M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月6日更新業種別M&A
ゴルフ場におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説
ゴルフ場業界では、買い手と売り手ごとにM&Aを実施する目的が大きく異なります。期待できるメリットを十分に把握した上で、M&Aを実施することが大切です。大きな意思決定であるM&Aには注意点も多いため、専門家に協力を仰ぐことをおすすめします。
目次
ゴルフ場のM&A
かつてM&Aには企業を売り払うというネガティブなイメージがありましたが、最近では経営戦略として普及しており、ゴルフ場をはじめとする様々な業界でM&Aが実施されるようになりました。
企業規模の大小を問わず広く活用されており、大規模なM&Aの実施については時おり世間を騒がせることもあります。
とはいえM&Aを実施する目的は業界ごとに異なっており、業界の現状や取引対象となるゴルフ場の状態を鑑みた上で慎重に実施する必要があります。今回は、ゴルフ場業界のM&Aについて幅広く解説します。
ゴルフ場のM&Aが盛んになった経緯
ゴルフ場業界でM&Aの実施を検討したら、はじめにゴルフ場のM&Aが盛んに実施されるようになった経緯を把握しておくと良いです。早速、その経緯に迫っていきます。
①ゴルフ場業界の特徴
1975年以降に右肩上がりでゴルフ場が増設されるなど、かつてのゴルフ場業界は全体的に好調でした。特にゴルフ場業界が賑わいを見せた時期は、バブルの頃です。様々な企業がゴルフ場業界に続々と新規参入したこともあり、バブル全盛期にはゴルフ場開発が積極的に実施されました。
新規参入を受けてゴルフ場は爆発的に増設されましたが、この勢いはバブル崩壊に伴って変貌します。バブル崩壊以降、ゴルフ場は過大な投資の煽りを受けて次々と破綻してしまい、従来の増設傾向から一転してゴルフ場の数が減少したのです。
そしてゴルフ場業界では構造不況に陥ってしまったことを理由に、かつての好調ぶりが見られなくなりました。
②M&A実施のきっかけ
近年になると、ゴルフ場業界に再生の動きが見られるようになりました。投資ファンドによって、経営不振に陥ったゴルフ場を買収して経営再生させるビジネスが開始されたのです。これに伴い、ゴルフ場のM&Aが盛んに実施されるようになり、不動産事業を手掛ける企業もゴルフ場のM&Aに乗り出しました。
その結果として、大型ゴルフ場を中心にゴルフ場業界に復活の兆しが見られるようになりましたが、国外の影響もゴルフ場業界の情勢に追い風を吹かせました。韓国は、ゴルフ場業界と深い関係を持つ国です。近年ゴルフ熱が高まったことから、韓国の企業や投資ファンドが日本国内のゴルフ場を買収する動きが加速しました。
M&Aがゴルフ場業界に活力を与えた
M&Aによってゴルフ場が再生のきっかけを掴むケースが増えており、業界全体に活力を与えました。かつてバブル崩壊により低迷したゴルフ場業界ですが、経営再生がビジネスとして定着してからは業界全体で再生の兆しが見られています。
しかし、競技人口の減少や高齢化などの影響もあり、ゴルフ場業界がかつての好調を取り戻すことは困難だとされています。少子化の影響でゴルフの競技人口が増加する可能性は低く、劇的な回復は見込まれていません。
市場の縮小化が発生しており、業界全体から見れば厳しい状況が依然として継続しています。ただし、こうした厳しい状況を改善する経営戦略の1つとして、現在でもM&Aは注目されているのです。
ゴルフ場のM&Aの現状・動向
ゴルフ場のM&Aの現状と動向を、以下の項目に分けて解説します。
- 経営再生を終えて大規模M&A案件は落ち着いている
- 中小規模のゴルフ場がM&Aの中心になりつつある
- ゴルフ場のM&Aを専門的に扱う仲介業者が増加している
①経営再生を終えて大規模M&A案件は落ち着いている
近年のゴルフ場業界では、経営再生を目的に、日本・韓国の投資ファンドや企業などが中心となってM&Aが実施されてきました。経営再生を目的とするM&Aの中心となっていたのは、日本各地に複数のコースを持つような大型ゴルフ場です。
ところが現在では、日本・韓国の投資ファンドや企業などが大型ゴルフ場を買収するM&Aは一段落しています。すでに大型ゴルフ場の経営再生が終わり、経営の安定化に成功したことが要因だとされています。
②中小規模のゴルフ場がM&Aの中心になりつつある
経営再生が完了したとしても、ゴルフ場業界のM&Aが急激に減少することはありません。大型ゴルフ場の次にM&Aの中心となるのは、中小規模のゴルフ場だとされています。かつてゴルフ場業界では会員権への投資目的を持った利用客も多かったですが、最近はゴルフを手軽に楽しみたいというニーズが増加中です。
上記の理由から、最近では手頃な価格でゴルフが楽しめる中小規模のゴルフ場が大きく注目されています。競技人口は減少傾向にありますが、日本で競技人口が多いスポーツベスト10に入っていることもあり、ゴルフを楽しんでいる人は依然として多いです。
一方でゴルフ人口の高齢化の影響が、顕著に表れ始めています。現在のゴルフ人口の半数以上が60代以上のシニア層だとされていて、今後も高齢化は進む見込みです。かつてサラリーマンの娯楽として認知されていたゴルフですが、高齢化が進んだことで健康増進を目的に手軽にできるスポーツとして活用されつつあります。
従って、手軽にゴルフをプレイできる中小規模のゴルフ場の価値が今後高くなる可能性があります。現状として中小規模のゴルフ場のM&Aは大型ゴルフ場ほど目立っていませんが、近い将来にM&A件数が増加する可能性が高いです。
③ゴルフ場のM&Aを専門的に扱う仲介業者が増加している
最近では、投資ファンドだけでなくゴルフ場のM&Aを専門的に取り扱う仲介業者や経営コンサルティング会社も増えています。以前と比較して、ゴルフ場のM&Aを実施しやすい環境が整いつつあるのです。仲介業者などに依頼することでM&Aのサポートを受けられますが、会社を選ぶときには注意点もあります。
ゴルフ場のM&Aを検討するときは、豊富な実績があり専門家が多く在籍する会社に相談することをおすすめします。
M&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをサポートいたします。
M&A総合研究所ではスピーディーなサポートを実践しており、最短3カ月での成約実績を有している点も強みです。
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ゴルフ場のM&Aの相場・費用
M&Aは経営戦略として一般化していますが、日本ではM&Aを実施した情報を開示するのみで具体的な金額や内容に関しては秘匿するケースが多いため、ゴルフ場業界のM&A相場を正確に予測することは困難です。
ただしゴルフ場の買収・売却案件を鑑みると、大まかな費用としては数億円~数十億円程度となるケースが多いです。ゴルフ場で高値がつく条件としては、単純な規模だけでなくコースの質も重点的に見られます。
ゴルフプレイヤーにとって良いコースを持つゴルフ場だと認知されれば、入場者数の自然増加が望めます。良いコースであれば会員の退会数が少ないため、一定数以上の会員を常に維持することも可能です。つまり、コースの質はゴルフ場の利益に直結する要素だといえます。
一般的にM&Aでは高い利益が見込まれる企業・事業は必然的に高額取引され、M&Aにかかる費用についても買い手・売り手の双方で増加する傾向にあります。この傾向は、ゴルフ場のM&Aにおいても同様です。
現在のゴルフ場業界はバブル期に多かったむやみな投資が実施されなくなり、大型ゴルフ場のM&Aは一段落していますが、良いコースと認知されたゴルフ場であれば複数の買い手が名乗り出るケースもあり得ます。こうしたケースであれば、30億~40億円程度の価格が設定されることも珍しくないのです。
ゴルフ場の具体的な売却価格を調べる方法
所有するゴルフ場の具体的な売却価格を調べたい場合には、専門家の協力を仰ぐと良いです。ゴルフ場の具体的な売却価格を算定するには、会計の専門知識が必要となるためです。
専門家からサポートを受ける場合は、相談料・着手金・中間金・成功報酬など様々な手数料が発生します。売却価格が高くなるほど費用も高額になりますが、一般的には売却価格の3〜5%程度が求められます。
ゴルフ場をM&Aにより売却したいとお考えの際は、ぜひ一度M&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所にはM&Aに関する知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、M&Aをフルサポートいたします。
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ゴルフ場のM&Aの買収メリットとは?買う・買いたい場合
ゴルフ場をM&Aによって買収すれば、ゴルフ場そのものだけでなく付随する施設や従業員なども丸ごと引き継げるため、新事業への進出をスムーズに完了させられるメリットがあります。ゼロの状態からゴルフ場を用意することは決して簡単ではなく、多くの手間や時間が発生するケースが多いです。
ゴルフ場の事業に進出したい会社にとって、M&Aによるゴルフ場の買収は効率的な手段だといえます。一定以上の利回りが継続的に期待できるゴルフ場であれば、買い手企業の財務基盤の強化にもつなげられるのです。
ゴルフ場をM&Aで買収するときのポイント
近年のゴルフ場M&Aにおいて注目される要素の1つに利回りがあります。ゴルフ場は経営効率が良く利回りが高くなりやすいため、利回りの高いゴルフ場を優先的に買収することをおすすめします。
もともと経営不振で赤字状態に陥ったゴルフ場を黒字に回復させても、望める利益は限られています。こうした事情を踏まえ、買い手側は一定以上の利回りが継続的に望めるゴルフ場を率先して買収する傾向が強いです。
これ以外に、時価会計基準の採用・融資や不動産の獲得などを目的にゴルフ場を買収する会社も多いです。
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ゴルフ場のM&Aの売却メリットとは?売る・売りたい場合
ゴルフ場を売却する場合、期待できるメリットは他業界のM&Aと類似しています。ゴルフ場のM&Aにおいて売り手が得られる最大のメリットは、財務基盤を強化できる点です。ゴルフ場だけでなく、中小企業は全体的に資金繰りの面で厳しくなるケースが多く、新事業の展開が困難な状況に立たされています。
日々の運転資金の確保だけで精一杯という中小企業も少なくありませんが、M&Aで大企業の傘下に入ることで大手の資本から援助を受けることが可能です。これにより、経営の安定化や新事業の展開なども叶います。
経営不振に陥っているゴルフ場を売却する場合には、買い手企業のノウハウ・経営手法の導入による経営の立て直しも望めます。
ゴルフ場をM&Aで売却するときのポイント
M&Aによる売却は従業員の雇用を維持する有効策ですが、M&Aの実施に従業員が反発している状況であれば、かえって人材が流出してしまうおそれがあります。
実際にM&A前後で従業員が大量離職するケースは少なからず報告されており、場合によってはM&Aの失敗に直結してしまう可能性があるのです。
M&Aを実施するときは、外部に情報が漏れないよう注意しつつ、従業員を説得させる材料を揃えておくと良いです。
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ゴルフ場のM&Aの事例
最後に、ゴルフ場業界で実施されたM&Aの有名事例を時系列順に紹介します。
- アパグループ×栃木の森ゴルフコース(買収)
- ユニマットプレシャス×西山荘C.C.マネジメント(買収)
- 日神不動産×エヌディファクター(売却)
①アパグループ×栃木の森ゴルフコース(買収)
2005年、ホテル業界の大手であるアパグループは、栃木の森ゴルフコースをM&Aによって買収しました。清水建設のグループより、同ゴルフコースの事業会社である大久保開発の株式を取得した形で買収を完了させました。買収価格は、非公開とされています。
買収側のアパグループは、妙高パインバレーのホテル・ゴルフ場などの買収をきっかけにゴルフ場業界に進出していました。本件M&Aにより、ゴルフ場の所有数を増やしています。
またアパグループでは、買収したゴルフ場を改めてグランドオープンするときに、会員特典の付与やイベントの企画などを実施してサービスの充実化を図っています。本件は新事業に進出する典型的なM&Aである上に、買収したゴルフ場の経営方法の参考にもなる事例だといえます。
②ユニマットプレシャス×西山荘C.C.マネジメント(買収)
2016年、ユニマットプレシャスは、マルマンの連結子会社である西山荘C.C.マネジメントを買収しました。買収された西山荘C.C.マネジメントは、高度な戦略性に富んだ優良なコースを持つゴルフ場だけでなく、ツインドーム型の巨大なクラブハウスを所有しているなど、施設の充実度に強みがありました。
買収側のユニマットプレシャスも全国に17ヵ所のゴルフ場を所有している上に、リゾートホテルなどの経営を手掛けるなど、ゴルフ場業界の大手企業です。本件M&Aは、多くの利回りが期待できるゴルフ場を確保する目的のもと実施されました。
一方で西山荘C.C.マネジメントの親会社であるマルマンでも、ユニマットプレシャスの傘下で新・西山荘カントリー倶楽部を設立して、買収側のノウハウを取り入れながら良質なゴルフ場の運営を目指しています。
本件は、ゴルフ場業界の企業がそれぞれのノウハウや設備を持ち寄ってさらなる発展を目指したM&Aの典型例であり、良質なコースを持つゴルフ場の価値が高く評価されることを示した好例でもあります。
③日神不動産×エヌディファクター(売却)
2019年、日神不動産は、エヌディファクターに対して、千葉市内でゴルフ場を運営する100%出資子会社の平川カントリークラブの全株式を譲渡することを決めました。譲渡予定日は2019年7月1日とされ、譲渡価格は非公開となっています。
売却側の日神不動産では、自社グループの発展を目指すために経営資源の選択と集中が図られています。
まとめ
ゴルフ場業界はバブル崩壊に伴い苦しい状態が続いていましたが、国内外の投資ファンドや企業などが実施したM&Aによって、回復の兆しが見られています。大型ゴルフ場のM&Aが一段落したこともあり、今後は中小規模のゴルフ場を中心とした業界再編が開始される見込みです。
ところが全体から見れば、ゴルフ場だけでなくゴルフ界の苦しい状況が根本的に改善されたわけではありません。競技人口が減少傾向にあるため、ゴルフ場業界は今後も新たな課題を突き付けられる可能性が高いです。こうした状況の中で、経営戦略の1つとしていかにM&Aを利用していくかがポイントとなっています。
要点をまとめると、以下のとおりです。
・ゴルフ場のM&Aが盛んになった経緯
→バブル崩壊に伴い構造不況に陥ったことでM&Aによる経営再生が図られた
・ゴルフ場のM&Aの現状・動向
→経営再生を終えて大規模M&A案件は落ち着いている、中小規模のゴルフ場がM&Aの中心になりつつある、ゴルフ場のM&Aを専門的に扱う仲介業者が増加している
・ゴルフ場のM&Aの相場・費用
→ゴルフ場の規模やコースの質などの要素が売却価格を大きく左右する
・ゴルフ場のM&Aの買収メリット
→新事業への進出をスムーズに完了させられる、財務基盤の強化にもつなげられる
・ゴルフ場のM&Aの売却メリット
→財務基盤を強化できる、経営の安定化や新事業の展開なども叶えられる
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。