社で路線バスを運行させていても、利用者が減り赤字運営を行っているバス会社も多いのです。
したがって、バス会社は会社そのものを売却したいと考え、中堅バス会社ではバス事業の売却を考えるケースもあります。バス会社の売却は、大手バス会社の傘下になることで、すでにいる従業員の雇用も守れますし、バスの処分などを考えずに済むのも利点です。
バス会社が売却側としてメリットを最大限に得るには、自社に適したM&A仲介会社に業務を委託するのがいいでしょう。M&A仲介会社選びでお悩みでしたら、M&A総合研究所に一度、ご相談ください。
M&A総合研究所では、バス会社のM&Aに対し豊富な実績と知識を持つアドバイザーが、専任となってフルサポートを行っています。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
随時、無料相談をお受けしておりますので、バス会社のM&Aをご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
バス会社のM&A案件の探し方5選
バス会社のM&A案件を探す場合、以下のような手段があります。
- M&A仲介会社への相談
- 士業事務所への相談
- 金融機関への相談
- 公的機関への相談
- M&Aマッチングサイトの活用
M&A仲介会社、士業事務所、金融機関、中小企業の事業承継をサポートしている事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関では、いずれもM&A案件情報を保持しています。
バス会社のM&A案件を探す場合、どれも相談先として適していますが、その違いは専門性の高さや案件情報の豊富さ、M&A仲介サポートの有無などです。
専門性 | 案件量 | 仲介サポート | |
---|---|---|---|
M&A仲介会社 | ◎ | ◎ | ◎ |
士業事務所 | ◎ | △ | 〇 |
金融機関 | 〇 | △ | △ |
公的機関 | △ | △ | × |
M&Aマッチングサイトは、無料会員登録などによって、サイト内に登録されているM&A案件情報を閲覧でき、希望する案件に対し交渉が行えるマッチングサービスを行っています。交渉は基本的に当事者で行うしかありませんが、有料でアドバイザーへの依頼も可能です。
M&A案件の探し方については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
バス会社のM&A・売却・買収についてまとめ
バス会社のM&Aは、買い手、売り手によってM&Aを選択する目的が異なるため、メリット・デメリットをしっかり判断したうえでM&Aを選択することが大切です。大きな意思決定であるM&Aは注意点も多いため、専門家を活用しましょう。
本記事の概要は以下のとおりです。
・バス会社の事業とは
→一般乗合旅客自動車運送事業(乗合バス)、一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス)
・バス会社の現状
→バス会社全体のおよそ70%が赤字経営
・バス会社の問題
→バス運転手不足、バス購入・維持費用、法規制の強化、大型車両の納品
・バス会社のM&Aの現状と動向
→大手バス会社による中小バス会社の買収、鉄道やタクシーなどの事業を行っている会社によるバス会社の買収
・バス会社のM&A・買収のメリット
→バス運転手の確保、バスや設備の一括取得、ノウハウの獲得、事業所の拡大(地域の路線バスを運行している場合)
・バス会社のM&A・売却のメリット
→従業員の雇用確保、赤字経営からの脱却
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