2020年2月12日更新会社・事業を売る

デューデリジェンスとは?目的・方法・種類

デューデリジェンスはM&Aにおける必須プロセスです。デューデリジェンスの結果次第で、M&Aの成り行きは左右されます。買収側であれ、売却側であれ、デューデリジェンスの目的や内容などの諸手続きを知っておくことは円滑なM&A交渉に直結する有意義なことです。

目次
  1. デューデリジェンスとは?
  2. デューデリジェンスの意味合い
  3. デューデリジェンスの目的
  4. デューデリジェンスの種類(その1)
  5. デューデリジェンスの種類(その2)
  6. デューデリジェンスの進め方
  7. デューデリジェンスでの専門家の必要性
  8. デューデリジェンスとM&A
  9. まとめ
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デューデリジェンスとは?

M&Aを進めるうえでデューデリジェンスは、重要な役割を持っています。基本的に買収側企業にとって、売却側企業は見ず知らずの相手です。貴重な資金を投じるかもしれない相手を、表層的な情報やイメージだけで判断することはできません。

そこで、売却側企業のできるだけの実状、実態を知る必要が生じます。そのタイミングで行われる売却側企業に対する詳細な調査がデューデリジェンスです。M&Aの現場では略して「デューデリ」、頭文字を取って「DD」とも呼ばれます。

実際のデューデリジェンスが、どのように行われているのか細かく見ていきましょう。

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デューデリジェンスの意味合い

元来、法律用語であるデューデリジェンスは、英語表記だとdue diligenceと書きます。直訳すると「当然の努力」となり、何とも観念的です。ただし、M&A専用用語ではなく、不動産取引や投資ファイナンス全般で使われます。

意訳するならば、投資に見合う価値がある対象であるかどうかを、当然の行いとして調べ上げるということでしょうか。念のため、デューデリジェンスの一般的な日本語訳を紹介しておくと、資産の適正評価手続きということになっています。

したがって、M&Aにおけるデューデリジェンスとは、対象の売却側に対して、その企業価値を適正、適切に判定する手続きということになります。

そして、この判定に関しては会社の決算状況だけにとどまらず、財務、法務、税務など、実にさまざまなありとあらゆる角度から多角的に行われるのが特徴です。

また、当然ながら、それら各種のデューデリジェンスでは、その道の専門家が登場します。公認会計士、弁護士、税理士などが売却側企業の調査にあたり、資料をまとめるのです。

その調査の過程では、売却側企業の経営者に何度もヒアリングが行われ、また各種資料の提出も求められます。確定申告時の決算書程度しか作っていない中小企業の場合は、デューデリジェンスの過程の段階で戸惑いを覚えるかもしれません。

その意味でも、本記事においてデューデリジェンスの実態を把握しておくことは有用となるでしょう。

なお、いずれにしても、M&Aを検討する場合は専門家の存在が必要です。自社のM&Aの相談先でお悩みでしたら、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。

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デューデリジェンスの目的

デューデリジェンスの意味合いが企業価値の適正評価手続きであることがわかりました。しかし、それだけではまだデューデリジェンスの具体像がはっきりせず、ぼんやりした状態でしょう。

そこで、この項では、デューデリジェンスを実施する目的について、3つのポイントを掲示し明らかにします。

⑴リスクの把握

デューデリジェンスを行う第一の目的は、リスクの把握です。一見、魅力的に見える売却対象会社であったとしても、表面には出てこない何らかの問題、リスクを抱えているかもしれません。

特に中小企業の場合、意図的に問題を隠すのは論外としても、経営規模が小さい状況では発現しないような、自分たちでも気づいていない障害が、会社の中に埋もれている可能性もあります。

ちなみに、M&Aを中止、断念するようなレベルの重大な障害のことを、ディール・ブレイカーと言います。もし、デューデリジェンスの担当者がこの言葉を口にしていたら危険な兆候です。念のため、覚えておいてください。

また、ディール・ブレイカーほどでのリスクは存在しないにしても、最終判断のために小さな問題をもリスクとして顕在化させるのが、デューデリジェンスの役割です。

⑵リターンの把握

M&Aでリスクを避けるのは当然のことですが、M&Aとは本来、収益の拡大を目論んで行うことです。したがって、デューデリジェンスのもう1つの大きな目的は、買収の成果として、どれだけのリターンが見込めるかの把握です。

このリターンとは、単に新事業が加わることでの収益増加だけではなく、既存事業との間でどれだけのシナジー効果があり、それによって、それぞれの事業がさらにどれだけの収益の伸びしろがあるかの予測まで行います。

多少のリスクを抱えている企業であったとしても、リターンのほうが大きいものであればM&A成約の可能性はグッと高まるでしょう。また、想定されるリターンの大きさによってM&A成約時の買収額も左右されます。

この点を考えると、売却側も積極的にデューデリジェンスへの協力として、できるかぎりの情報開示を行うべきです。

⑶スキームや経営方針の決定

M&Aのゴールは売買契約の締結ではありません。企業経営の観点からすれば、M&Aの成立は新たなビジネス展開のスタート地点です。

デューデリジェンスでつかんだ、買収対象企業のリスクとリターン、さらに既存事業とのシナジー効果、それら全ての情報を用いて、M&A後のビジネススキームや経営方針を定め、実行していくことになります。

その意味においても、デューデリジェンスは重要な役割を持っているのです。また、M&Aを実行する場合、買収側の経営陣には、株主を筆頭とするステークホルダー(利害関係者)への説明責任が生じます。

その場面でも、デューデリジェンスで得た情報は有効に機能するのです。

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デューデリジェンスの種類(その1)

実際のデューデリジェンスでは、多角的な観点から売却側企業を分析します。この項では、どのような場合のM&Aにおいても必ず行われるであろう、主要なデューデリジェンス6種類について、それぞれ個別に説明します。

⑴財務デューデリジェンス

企業の経営基盤は財務です。当然のことながら、M&Aでの買収対象企業の財務状況について、徹底的なデューデリジェンスが行われます。それが財務デューデリジェンスです。

買収対象企業が上場会社ではない中小企業であると、経理処理の仕方がアバウトであるケースも多々あります。意図的ではないにしても、誤った経理処理がなされているかもしれません。したがって、財務デューデリジェンスは最も注力されます。

貸借対照表は全て一から洗い直されますし、特に負債の部については、債務の内容や金額は厳正なチェック対象です。キャッシュフローの分析も当然、実行されますが、売上の入金タイミングなどは、事業特性があります。

どんな事業でも全く同じキャッシュフローというようにはなりませんから、これはデューデリジェンスする側も、該当する事業の特質を把握しなくてはならず、専門性が問われる場面とも言えるでしょう。

いずれにしても、財務デューデリジェンスが行われないことはあり得ないので、売却側企業では相応の準備が必要となります。

⑵法務デューデリジェンス

M&Aでは、法務に関するデューデリジェンスも欠かせません。その内容は買収対象企業に対し、「契約や取引行為に違反はないか」「訴訟はないか」「事業の許認可は適正か」などについて法律の観点から調査を行うものです。

仮に、買収対象企業に何らかの違法行為が認められたなら、それは即刻ディール・ブレイカーとなります。また、訴訟については、現在係争中のものがないとしても、潜在的な訴訟リスクがないかどうかまで検証されます。

そのほか、買収対象企業が保持している権利関係の正当性の判別なども、法務デューデリジェンスとして行われるでしょう。

⑶税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスとは、買収対象企業において法人税をはじめとする納税が適正になされているかや、例えば仮に合併を行った際に、買収対象企業が持つ繰越欠損金に特例が適用されるかどうかの判断などあらゆる税務調査のことです。

また、M&Aでの税務デューデリジェンスでは、M&A実行後の買収側企業における税務のシミュレーションも行われます。M&Aの現場では、財務デューデリジェンスや法務デューデリジェンスのほうが重要度は高いとも言われます。

しかしながら、重加算税のリスクを排除するなどといった役割もあり、税務デューデリジェンスも必要なデューデリジェンスの1つであることに変わりはありません。

⑷ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスは、上述した3つのデューデリジェンスとは異なり、買収対象企業内部の調査を行うのではなく、買収対象企業が行っている事業の市場動向など、買収対象企業の外部環境を調査するものです。

具体的には、買収対象企業が行っている事業の市場そのものの先行きも調査しますが、その業界内において買収対象企業がどのような立ち位置にあるかの確認などを行い、買収対象企業の評価を導きます。

⑸人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスは、買収対象企業内における人事や人材に関する調査を行うものです。M&Aのような経営統合や組織再編は人材流出のリスクが伴います。しかし、買収側は組織や人員も含めた投資としてM&Aを実行するのです。

それなのに、M&A後、退職者が続出したり、特に事業のキーマンとなる人材の流出があっては元も子もありません。そこで、特に念入りにM&A後の人材確保の可否について調査が行われます。

また、人事デューデリジェンスでは、上記以外にもM&A実施後に増えることになる人件費や社会保険費用、将来の退職金費用の算定なども調査内容となっています。

⑹ITデューデリジェンス

ITデューデリジェンスのITとは、おなじみのinformation technologyのことです。この情報技術の発達は、企業の仕事の現場ではさまざまな恩恵をもたらしています。

ただし、このITも一般的で普遍的な内容のものから、各企業ごとに自社内で特化した専用の管理システムなど幅広くなっているのが現状です。つまり、M&Aによって経営統合となった場合には、管理システムは一元化されねばなりません。

そこで、ITデューデリジェンスでは、ITが関連する売却側企業の管理システムなどを調査し、合併に際してどのように買収側企業の管理システムに統合するかを査定していくものになります。

また、ITデューデリジェンスは、合併によって一元化される管理システムが、当初の業務にどのような影響をもたらすかという面についても検証し、合併後の業務フロー決定への指針を提示する役目もあります。

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デューデリジェンスの種類(その2)

これまでのM&Aでのデューデリジェンスは、前項で挙げた6種類が主要なものとして行われてきました。

しかし、近年は、事業の多角化や細分化、また企業を取り巻く社会環境の変化などに伴い、別途、新たなデューデリジェンスが取り入れられるようになってきています。

必ず全てが行われているわけではありませんが、デューデリジェンスの新しい兆候として、知っておくとよいでしょう。全部で5種類のデューデリジェンスを紹介します。

⑴環境デューデリジェンス

昨今、日本国内だけに及ばず全世界的に、国をあげての環境対策が叫ばれるようになりました。環境対策を行っているかどうか、各企業に向けられる世間の目も厳しいものがあります。

このような社会情勢の下、行われるようになったのが、環境デューデリジェンスです。この環境デューデリジェンスの内容は、買収対象企業が環境対策を行っているか、環境汚染に加担していないか、関連法令を順守しているかなどになります。

仮に何らかの環境汚染に関係してしまっている場合、その対策コストは膨大な金額になりかねません。これはディール・ブレイカーとさえ、なり得ます。したがって、近年、環境デューデリジェンスが取り入れられるケースは増えてきています。

⑵知的財産デューデリジェンス

買収対象企業が特許権や著作権などの知的財産を所有していた場合、それは有望な資産であり、今後の事業展開をも左右する可能性もあります。したがって、M&Aの現場では、そのような知的財産の実際の価値を判定しなければなりません。

それが、知的財産デューデリジェンスの役割です。現実に、特許権や著作権は取得、所有すること自体は難しいことではありません。肝心なのは、その知的財産が消費需要のある実用化や商品化のできる道筋があるものかということです。

したがって、知的財産デューデリジェンスの重要性も昨今、増してきていますが、これを行うには、相当の専門知識や経験を有した担当者がいないと判断ができません。

⑶顧客デューデリジェンス

顧客デューデリジェンスは、別称でカスタマーデューデリジェンスとも呼ばれています。買収対象企業の該当事業における既存顧客や予想される新規顧客の身元確認などの調査を行うデューデリジェンスです。

その意図は、調査対象となる顧客がマネーロンダリングを行う可能性はないかを探ることにあります。主として、金融事業が関連するM&Aで行われるデューデリジェンスです。

⑷不動産デューデリジェンス

不動産の分析と調査を行うのが不動産デューデリジェンスです。M&Aにおける買収対象企業の所有する不動産の調査だけでなく、不動産売買取引における不動産の査定の場合も不動産デューデリジェンスは行われます。

別称としては、不動産鑑定業務ということになり、この不動産デューデリジェンスについては、専門家である不動産鑑定士がその任を担うのが通常です。

⑸技術デューデリジェンス

技術デューデリジェンスでいうところの「技術」とは、ハードウェアに関する技術を意味しています。

ソフトウェアである知的財産と同様に、買収対象企業が持つ特殊技術や制作工程と、所有している専門的で特殊性の高い機械設備類を調査するのが技術デューデリジェンスです。

買収対象企業が特殊技術が必須である事業を行っている場合には、避けては通れないデューデリジェンスであることは言うまでもありません。

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デューデリジェンスの進め方

デューデリジェンスの種類を把握したところで、実際にデューデリジェンスが実施されていく手順について見てみましょう。ただし、記載するのは一般的な例となります。

状況によっては、違った手順ややり方でデューデリジェンスが実施される可能性があることも覚えておいてください。

⑴デューデリジェンス方針の決定

M&Aでは、まずキックオフミーティングが開催されます。その場には、買収対象企業の基本情報など、ひととおりの資料は届いている状態です。買収側経営陣と社内のM&A担当者、M&A仲介会社や専門家などが出席して協議が行われます。

そして、その買収対象企業を正式にM&Aの候補として、デューデリジェンスを行うかどうかが決められます。デューデリジェンスを行うことに決まった場合は、どの種類のデューデリジェンスを行うかを決めることになります。

買収対象企業の事業の特質も見極め、重点を置くデューデリジェンスは何になるかも話し合われるでしょう。こうして、デューデリジェンスの方針が決定するのです。

なお、買収対象企業にとっても、M&Aを検討していることは社外秘となりますから、買収側企業においても情報の漏洩には気を配らなければなりません。

⑵デューデリジェンスの実施

買収側企業で決定された方針に基づき、デューデリジェンスが実施されていきます。買収対象企業側としては、要望される情報や資料を用意しなければなりません。また、経営陣にはインタビューが必ず行われます。

インタビューは複数回行われることもありますし、また、場合によっては、事業のキーとなる主要スタッフへのインタビュー実施が求められることもあります。

もし、この段階で重要項目の追加や変更が必要であると判断された際には、専門家と協議をして実行します。このプロセスに入った場合には、買収側は専門家とのコミュニケーションをより徹底するようにしておきましょう。

⑶デューデリジェンスの結果の検討

デューデリジェンスが完了したら、実施を行った担当者や専門家は適宜、調査結果を作成し提出します。その調査結果を元にして、M&Aの是非について検討がなされることになるのです。

ただし、M&Aや投資などのさまざまな事柄を完全に決定できるのは、買収対象となる会社との交渉を行ってからになります。

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デューデリジェンスでの専門家の必要性

上述してきましたようにデューデリジェンスはさまざまな観点から行われるため、その種類も多彩になります。買収側の社内において、それら全てのジャンルに精通しているような人材を用意するのは困難なことです。

したがって、デューデリジェンスでは、それぞれの分野の専門家に一任するのがほとんどと言っていいでしょう。しかも、その人選は、ただの専門家ではなくM&Aについての知識も持ち合わせた専門家でなくてはいけません。

ただし、専門家の人選にこだわったとしても、全くの丸投げのような姿勢では、デューデリジェンス後の最終決定の雲行きも怪しくなります。経営陣としては、経営戦略の意向が正しく専門家に伝わっているかどうか意思疎通に留意しましょう。

そして、そのような専門家選びのポイントは、経験豊富なM&A仲介会社に依頼をするのが肝要です。自社の利益とチャンスを広げるM&Aをご要望の際は、数々のM&Aを手掛けてきたM&A総合研究所に、ぜひ、ご相談ください。

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デューデリジェンスとM&A

デューデリジェンスを用いて買収対象企業のさまざまな情報を解析することは、M&Aにとってとても重要な作業です。デューデリジェンスによって、M&A後のシナジー効果を想定したり、スキームの構想を練ることもできます。

逆に言えば、そのように具体的な未来像を描けないような場合は、デューデリジェンスのやり方が不完全か、買収対象企業に魅力がないかのどちらかです。ただし、財務や税務のように簡単に数値化できないデューデリジェンスもあります。

数値化が難しいデューデリジェンスの場合には、担当者、専門家ともども、分析結果を基にひたすら討議するしかありません。数値化できないものに対して、いかに価値を見いだせるかがM&Aの真骨頂でもあります。

そのためにも、デューデリジェンスによってもたらされる情報が貴重で重要なのです。

まとめ

デューデリジェンスは、M&Aにおいても投資の場でも、成否を占う重要なプロセスです。デューデリジェンスが適正に実施されなければ、それは誤った経営判断の引き金になってしまいます。

デューデリジェンスを任せられる信用のおける専門家を任ずるためにも、経営者としてはデューデリジェンス、そしてM&Aの見識を広げておきましょう。

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