M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2023年9月22日更新資金調達
DDSとは?DESとの違いや手順・活用方法・メリット・デメリットまで解説!
企業再建手法の1つとして注目されているDDS。そんなDDSとよく似た言葉にDESがありますが、それぞれの違いは何なのかを本記事で解説していきます。またDDSを実施する手順や活用方法、メリットやデメリットまで徹底的に解説します。
DDSとは
過剰債務の状態を解消する企業再建手法はいくつかあります。
近年の景気低迷を受けてDDS(デット・デット・スワップ)を検討する企業が増えてきていますが、そもそもDDS(デット・デット・スワップ)とはどういった意味なのでしょうか。
DDSの意味
DDS(デット・デット・スワップ)とは、「Debt Debt Swap」の略称であり、債権の種類を交換することを意味します。
例えば、一つの企業が倒産したケースを考えます。倒産した企業が保有していた資産は一度整理した後に債務者への返済に充填されていきます。しかし、全ての債務者へ平等に企業が保有している資産が返済されるわけではなく、以下の順番で返済が進みます。
- 税金
- 従業員への給料
- 仕入れ・外注費用
- 金融機関からの借入金
- 債務者
DDSとDESの違いは?
DDS(デット・デット・スワップ)ともう一つの手法として、DES(デット・エクイティ・スワップ)がありますが、以下の違いがあります。
- DDS(デット・デット・スワップ):劣後ローンへ転換する
- DES(デット・エクイティ・スワップ):一部を資本金へ転換する
DES(デット・エクイティ・スワップ)を行うことで借入金を資本金(出資された資金)として転換することができ、返済義務が生じない資金へと変化させることができます。
事業承継におけるDDSの目的と活用方法
事業継承においてDDS(デット・デット・スワップ)を行うと、資金繰りが改善します。
DDS(デット・デット・スワップ)を行う大きな目的として挙げられているのが「資金繰りの改善」であり、企業再建の手がかりになります。DDS(デット・デット・スワップ)を行い企業をうまく再建することができれば、今以上に事業継承がしやすい企業へと姿を変えることが可能になるのです。
DDSを行う手順
DDSの手順は以下の通りです。
- 専門家に相談する
- 金融機関にDDS(デット・デット・スワップ)を申し込む
- 審査を受ける
- 債務種類を変更する
①専門家に相談する
まずは、DDS(デット・デット・スワップ)を実施するかどうかを専門家に相談します。
企業が「DDSは必要だ!」と判断していても、専門家は「DDSの必要はない」と判断するかもしれません。相談先として顧問税理士や公認会計士などがありますので、そういった専門家にまずは相談をするようにしてください。
また、専門家はDDS(デット・デット・スワップ)に関しての知識を豊富に持ち合わせていますので以下について聞くことも可能です。
- DDS(デット・デット・スワップ)を行う意味
- DDS(デット・デット・スワップ)を行うメリット・デメリット
- DESを行う方がいいのかの判断
- DDS(デット・デット・スワップ)の不明点
②金融機関にDDS申込み
DDS(デット・デット・スワップ)を実施することが決まれば、金融機関へDDS(デット・デット・スワップ)の申し込みをします。
企業がDDS(デット・デット・スワップ)を行うと言っても、債権者である金融機関などの同意なしに進めることはできません。債権者の同意を得るために金融機関へDDS(デット・デット・スワップ)の申し込みを行う必要があります。却下されることはほとんどありませんが、申込みの審査結果によってはDDS(デット・デット・スワップ)ができないケースもあります。
③審査
金融機関へ申し込んだ後は審査を受けます。
金融機関などへDDS(デット・デット・スワップ)を申請した際に作成した書類をもとに審査が進みます。審査は決算書や事業計画書などをもとにして行われ、金融機関が定めている財務指標の水準に合格しているかもチェックされます。
④債務種類の変更
一連の手順が終わり、DDS(デット・デット・スワップ)の審査に通過すれば債務種類を変更します。
具体的には借入金を劣後ローンなどに変更します。ただ、DDS(デット・デット・スワップ)の審査に通過したからと言って債務の種類を自由に変更できるとは限りません。債務の種類を変更する際には合理的な事業計画書を作成することと交渉を粘り強く行う必要があります。多くの手順がありますがDDS(デット・デット・スワップ)により事業継承がしやすい企業へと再建させていくために欠かせない手順です。
DDSのメリット
事業継承しやすい企業への再建させることができるDDS(デット・デット・スワップ)には以下のメリットがあります。
- 安い金利で融資を受けられる
- 金融機関の融資が受けやすくなる
- キャッシュフローの大幅改善が見込める
- アモチゼーションによる負担がなくなる
それぞれ解説します。
安い金利で融資を受けられる
DDS(デット・デット・スワップ)の大きなメリットは、金利が安くなることでしょう。
DDS(デット・デット・スワップ)を行うと金利が約1%以下に下がり、トータルの返済額を安く抑えることが可能です。企業として手持ち資金を多く残すことは大切なことですので、DDS(デット・デット・スワップ)を行い金利を下げることは重要でしょう。ただ、金利が下がっている期間で業績が向上し利益が発生した際には金利が上がってしまうことは注意しておく必要があります。
金融機関の融資が受けやすくなる
DDS(デット・デット・スワップ)を行うことで、事業継承がしやすい企業へと信頼が回復します。
これにより今まで以上に金融機関からの融資を受けやすくなります。借入金を資本性借入金へと変更をすることで返済するまでの猶予が生まれ、債務超過が解消していると判断されるからです。リソースを充填できなかった部分へ充填できるようになったり多くの事業拡大を図ることができるため、企業再建に大きな影響をもたらします。
キャッシュフローの大幅改善が見込める
金利が下がり、金融機関の融資が受けやすくなるということはその分だけキャッシュフローが改善されるということです。
債務超過しているときはキャッシュフローを改善することが困難だったとしても、DDS(デット・デット・スワップ)を実施することでキャッシュフローを大きく改善することができるようになります。それだけでもDDS(デット・デット・スワップ)を実施した意味があります。
アモチゼーションによる負担がなくなる
さらにDDS(デット・デット・スワップ)のメリットとして、約定弁済(アモチゼーション)による負担がなくなることもあります。
資本性借入金に変更することにより返済方法として5~15年の期日一括返済となります。そのため、約定弁済(アモチゼーション)による毎月の負担がゼロになるのです。DDS(デット・デット・スワップ)により債務超過が解消された状態となるのは大きなメリットでしょう。
DDSのデメリット
一方で、DDS(デット・デット・スワップ)を実施するデメリットも知っておく必要があります。
- 経営者に負担がかかる
- 会社の経営状況の報告義務が生じる
- 債務者に義務が設定される
- 利息が高くなる
それぞれデメリットを解説します。
経営者に負担がかかる
基本的にDDS(デット・デット・スワップ)を行うメリットは金融機関などの債権者にはありません。
そのため、経営者として個人的に補償をしたり土地などの個人資産を提供する必要があります。経営者に大きな負担がかかってしまうのがDDS(デット・デット・スワップ)の大きなデメリットでしょう。
会社の経営状況の報告義務が生じる
当然ではありますが、DDS(デット・デット・スワップ)を実施すると会社の経営状況を毎月報告しなければなりません。
特約事項として記載がされていれば、毎月何かしらの形で経営状況を報告する必要があります。例えば、資金繰り表などの経営状況を判断できる書類を提出しないといけません。さらには赤字決済ができないなどいろいろな会社経営に制約がついてしまうのもDDS(デット・デット・スワップ)のデメリットです。
債務者に義務が設定される
金融機関などの債権者のメリットを考え、DDS(デット・デット・スワップ)を実施した際には債務者に何かしらの義務が課されます。
例えば、以下のような義務が課されます。
- 赤字決済はしない
- 借入金の即時一括返済をする
ただ、これらの義務はDDS(デット・デット・スワップ)の特約事項に記載されている内容を遵守できなかった時に課されるものです。経営状況を回復することができればこういったDDS(デット・デット・スワップ)の義務が生じることはほとんどありません。
利息が高くなる
DDS(デット・デット・スワップ)を実施することにより一時的に利息が低くなるのは事実です。
しかし、利息が低くなっている期間中に業績が回復し利益を上げた場合には利息が高くなります。DDS(デット・デット・スワップ)を行う際には利息が高くなってしまうことも検討視野に入れておく必要があるでしょう。
DDSの注意点
では最後にDDS(デット・デット・スワップ)を実施する上での注意点を解説します。
- 個人資産の提供を求められる場合がある
- 特約事項の取り決めが行われる場合がある
- 経営者の退任リスクがある
- 即時一括返済を求められる場合がある
- 公認会計士・税理士などの専門家に相談する
個人資産の提供を求められる場合がある
DDS(デット・デット・スワップ)が実施されると、金融機関などの債権者にはメリットは1つもありません。
そのため、何かしらの負担が経営者にのしかかります。例えば、経営者が保有している個人資産を提出する必要があったりなど何かしらの負担が経営者にのしかかることは把握しておく必要があります。これにより金融機関などの債権者の負担を減らすことが目的です。
特約事項の取り決めが行われる場合がある
企業によってはDDS(デット・デット・スワップ)を申請した際に特約事項が記載されることがあります。
この特約事項には記載されている約束事を遵守することができなかった場合に実行されることが記載されています。DDS(デット・デット・スワップ)を行うということは相手からの約束を守る義務が生じるということであり、守ることができなければ特約事項の取り決めが行われる場合があります。
経営者の退任リスクがある
経営者の個人資産を提供する必要が出てくるだけでなく、最悪の場合だと経営者の退任リスクが生じます。
DDS(デット・デット・スワップ)により資本性借入金に変更されることで、債権者は返済が後回しにされてしまいます。そうなれば経営者に対して何かと不利な条件を押し付けてくることは容易に想像できるでしょう。この「不利な条件」の中に経営者の退任リスクが含まれていることもあります。
即時一括返済を求められる場合がある
先ほどの特約事項の中でも最も重い取り決めとしては「即時一括返済」です。
例えば、資金繰り表を毎月決まった日に提出することが義務として定められていたのにもかかわらずそれができなかった場合の特約事項として「即時一括返済」があり得ます。経営再建の途中だったとしても一括で返済をする義務が生じますので、企業の倒産へ一直線となりかねません。
公認会計士・税理士などの専門家に相談する
いろいろな事柄が絡んできたり書類が必要になってきますので、DDS(デット・デット・スワップ)を実施する前には必ず専門家へ相談するようにしましょう。
例えば、顧問税理士や公認会計士などDDS(デット・デット・スワップ)に詳しい専門家に相談してください。相談をせずに勝手にDDS(デット・デット・スワップ)を進めることは企業の根底を揺るがす問題に直面することがありますのでおすすめできません。
DDSはキャッシュフローを改善させるチャンス!
DDS(デット・デット・スワップ)は企業のキャッシュフローを改善させるチャンスです。
しかし、DDS(デット・デット・スワップ)を実施する場合のデメリットや注意点をしっかりと抑え専門家と相談した上でDDS(デット・デット・スワップ)を実施するかどうかを決めるようにしましょう。
まとめ
今回はDDS(デット・デット・スワップ)について解説しました。
DDS(デット・デット・スワップ)とよく似た言葉にDESがありますが大きな違いがあります。企業として実施すべきなのはDDSなのかそれともDESなのか違いを明確に理解した上で専門家に相談しつつ進めるようにしてください。
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