M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月29日更新節税
減価償却のメリット
会社の会計処理の中でも特殊な存在の1つが減価償却でしょう。しかし一度そのメリットを理解してしまえばとても役立つ有用な知識になるはずです。税理士に任せきりだったという経営者の方も、この機会に減価償却のメリットとデメリットを学んでおきましょう。
減価償却の意義を理解するメリット
事業用に10万円以上の資産を購入すれば、会計上では減価償却の処置をしなければなりません。個人事業や中小企業では、ついついキャッシュフローにばかり目がいってしまいがちですが、決算や確定申告では減価償却は重要な科目です。
減価償却は単なる会計処理上の決まり事として、特に気に留めてこなかったという方も多いかもしれません。しかし、減価償却には色々とメリットがあります。また、その反面、減価償却にはデメリットもあります。
それら減価償却のメリットとデメリットの双方を理解し、特にそのメリットに着目して活用することは事業運営・企業経営にとって一助をもたらすでしょう。
減価償却は基礎から把握してしまえば決して難しいものではありません。誰にでもわかりやすく覚えやすく、減価償却を徹底解説していきます。
減価償却とは
有形無形を問わず事業向けに購入した10万円以上する資産が減価償却処理を行う対象となります。有形とは社用車やPCなど備品として形あるものを指し、無形とはソフトウェアや商標、特許権など物質的な形状を持たないもののことです。
また、有形固定資産には機械設備類もありますが、それ以外にも電気・電話・LAN工事、看板製作なども含まれます。一般に購入というと物品類だけを考えてしまいがちですが、会計処理では異なる点もあるので注意しましょう。
その意味では、事業用途であるなら植物の苗木や牛などの家畜も固定資産です。またM&Aの際に計上したのれん代も無形固定資産として減価償却の対象になります。
固定資産を減価償却処理する意義ですが、それは、時の経過に伴い価値が減少する資産を、取得した年度にその費用を一括計上するのではなく、分割して複数年度にわたって費用計上することです。
仮に、事業用の不動産を1,000万円で購入したとします。しかし、消耗品の様に購入した年度に1,000万円全額を費用計上はしません。例えば20年間に分けて費用を分割処理します。
この時の減価償却する年数は、固定資産の種類によって法律で定められた耐用年数に基づきます。これを減価償却資産の法定耐用年数と言いますが、同種の資産であっても利用目的や利用状況によって耐用年数は異なるので確認が必要です。
なお、先ほどのM&Aでののれん代ですが、買い手側はのれん代を過大評価しないように注意が必要です。のれん代を過剰に評価すると、M&A後の減価償却費の負担が大きくなり、資金繰りが悪化する恐れもあります。
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減価償却の方法
実は、減価償却の金額計算、及び計上方法は、全ての固定資産共通ではありません。固定資産の種類によって2種類のやり方のうち、どちらかが指定されています。その2つとは、それぞれ「定額法」、「定率法」と呼ばれるものです。
減価償却の定額法と定率法を個別に解説します。また、関連事項として固定資産額と消費税の関係についても述べておきます。
⑴定額法
定額法とは、毎年一定額の減価償却費を計上する方法です。定額法は、各年に同額ずつ資産の価値が減少すると仮定しています。2007(平成19)年以降に取得した資産であれば、毎年計上する減価償却費は、取得価額を耐用年数で割ったものです。
例えば、運送事業用に大型乗用車を100万円で購入した場合、耐用年数は5年ですから、各年の減価償却費は20万円となります。下記のとおり、いたってシンプルな計算です。
- 減価償却費=1,000,000円÷5=200,000円
個人事業主の場合は全ての固定資産について、この定額法を用いることになっています。ただし、税務署に届け出れば償却方法の変更は可能です。また、個人、法人を問わず、無形固定資産については定額法しか用いることができません。
なお、2006(平成18)年までに取得した資産の場合には、取得価額から残存価格を差し引いた金額を、耐用年数で割るという計算をします。残存価格とは、資産が耐用年数に達し利用不可能となった時点での売却価格を意味します。
上記の運送事業用大型乗用車で例えれば、購入価格が100万円、5年後に売却できる金額、つまり残存価格は0円となる見込みだと仮定します。この場合は下記のような計算式となります。
- 減価償却費=(1,000,000円−0円)÷5=200,000円
もし残存価格が0円でない場合は、減価償却費も変わる可能性のある点が平成18年以前に取得した資産のポイントです。
⑵定率法
定率法とは資産の帳簿価格に一定の償却率を掛け、毎年の減価償却費を計算する方法です。帳簿価格とは購入時価格から減価償却費の累計額を差し引いた金額です。定率法を用いる場合、年数の経過に応じて計上する減価償却費が減少します。
資産の耐用年数ごとに償却率が決まっており、それを基に減価償却費を算出されます。100万円の固定資産の耐用年数が5年、償却率0.400と仮定して、各年の減価償却費がどのように計算されるか例示します。
- 1年目
減価償却費=1,000,000円×0.400=400,000円
- 2年目
減価償却費=(1,000,000−400,000)×0.400=240,000円
- 3年目
減価償却費=(1,000,000−640,000)×0.400=144,000円
以上のように定率法を用いると年々減価償却費が減少します。2年目までは定率法の減価償却費の方が多いものの、3年目からは定額法の方が減価償却費が多くなります。ただし、最終的な総額には差異は発生しません。
原則的に法人の場合には建物・建物付属設備・構築物などは定額法、それら以外は定率法を用いることとされています。ただし税務署に届け出ることによって、定率法を適用することになっている固定資産の減価償却を定額法に変更可能です。
⑶固定資産額の判別
上述してきたとおり、10万円以上の価格で購入したものは固定資産となります。さて、その時に消費税についてはどのように考えればよいか疑問を持った方も多いでしょう。
これについては、それぞれの企業において選択している通常の経理処理を税込み処理しているのか、税抜き処理しているのかに準じて、購入資産の価格を判断することになっています。
つまり、消費税込みで経理を行っている会社は、固定資産の判断も消費税込みの金額で判別します。消費税抜きで経理を行っている会社は、消費税を含まない本体価格で固定資産であるかどうか判別するわけです。
なお、消費税の課税・納税義務者になっていない個人事業主や会社の場合は、税込み処理しか採用できないことになっています。その場合、必然的に固定資産の判別基準は消費税込みの金額でしか行えません。
減価償却のメリットとデメリット
減価償却は単なる会計処理の決まり事というだけではなく、決算や確定申告において企業や個人事業主に対し大きなメリットをもたらします。しかし、全くの無条件メリットというわけにはいかず、デメリット面も指摘されるのも事実です。
減価償却のメリットとデメリット、双方をよく理解しそれぞれの経営に役立てて下さい。
⑴減価償却のメリット
事業運営・会社経営にとっての減価償却のメリットとしては、主として4つのメリットが挙げられます。中には、定率法特有のメリットもあり、経理処理を見直す機会があるのでしたら、それらをよく吟味してお考え下さい。
①単年度における発生費用の削減効果
固定資産は全て高額なものです。事業のために必要なものとはいえ、その金額規模次第では、もし一括計上したら大赤字決算となってしまいかねません。それを法定耐用年数に則り数年度に分散して費用計上できるのは健全な経営に繋がります。
②計画的に節税対策が取れる
定額法であれ、定率法であれ、取得した固定資産の減価償却費は消滅する年度分まで正確に把握できます。単年度だけでなく複数年度の事業計画を策定する上で、はっきりしている数値があることは有用です。
また、そのことは毎年の決算・確定申告においても同様の意味をなします。利益から相殺されることになる減価償却費によって、節税への対策も立てやすいでしょう。
③資産の売却により、会計上の利益を得られる
仮に固定資産を売却した場合、会計上では売却金額から減価償却費を差し引いた金額を売却益と認識します。減価償却処理を行っていることによって、資産売却時に会計上の売却益を得られるわけです。
これは、会社の決算成績を上げることができる1つの方法になり得ます。ただし、あくまでも会計上の売却益ですから、実際に利益を獲得したわけではありません。取得時の金額よりも下回っていれば、現実的には利益はマイナスです。
その点は重々理解しておいて下さい。
④数年後の負担を軽減可能(定率法のみ)
定額法にはない定率法独自のメリットがあります。定率法だと固定資産を取得・購入してから時間が経過するにつれて、減価償却費が減少していきます。
もし、数年後に収益力が低下するような事態が訪れた場合、減価償却費が減額していることにより、低下してしまった利益の影響を相殺できるといえるでしょう。
⑵減価償却のデメリット
減価償却には、主として以下2点のようなデメリットがあると指摘されることが多いようです。
①会計の手間がかかる
減価償却費の計算には、多少なりとも手間がかかります。減価償却対象の資産が多数存在すれば、経理担当者の負担は非常に大きいと言わざるを得ません。減価償却費用の計算だけでなく、数年単位で行われる税制改正への対応も大変です。
固定資産の耐用年数や償却率が変わったりすることもあり、その場合、経理担当者に大幅な作業負担が生じてしまいます。
②利益を圧迫する恐れがある
キャッシュフローとしては瞬間的に出費した費用が、分割された額とはいえ会計上は数年間、長いものなら数十年ずっと残り続けるという点が、場合によっては経営者の皮膚感覚とそぐわない場合もあるかもしれません。
例えば節税を考慮するなら、利益が大きい時にはたくさん費用計上したいでしょう。逆に利益が少ない時には費用を抑えたくとも、そのように随意には減価償却費は変えられません。
利益が目減りしてしまう時などは配当金の分配等にも悪影響が生じます。それでも定められた会計制度ですから、理解した上で対処していくしかないのが現実です。
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即時償却のメリットとデメリット
減価償却処理に関する応用編として、減価償却と対をなす会計処理である即時償却について、そのメリットとデメリットを提示します。
⑴即時償却とは
即時償却とは資産の購入費用全額を一括計上する事です。減価償却と違い、消耗品等と同様の計上方法になります。本来、固定資産の処理はここまで述べてきたとおり減価償却が決まりですが、一部の事業者に条件付きで認められているのです。
即時償却が可能なのは青色申告を行っている個人事業主や中小企業で、特例として30万円未満の固定資産について一括計上できます。ただし、合計で300万円までという上限設定付きです。
また、2020(令和2)年の3月31日までという期限も設けられています。しかしながら、この期限は法改正のたびに延長されてきているので、2020年以降も延長される可能性はあるでしょう。
⑵即時償却のメリット
即時償却には、主に下記2つのメリットがあります。
①早い時期に多くの現金を手元に残せる
即時償却では固定資産の購入金額を一括で費用計上するので、減価償却よりも大きな節税を実現でき、結果としてその分のキャッシュを手元に残せます。そして、その現金を設備投資や事業投資につぎ込めるのです。
キャッシュフローの観点からは大きなメリットと言えるでしょう。
②減価償却の手間が省ける
減価償却を実施する際は、耐用年数や償却率を調べたり計算する等の手間がかかります。即時償却であれば、購入金額を費用計上して完了する為、経理担当者としては減価償却よりもはるかに楽です。
手間を省略する事で生産性の向上等、業務に様々なメリットがもたらされます。
⑶即時償却のデメリット
即時償却で考えられるデメリットは、メリットの裏返しになります。節税だけを考えるなら即時償却のメリットは多大です。しかし、その分、決算での利益を大きく目減りさせていることは言うまでもありません。
融資を受けたりM&Aでの会社売却の際等には決算成績が大きくものを言います。最終的な納税額は減価償却の場合と変わらないわけですから、果たして目先の節税だけにとらわれてしまっていいのか、経営者の判断が問われる局面になるでしょう。
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まとめ
減価償却の仕組みと方法の説明と共に、その減価償却のメリットとデメリットにも言及しました。会社経営をする以上、減価償却は逃れられない会計処理です。面倒くさがらず煙たがらず減価償却と向かい合いましょう。
お伝えした減価償却のメリットを踏まえ、デメリットに注意すれば減価償却も有効活用可能です。経理担当者と密にコミュニケーションして取り組んで下さい。「減価償却のメリット」のまとめは以下のとおりです。
- 減価償却とは
→時の経過に伴い価値が減少する資産について、その取得費用を分割して毎年度費用計上する会計処理
- 減価償却の方法
→定額法、定率法の二種類がある
- 減価償却のメリット
→単年度における発生費用の削減効果、計画的に節税対策が取れる、資産の売却によって会計上の利益を得られる、数年後の負担を軽減可能(定率法のみ)
- 減価償却のデメリット
→会計の手間がかかる、利益を圧迫する恐れがある
- 即時償却とは
→資産の購入費用の全額を、すぐに経費計上する事
- 即時償却のメリット
→早い時期に多くの現金を手元に残せる、減価償却の手間が省ける
- 即時償却のデメリット
→最終的な納税額は減価償却と変わらないのに単年度の決算成績は悪くなる
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