M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月6日更新会社・事業を売る
企業価値10億でバイアウト・会社売却するには?【成功/失敗事例】
企業価値10億円以上でバイアウト・会社売却するためには、企業価値の価格算定方法や価値を上げるポイントを押さえて実践することが大切です。今回は、企業価値10億円でバイアウト・会社売却するポイントや成功・失敗事例を解説します。
企業価値10億でバイアウト・会社売却するには?
近年、事業規模の拡大や事業承継などの経営戦略の一環として、M&Aによるバイアウト・会社売却が活用されるようになってきています。
企業価値の高い企業は買収側からも注目されることが多く、バイアウト・会社売却の際に10億円以上の評価がされるケースも珍しくありません。
この章では、企業価値の価格算定方法や、バイアウト・会社売却に備えて企業価値10億円を目指すためのポイントを解説します。
バイアウト・会社売却の価格算定方法
10億円以上のバイアウト・会社売却を目指すのであれば、まずは適切な算出方法を把握しておく必要があります。ここでは、バイアウト・会社売却の価格算定方法3つについて解説します。
【バイアウト・会社売却の価格算定方法】
- コストアプローチ
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
1.コストアプローチ
コストアプローチは、純資産額を基準に企業価値を算定する方法です。貸借対照表を参考にするので、帳簿作成が適正に行われている場合は客観性が非常に高い算定方法とされています。
また、そのほかの算定方法と比較した場合、シンプルな計算で済むというメリットもあります。資産と負債の時価評価と差し引き程度で完了するため、専門的な知識がなくても企業価値を算定しやすい方法です。
ただし、将来的な収益価値を考慮できないため、資産の大半が無形資産で構成される企業が10億円以上のバイアウト・会社売却を目指すには不向きな方法です。
2.インカムアプローチ
インカムアプローチは、将来的な収益・キャッシュフローを、実現に見込まれるリスクを考慮した割引率で割り引くことで企業価値を算定する方法です。
最大のメリットは将来的な価値を考慮できる点です。将来性・見込めるシナジー効果などを企業価値に含めることができるので、無形資産を多く持つ企業は10億円以上のバイアウト・会社売却を目指しやすいといえるでしょう。
大きなメリットがある反面、主観的な評価になるという欠点もあります。評価基準である将来性などはあくまで主観的なものであるため客観性を欠いた評価になりやすく、バイアウト・会社売却の交渉で当事者同士の納得を得るのが難しいという面もあります。
3.マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、市場価格を基準に企業価値を算定する方法です。自社と類似する上場企業を比較対象にするため、客観性の高い評価がしやすいメリットがあります。
しかし、類似とする基準や比較する指標の設定が難しいという問題があるうえ、そもそも類似する企業がみつからないケースも想定されます。
また、会社固有の性質を評価できなくなるデメリットもあります。強い独自性を持つ企業にとっては、10億円のバイアウト・会社売却を目指す方法として不向きになることもあります。
バイアウト・会社売却の際に価値を上げるには
10億円以上のバイアウト・会社売却を目指すなら、企業価値を高めるポイントを押さえておく必要があります。特に重要なポイントとしては、以下の4点が挙げられます。
【バイアウト・会社売却の際に価値を上げる方法】
- 売却後のシナジーについて分かりやすくまとめる
- 従業員や技術など、自社の強みを紹介する
- 自社が大切にしてきた企業理念を伝える
- M&Aの専門家に頼る
1.売却後のシナジーについて分かりやすくまとめる
買収側は、M&Aを行うことにより、シナジー効果の創出による企業成長を求めています。M&Aで得られるシナジー効果が見込めるほど企業価値は高くなり、10億円以上の評価をうけやすくなります。
また、シナジー効果は組み合わせや着目するポイントで評価が全く異なります。財務諸表などの資料からは客観的な評価しかできないため、適切な評価を行うためには売り手と買い手の直接の話し合いが不可欠です。
話し合いに向けて売却後のシナジー効果についてまとめておくと、買い手に対して伝えやすくなるでしょう。
2.従業員や技術など、自社の強みを紹介する
従業員や技術は、無形資産として企業価値の評価を高める要素の1つです。独自の技術や経験・ノウハウを持っている従業員は、売却後も事業に大きく貢献することが期待できるためです。
特に、買収側にとって新規事業への参入である場合、該当事業に関する技術や経験・ノウハウを持つ従業員が不足しているため、バイアウト・会社売却で事業と一緒に獲得を狙うのが一般的です。
しかし、従業員はバイアウト・会社売却に対して不安を抱くことも少なくありません。従業員を確実に引き継ぐためには、売却後の雇用条件の説明責任を果たすなどのケアを徹底する必要があります。
3.自社が大切にしてきた企業理念を伝える
バイアウト・会社売却では、企業理念の統合も必要不可欠です。異なる企業理念を持つ企業同士の強引な融合を図ると、従業員同士の衝突が発生して業務に支障が出る恐れがあるためです。
このような事態を防ぐためには、早期から企業理念を伝えておき、売り手と買い手の協力体制でM&A後の統合プロセス(PMI)に備えておくことが大切です。
4.M&Aの専門家に頼る
10億円以上のバイアウト・会社売却を目指すなら、シナジー効果が高くなる買い手をみつけることが重要です。
M&A仲介会社などの専門家に依頼すれば、独自のネットワークを活用してより好条件の買い手をみつけやすくなるメリットがあります。
また、M&Aの専門家は企業価値を高めるポイントを熟知しています。10億円以上のバイアウト・会社売却の戦略を立てるうえで、参考になるアドバイスを受けやすいことも魅力の1つです。
企業価値10億でバイアウト・会社売却の成功/失敗事例
企業価値10億円以上のバイアウト・会社売却事例はたくさんありますが、実際は失敗に終わっている事例も少なくありません。この章では、企業価値10億円以上のバイアウト・会社売却の事例を成功・失敗に分けて紹介します。
企業価値10億円のバイアウト・会社売却の成功事例
まずは、企業価値10億円以上のバイアウト・会社売却の成功事例を紹介します。取引価格が高いこともあり、いずれも話題性のある事例となっています。
【企業価値10億円のバイアウト・会社売却の成功事例】
- ユナイテッドによるトライフォートの買収
- ヤフーによるdely買収
- LINEによるFIVE買収
- ポラリスによるBAKE買収
- グリーによる3ミニッツの買収
1.ユナイテッドによるトライフォートの買収
2018年10月、ユナイテッドはトライフォートの株式を取得して子会社化しました。既存株主から230万株(全株式の75%相当)を36億2200万円(M&Aアドバイザリー費用込み)で取得しています。
トライフォートは、スマートフォン向けアプリやWEBサービスの開発・運営を手掛ける会社です。2012年の創業以来、数々のヒット作を生み出しており、総合的な開発力を強みとする体制を構築しています。
ユナイテッドの目的は、ポートフォリオの拡充やIT人材の獲得です。安定的な収益が見込める事業や有能な人材を保有するトライフォートを傘下に加えることで、中長期的な成長を図ります。
2.ヤフーによるdely買収
2018年8月、ヤフーはdelyの株式を取得して子会社化しました。買収費用は約93億円となっており、株式の所有割合はヤフーが既に所有していた株式と合わせて45.6%となりました。
delyは、レシピ動画サービス「クラシル」を運営する会社です。リリースから2年で1000万DLを達成するほど急成長しており、ユーザーの獲得や資金調達を円滑に行っていました。
ヤフーの目的は、広告配信先プラットフォームの拡大です。鈍化しつつあるヤフーの広告事業の改善を図るため、独自の動画サービスを持つdelyを傘下に加えることで、新たな出稿先として期待されています。
3.LINEによるFIVE買収
2017年12月、LINEはFIVEの全株式を取得して完全子会社化することを公表しました。買収費用は51.1億円とされています。
FIVEは、動画広告配信プラットフォームを運営する会社です。「Video Network by FIVE」や「Moments by FIVE」を主力として、リリース以降は急成長を遂げています。
LINEの目的は、広告配信事業の成長・拡大の更なる促進です。双方の経営資源を共有することで、広告配信事業の成長を図り、グループの企業価値向上を目指します。
4.ポラリスによるBAKE買収
2017年7月、ポラリスはBAKEの全株式を取得して完全子会社化しました。正式発表ではありませんが、買収費用は100億円強と報じられています。
BAKEは、国内外で約50店舗を展開するお菓子ブランドを持つ会社です。創業3年で売上高36億円を達成しており、急成長のスタートアップとして注目を集めています。
ポラリスの目的は、BAKEのIPOによる資本回収です。ポラリスの経営資源を活用することでBAKEの海外展開に注力し、さらなる成長を図るとしています。
5.グリーによる3ミニッツの買収
2017年2月、グリーは3ミニッツの株式を取得して子会社化することを公表しました。2,955,493株を43億円(M&Aアドバイザリー費用込み)で取得しています。
3ミニッツは、ファッション動画マガジン「MINE BY 3M(マインバイスリーエム)」などを手掛けるクリエイティブ会社です。国内最大級のインフルエンサーネットワークを保有しており、多大な影響を持っています。
グリーの目的は、動画広告市場において更なる成長を図ることです。グリーのインターネット事業に精通した人材などの経営資源を3ミニッツと共有することで、グループの企業価値の向上を目指します。
企業価値10億円のバイアウト・会社売却の失敗事例
続いて、企業価値10億円以上のバイアウト・会社売却の失敗事例を紹介します。10億円以上を投じた巨大なプロジェクトですが、とある原因により失敗に終わっています。
【企業価値10億円のバイアウト・会社売却の失敗事例】
- LIXILによるグローエの買収
- 日本郵政によるトール・ホールディングスの買収
- キリンによるスキンカリオールの買収
1.LIXILによるグローエの買収
2016年7月、LIXILはグローエ(ドイツ)の全株式を取得して完全子会社化することを公表しました。2014年から買収開始当初から、最終的に全額出資にすることを目標としていました。
バイアウト・会社売却の失敗要因は、グローエ子会社の不正会計の発覚です。中国の子会社ジョウユウが不正会計の発覚で破産手続きに入り、グローエにも債務保証の負担が発生したことが原因となり失敗に終わっています。
2.日本郵政によるトール・ホールディングスの買収
2015年5月、日本郵政はトール・ホールディングス(オーストラリア)の株式を取得して子会社化しました。アジア・オセアニア地域での物流事業参入の足掛かりとして期待されており、買収費用に約6200億円を投じています。
バイアウト・会社売却の失敗要因は、オーストラリアの経済停滞によるトールの業績不振です。資源価格の下落等の悪影響を受けたことでトールの業績は大きく低迷し、17年3月期には4000億円の減損損失を計上しています。
3.キリンによるスキンカリオールの買収
2011年8月、キリンはブラジルのビール事業大手のスキンカリオールを約3000億円で買収しました。アジア・オセアニアを軸に展開していたビール事業を、南米にも戦線拡大する目的で実施されました。
バイアウト・会社売却の失敗要因は、通貨レアルの下落や同業他社との競争激化です。業績不振に陥り、15年12月期には1140億円の減損損失を計上する結果となっています。
企業価値10億でバイアウト・会社売却する際におすすめの相談先
バイアウト・会社売却では、企業価値評価や売却先との交渉においてM&Aの専門的な知識が必要不可欠です。10億円以上の取引を目指すのであれば、価値を高めるポイントを押さえて確実に実践する必要もでてきます。
M&A総合研究所は、M&A仲介における豊富な実績を持つM&A仲介会社です。M&A経験豊富なアドバイザーが専任につき、ご相談からクロージングまで丁寧にフルサポートいたします。
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無料相談を随時お受けしています。バイアウト・会社売却などM&Aをご検討の際は、お気軽にM&A総合研究所までご連絡ください。
まとめ
当記事では、10億円でバイアウト・会社売却するための企業価値評価の方法や、10億円以上に価値を高めるためのポイントを解説しました。
バイアウト・会社売却は適切な方法で実行しなければ、潜在的な価値が高い企業でも本来の価値より低い価格で売却してしまう可能性があるので、利益を最大化するためには早期にM&Aの専門家に相談して計画的に実行することが大切です。
【バイアウト・会社売却の価格算定方法】
- コストアプローチ
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
- 売却後のシナジーについて分かりやすくまとめる
- 従業員や技術など、自社の強みを紹介する
- 自社が大切にしてきた企業理念を伝える
- M&Aの専門家に頼る
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