2021年4月28日更新会社・事業を売る

M&Aの動向

近年では、経営戦略としてM&Aを活用する企業が増加しており、2019年には4,000件を超えました。その中でも、特にベンチャー企業のM&Aは増加傾向にあり、中小企業やスモールビジネスのM&Aも活発化しています。今回はさまざまなM&Aの動向について解説します。

目次
  1. M&Aの動向
  2. M&A件数の動向
  3. 大企業とベンチャー企業のM&A動向
  4. 業界別M&A動向
  5. まとめ
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M&Aの動向

近年、経営戦略の一つとして、M&Aが浸透しています。M&Aとは、企業の合併や買収のことで、迅速に経営戦略を遂行する手段として有益な方法です。一昔前は、大企業のみで実施されていましたが、最近では、中小企業、ベンチャー、個人事業主にもM&Aが普及しています。

そこで、今回の記事では、実際にM&Aの件数が増加しているのか、各業界や規模で分けてみた場合、M&Aの動向はどうなっているのかなど、最新のM&A動向を詳しくご紹介します。

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M&A件数の動向

はじめに、全体的なM&A件数の動向を確認していきます。

M&Aの実績

M&Aの件数は、1990年代までは年間500〜1,000件程度でした。しかし、2000年代に突入すると、M&A件数は急激に増加し、2006年には、年間約2,700件ものM&Aが実施され、M&Aの需要が過熱しました。

しかし、2008年9月15日に、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻した事件(リーマン・ショック)の影響を受け、2008年〜2011年までM&Aの件数が減少し続けました。

ところが、2012年以降は、再びM&A件数が右肩上がりに上昇し、2017年には、過去最高となる3,000件ものM&Aが実施されました。また、2019年には、日本企業が関わった企業のM&Aの件数が4,088件(前年比6.2%増)と、3年連続で過去最多を更新し続けています

M&A件数が増加している理由

M&Aが増加している背景には、主に下記二つの要因があります。

  1. 後継者不足、経営の先行き不安を抱える中小企業の増加
  2. 大企業の海外進出の活発化

1.後継者不足、経営の先行き不安を抱える中小企業の増加

後継者不足を解消するため、高齢化が進行するに伴い、事業承継のニーズが高まっています。とりわけ中小企業を中心に広がっており、後継者が後を継がないケースが増加しています。そのため、親族ではない第三者に会社を売却する事例が増えているのです。

2.大企業の海外進出の活発化

また、会社の将来性に不安を抱え、M&Aによる生き残りを図る企業も少なくありません。実際に、大企業では、海外進出の風潮が強まっています。国内市場が縮小する昨今、海外進出は賢い選択だといえるでしょう。

そのため、海外進出を円滑にする手段として、M&Aの活用が広まっています。今後はさらに、M&Aの件数が増加するでしょう。

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M&A件数の推移とは?国内、海外のM&A件数の推移を解説
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大企業とベンチャー企業のM&A動向

ここでは、「規模別」「種類別」に、M&Aの動向をご紹介します。

①規模別に見るM&A動向

まずは企業規模別に、M&Aの動向を解説します。

大規模なM&Aの動向

大規模なM&Aとは大企業同士のM&Aをさします。M&Aの件数自体は増加している一方で、M&Aの成約金額はピーク時と比べて減少しています。このことから、大企業同士のM&A自体は、減少している現状であることがわかるでしょう。

一昔前までは、大企業同士の経営統合が盛んに実施されていました。しかし、近年では、M&Aによる経営統合が落ち着いてきています。

なぜなら、これ以上統合を進めると、独占禁止法に抵触する恐れもあるからです。そのため、今後大企業同士のM&Aは、ピーク時ほどは盛り上がらないと考えられます。

一方、地方銀行や大手メーカー、一部の業界では再編や事業売却の余地があるため、今後大企業同士のM&Aが激減するとは考えにくいでしょう。

中規模なM&Aの動向

大企業とは対照的に、中規模な(ベンチャー企業の)M&Aは増加しています。従来、ベンチャー企業は、IPOによる資金調達を目指すことが一般的でした。しかし、IPOを目指すためには、多大な時間やコストがかかります。加えて、IPOを実現できる企業は一握りの企業に限られています。

以上の現状から、近年では、M&Aによる資金調達を目論むベンチャー企業が増えています。そのため、今後日本国内でも、M&Aによる手法が主流となる可能性が高いでしょう。

小〜中規模なM&Aの動向

近年、中小企業やスモールビジネス(個人事業主)のM&Aは、最も件数が増加しています。その背景には、前述した通り事業承継の問題があります。従来、主流であった親族内への承継がM&Aや従業員承継に移り変わりつつあるのです。

また、中小企業やスモールビジネスのM&Aの件数の増加は、サポートしてくれる専門家の増加にも連動しているといえるでしょう。これまで中小企業やスモールビジネスのM&A支援は、専門家から断られるケースが多くありました。

しかし、昨今では、中小企業やスモールビジネスのM&Aを積極的にサポートする専門家が増えており、M&Aの実行に踏み切る経営者が増えています。

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②種類別に見るM&A動向

ここでは国内外の区分に分けて、M&Aの動向をご紹介します。

IN-IN型M&Aの動向

IN-IN型とは、国内企業同士のM&Aをさします。日本企業同士のM&A動向を見てみると、件数と金額で異なる動きを見せています。

ベンチャー企業や中小企業のニーズの高まりを理由に、IN-IN型M&Aの件数は増加している一方で、大企業同士の大規模なM&A件数は減少しているため、成約金額の総額は減少傾向です。

従来、M&Aは大企業が活用する経営戦略でした。しかし、近年では、中小企業やスモールビジネスのニーズが中心となっています。こうした近年の動向が、件数と成約金額の動きに表れています。

IN-OUT型M&Aの動向

IN-OUT型とは、日本企業が海外企業を買収するM&Aです。IN-OUT型M&Aの動向は、活発化の形相を呈しています。

その最も大きな理由は、国内市場の縮小です。今後人口が減り続ける国内市場にて、利益を獲得することは益々困難となるでしょう。そのため、大企業は、海外市場に活路を見出そうとしています。

また、円高やアベノミクスによる株価上昇が後押しする形となり、結果として、IN-OUT型M&Aは近年活発になっています

OUT-IN型M&Aの動向

OUT-IN型M&Aとは、海外企業による日本企業の買収です。

OUT-IN型M&A件数は、わずかながら減少傾向です。一方で、成約金額は急増しています。その背景には、主に中国系企業による大規模な買収があります。

最も有名な事例は、中国の鴻海によるシャープの買収です。海外企業の買収は、件数こそ少ないものの、日本経済や企業に与える影響は非常に大きいものになります。今後経営が悪化した大企業は、こうした買収のターゲットとなる可能性が高いでしょう。

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業界別M&A動向

最後に、業界別M&Aの動向をご紹介します。今回は、特に注目すべき調剤薬局業界とホテル業界の動向をお伝えします。

①調剤薬局のM&A動向

昨今、M&Aが特に活発化している業界の一つに調剤薬局があります。調剤薬局とは、医師が出した処方箋に対して医薬品を調剤・提供するお店のことです。調剤薬局の市場規模は8兆円程度で、市場自体は成長傾向にあります。

また、調剤薬局業界では、大規模なM&Aが相次いでいます。例えば、業界トップの「アインホールディングス」や「クオール」は、M&Aによって薬局の数を増加させています。

さらに、中小企業の動向を見てみると、積極的なM&Aを仕掛ける企業も見受けられます。同業種同士でM&Aを実施する企業がある一方で、関連多角化を進める企業も存在します。調剤薬局ごとに、M&Aの活用方法が異なるのは特徴的な動向です

②ホテル業界のM&A動向

ホテル業界も、M&A動向を語るうえで無視できない業界です。なぜなら、近年、訪日外国人旅行客数が増加しているからです。そのため、2020年には今よりも約1.5〜2倍訪日外国人観光客が増加すると試算されており、国内ホテル業界は今後も市場が拡大するでしょう。

このような背景から、大手ホテル業者は、地方のホテル・旅館を買収する動向を見せています。そこには、今後増える外国人旅行客の需要に備え、いち早く受け入れ態勢を整える狙いがあるでしょう。今後はホテル業界でのM&A件数が増加すると考えられます。


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まとめ

全体的な動向としては、M&Aの件数は増加しており、大企業よりも中小企業やベンチャー企業に顕著に見られます。特に、調剤薬局業界とホテル業界では、M&Aを利用した戦略が活発に進んでいます。

また、中小企業にとっても、M&Aは無視できない選択肢の一つです。経営者ならば、M&Aの有効活用も視野に入れ、日頃からM&Aの動向にも注意することをおすすめします。

要点をまとめると下記になります。

・M&A件数の動向
 →ここ数年は右肩上がりで増加している

・M&A件数が増加している要因
 →後継者難や経営の先行き不安を抱える中小企業の増加、大企業の海外進出が活発化

・規模別に見るM&A動向
 →大企業同士のM&A(大規模)は減少している
 →ベンチャー企業のM&A(中規模)は増加の動向を見せている
 →中小企業・スモールビジネスのM&A(小〜中規模)は近年急増している

・種類別に見るM&A動向
 →IN-IN型M&Aの件数は増加する一方で、成約金額は減少傾向にある
 →IN-OUT型M&Aは活発化の形相を呈している
 →OUT-IN型M&Aの件数は微減、成約金額は急増している

・業界別M&Aの動向
 →調剤薬局のM&A動向は、大企業による規模拡大や、中堅企業による同業種の買収・関連多角化が活発になっている
 →ホテル業界のM&A動向は、大手ホテル業者による買収が相次いでいる

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