2021年5月11日更新業種別M&A

アパレル業界のM&Aとは?買収やM&A事例10選をご紹介

アパレル業界の市場規模はほぼ横ばいで推移していますが、活発にM&Aが行われています。M&Aが活発化している理由はさまざまありますが、経営戦略としてのM&Aが多く見受けられる状況です。本記事では、アパレル業界のM&A動向・事例などを中心にご紹介していきます。

目次
  1. アパレル業界のM&Aとは
  2. アパレル業界のM&A・買収の最新動向
  3. アパレル業界でM&Aを行うメリット
  4. 2020年アパレル業界のM&A事例2選
  5. 2019年アパレル業界のM&A事例2選
  6. 2018年以前のアパレル業界のM&A事例4選
  7. 異業種によるアパレル業界のM&A事例2選
  8. 積極買収企業
  9. まとめ
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アパレル業界のM&Aとは

アパレル業界のM&Aとは

近年、さまざまな業界でM&A事例が注目されていますが、アパレル業界では特にM&Aの活発化が目立っている状況です。この背景には、市場縮小への懸念や競争激化などが大きく関係していると考えられています。

M&Aには多くのメリットがあり、異業種からの参入・競争力の強化などさまざまな目的を実現できます。アパレル業界でも、同業者同士のM&Aによる競争力の強化や、異業種も含めたM&Aによる新規事業への参入など、それぞれの目的に沿ったM&A事例が見られる状況です。

このようなアパレル業界の市場動向を踏まえると、今後もM&Aの実施は加速するものと思われます。

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販路拡大や経営の安定化が目的のM&A増加

近年のアパレル業界ではファストファッションが人気であるうえに、ECの市場規模が拡大傾向にあります。そのため、最近ではさまざまなアパレル企業がEC事業に参入して販路拡大を実現するためにM&Aを活用するようになっているほか、海外展開を行うためにM&Aを行うケースも珍しくありません。

また、アパレル業界は中小規模の企業間での競争が激しいです。したがって、アパレル業界での競争を生き残るために、大手企業の傘下に入って安定した経営を目指すケースも少なくありません。

このようなアパレル業界のM&A動向をさらに整理するにあたり、ここからはアパレル業界の特徴・現状について見ていきましょう。

アパレル業界の定義と業態

アパレル業界とは、衣類(服)の製造・流通・販売を行う業界のことです。ここには、メーカーから服を仕入れて販売する小売店や、服のデザイン企画から流通までを行う会社など、さまざまな業態が含まれます。

一般的な服屋さんだけでなく多種多様なビジネスモデルがある業界である点が大きな特徴です。このうち企画・製造・小売までを一貫して行う形態は、「SPA」とも呼ばれています。SPAとは、speciality store retailer of private label apparelというビジネスモデルです。

例えば、ユニクロのように、企画から小売までを一体的に行うビジネスモデルをさします。ニーズの動向をスムーズに製品に反映させられる点が主な特徴です。

また、フクルという企業では、複数の会社が保有する生地やデザインなどをデータ化して顧客が自分の好みに合わせて受注生産をする「オーダーメイド型マスカスタマイズ生産」というビジネスモデルを確立させています。これは、在庫リスクを最小限に抑えつつ顧客のニーズに対応できる点がメリットです。

このように、アパレル業界といっても業態はさまざまあり、各々の強み・特徴は大きく異なっています。特にはやりやニーズに敏感になりがちな業界であるため、SPAのようなビジネスモデルがある点も大きな特徴だといえるでしょう。

アパレル業界の特徴

ここでは、アパレル業界の主な特徴を整理します。アパレル業界の代表的な特徴は以下のとおりです。

  1. 流通構造
  2. 季節とはやりに大きく左右される業界
  3. SPAというビジネスモデル

これら3つのアパレル業界の特徴について順番に見ていきましょう。

特徴①:流通構造

まずは、基本的な流通の流れからです。アパレル業界の流通構造は、しばしば「川上」「川中」「川下」と表現されます。これは川の流れに例えた流通構造であり、以下のようにそれぞれに異なる役割があるのです。

  • 川上:繊維素材の生産
  • 川中:素材から商品を生産
  • 川下:商品を消費者へ販売

各々の段階でメーカー・小売業者などが業務を行っていますが、最近ではこれらの企画・製造・小売を一貫して行うSPAの台頭も目立っています。

特徴②:季節とはやりに大きく左右される業界

服を扱う以上、アパレル業界は季節とはやりに大きく左右されます。まず季節について説明すると、基本的に夏服よりも冬服の方が単価は高くなる点が特徴的です。そのため、季節に応じた適切な販売戦略を策定しなければなりません。

また、アパレル業界には、特定時期にしか着ない服が売れ残った場合の在庫リスクもあります。インナーなどは、年間をとおして需要があるため戦略策定しやすいです。しかし、夏に着る半袖の服・冬に着るコートなど季節性のある服も、もちろん扱わなければなりません。

例えば、冬用のコートが売れ残った場合、春以降どのように扱うかが問題となります。この場合、値引き販売などの対策が考えられますが、やはり在庫リスクは簡単には拭えません。

服のはやりは次々に変わるため、消費者の動向にも注意する必要があります。1年たっただけではやりが大きく変わったというケースも珍しくありません。はやりとニーズの動向をより正確に分析する必要がある点も、アパレル業界の大きな特徴です。

特徴③:SPAというビジネスモデル

さきほど少し触れましたが、最近のアパレル業界ではSPA(製造小売業)の台頭も目立っています。SPAは企画・製造・小売が一貫しているため、コストの安い海外で大量生産を行ったうえで小売の段階にまで持っていくことが可能になります。

また、川下である小売業が川上に進出するという形で、大手アパレルが低価格化や店舗展開などを積極的に行うようになっており、収益源の確保として海外展開を進める企業もあります。

さらに、ECサイトと百貨店の動向にも大きな特徴が見られます。市場規模がほぼ横ばいとなっているのは、インターネットの急速な普及により、ECサイトでの販売が好調を維持している点も大きな要因です。そのため、大手のアパレル企業は、ECサイトでの販売に力を入れています。

一方で、インターネットによる購入が普及した現在では、百貨店での販売が低迷傾向にあります。インターネット上での購入では以前よりもスムーズな配達が実現しているため、直接買いに行かなくても良いと考える人も増加中です。

このように、販売チャネルが大きく変わろうとしている点も、アパレル業界の特徴的な動向といえます。以上が、アパレル企業の大きな特徴でした。ここからは、アパレル業界のM&Aについて詳しく見ていきましょう。

アパレル業界のM&A・買収の最新動向

アパレル業界のM&A・買収の最新動向

ここまでのポイントも踏まえ、アパレル業界のM&Aの最新動向について整理していきます。最近のアパレル業界では、販売チャネルの強化を目指したM&Aや、異業種も含めたM&Aの実施が多い点が特徴的です。

後ほど詳しく紹介しますが、三井物産によるビギホールディングスの買収は、アパレル業界における代表的なM&A事例です。このM&Aは、アパレル企業であるビギホールディングスが三井物産の持つ物流などのネットワークを活用して販路の強化を目指した事例といえます。

その一方、三井物産はファッション・繊維事業において販売・マーケティング事業に注力している企業です。そこでビギホールディングスによる買収で、企画・販売プラットフォーム機能を強化しています。

このように、各々の目的を達成するため、異業種も含めたM&Aが加速している点がアパレル業界のM&Aに見られる特徴です。

販売チャネルやインターネットへの対応が急務

アパレル業界では競争の激化やインターネットの急速な普及が起こっているため、販売チャネルの強化やインターネットへの対応が急務とされています。その一方で、特に中小規模のアパレル企業では、こうした対応を講じるのは難しいです。

しかし、M&Aを活用すればスピーディーに対応を講じられるため、この点もアパレル業界においてM&Aが活発化している1つの要因となっています。

異業種のネットワーク活用や経営の安定化を図るためのM&A

アパレル業界のトレンドに対応するには、異業種が持つネットワークを活用する戦略も1つの方法です。たとえ異業種でも、資金力のある大手企業に買収されれば、大手傘下のもとで経営基盤を安定させられます。これを実現するために、M&Aによる買収・売却が効果的な手法として注目されているのです。

例えば、業績が低迷しているアパレル企業が資金力のある異業種の企業に買収されるというM&Aは、典型的な事例といえます。そのため、M&Aの際は、業種にこだわらず幅広い視野で相手探しを行うことも大切です。

アパレル業界では今後もさまざまな業種とのM&A事例が増える見込みであることから、異業種企業のアパレル業界参入もますます増えると推測されます。これに伴いアパレル業界全体の動向が変わることも想定されており、近い将来これに対応するためのM&Aも増える見込みです。

M&A相手の同業者・異業種企業を探す場合、経営者1人の力のみでは限界があり、M&Aを進めるには、M&A・税務・会計・法律などさまざまな専門知識が必要です。

M&Aをお考えでしたら、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所にはM&Aに関する知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、これまでに培ってきたノウハウを生かしながらM&Aをフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。相談料は無料となっておりますので、アパレル業界でM&Aを検討している場合にはお気軽にお問い合わせください。

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アパレル業界でM&Aを行うメリット

アパレル業界でM&Aを行うメリット

昨今のアパレル業界ではさまざまな目的でM&Aが増えておりますが、ここではM&Aにより受けられるメリットを整理します。売り手のメリットと買い手のメリットをそれぞれまとめました。

売り手のメリット

M&Aによって会社を売却する売り手のメリットは、以下のとおりです。

  1. 後継者不足問題の解決
  2. 経営基盤の安定化
  3. 創業者利益の獲得
  4. 個人保証や担保の解消
  5. 従業員の雇用維持

それぞれのメリットについて、順番に見ていきましょう。

売り手メリット①:後継者不足問題の解決

後継者不足の問題に頭を悩ませている経営者は少なくありませんが、M&Aにより会社を売却すると別の経営者にバトンタッチできます。そのため、身内に会社を引き継ぐ人がいない場合でも、後継者不足問題を解決できるのです。

売り手メリット②:経営基盤の安定化

特に中小企業からすると、M&Aにより安定した経営基盤のもとで事業の継続が可能です。M&Aで大手企業の傘下に入れば、資金力・労働力の面が強化されるうえに経営基盤が安定します。また、大手の持つネットワーク・ノウハウを生かせば、事業の強化・事業エリアの拡大につなげることも可能です。

また、販売チャネルの強化という面でも、大手企業からの買収を狙う戦略は有効策といえます。アパレル業界ははやりに左右される点が特徴的ですが、大手のアパレル企業であれば扱う商品のバリエーションが多いため、いかなるはやりにもある程度対応可能です。

さらに流通構造が整っていれば、はやりへの対応をスムーズに進められます。これらの強みを得るために、大手企業の傘下入を目指すという考え方もあるのです。

売り手メリット③:創業者利益の獲得

会社を売却すれば、それに見合った対価が支払われます。つまり、創業者や経営者はそれだけの利益を獲得でき、将来の資金に充てることも可能です。M&Aでは、単に廃業しただけでは得られなかった利益が獲得できます。

売り手メリット④:個人保証や担保の解消

アパレル企業では、創業や設備投資など経営に必要となる資金を借入により賄っている会社も少なくありません。経営者の個人保証や担保を入れて借り入れしているケースも多いですが、会社を売却すれば解消させられます。

売り手メリット⑤:従業員の雇用維持

会社を廃業すると、これまで一緒に働いてきた従業員の雇用を打ち切る必要があります。しかし、M&Aにより会社を売却すれば、自社従業員の雇用を引き継いでもらえるため、その後の雇用を心配する必要がなくなるのです。

ただ、従業員の雇用は相手企業との再契約という形で行われるため、従業員が安心して継続的に働けるよう、売却条件を相手側に提示しておくと良いでしょう。

買い手のメリット

会社を買収する買い手のメリットとしては、以下のものが挙げられます。

  1. 事業エリアの拡大
  2. 事業規模の拡大
  3. 優秀な人材の確保

1つずつ順番に見ていきましょう。

買い手メリット①:事業エリアの拡大

同じアパレル業界の会社が買い手となる場合、買収した会社が持っていた事業エリアをそのまま取り込めます。また、異業種の企業がアパレル企業を買収する場合、比較的簡単に新規事業への参入を果たせる点も大きなメリットです。

自社のみで事業エリアを拡大したりゼロからアパレル業界に参入したりするよりも、アパレル企業をM&Aにより買収する方がはるかに効率的だといえます。

買い手メリット②:事業規模の拡大

たとえ扱う服のバリエーションが多い大手のアパレル企業であっても、特定分野の服に弱いというケースが見られます。そこで、特定分野の服に特化したアパレル企業を買収すると、簡単に弱点を強化できるのです。これは、主にアパレル企業同士のM&Aで得られるメリットです。

最近では、販売チャネルの強化を目的にアパレル企業が同業他社を買収する事例も多く見られます。例えば、インターネットに特化しているアパレル企業を買収すると、自社の販売チャネルを大幅に強化可能です。

近年のアパレル業界では、EC分野の強化は必須といっても過言ではありません。仮にインターネットへの対応を検討している場合、M&Aによる買収を利用すればゼロから対応する手間を省略できます。

買い手メリット③:優秀な人材の確保

いくら事業エリアや規模を拡大させても、それを支える人材がいなければうまく機能しません。M&Aで優秀な人材がいる会社を買収できれば、売り手企業の人材をそのまま自社の従業員として雇用できます。

人材育成は多くの企業で課題とされますが、育成には時間も費用もかかるため、即座に結果は表れません。この問題を解決する方法としても、M&Aは有効な手法です。以上、アパレル業界のM&Aにおける売り手と買い手のメリットを紹介しました。

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2020年アパレル業界のM&A事例2選

アパレルのM&A・事業承継
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2020年アパレル業界のM&A事例2選

ここからは、アパレル業界で実際に行われたM&A事例を紹介していきます。はじめに紹介するのは、2020年に実施された以下の2つです。

  1. TSIホールディングスによる3ミニッツのアパレル事業の譲受
  2. 花菱縫製によるメルボグループの生産・販売事業の統合

上記2つからポイントを確認して、自社のM&A戦略の策定に役立てると良いでしょう。それでは、順番に見ていきます。

事例①:TSIホールディングスによる3ミニッツのアパレル事業の譲受

2020年8月、TSIホールディングスは、M&Aにより3ミニッツのアパレル事業を譲受しました。事業取得価格は非公開とされています。

買収側のTSIホールディングスは、東京都港区に本社を置くアパレル企業です。幅広い顧客層のさまざまなニーズに応えるブランドポートフォリオ経営を推進しており、中期経営計画では「デジタル企業化」を重点領域として掲げています。

売却側の3ミニッツのアパレル事業「ETRÉ TOKYO」は、アパレル商品企画販売事業です。自社Eコマースを主要販路にしつつ、ファッションインフルエンサーをクリエイティブディレクターに起用しています。

また、SNSなど新たなデジタルメディアをコミュニケーションツールとして活用するマーケティング手法により、20~30代女性を中心に支持を広げてきました。 

本件M&Aの目的は、SIホールディングスグループの持つ商品企画開発力をはじめとする生産物流および海外の事業インフラなどの活用を推進し、アパレル事業の成長スピードを加速化させることです。

事例②:花菱縫製によるメルボグループの生産・販売事業の統合

2020年3月、三井松島HDは、連結子会社でオーダースーツ事業を展開する「花菱縫製」と、メルボ紳士服工業などを展開する「メルボグループ」におけるオーダースーツ事業の生産・販売部門を統合すると発表しました。

花菱縫製は1935年に創業され、オーダースーツ生産の工業化を成功させた日本初の企業として高い知名度を誇っています。一方のメルボグループは、「麻布テーラー」「TAILOR FIELDS」などのスーツブランドの展開や、2つの生産工場の運営などを手掛けてきました。

本件M&Aの目的は、昨今オフィスウェアのカジュアル化が進み、スーツ事業の経営環境が厳しくなる中で、オーダースーツ事業の競争力を強化させることです。

【関連】アパレル・雑貨小売業におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

2019年アパレル業界のM&A事例2選

2019年アパレル業界のM&A事例2選

次に、2019年に実施された以下の2つを紹介します。

  1. ナルミヤ・インターナショナルによるハートフィールの子会社化
  2. アングローバルによるアンドワンダーの子会社化
上記2つからポイントを確認して、自社のM&A戦略の策定に役立てると良いでしょう。それでは、順番に見ていきます。

事例①:ナルミヤ・インターナショナルによるハートフィールの子会社化

2019年3月、ナルミヤ・インターナショナルは、M&Aによりハートフィールの株式を100%取得し子会社化しました。株式取得価額は7億900万円と発表されています。買い手であるナルミヤ・インターナショナルは、子供向けのアパレル事業を中心に手掛ける企業です。

一方、売り手となったハートフィールは、子供用衣料品や服飾雑貨の企画・生産・販売などの事業を中心に展開しています。2010年の設立以来、小中学生男児向けのアパレルブランドにおいて自社eコマースを中核としながら事業を展開してきました。

本件M&Aの目的は、男児に向けたアパレルブランドを育成させることです。

事例②:アングローバルによるアンドワンダーの子会社化

2019年1月、TSIホールディングスのグループ会社であるアングローバルは、アウトドアブランド「アンドワンダー」の株式すべてを取得し子会社化すると発表しました。株式取得価額は非公開とされています。

買い手のアングローバルは、TSIホールディングスのグループ会社であり、婦人服・紳士服・服飾品の企画・製造・輸入・販売(小売および卸売)などを手掛けています。

売り手のアンドワンダーは、人気ブランド「andwandar」を保有する企業です。アウトドアウェアおよびギアを主軸に事業展開しています。本件M&Aの目的は、ブランドのさらなる成長を促進させることです。

2018年以前のアパレル業界のM&A事例4選

2018年以前のアパレル業界のM&A事例4選

続いて、2018年以前に実施された以下の4つを紹介します。

  1. TSIホールディングスによるHUF Holdings, LLCの子会社化
  2. スタートトゥデイによるVASILYの子会社化
  3. ジャパンイマジネーションによるスタニングルアーのアパレル事業の譲受
  4. ライザップグループによるジーンズメイトの子会社化

上記4つからポイントを確認して、自社のM&A戦略の策定に役立てると良いでしょう。それでは、順番に見ていきます。

事例①:TSIホールディングスによるHUF Holdings, LLCの子会社化

2017年11月、アパレル企業のTSIホールディングスは、30カ国に展開しているブランド「ハフ(HUF)」の企画販売を手掛けるHUF Holdings, LLCの株式90%を取得し子会社化することを発表しました。同年12月に、HUF Holdings, LLCはTSIホールディングスの傘下となっています。

こちらは、日本と海外のアパレル企業によるM&A事例として有名です。「ハフ」は米サンフランシスコ発のスケートブランドとして、アメリカや欧州を中心にグローバル展開をしているブランドとなります。

この「ハフ」を手掛けるHUF Holdings, LLCの子会社化により、TSIホールディングスは海外事業の拡大につなげられました。なお、TSIホールディングスの子会社であるジャックは、以前より「ハフ」の国内販売権を取得しており、2015年から販売代理店として運営しています。

この2年間の協業もあり、TSIホールディングスとHUF Holdings, LLCは密接な関係にありました。HUF Holdings, LLCとしても、TSIホールディングスの事業モデルを取り入れて、さらなる業績の拡大につなげたい考えです。

事例②:スタートトゥデイによるVASILYの子会社化

2017年10月、「ZOZOTOWN」の運営会社スタートトゥデイは、VASILYの全株式を取得して完全子会社化することを発表しました。この事例は、アパレル業界の中でも、特にIT分野に特化したM&Aとして大きな特徴があります。

売却側のVASILYは、「IQON(アイコン)」などのファッションメディアの運営や、ソフトウェアの受託開発などを事業内容としています。一方、買収側のスタートトゥデイは、ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」の運営で有名な企業です。

VASILYの完全子会社化により、スタートトゥデイはVASILYの開発技術をさまざまな分野で応用できるようになりました。VASILY側では、ZOZOTOWNのデータを生かしつつ技術力と合わせて、幅広い事業展開を実現しています。

事例③:ジャパンイマジネーションによるスタニングルアーのアパレル事業の譲受

2017年3月、アパレル企業のジャパンイマジネーションは、スタニングルアーのアパレル事業を譲り受けることを発表しました。その後、瀧定大阪の子会社「スタニングルアー」のアパレル事業を、ジャパンイマジネーションが同年3月10日に設立した新会社「スタニングルアー」が譲り受けています。

この事業譲渡により、ジャパンイマジネーションは、ウィメンズブランド「スタニングルアー」の全事業を運営することになりました。この事例は、アパレル企業が同業他社の事業を譲り受けたケースとして有名です。

ジャパンイマジネーションは、20代女性をメインターゲットとした「セシルマクビー」などのブランドを展開しています。

事例④:ライザップグループによるジーンズメイトの子会社化

2017年1月、フィットネスクラブ「RIZAP(ライザップ)」の運営会社であるライザップグループは、カジュアル衣料専門店のジーンズメイトを子会社すると発表しました。これにより、TOB(株式公開買い付け)による取得と第三者割当増資の引き受けを行っています。

本件M&Aに伴い、ライザップグループは同年2月にジーンズメイトを連結子会社化しました。業績不振が長期化していたジーンズメイトは、ライザップグループ傘下のもとで業績の立て直しを目指しています。

一方、アパレル関連事業に進出していたライザップグループでは、ジーンズメイトの子会社化により、アパレル事業の拡大・強化を図っています。

異業種によるアパレル業界のM&A事例2選

異業種によるアパレル業界のM&A事例2選

最後に、異業種企業が実施した以下2つを紹介します。

  1. ヤフーによるZOZOの買収
  2. 三井物産によるビギホールディングスの買収

上記2つからポイントを確認して、自社のM&A戦略の策定に役立てると良いでしょう。それでは、順番に見ていきます。

事例①:ヤフーによるZOZOの買収

上記事例でも紹介したスタートトゥデイは、2018年に社名を株式会社ZOZOに変更しています。その後の2019年9月、ポータルサイトYahoo!JAPANを運営するヤフーは、ZOZOに対してTOBによる買収を行うと発表しました。この事例は、各分野でともに知名度の高い大手企業のM&Aとして有名です。

本件買収により、ZOZOはヤフーの連結子会社となりました。ヤフーでは、ZOZOの運営するZOZOTOWNによりPayPayモールにおけるシナジー効果を獲得しています。ZOZOとしても、ヤフーユーザーを取り込みやすくなりました。

また、それぞれの企業では顧客層が異なっており、M&Aによる補完で2社の利用者や会員数の大幅な増加が期待されています。さらに、ZOZOTOWNの決済方法にPayPayが追加されることで、購入者の利便性向上にもつながりました。

各々が保有する顧客層・得意分野をうまく掛け合わせ、さらなる事業の拡大を可能とした事例ともいえます。

事例②:三井物産によるビギホールディングスの買収

2018年1月、三井物産は、「ヨシエイナバ」「メンズ・ビギ」「メルローズ」などの著名ブランドを擁するビギホールディングスの全株式を取得すると発表しました。出資比率は三井物産などが出資するMSDファンドが66.6%・三井物産が33.4%とされて、同年2月に株式譲渡が行われています。

売却側のビギホールディングスは1970年創業のアパレル企業で、日本を代表する著名ブランドを数多く擁していることで有名です。M&A当時の年商は500億円ほどで、業界内でも大きな存在感を持っています。三井物産の傘下入りで、ネットワークを生かしながら海外展開も含めた販路強化につなげたい考えです。

買収側の三井物産は、「リテール・サービス」を成長分野のひとつに定める総合商社です。ファッション・繊維事業では、「販売・マーケティング事業」を最注力分野としています。ビギホールディングスの買収は、三井物産からすると企画・販売プラットフォームの機能強化として大きな意味を持つ行為です。

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積極買収企業

積極買収企業

最後に、アパレル業界の企業とのM&Aを積極的に検討している企業を一覧にして紹介します。

会社名 会社概要・強み
データセクション ・小売店設置のカメラよりAIで来店客を分析するサービスを展開
・アパレル業界の課題をデータ分析で解決に導く
・新規事業を世界20の国で同時に展開中
・Win-WinのM&Aを目指す柔軟さ
ココラブル ・SNS広告、越境コマース、メディアまでさまざまな事業を推進
・新事業、新メンバーとの融合を多く経験
・文化的になじみやすい風土を持つ
フォース ・メインは日本酒を世界に輸出する事業
・IT技術、新たなビジネスモデルの事業を展開していきたい
・20年以上IT企業経営に携わった代表者が売り手の事業継続をサポート
・対象事業の拡大や効率化のサポートにも対応可能
バリュエンスホールディングス ・時計、バッグ、ジュエリーを中心とするブランド品のリユース業を展開
・一般客向け買取店および業者向けオークションを運営
・リユース業界の常識を打ち破るCtoBtoBのビジネスモデルを構築
Logos&Pathos Consulting ・メイン事業は経営コンサルティング
・コンサル会社向けソリューション開発、M&Aアドバイザリー、CVCのほか、農業や健康食品などの新規事業開発にも取り組む
・フレームワークによる経営コンサルではなく、実行支援を得意とする

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まとめ

アパレル業界では、市場縮小への懸念や競争激化などを理由にM&Aが増加しています。異業種からの参入、競争力の強化など、さまざまな目的でM&Aが活発化している点がアパレル業界の大きな特徴です。

特にインターネットへの対応が求められていることから、販売チャネルの強化を目指したM&A事例も多く見られます。このようなケースでは異業種の持つネットワークの活用が効果的であるため、異業種とのM&Aを実施するアパレル企業も少なくありません。

また、競争が激化しているため、事業領域や事業拡大を目的にM&Aを行うケースも増加傾向にあります。同業者同士のM&Aが加速すれば業界再編も進む見込みです。双方のノウハウを生かして高いシナジー効果が発揮されると、業界の活性化にもつながります。

M&Aは「市場縮小になんとか対応する」ための行為ではありません。市場縮小を打開し、業界の活性化につなげられるのがM&Aの特徴です。昨今のアパレル業界は確かに厳しい状況が続いていますが、まだまだ将来性もある業界です。

こうした現状を打破するためにも、M&Aを選択肢のひとつとして考えることに大きな意味があります。もしもアパレル業界でのM&Aを考えている場合は、専門家であるM&A総合研究所にお任せください。本記事の要点をまとめると、以下のとおりです。

・アパレル業界とは
→衣類(服)の製造、流通、販売を行う業界

・アパレル業界のM&A・買収の最新動向
→販売チャネルの強化を目指したM&Aや異業種も含めたM&Aの実施が多い

・アパレル業界でM&Aを行うメリット(売り手)
→後継者不足問題の解決、経営基盤の安定化、創業者利益の獲得、個人保証や担保の解消、従業員の雇用維持

・アパレル業界でM&Aを行うメリット(買い手)
→事業エリアの拡大、事業規模の拡大、優秀な人材の確保

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