M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年9月24日更新会社・事業を売る
M&A失敗例から学ぶ!成功の秘訣と失敗確率、経営者の特徴を解説
M&Aは企業成長の強力なツールですが、一方で失敗のリスクも伴います。M&Aの失敗例から学ぶことで、成功への道筋が見えてきます。この記事では、M&Aが失敗する確率や原因、失敗しやすい経営者の特徴、そして失敗を防ぐためのポイントを解説します。
M&Aの失敗確率と現状
M&Aの成功率は公表されている明確な統計は存在しませんが、一般的には30%〜70%程度と言われています。M&Aは、企業文化の clashes や PMI(Post Merger Integration:合併後統合)の失敗など、様々な要因で失敗に終わる可能性があります。2025年以降のM&A市場は、世界的な経済状況や業界再編の影響を受け、さらに複雑化していくと予想されます。
M&A失敗のよくある原因
M&Aが失敗する原因は多岐に渡りますが、主なものとして下記が挙げられます。
- 買収価格の過大評価
- 相乗効果の過大評価
- 企業文化の clashes
- PMI(Post Merger Integration:合併後統合)の失敗
- デューデリジェンスの不足
①資金繰りの失敗
経営の失敗でありがちなのが、資金繰りの失敗です。具体的には以下のような資金の使い方によって、経営が失敗する可能性が高くなります。
- 起業・開店の準備段階における資金の使いすぎ
- 固定費(テナントの家賃、人材費、消耗品の代金など)のかかりすぎ
資金繰りを悪化させている原因を精査せず、金融機関の借入や取引先への先払いを繰り返して、自分の首を絞めてしまう失敗も少なくありません。経営資金は重要なリソースであり、経営を立ち行かせるために必要不可欠です。安易に資金を浪費すれば、経営の失敗を招くおそれがあります。
②集客の失敗
集客は、経営以前に商売をするうえで最も大事な要素です。集客の失敗は経営の失敗に直結します。最初は知り合いの利用や開店してからの盛り上がりもあって一定数の顧客が来ていたものの、月日が経つごとに顧客が減るパターンが多いです。
経営を続けるには、一定以上の固定客の確保は何よりも急務です。経営を失敗しないためには、集客に対してしっかりと向き合う必要があります。
③従業員の育成失敗
意外と多いのが、従業員の育成失敗に起因する経営悪化です。特に起業当初よりも経営が軌道に乗ってからが要注意です。従業員が増えると、育成や管理などの手間がより大きくなります。
単純に人件費がかさみ始め、会社の資金を圧迫する場合もありますが、何より注意すべきは「従業員の育成」です。従業員が増えると育成が急務になりますが、育成をすべき経営者や先輩が業務に追われると、従業員への教育が行き届かなくなります。
最悪の場合、製品やサービスの質低下を招き、経営の失敗につながりかねません。育成の失敗によって特定の従業員ばかりが負担を背負う状況になると、従業員との信頼関係が瓦解し、人材が流出する可能性があります。
なかには従業員と経営者の関係が悪化し、資金を持ち逃げした結果倒産に追い込まれた事例も珍しくありません。もちろん日々の業務は大事ですが、従業員の育成は経営の存続には欠かせない要素です。人材育成をしっかりクリアしなければ、経営の失敗を招くでしょう。
④経営者が潰れる
経営者が潰れてしまうのも、失敗の一因として挙げられます。経営者は立場上、誰よりも責任が重いです。その重責を背負うあまり、無理に仕事に没頭してしまい、結果的に体調を崩してしまうケースは少なくありません。
潰れなくても、経営者は経営の悩みを1人で抱え込みがちです。相談できる相手がおらず、日々の業務に追われて本来のパフォーマンスを発揮できなくなると、経営の失敗につながります。
⑤経営者のビジョンがない
経営者のビジョンがないことは、経営の失敗につながる致命的な要因です。経営者のビジョンは、会社の今後を定めるうえで重要な指針となります。そのビジョンが根本的に間違っていると、会社が大打撃を受けます。
会社を経営していく以上、市場や業界、そして世相を正確に読み、ビジョンを明確に立てておかなければなりません。そのビジョンを従業員に適切な形で共有しておくことも重要です。経営者のビジョンが明確であり、より説得力があるほど経営は安定します。
⑥経営者同士のトラブル
友人や知り合いとの共同経営によって事業を開始するケースも少なくないですが、共同経営で事業を始めると「責任者の所在」「収益の分配」「個々の働き方」など、定めるべき重要事項に悩むことが多いです。これらの話し合いによりメンバー内でトラブルが発生し、同じ方向性で経営ができなくなって失敗につながるケースもみられます。
M&Aで失敗しやすい経営者の特徴
ここれまで経営の失敗にありがちな原因を紹介しましたが、そのなかには経営者自身が原因で経営に失敗する要因もありました。特に中小企業では、経営状況は経営者の能力に依存する割合が高まるため、経営者次第で浮沈が決まります。ここでは、経営に失敗する経営者の特徴を解説します。
- M&Aを万能薬と考える経営者
- デューデリジェンスを軽視する経営者
- PMIを軽視する経営者
- 社員の声に耳を傾けない経営者
- 買収後のシナジー効果を明確に定義しない経営者
①経営者になることが目的で起業した経営者
野心があり起業する経営者も多く存在しますが、経営者になりたいと考え、それを目的に起業した経営者は事業に失敗する可能性が高いです。例えば、経営をやってみたいと思い起業した経営者の特徴は、組織作りに現れます。従業員が10人程度しかおらず、部門も2つしかないにも関わらず、課長や次長、統括本部長などの多くのポジションを設定するなどです。
本来、経営は事業の社会的意義や価値の提供を目的に行われるべきです。商品やサービスを効率よく提供するためや、付加価値を高めるための組織形態や仕組み作りが必要とされますが、「こうしたポジションがあったら良いな」といったように、組織の形ありきになりやすいです。
社会は価格にもとづいた付加価値を継続して提供する企業を受け入れるため、経営者自身の想いや欲求を満たすための企業は市場から撤退せざるを得なくなります。
②情報に疎い経営者
昔から情報と経済には密接な関係性があり、「情報を制する=経済を制する」とされています。情報の価値は、経営の成功を大きく左右します。主体的かつ積極的に情報収集をしている経営者は、会社経営に成功していることが多いです。
例えば、情報収集の方法として以下が挙げられます。
- 自らの手足を動かして主体的に現場や部下から生の情報を入手する
- 自身の能力不足を自覚し受け入れ、必要な情報を収集して補う
- 価値があると判断した情報に対して、躊躇することなく身銭を切って情報を入手する
積極的に情報を集めていると、価値がある情報が手元に多く集まるようになり、その結果として適切な経営判断ができる可能性が高まります。一方で、経営に失敗する経営者は、以下のような行動しか選択しないため、情報に疎くなります。
- 受け身の姿勢で現場や部下から情報が上がってくるのを待つ
- 自身の能力不足を自覚していない
- 価値がある情報であると判断しても、お金がかけてまで入手しない
当然ながら、このような経営者には価値がある情報が手元に集まらないため、適切な経営判断が難しくなり、経営に失敗する可能性が高まります。
③周りに感謝しない経営者
大切な人たちに感謝しない経営者も、経営に失敗する経営者の特徴の1つです。創業者・先代の社長・社員やその家族・顧客・取引先など、周りの多くの支えがあって経営が成り立っています。すべての出会いや縁を大切にしない経営者は、特に中小企業の場合には会社経営が軌道に乗らないケースが多いです。
会社のトップである経営者が感謝の念を忘れたまま経営を続けると、綻びが出て会社経営は失敗に向かって進んでいきます。それが伝播して周りに感謝しない社員が増えると、失敗するのは時間の問題です。
④事業計画策定が甘い
事業計画の策定が甘いと、予期せぬトラブルが生じやすくなります。これにより、防止できたであろう失敗が原因で、事業の存続ができなくなるレベルの損害が生じる可能性もゼロではありません。
とりわけ数字の計画が甘い場合、注意が必要です。以下の項目は根拠を持って正確に予測しておく必要があります。
- 売上高の想定
- 変動費
- 固定費
- 月々の返済額
- 起業時の必要資金
⑤一発逆転を考えがち
ビジネスでは大当たりする人も一定数存在します。確かに人生一発逆転も可能とされていますが、大きな成功は深刻な失敗と紙一重だといえます。
事業で大成功させて人生を変えたいといった考え方も起業動機として妥当性はありますが、一発逆転思考の人は失敗により生じるダメージを過小評価しやすく、起業当初から必要以上に資金を浪費してしまう傾向がみられます。
M&Aの失敗を防ぐためのポイント
次に、経営の失敗を防ぐポイントを紹介します。もちろん会社ごとに経営を安定させる手段は多種多様です。今回は、あくまでも失敗を防ぐうえで最低限抑えたいポイントを紹介します。
- 徹底的なデューデリジェンスの実施
- 現実的な買収価格の設定
- PMIの綿密な計画と実行
- 企業文化の統合への配慮
- 相乗効果の明確な定義と実現に向けた取り組み
①資金の使い方は慎重に
資金繰りの悪化を防ぐためにも、資金は慎重に使いましょう。これは、起業前から意識しておくべきポイントです。設備投資や製造コスト、固定費は徹底的に見直し、さらにコストを抑えられるかを常に意識しましょう。もちろん、以下の目的で資金を使うのは重要です。
- 提供する商品やサービス向上のためにお金をかける
- 店舗をより魅力的に演出する
- 集客のために宣伝に力を入れる
しかし、その効果が想定内のものなのか、本来お金をかける部分として適切なのかを入念にチェックしておく必要はあります。そうしなければ、想定外の結果になってしまった際の対処が間に合わなくなります。
一定以上確保しておくべき運転資金が不足することにもつながります。資金繰り悪化による経営の失敗を防ぐためにも、資金の使い方には一層慎重になりましょう。
②従業員とは綿密なコミュニケーション・育成を
会社が軌道に乗り、従業員が増えてきた段階では、一層従業員との綿密な育成・コミュニケーションが重要です。従業員同士の結束はそのまま業務のクオリティにつながるほか、人手不足の予防にもなります。実際に人手不足は一部の離職から連鎖的に発生し、悪化します。
この傾向は、従業員の連帯感が弱いと、より顕著です。業務を優先するのは大事ですが、従業員の育成は会社が抱える難題の1つであり、クリアすべきものです。経営を失敗しないためにも、従業員の育成には手間をかけましょう。
③より良いビジョンを持つ
経営するうえで必要不可欠なビジョンをより良い形で持つのが、失敗を回避する最大のポイントです。市場や業界の動向を把握して、いかにアプローチしていくかはもちろん重要です。それに加えて、会社内の管理システムや広告の手法などにも、新しい発想を取り入れたビジョンを持っておくのがベストだといえます。
最近はSNSを利用して集客したり、クラウドファンディングで資金を集めたりするなど、より新しい手法でビジネスを展開する事例が増加しています。さまざまな経営者の手法や実例を参考にしてビジョンを構築するのもおすすめです。
④小さい規模で起業する
起業で失敗しないためにも、小規模事業から始めるのが望ましいです。大規模な設備を要せず、家賃などの固定費も抑えられるため、リスクが少ないです。事務所・店舗の家賃などの固定費を抑えればリスクが小さくなるうえに損益分岐点も下がることから、ビジネスの成功につながります。
そのほか、小規模事業では、自己裁量で好きな業務ができる、人間関係のトラブルが少なくなるといったメリットも期待できます。事業が軌道に乗ってきたら、徐々に規模を大きくするのがおすすめです。
M&Aにおけるデューデリジェンスの重要性
M&Aを成功させるためには、デューデリジェンスが不可欠です。デューデリジェンスとは、買収対象企業の財務状況、法務状況、事業状況などを詳細に調査するプロセスです。
財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスでは、買収対象企業の財務諸表、収益性、キャッシュフローなどを分析し、財務リスクを評価します。2025年以降は、サステナビリティやESG(環境・社会・ガバナンス)関連の情報開示の重要性が増しており、財務デューデリジェンスにおいてもこれらの要素を考慮する必要があります。
法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスでは、買収対象企業の契約状況、訴訟リスク、コンプライアンス体制などを調査し、法務リスクを評価します。近年、個人情報保護やサイバーセキュリティに関する法規制が強化されており、これらの分野のリスク管理が重要となっています。
事業デューデリジェンス
事業デューデリジェンスでは、買収対象企業の事業内容、市場環境、競争状況、将来性などを分析し、事業リスクを評価します。市場のトレンドや技術革新のスピードが加速している現在、将来性を的確に見極めることが重要です。
経営の失敗を防止する方法まとめ
M&Aは企業成長の大きなチャンスですが、同時に大きなリスクも伴います。失敗例から学び、デューデリジェンスやPMIを徹底的に行うことで、M&Aの成功確率を高めることができます。M&Aを成功させ、持続的な企業価値向上を目指しましょう。
M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均7.0ヶ月のスピード成約(2024年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。