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アーンアウトとは?意味やアーンアウト条項が利用されたM&A事例について解説

アーンアウトとは?意味やアーンアウト条項が利用されたM&A事例について解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

目次

    アーンアウト

    アーンアウトという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

    アーンアウトは日本では決して知名度が高い言葉とはいえませんが、M&Aにおいて非常に重要な条項の一つになるものです。

    アーンアウトを理解し、使えるかどうかでM&Aの交渉が有利に進められる可能性が高まるかもしれません。

    今回はアーンアウトの意味やアーンアウト条項、そのメリットやデメリットについてお伝えしていきます。

    アーンアウトとは?アーンアウトの意味

    ①アーンアウトの意味

    最初にアーンアウトの意味についてお伝えしていきます。

    アーンアウトは英語にすると「Earn out」となる言葉であり、M&Aの契約において買い手となる企業が一部の対価の支払いに対し、売り手となる企業へ一定の条件を設けるという行為を意味します。

    つまり「一定の条件を満たさなければ対価の一部を払わない」ということであり、ある意味買収の対価を分割払いという形式で支払っているようなものでもあります。

    この際、一定の条件に設定されるのはEBITDA、純利益、売上高、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローなどといったものがあります。

    アーンアウトの具体的なメリット・デメリットに関しては後述しますが、主に将来性が不確実な非公開会社などとのM&Aで用いられることが多いです。

    ②アーンアウト条項とは

    アーンアウトが設定されている条項を「アーンアウト条項」といいますが、これはアメリカでのM&Aではメジャーな手法の一つであり、アーンアウト条項を設けたM&Aの契約は少なくありません。

    日本でのアーンアウトがどれだけ浸透しているかを知ることは簡単ではありません。

    日本ではM&Aの契約を一般に開示する例は少なく、アーンアウト条項を含めていたとしてもそれを確かめることは難しくなっています。

    それでも一部の企業でアーンアウト条項をM&Aの契約に盛り込んでいたという事例はあり、アーンアウトが用いられるM&Aは増えてはいます。

    一方でアーンアウトに対して知識がなかったという企業も少なくなく、そういった企業ではまだまだM&Aにアーンアウトが用いられていません。

    当然アーンアウトは手法の一つであるため、用いられるかどうかはケースバイケースであり、買い手となる企業と売り手となる企業両方の合意が必要ですが、有効的な手段の一つとして知っておいた方がいいでしょう。

    アーンアウトを利用したM&Aのメリット・デメリット

    アーンアウトを利用したM&Aにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

    アーンアウトを利用したM&Aでは売り手となる企業と買い手となる企業それぞれにメリットとデメリットが発生します。

    メリットとデメリットはそれぞれ以下の通りです。

    ①アーンアウトを利用したM&Aのメリット

    アーンアウトを利用したM&Aのメリットは売り手となる企業と買い手となる企業でそれぞれ以下のようになっています。

    売り手となる企業のアーンアウトを利用したM&Aのメリット

    売り手となる企業にとってのアーンアウトを利用したM&Aのメリットは一定の条件をクリアすることでより大きなキャッシュを手に入れられる可能性が高いと言う点です。

    そもそもM&Aは会社を売買する行為でもあるため、売り手となる企業は売却した段階で一定以上のキャッシュを手に入れられます。

    中小企業やベンチャー企業にとって一定以上のまとまったキャッシュは非常に役立つ資金であり、さらなる成長の足掛かりになります。

    またアーンアウトは分割払いを実現するだけでなく、「売り手となる企業の今後の実績に応じて追加報酬を支払う」といったインセンティブのような使い方ができる一面もあります。

    そのため売り手となる企業のモチベーション向上につなげることができるため、よりポテンシャルを発揮できる環境を整えることも可能になるでしょう。

    買い手となる企業のアーンアウトを利用したM&Aのメリット

    買い手となる企業にとって、アーンアウトを利用したM&Aのメリットはリスク分散ができるという点にあります。

    アーンアウトを利用するM&Aは売り手となる企業が中小企業、ベンチャー企業であることが多く、潜在性はあっても将来性が不安なものが多いです。

    M&Aは不確実性が高い経営戦略であり、たとえ成約まで行き着いたとしても想定していたシナジー効果が得られるとは限りません。

    そのため買収の対価を一括で支払うことに対し、リスクを恐れて及ぼし腰になってしまうこともあります。

    ただアーンアウトを利用したM&Aはあらかじめ対価を分割し、売り手となる企業が一定の条件をクリアしない限り、全ての対価を支払う必要がありません。

    これを利用すればリスクが見出されるM&A案件に対してもコストを上手く調整することができます。

    例えば売り手となる企業に対して回収できることを見越してある程度の資金を提供し、売り手となる企業が条件を達成すればボーナスのような扱いで追加の資金を提供するような使い方が考えられます。

    アーンアウトはどちらかというと買い手となる企業に有利になるようなものです。

    分割払いをすることによってリスクが見出されるM&Aでも損失を抑えながら臨めるため、買い手となる企業は活用できるものだといえるでしょう。

    ②アーンアウトを利用したM&Aのデメリット

    アーンアウトを利用したM&Aのデメリットはメリットと同様、売り手となる企業と買い手となる企業それぞれにあります。

    アーンアウトを利用したM&Aのデメリットは以下の通りです。

    売り手となる企業のアーンアウトを利用したM&Aのデメリット

    売り手となる企業にとって、アーンアウトは追加のキャッシュの支払いを受けられるかどうかは課せられた条件を達成できるかどうかにかかっていますが、これは裏を返せばデメリットになり得るものです。

    アーンアウトはリスクを恐れた買い手となる企業が支払いを分割にしている一面があり、売り手となる企業にとっては不利になり得る一面があります。

    もし条件を達成できなければ追加の支払いを受けられず、本来獲得できるはずのキャッシュを得られなくなってしまいます。

    そうなってしまえば売り手となる企業のさらなる成長が停滞してしまうことになりますし、従業員のモチベーションが低下してしまう恐れもあります。

    条件を達成できるかどうかで得られるキャッシュが左右されてしまうのがアーンアウトの難点だといえるでしょう。

    買い手となる企業のアーンアウトを利用したM&Aのデメリット

    アーンアウトを利用したM&Aは買い手となる企業にとって有利になりやすいものではありますが、それがデメリットとして働く可能性もあります。

    アーンアウトを利用したM&Aはいうなれば買い手となる企業の都合で設定できる一面がありますが、かといって買い手となる企業の都合ばかり優先してしまうとM&Aそれ自体が成立せず、破綻してしまう可能性があります。

    仮にM&Aが成功したとしても買い手となる企業が自己都合を優先して課した条件によって売り手となる企業が本来のポテンシャルを発揮できず、結果的に想定したシナジー効果が発揮できなくなる恐れもあります。

    基本的にM&Aは買い手となる企業と売り手となる企業がwin-winとなってこそ成功するものです。

    買い手となる企業がアーンアウトを利用して自己都合ばかり優先すると売り手となる企業のポテンシャルを損なってしまうだけでなく、せっかく進めてきたM&Aそれ自体が上手くいかなくなることがあるため、十分に注意しましょう。

    ベンチャー企業の資金調達のためのアーンアウト

    ベンチャー企業にとってアーンアウトは資金調達の手段として活用できる一面があります。

    アーンアウトは買い手となる企業がリスクの高いM&A案件でも買収に前向きに取り組めるようにする手段でもあります。

    そのためアーンアウトはベンチャー企業がM&Aを行う際に有利に働くケースがあります。

    ベンチャー企業はポテンシャルに期待できる一方で、本来のポテンシャルを全く発揮できなければ収益性が見込めないというハイリスクな一面があります。

    しかしアーンアウトを利用すればそのリスクを分散できるため買い手となる企業がM&Aに積極的になりやすくなりますし、ベンチャー企業の方もさらなる成長に必要な資金やバックアップを得ることができます。

    業績の向上によって追加報酬が入るインセンティブのような形でアーンアウト条項を設定すれば、従業員全員のモチベーションアップにもつなげられるでしょう。

    またアーンアウトはベンチャーキャピタルが用いることもあります。

    投資契約や株主間契約にアーンアウト条項を設けて投資を実行するベンチャーキャピタルは多く、上手く活用すれば資金調達の選択肢の幅を広げることができます。

    ベンチャー企業はその規模や実績の乏しさから融資という形で資金調達を行うことが難しく、大量の資金が必要となる事業展開が難しくなりがちです。

    そういったベンチャー企業にとってアーンアウトの活用は有効的な資金調達を実現できる可能性があるため、ぜひとも選択肢の一つに加えておきたいところです。

    アーンアウトにおけるのれんの会計処理

    ここではアーンアウトを実際に行った際の会計処理についてお伝えします。

    アーンアウト、正確にはアーンアウト条項は日本の会計基準では「条件付取得対価」と呼ばれています。

    条件付取得対価は、その支払いが決まった時に取得原価の修正として認識し、そのうえでのれんや負ののれんを追加で計上していきます。

    この際、のれんや負ののれんは取得した時に発生したものとして会計処理されます。

    そして条件を満たし、追加のキャッシュが入るとそれは取得原価に加えられ、のれんも追加する形で修正されます。

    アーンアウト条項が利用されたM&Aの事例

    ここではアーンアウト条項をM&Aの契約に設定するなど、実際にアーンアウトを活用したM&Aの事例をいくつかご紹介します。

    ①マネックスによるコインチェック買収

    アーンアウトが活用された最新の事例として有名なのが2018年のマネックスによる仮想通貨業者のコインチェックの買収です。

    コインチェックはそのポテンシャルとは裏腹に36億円という比較的安い価格で買収されましたが、それはアーンアウト条項がM&Aの契約に盛り込まれているからでした。

    アーンアウト条項が盛り込まれた理由はコインチェックがまだ仮想通貨交換業の登録を完了しておらず、いわゆる「みなし業者」の状態であったからです。

    もしコインチェックが登録に失敗すればこの先の経営戦略に大きな支障をきたす恐れは十分に考えられます。

    またコインチェックは過去にNEMの不正流出問題を起こしており、イメージが幾分悪化しているうえに今後も同様の問題を起こす可能性も低くありません。

    これらの点をマネックスはアーンアウト条項を設けることでリスクの分散を図ったのでしょう。

    マネックスが設置したアーンアウト条項は今後3年間のコインチェックの実績の如何によって追加のキャッシュを支払うというものでした。

    この事例はある意味アーンアウト条項をリスク分散に使った一番わかりやすいものだといえます。

    ②DeNAによるNgmoco買収

    これはゲーム・ITで有名なDeNAがアメリカのゲーム会社であるNgmocoを2010年に買収したという事例ですが、ここでもアーンアウト条項がM&Aの契約に取り入れられています。

    このM&AではDeNAがNgmocoの実績に対していささか多すぎる対価を支払い、そのうえでアーンアウト条項によって今後の実績によってインセンティブのような形で追加のキャッシュが支払われるような形になっていたことで話題を呼びました。

    対価が大きくなったのは円高の影響などもありますが、それを差し引いてもDeNAが変化の速いIT業界の実情を鑑み、Ngmocoのポテンシャルを評価したと同時にそのポテンシャルを遺憾なく発揮できるようにバックアップしていることを表れだと考えられます。

    このM&Aでのアーンアウトの活用方法はある意味インセンティブのような使い方の典型例だといえます。

    まとめ

    アーンアウトはM&Aで活用すれば買い手となる企業、売り手となる企業双方にとってメリットがあるものです。

    とりわけ買い手となる企業が恐れているリスクを分散できる効果は非常に有益なものだといえるでしょう。

    しかしアーンアウトの使い方を間違えると売り手となる企業のポテンシャルを殺し、せっかく進めてきたM&Aそれ自体を破綻させてしまう恐れもあります。

    買い手と売り手双方の利益が得られるようにアーンアウト条項を設定することが重要です。

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