2020年3月28日更新節税

法人税と減価償却

法人税額を算出する際のもととなる課税所得額に大きな影響をおよぼすのが、固定資産の減価償却費です。一般の備品購入費とは全く異なる扱いで計算しなければならない固定資産の減価償却と法人税の関係について、わかりやすく解説します。

目次
  1. 法人税とは
  2. 減価償却とは
  3. 減価償却の計算方法
  4. 減価償却の対象となる固定資産
  5. 減価償却における耐用年数
  6. 減価償却と少額固定資産
  7. 減価償却のメリット
  8. 減価償却と法改正
  9. まとめ
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法人税とは

法人税とは、法人が事業活動を行って得た利益(所得)に対して課される税金です。ここでいう法人には以下の組織などが該当します。

  • 普通法人(株式会社、合名会社、合資会社、特例有限会社、医療法人、相互会社、企業組合、一般社団法人、一般財団法人、投資法人、特定目的会社、受託法人)
  • 協同組合
  • 公益社団法人
  • 公益財団法人
  • 非営利型法人
  • 認可地縁団体
  • 管理組合法人
  • 団地管理組合法人
  • 法人である政党等
  • 防災街区整備事業組合
  • 特定非営利活動法人
  • マンション建替組合
  • マンション敷地売却組合
  • 人格のない社団等

上記の各法人に課される法人税は、一律ではありません。法令にて細かい法人税率の定めがなされています。一例として、最も数が多い普通法人の法人税率を以下に記します。

  • 資本金1億円以下の普通法人の所得800万円までの法人税率:15%
  • 資本金1億円以下の普通法人の所得800万円超以降への法人税率:23.2%
  • 資本金1億円超の普通法人の全所得への法人税率:23.2%

以上のように、企業規模および所得額の違いによって、法人税率は低減化が図られています。過去と比べれば法人税率自体もだいぶ下げられました。しかし、法人には法人税以外にも、法人住民税、法人事業税、地方法人税などが課税されます。

したがって、経営者にとっては、税への負担感は重いものがあるかもしれません。特に中小企業の場合、納税タイミングでの資金繰りを含めて、悩ましい存在が法人税といえるでしょう。

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法人税の税率と計算方法
法人税対策

減価償却とは

減価償却とは、固定資産の価値を減額させる会計上の手続きです。事業への利用目的で購入する、車や機材、設備、建物などで10万円以上の価額のものを固定資産と呼びます。固定資産は有形のものに限らず、ソフトウェアや商標、特許権など無形のものも含まれます。

固定資産は、長年使用するにつれて機能や品質が劣化してしまうのが常です。つまり、資産としての価値が減少します。会計上のルールでは、固定資産の価値減少分を毎年計上する旨が定められています。この会計処理こそが減価償却です。

減価償却では、減少分の価値を固定資産から減額し、その減額分を損益計算書の費用に計上します。減価償却費は損金算入が認められています。損金が多くなるほど利益は減少し、課税される法人税額も比例して少なくなります。法人税と減価償却には、非常に密接な関係があります。

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減価償却の計算方法

固定資産の減価償却計算を行うにあたっては、「定額法」と「定率法」という2つの方法があります。法人税法では、固定資産ごとに定額法と定率法のどちらの減価償却計算を用いるのか決められています。減価償却の定額法と定率法について、それぞれ説明します。

①定額法

定額法とは、毎年同じ額の減価償却費を計上する方法です。固定資産の価値が、毎年均等に目減りする前提としています。減価償却費定額法の計算式は以下のとおりです。

  • 減価償却費=購入時の価格÷耐用年数
耐用年数とは、各固定資産の種別ごとに定まっているものです。ただし、上記の計算式を用いてよいのは、2007(平成19)年以降に取得した固定資産だけです。それ以前に購入した固定資産には、以下の計算式を用います。
  • 減価償却費=(購入時の価格−残存価額)÷耐用年数

残存価格とは、固定資産が利用できなくなった時点で、売却する際に得られる利益です。売却時に全く価値がない場合には、残存価額は0円です。なお、無形固定資産の場合、減価償却費算出には、この定額法を用います。

また、個人事業主においては、購入した固定資産全てについて、減価償却費は定額法を用いて算出することと定められていますが、税務署に届け出を行えば変更可能です。

②定率法

定率法とは、固定資産の簿価にあらかじめ定められている償却率を掛けあわせる計算で、減価償却費を算出する方法です。「固定資産の価値は、取得当初ほど減少しやすい」という考え方に基づいています。計算式としては、以下のとおりです。

  • 減価償却費=(購入時の価格−前年までの減価償却累計額)×償却率

理解しやすいように実例で説明します。100万円の固定資産が償却率35%と仮定し3年目までの減価償却費を見てみましょう。

  • 1年目減価償却費=100万円×35%=35万円
  • 2年目減価償却費=(100万円-35万円)×35%=22万7,500円
  • 3年目減価償却費=(100万円-35万円-227,500円)×35%=14万7,875円

このように、固定資産の購入年度では減価償却費が多めになりますが、時間が経つほど減価償却費の計上額は減少します。ただし、定額法でも定率法でも、同一の固定資産であれば、最終的な合計減価償却費は変わりません。

法人においては、設備や建物類については定額法で減価償却費を算出し、それ以外は定率法を用います。ただし、これも税務署に届け出を行えば、変更することは認められています。

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減価償却の対象となる固定資産

減価償却を実施する固定資産とは、経年によって価値が減少してしまう固定資産に他なりません。具体的には、主に以下の固定資産が該当します。

  • 事業用設備
  • 事業用建物
  • 機材、機械装置類
  • 自動車
  • 運搬具
  • 器具備品類
  • 特許権
  • 商標権
  • ソフトウェア
  • 営業権(のれん代)

一方、価値が減少しない固定資産も存在します。それらに対しては、減価償却を実施しません。具体的には、以下の固定資産などが該当します。

  • 借地権
  • 土地
  • 建築中の建物
  • 書画
  • 骨董品

減価償却の対象となる営業権(のれん代)は、M&Aでの買収価格見積もり時に重要な要素となるものです。単なる減価償却対象の固定資産ということではなく、M&Aでの買収価格を左右する存在といってもいいでしょう。

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減価償却における耐用年数

減価償却での耐用年数とは、対象の固定資産を何年間に渡って使用するかを示す指標です。例えば耐用年数が5年の場合、その資産は5年間使用できる性能を持っていると判断されています。先述した定額法により減価償却費を計算する場合は、耐用年数が必須です。

結果的に法人税を左右することになる減価償却費ですが、各固定資産の耐用年数は全てこと細かに税法で定められています。一例として主要な固定資産の耐用年数を以下に記します。掲載外の固定資産の耐用年数が知りたい場合には、国税庁のHPで簡単に調べることが可能です。

  • 店舗用の建物(鉄骨・鉄筋コンクリート):39年
  • 事業所用の建物(木造):24年
  • 小型自動車(一般用):4年
  • 測定・検査工具:5年
  • 応接セット(接客用):5年
  • 音響機器:5年
  • 時計:10年
  • 食料品製造業用設備:10年
  • 宿泊業用設備:10年
  • 温室ぶどうの樹:12年
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減価償却と少額固定資産

減価償却対象となる固定資産は、建物などの高額なものばかりではありません。パソコンや備品類など、比較的少額かつ購入頻度の高いものも含まれます。少額の資産を全て減価償却していては、手間がかかり大変です。

そこで、法人税法上、少額資産に関しては、減価償却について特例が認められています。具体的な金額帯で見ていきましょう。

10万円未満の購入品

固定資産として扱われるのは、購入価格が10万円以上のものです。したがって、固定資産と類する購入品があったとしても、その価格が10万円未満であれば、消耗品扱いで減価償却処理はしません。購入額を一括計上します。

10万円以上〜20万円未満

20万円未満の固定資産は、減価償却処理が必要です。ただし、その品目に関わらず一律で、3年間の定額均等償却を行います。品目によって定率法は定額法か、また耐用年数は何年かなどといったことを、いちいち調べなくてよいように定められているのです。

20万円以上

20万円以上の価格であった固定資産からは、通常どおりの減価償却処理を行わなければなりません。20万円未満の固定資産や購入物については、少額資産、少額購入品としての特例が設けられています。

中小企業の特例

資本金が1億円以下で、なおかつ資本金1億円超の会社の子会社ではない中小企業向けの、固定資産の費用計上に関する特例があります。この場合、前述した資本金の条件と共に、青色申告を行っている企業であることも条件に加わります。

その内容は、1つあたり30万円未満の固定資産の合計額300万円までは、減価償却処理を行わず一括計上してよいというものです。当該年度の法人税を圧縮するのに役立つ方法です。

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減価償却のメリット

法人税の圧縮効果が高いのは、減価償却よりも一括計上なのは明らかです。ただし、それは当該年度1度だけの効果しかありません。逆にいえば、翌年度からは減価償却のように費用計上できませんから、もし翌年度の方が売上高が良く利益も高い場合、かえって法人税が高くなります。

この点を踏まえて考えると、減価償却には償却が完了するまでの計上費用が、毎年度とも明瞭なので計画的な節税対策が取りやすいということがメリットです。税理士や経理担当者と相談して、定率法、定額法の変更も検討しながら行うことで、思わぬ節税効果が得られるかもしれません。

減価償却と法改正

法人が購入する固定資産の減価償却税務の取り扱いについて、過去15年ほどを振り返ってみると、実に3度も法改正が行われています。具体的には、2007(平成19)年度改正、2012(平成24)年度改正、2016(平成28)年度改正の3回です。

それぞれ5年前後のスパンで減価償却税務の法改正が行われてきており、あるいは今後も頻繁に法改正が行われるかもしれません。経営者および経理担当者においては、毎年の税理士への確認を忘れずにチェックしておきましょう。

まとめ

法人税対策の一環として、減価償却の工夫は有効です。しかし、節税対策にばかり目がいってしまい、会社本来の意義を見失わないようにすることも肝要になります。本記事の要点は以下のとおりです。

・法人税とは
→株式会社などの法人に課税される税金

・減価償却とは
→固定資産の価値を減額させる会計上の手続き

・減価償却の計算方法
→定額法と定率法がある

・減価償却の対象固定資産
→価値が減少しない土地など以外の固定資産

・耐用年数とは
→対象資産を何年間に渡って使用するかを示し税法上で細かく定められている

・少額固定資産の減価償却
→20万円未満の特例がある

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