M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2023年5月14日更新会社・事業を売る
地方のM&A動向とは?中小企業のM&Aが難しい理由・後継者問題を解説【成功・失敗事例】
近年、M&Aは大都市圏だけでなく、地方でも徐々に普及しつつあります。この記事では、地方の中小企業におけるM&A動向、中小企業のM&Aが難しい理由、地方のM&Aを成功させるポイントなどを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
地方のM&A動向
地方経済を活性化させるため、経済産業省は「地域未来投資促進法」を通じた支援を実施しています。これには、設備や研究開発費の補助、融資や規制の緩和、税制措置などが含まれます。さらに、企業のM&Aによる事業承継の支援も強化されています。
地方のM&Aに対する支援策としては、各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターの人員を増やすこと、ファンドからの出資への対策、登録免許や不動産取得税の減税、法人や個人事業者向けの事業承継税制や補助金の創設などがあります。
地方では都市部と比較して中小企業の廃業率が高い傾向がありますが、事業承継やM&Aが容易に行える環境が整備されつつあるため、支援制度が広く知られることで廃業率を減らすことが期待できます。
地方の中小企業がM&Aを行うためには、その主な動向を知っておくことが重要です。この記事では、譲受(買い手)側企業と譲渡(売り手)側企業、それぞれの視点でみたM&Aの動向の主な特徴を説明します。
そのほか、地方中小企業M&Aの成功例と失敗例およびM&Aを成功に導くためのポイントなどを解説していきます。
譲受側企業の動向
譲受側企業では、以下の動向がみられます。
- 都市部の企業を中心にM&Aによる買収が増加
- 事業拡大を目的に地方企業を買収する事例の増加
- 薬局業・サービス業同士のM&Aが増加傾向
①都市部の企業を中心にM&Aによる買収が増加
日本のM&A件数は年々上昇していますが、特に都市部での件数増加が顕著です。このことから、東京の買い手企業が地方企業へのM&Aを実施していると考えられます。
②事業拡大を目的に地方企業を買収する事例の増加
M&Aは、事業エリアの拡大、新技術獲得、人材獲得など、事業拡大の目的で行われることも多いです。地方企業は販路や仕入れ先をはじめとした地元のネットワークを有しているため、M&Aで買収すれば手っ取り早く地方への事業拡大ができます。
そのほか、地方企業のなかでも貴重な技術力を有する企業を獲得する目的でも、M&Aが用いられています。
③薬局業・サービス業同士のM&Aが増加傾向
2018年の診療報酬制度の改定で、かかりつけ薬剤師による地域医療への貢献への金銭的インセンティブが高まり、薬局業界の再編が進んでいる状況です。多数店舗を展開する薬局チェーンがさらなる売上向上を目指し、事業承継に悩む地方の薬局をM&Aにより取得する取引が増加しています。
サービス業は、一般的に労働生産性が低い業界といわれており、独自の価値向上策を持つ大手企業が、地方のサービス業を買収し事業の立て直しに取り組む事例が増加傾向にあります。
譲渡側企業の動向
譲渡側企業に見られる特色としては、以下の点が挙げられます。
- 都市部から地方へのM&Aが増加
- 後継者不足に悩む経営者が多い
- 医療分野や卸売分野のM&Aが多い
- 譲受側の経営資源の活用を目的とする売却が増加
①都市部から地方へのM&Aが増加
M&Aの件数は圧倒的に都市部が多く、特に東京都のM&A件数が飛び抜けて多い一極集中が続いていますが、その中でも地方のM&A件数も増加しており、M&Aが全国に広がりつつあるのがうかがえます。
②後継者不足に悩む経営者が多い
中小企業経営者の高齢化による、後継者不足の問題は年々深刻になっています。1990年代は経営者の平均年齢は40歳代でしたが、2010年代には60歳代となり、2020年代は70歳代に入る予想です。
これは団塊世代の年齢の推移とほぼ一致しており、団塊世代の引退とともに、中小企業も世代交代を迎えることを示しています。しかし、世代交代とは言うものの、実際は後継者が見つからない経営者は5割にのぼるとされており、このままでは多くの中小企業が後継者不在で廃業となり、雇用とGDPが失われる試算です。
今後はM&Aが地方にも普及し、後継者問題を解決できるかどうかが重要になるでしょう。
③医療分野や卸売分野のM&Aが多い
地方の中小企業M&Aの動向としては、医療分野や卸売分野のM&Aが多い傾向が見られます。医療分野は後継者不足が深刻な業種の一つで、帝国データバンクの調査によると、無床診療所と歯科診療所では約9割が後継者不在、そして有床診療所と老人保健施設は約8割が後継者不在です。
このように医療分野は後継者がいないことが多く、後継者を見つけるためM&Aを行う事例が増えると考えられます。医療法人は、株式会社のように上場ができないので、創業者利益を得るためにはM&Aを行うしかありません。次に卸売分野ですが、卸売分野は製造業・サービス業と並んで、M&Aが多い分野となっています。
④譲受側の経営資源の活用を目的とする売却が増加
M&Aは買い手企業が主体となり行われることが一般的ですが、売り手企業の経営戦略の一環としてM&Aを実施ケースも増えています。
単独の企業が事業拡大を図る場合、資金・ノウハウ・販路・拠点などの面で制限があります。そのため、売り手企業の経営戦略の下でM&Aを行う目的は、買い手企業の経営資源を活用した事業拡大です。
買い手とノウハウ・人材を共有できれば、開発・販売力の強化が可能となり、売り手としても売上・利益の向上を見込めます。
地方の中小企業でもM&Aできる?
M&Aという言葉は以前に比べてかなり普及していきていますが、依然としてM&Aは大企業が行うイメージが強かったり、敵対的買収で会社を乗っ取るものだと勘違いしていたりする人も多くいます。
M&Aは確かに普及してきてはいますが、それは主に大都市圏の話であって、地方ではまだM&A件数が少なく、そもそも相談できるM&A仲介会社が近くにないケースも多いのが現状です。
さらに、中小企業経営者の方は、自社のような何の取り得もない小さな会社が、M&Aなどできるわけがないと思い込んだり、M&Aに興味があるけれど、本業が忙しくて手が回らなかったりする場合があります。
この章では、地方の中小企業がM&Aを行うことは可能なのか、難しいならその理由は何なのかを解説します。
地方の中小企業はM&Aが難しい?その理由
地方の中小企業がM&Aを行うことは十分可能ですが、大都市圏に比べると難しい部分もあるのが実情です。その理由はさまざまですが、地方の企業であることがM&Aの難しさに直結する理由としては、以下の3点が挙げられます。
- コミュニティが狭くM&A対象が少ない
- 全体的にM&Aに消極的
- M&Aの相談者が少ない
①コミュニティが狭くM&A対象が少ない
当然ですが、地方は大都市圏に比べてそもそも企業の数自体が少ないです。企業の数が少ないとそれだけM&Aの対象となる選択肢が少なくなるので、結果としてM&Aが成立しづらくなってしまいます。
地方といっても、福岡や仙台など地域の中核となる都市に近ければ、ある程度のM&A対象を見つけられるかもしれません。
しかし、例えば山陰地方や九州南部などは近くに大きな都市がないので、その分M&A対象を見つけことが難しくなります。このようなコミュニティの狭さは、地方のM&Aの普及を阻む要因の一つと考えられます。
②全体的にM&Aに消極的
地方の中小企業には、古い歴史があり何代も続いている企業や、社員数名程度で経営している町工場などが多くあります。こういった企業の経営者の方はいわゆる昔気質の人も多く、M&Aの考え方がなじまず消極的であることもよくあります。
地方の中小企業経営者にとって、会社は自分の子供のような愛着があることも多く、M&Aでお金と引き換えに会社を売ってしまうのを躊躇することも多いでしょう。
地方のM&Aが普及しつつあるとはいっても、大都市圏に比べると、M&Aで会社を売ることを純粋にビジネスとして捉える考え方が、まだ浸透していない側面があります。
③M&Aの相談者が少ない
地方は大都市圏に比べてM&A仲介会社の数が少ないので、M&Aの相談をする場所が見つからず、M&Aを行いたいけれど先に進まないケースも多いと考えられます。
近くに大都市があれば、そこまで出かけて行って相談する手もありますが、仮に移動時間に数時間かかるような場所だとしたら、その日はM&Aの相談に行くだけで一日が終わってしまいます。もちろん、その日は本業の経営を行えません。
地方は大都市圏のように近くに何でもある環境ではないので、それがM&Aの普及を妨げる要因になっています。地方の経営者の方は、身近に相談できる同業者や知り合いが少ない場合も多く、一人で悩んで結局M&Aを決断できないケースも多いと考えられます。
地方の中小企業でもM&Aは可能
地方のM&Aは確かに都市部に比べるとハードルが高い面がありますが、だからといってM&Aができないわけではありません。
地方では県によってほとんどM&A仲介会社が存在しないこともありますが、だからといってその県ではM&Aの相談ができないわけではありませんし、M&A相談のために何時間も移動して他県に出ていかなければならないこともありません。
例えば、各都道府県に必ずある地方銀行や信用金庫では、M&A相談を受け付けてくれるところもあります。近年は、国が各都道府県に「事業承継・引継ぎ支援センター」などの支援機関を設置しており、そこに相談することも選択肢です。そして、公認会計士事務所や税理士事務所といった士業事務所の中には、M&A相談を受け付けています。
都市部のM&A仲介会社は地方への出張相談を行っているところも多く、都市部の仲介会社だからといって、自分の地元の案件を取り扱ってもらえないわけではありません。M&Aの相談は地元のM&A仲介会社だけではなく、いろいろな選択肢があることを知っておけば、どの地方の中小企業でもM&Aは可能でしょう。
地方の中小企業を悩ます後継者問題の原因
中小企業の後継者問題は、地方・都市部関係なく日本全体で深刻になっている問題ですが、地方の中小企業M&Aに関する後継者問題は、都市部とは違った面もあります。地方の後継者問題で一番問題なのは、若い世代が都会に出てしまい、地元の企業を継いでくれる人材が育たないことです。
地方の後継者問題を解決するには、都市部の企業が積極的に地方企業のM&Aを行うことが重要だと考えられますが、まだまだ大きな流れにはなっていないのが現状です。
①狭いコミュニティ・地域で後継者探しを行っている
地方の企業が、後継者を地方の狭い範囲のみで探しても、候補者が少ないため適任者をみつけることは困難です。後継者として適する能力や、自社従業員を後継者としない理由を明確化したうえで、より幅広い後継者候補から選択したほうが自社にとって良い結果を得られやすくなります。
②地元愛の強さから大手企業とのM&Aに抵抗感がある
地方企業は地元愛が強い傾向があり、大手企業の傘下に入ることで地域性を無視した事業活動が行われることを懸念するケースが多いです。大手企業から好条件での買収を持ちかけられた際、経済的合理性が高いことは理解しつつも売却に踏み切れず、結果として後継者が見つけられない場合があります。
③M&A仲介会社など専門家の数が少ない
地方にはM&A仲介会社をはじめM&Aを多数取扱う士業や金融機関が、都市部と比較して少ないのが現状です。M&Aのチャンスがあっても、周囲の専門家が必要以上に懐疑的になったり、適した相手企業をみつけられなかったりする場合もあります。
地方の中小企業M&Aは今後どうなる?
地方の中小企業M&Aは国の後押しもあり、今後さらに活発になっていくと予想されます。もし後継者問題を放置した場合、GDPで約22兆円の損失、さらに650万人の雇用が失われるという試算もあり、国も本腰を入れて取り組んでいくでしょう。
民間のM&A仲介会社も年々活発になってきているので、地方の中小企業のM&A需要に対して、サービスの供給の方も追いついてくると考えられます。地方銀行によるM&Aの取り組みも以前と比べて体制が整ってきており、近くにM&A仲介会社がない地方の中小企業でも、M&Aを行いやすい土壌ができてくると予想されます。
地方の中小企業M&Aの成功・失敗事例
この章では、地方の中小企業を対象としたM&Aならではの成功事例や失敗事例を紹介します。
地方の中小企業M&Aの成功事例
九州の広告制作会社のM&A成功事例があります。広告制作業を事業譲渡で売却し、コア事業の不動産に集中する意図です。会社が九州にあるため候補先探しに苦労しましたが、M&Aマッチングサイトを活用することで、よい売却先をみつけM&Aを成約させています。
地方ならではの強みを押し出すことで、M&Aに成功する事例もみられます。地方にどのような魅力があるかを自分たちだけで企業の魅力を決めつけてしまわずに、県外の企業と積極的に交渉していくことが大切です。
地方の中小企業M&Aの失敗事例
地方の中小企業をM&Aにより取得したものの、社員の大量離職を招き、期待通りの効果が得られなかった事例もあります。主な離職原因は、買い手側の社風になじめない、勤務地が遠方へ変わる、給与水準の低下などです。
地方の中小企業の職員は、保守的で地元を離れたがらないことも多いため、買収後の社員の処遇に関してあらかじめ合意を得ておくことが重要といえます。
地方の中小企業M&Aを成功させるポイント
地方の中小企業に対するM&Aは都市部にある企業のM&Aよりも条件的に不利な点が多く存在するため、成功に至るためのポイントをしっかり押さえたうえでM&Aを実施することが重要です。
ただし、地方の中小企業M&Aで抑えておくべき基本的なポイントは都市部のものと大きく変わりません。この章では、地方の中小企業M&Aを成功に導くための8つのポイントを解説します。
- M&Aを行う目的を明確にする
- 譲れない条件を明確にする
- 自社の強みを理解する
- 情報の漏洩には気をつける
- 経営の健全化に取り組む
- シナジー効果が期待できる相手先を見つける
- ワンマン経営の状態を解消しておく
- M&Aの専門家に相談する
①M&Aを行う目的を明確にする
地方における企業のM&Aを成功させるには、まずM&Aを行う目的を明確にすることが大切です。M&Aを行う目的は、買い手か売り手かによって全く違ってきます。例えば下のリストに示したような目的で、M&Aを行う事例がよく見られます。
M&Aはあくまで手段なので、これ以外の目的に活用可能であれば、その目的で行うことに問題はありません。しかし、現状では、ほとんどのM&Aの目標は下のリストのどれかに該当しています。
売り手側の目的の「エグジット」は、経営者がM&Aで株式を売却することで、創業者利益を獲得することです。エグジットは株式上場(IPO)で行うのが主流でしたが、近年は新しいエグジット手法としてM&Aが注目されています。
そのほか、倒産の危機に面した企業をM&Aで売却することで、会社の存続と従業員の雇用の確保が可能です。ただし、倒産が危ぶまれる会社を買い取ってもらうためには、買い手に強くアピールする独自の強みを有している必要があります。
【買い手の目的の例】
- シナジー効果の獲得
- 新規事業への進出
- 事業エリアの拡大
- 技術や人材など経営資源の獲得
- 事業承継
- エグジット
- 事業資金の獲得
- 経営基盤の獲得
- 廃業コストの節約
- 倒産・廃業の回避
- コア事業への集中
②譲れない条件を明確にする
地方の中小企業M&Aを成功させるには、譲れない条件を明確にしておくことが重要です。
M&Aの交渉では買い手と売り手の求める条件がぶつかるので、どちらかが妥協したり、折衷案を採用したりしなければなりません。その時にどれくらい妥協できるかを明確にしておくためには、譲れない条件と妥協できる条件をしっかり分けておく必要があります。
譲れない条件を明確にするためには、M&Aを行う目的を明確にしておかなければならないので、結局は前節の「M&Aを行う目的を明確にする」につながります。
例えば、エグジットや事業資金の獲得がM&Aの目的なら、売却価額をできるだけ高く見積もってもらえる買い手を見つけることが重要になりますし、もし倒産の回避が目的なら、売却価額は妥協すべき条件です。どういった目的でM&Aを行うかを明確にすることによって、譲れない条件を適切に設定できます。
③自社の強みを理解する
地方の中小企業M&Aを成功させるには、自社の強みが何なのかを理解しておくことが重要です。M&Aで会社を買収しようとする企業は、自社にないメリットを買収によって手に入れようとするため、売る側としては自社の強みをいかにアピールできるかが重要です。
M&Aを行う前の準備段階で、自社の強みをあらためて洗い出し、それをリスト化して書面にしておけば、交渉時に買い手が理解しやすくなるのでおすすめです。ただし、自社の強みは明確に言葉にしづらいこともあるほか、経営者自身が自社の良いところに気付いていないことも意外とよくあります。
強みの洗い出し作業は、例えばM&A仲介会社のスタッフなど、第三者の目線を入れて進めていくと、経営者側で思いもしなかった強みを発見できるかもしれません。
自分から見れば全く強みに見えないようなところも、買い手から見れば魅力的に映ることもあります。自分の会社は強みなどないから、M&Aなんて無理だと思い込まないことが大切です。
④情報の漏洩には気をつける
M&Aを成功させるには、情報漏えいの問題に気をつけておく必要があります。情報漏えいは、M&Aが失敗してしまう大きな要因の一つです。M&Aにおける情報漏えいには、いくつかのパターンがあります。まずは、自社が買い手を探している案件情報が他の仲介会社に出回ってしまう、いわゆる「出回り案件」の問題です。
出回り案件が必ずしも悪いわけではないですが、いつまでも成約できずにいる案件ということで、訳ありだと解釈されることが多くなります。特に地方は企業の絶対数が少ないので、業種によっては特定されるリスクが高くなることもあります。出回り案件化を防ぐためには、信頼できるM&A仲介会社を厳選して利用することが大切です。
もう一つの情報漏えいの問題としては、従業員や取引先などに情報が漏れた結果、退職や取引の打ち切られるケースがあります。特に地方の企業は地元に密着した経営をしていることが多く、重視されるのはM&Aによる経営上の利益よりも経営者の人柄や地域のつながりなどです。
M&Aで経営者が変わる際に、それを不満に思う従業員や取引先が出てくるおそれがあるため、注意が必要です。
⑤経営の健全化に取り組む
M&Aを行う買い手としては、もちろん経営が健全な会社を買いたいと思います。売り手としては、本格的なM&Aの交渉に入る前の段階で、あらかじめ経営の健全化に取り組み、買い手に良い印象を持ってもらえるようにしておくことが大切です。
経営の健全化を含めた、買い手に良い印象を持ってもらうために行う自社の改善作業のことを、企業の「磨き上げ」といいます。企業の磨き上げは、地方の中小企業M&Aを成功させる重要なポイントの一つです。もちろん、経営の健全化がそう簡単にできるわけではありません。
M&Aの準備としての経営健全化は、できる部分に関してはしっかりと取り組み、健全化できない場合は正直に買い手側企業に伝えることが重要です。経営を健全化できないといったマイナス要素は隠したくなるところですが、M&Aでは買い手が財務デューデリジェンスを行うので、隠し通して成約まで持ち込むのは不可能です。
経営を健全化できないことはマイナス面ではありますが、買い手側企業が自社の能力なら健全化可能と判断すれば、交渉が成立する可能性は十分にあります。
⑥シナジー効果が期待できる相手先を見つける
事業成長に資するM&Aを行うためには、シナジー効果が見込める相手先をみつけることが重要です。シナジー効果とは、自社と相手先の経営資源を互いに活用し、2社が独立に事業を運営している時よりも高い業績を達成することをさします。
具体的には、M&A先が持つ技術・ノウハウを活用し新製品を開発したり、M&A先が持つ地域的なネットワークを用いて販路拡大したりするなどがあるので、M&A候補を精査する際はどの程度シナジー効果が見込めるかを調べましょう。
⑦ワンマン経営の状態を解消しておく
ワンマン経営者により業績が維持されている企業では、M&Aを行って経営者が抜けた際、従来の業績が維持できない場合があります。
ワンマン経営者がいなくても事業が継続できるように、人材育成、社内体制構築などを進めておくとよいでしょう。
⑧M&Aの専門家に相談する
地方の中小企業がM&Aを行おうとすると、近くに専門家が少ないため、経営者の方が自分だけで行おうとしてしまうこともあるかもしれません。
M&Aを経営者の方が自分だけで行っていけないわけではありませんが、M&Aは売買先の選定や交渉、各種書類の作成など、複雑な手続きを要します。M&Aの専門家に相談しないと、成功の確率は大きく下がってしまうでしょう。
地方のM&Aでは、まず質の高いM&A専門家を探すことが一つのハードルです。近くにM&A仲介会社がない場合は、地方銀行や信用金庫に相談したり、事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関を利用したりするのも方法の一つです。
M&A仲介会社は大都市圏にオフィスを構えていることが多いですが、例えば東京に所在地があるからといって、東京や関東圏の案件しか受け付けていないわけではありません。
中には地方まで出向いて相談してくれるところもあるので、HPなどで地方の案件に対応しているか確認したうえで、都市部のM&A仲介会社を利用する選択肢もあります。
地方のM&Aに関する相談先
M&Aをご検討の地方の中小企業様は、ぜひ一度M&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所の本社は東京ですが全国の案件に対応しており、こちらから無料でお伺いいたします。案件ごとにM&Aの知識・経験豊富なアドバイザーが専任につき、親身になってクロージングまでフルサポートいたします。
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地方のM&A動向まとめ
地方の中小企業のM&Aは、確かに都市部のM&Aに比べるとハードルが高い部分もありますが、決してM&Aが難しいわけではありません。専門家を探す手段はさまざまあり、地方ならではの強みを生かした交渉もできます。
M&Aを経営手段として積極的に活用して、地方創生を実現することが大切です。
【地方の譲受側企業のM&Aの動向】
- 都市部の企業を中心にM&Aによる買収が増加
- 事業拡大を目的に地方企業を買収する事例の増加
- 薬局業・サービス業同士のM&Aが増加傾向
【地方の譲渡側企業のM&Aの動向】
- 都市部から地方へのM&Aが増加
- 後継者不足に悩む経営者が多い
- 医療分野や卸売分野のM&Aが多い
【地方の中小企業はM&Aが難しい?その理由】
- コミュニティが狭くM&A対象が少ない
- 全体的にM&Aに消極的
- M&Aの相談者が少ない
【地方の中小企業M&Aを成功させるポイント】
- M&Aを行う目的を明確にする
- 譲れない条件を明確にする
- 自社の強みを理解する
- 情報の漏洩には気をつける
- 経営の健全化に取り組む
- シナジー効果が期待できる相手先を見つける
- ワンマン経営の状態を解消しておく
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