2021年1月21日更新業種別M&A

パン屋の事業売却とは?メリット・デメリットや注意点を解説!【事例あり】

パン屋には企業がチェーン展開しているパン屋もあれば個人経営のパン屋もあります。大小の経営規模の業態が織り交ざっているパン屋業界では、事業売却を試みる場合、M&A専門家の仲介を得た方が事業売却交渉がスムーズに進むはずです。

目次
  1. パン屋業界の現状
  2. パン屋の事業売却におけるメリット・デメリット
  3. パン屋の事業売却における注意点
  4. パン屋の事業売却事例3選
  5. パン屋の事業売却はM&A仲介会社の専門家に相談
  6. まとめ
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パン屋業界の現状

昨今、ご飯よりもパンを好む人が増えているとも言われています。そのことを示す1つの事象とも言えることとして、スーパーマーケットの一角には必ずと言っていいほど、手作りパン屋が出店しています。

また、高級食パンだけを扱うパン屋の人気が高まりを見せ、1斤1,000円余りもする食パンに行列ができるなどの報道を何度も見かけるほど、ブーム化と言える現象も起きています。このように現在のパン屋業界は順風に見えます。

矢野経済研究所が2019(令和元)年に発表した資料によると、2017(平成29)年のパン屋業界の市場規模は1兆5,582億円となっています。この金額はメーカーの出荷金額ベースの統計です。個人営業のパン屋などを加えると、もっと数字は膨らむでしょう。

同資料から過去5年間の金額推移を見てみると、2013(平成25)年の1兆4,042億円以降、毎年少しずつ金額は増加している状態にあります。

パンの消費が米を上回る

日本人の主食と言えば「米」ですが、朝食はパン食の過程が増えるなど食生活が変わってきています。農林水産庁の調査によると、主食の割合は、1983(昭和58)年では57.2%が米類でしたが、2003(平成15)年には42.4%まで落ち込んでいます。

一方、同調査によると、パンの消費は21.2%から31.4%と大幅に上昇しており、2011(平成23)年の総務省の調査では、一般家庭におけるパンの消費額が「米」を上回ったとされています。

その背景には、若い年齢層を中心に米よりも気軽に食べられるパンを好む傾向があり、朝食はパンを食べることが浸透していることが挙げられます。また、共働き世帯の増加に伴って、子供だけで食事をする孤食・個食による影響も考えられます。

2011(平成23)年から2014(平成26)年頃までの間、高値となっていた小麦の値段も近年では落ち着き、パン業界はさらなる業界規模の拡大を進めています。

今後の国内市場は縮小傾向か

パン屋業界を取り巻く状況としては、消費者のパン食が増え、業界の市場規模も増加しています。しかし、今後のパン屋業界を考える時、日本の少子高齢化による人口減少で、パン屋業界の市場規模は縮小傾向に転じることが予測されます。

また、学校給食に目を向けてみると、以前はパンが主流とも言える時期もありました。しかしながら、近年ではパンよりも米飯を出す割合が高くなってきており、これも国内のパン屋業界市場を縮小させていく一因になると考えられます。

実際に、国内最大の製パン会社である山崎製パンでは、食パンの他に菓子パン、総菜パンなどの製造・販売をしていますが、今後の国内消費は落ち込むことを予測しています。現在の山崎製パン、フジパングループの海外売上高比率は、10%未満です。

大手製パンメーカーにとっては、今後の海外進出が経営にとって重要なポイントとなるでしょう。ただし、国内のパン屋市場が規模縮小していくと言っても、人口減という要因によるものであって、食文化としてパン食に問題が発生しているわけではありません。

大手製パン会社とは別に、個人で経営するパン屋の人気は依然高く、それに加えてコンビニエンスストアのプライベートブランドのパンも人気で、さまざまなパンがよく売れているようです。パン食が好まれる状況はまだまだ続いていくでしょう。

パン屋の事業売却におけるメリット・デメリット

パン屋業界の特徴としては、自営業で個人経営のパン屋が多くあることです。アルバイトを加えた家族経営をしているのが実情の街のパン屋では、後継者不在などの問題や経営の赤字を理由に事業売却をすることも少なくありません。

事業売却とは、文字どおり「事業を売却すること」です。別称で事業譲渡とも言います。事業売却する場合は、事業の一部を売却する方法と事業の全部を売却する場合があります。また、複数の店舗を持つパン屋が一部の店舗を売却する場合、これは事業売却に該当します。

事業売却はM&Aの手法の1つです。会社を丸ごと売却する会社売却と違って、会社組織は残し、事業だけを売却するのが事業売却です。パン屋の事業売却の場合、厨房の設備や内装などをそのままにして売却する「居抜き形式」によって売買する傾向があります。

M&Aとしては、事業売却によって事業承継がなされたことになるのですが、消費者から見れば、オーナーが交代し、これまで通りパン屋が営まれているようにしか見えません。

事業売却のメリット

パン屋を事業売却することにおいて大きなメリットは、店を潰さずに済むという点にあります。これまで運営してきたパン屋を潰すとなると、店の常連客や取引先、従業員との関係がなくなってしまいます。しかし、事業売却をすれば、これまでどおり、パン屋は存続していきます。

M&Aである事業売却を実施する場合、パン屋の将来性や成長性を含めて事業評価を実施します。現状では赤字経営や債務超過状態のパン屋であっても、将来の事業評価が高ければM&Aが成立する可能性は高まります。

将来性や成長性を見込んで、規模の大きな会社がパン屋の事業を買収することもあり得ます。そうなれば、店を潰さずに済むばかりではなく、パン屋売却後の資金として、まとまった現金を手にすることもできるでしょう。

パン屋に代わる新たな商売の資金とするのか、あるいは年齢的に引退する年齢であるならリタイア後の生活資金とするのか、どちらにしても事業売却金が得られること、そのものもメリットの1つです。

事業売却のデメリット

パン屋の事業売却を決断しても、買収してくれる相手が見つからなければ事業売却は成立しません。営んでいるパン屋を事業売却する時には、希望の条件もあるでしょう。この条件に沿った買い手を見つけるのが難しいのがM&Aです。

できればすぐにパン屋を売却したいと思っていても、買い手が現れないために希望条件を譲歩するケースもあります。譲れない条件は明確にしておきつつ、譲歩できる条件も検討しておかなければなりません。

一般にパン屋の事業売却をする場合の平均的な期間は、3ヶ月から半年程度と考えられます。しかし、譲歩できない条件がある場合は、さらに長い期間がかかるかもしれません。そのことを念頭において、パン屋の事業売却について検討するようにしましょう。

事業売却を実施する場合、会社法において競業避止義務が規定されています。これは、事業売却を行った当事者は、売却した事業と同じ事業を、同一の市町村および隣接する市町村で20年間、行ってはならないという規定です。

事業売却をする際の契約内容の中で、期間や区域など特約を結べば法令どおりにしなくてもよい可能性はありますが、いずれにしても競業避止義務という法令の存在は、忘れずに覚えておきましょう。

また、事業売却を行えば、その対価は所得として課税対象となります。売却当事者が個人事業主か法人かで税金対策も変わります。納税はデメリットではありませんが、節税対策を立てておくに越したことはありません。

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事業譲渡における競業避止義務

事業売却でかかる税金

パン屋の事業売却における注意点

パン屋の事業売却の場合、事業売却しようとしている店の状態を見て、買い手は買収を決断します。したがって、将来性や成長性が感じられるパン屋であったり、何らかの魅力があるパン屋になっていなければ、なかなか買収してくれる会社や個人は現れません。

店の周辺の魅力をアピールする

事業売却しようとしているパン屋の将来性や成長性などの魅力の中に、パン屋の立地や周辺の街の状態などが関係する場合もあります。駅前の人通りの多いところにパン屋があれば、集客が見込めて売上高も良い状態を保てる可能性があります。

このような立地条件は、パン屋のような店舗営業には欠かせない条件でもあり、周辺に住宅街があるという場合やオフィス街がある場合などは、事業評価を高くするポイントになります。

事業評価が高ければ、パン屋を買収しようという買い手も現れやすく、事業売却がスムーズに進む可能性が高くなります。また、住宅街の一角に構えるパン屋の場合は、固定客が付きやすいため安定した収入が見込める、といったアピールもできるのです。

独自商品をアピールする

個人経営や自営業などのいわゆる街のパン屋であれば、必ず人気商品があるはずです。それが、独自のレシピで作られたパンであれば、買収相手には格好のアピールポイントとなるでしょう。個人店のパン屋の中には、あまり立地条件が良くないのに人気のあるパン屋があります。

その理由は、独自のレシピのパンがあること、つまり、そのパン屋でしか売っていないパンを買い求めにやってくる客がいるということです。この点は、他のパン屋と明確な差別化がされていることになります。事業売却するうえで、とても有効となる材料です。

※関連記事

事業売却とは

パン屋の事業売却事例3選

パン屋 ベーカリーのM&A・事業承継
パン屋 ベーカリーのM&A・事業承継

事業売却は、個人経営のパン屋であれば経営者の一存で決められます。しかし、自営業や中小企業のパン屋の場合、上場企業のように経営情報が公開されることはまずありません。そのため、紹介できる事例も仲介会社によって明かされた、実名は伏せられたものしかないのが実状です。

そのような小規模企業のパン屋の事業売却事例と、上場企業による事業売却事例を織り交ぜて紹介します。

サガミチェーンがグループ内のベーカリー事業を売却

東海、関西、関東、北陸で外食チェーンを展開する愛知県のサガミチェーン(当時/現社名はサガミホールディングス)は、2011(平成23)年8月、グループ内でベーカリー事業(パン屋)を展開していた子会社ボンパナの全株式を、愛知県のカドハウスに売却しました。

ボンパナの直前の決算では営業利益が6,400万円の赤字となっており、そのことからサガミチェーンは、グループとして行ってきたベーカリー事業部門を売却し、同部門からは撤退することを決めた模様です。売却価格は1億5,800万円でした。

ベーカリー事業部門を売却

国内に5店舗のベーカリー店を運営していたA社の事例です。別の事業に経営資金を集中させるため、ベーカリー事業部門を事業売却することにしたそうです。そして、買収してくれる会社を探したところ、さまざまな業態で全国にいくつもの店舗を持っている外食企業が手を挙げました。

この外食企業も新たな飲食業態を模索していたところであり、ベーカリー事業を自社で持っていなかったことから、A社のベーカリー部門買収を決定し実行された模様です。

街のパン屋の事業売却

事業売却をしたのは、東京都23区内で1店舗だけ運営している、いわゆる街のパン屋です。買収をした会社は非公開となっていますが、街のパン屋の経営者は「後継者問題の解決」や「他事業展開の強化」を目的として事業売却を検討していました。

お店の強みは、「駅前であること」、「店舗での売上・利益が高いこと」などで、立地条件がよく、周辺に競合店がないことから、年間の売上は約4,100万円、年間の利益は約3,600万円を達成していました。

それらの事業価値を活かして、希望売却額の1,500万円で事業売却することに成功しています。

※関連記事

事業譲渡・事業売却の戦略まとめ!成功・失敗ポイントは?【事例あり】

パン屋の事業売却はM&A仲介会社の専門家に相談

事業売却を検討する理由には、後継者の問題や業績不振などさまざまなものがあります。経営者自身が事業売却を検討していても、買収先が見つからなければ、事業売却は成立しません。個人経営のパン屋が事業売却を実行する早道としては、M&A仲介会社の専門家に相談することをおすすめします。

まずは事前相談

M&A仲介会社は、その言葉どおりM&A仲介を事業としています。事業売却もM&Aの手法の1つですから、M&A仲介会社の業務の範疇です。事業売却を含めてM&Aは、そのプロセスや手続きなどに専門的な知識が必要になります。

情報収集の意味も合わせて、まずはM&A仲介会社に事前相談することをおすすめします。どのM&A仲介会社に相談すればよいかお困りの際には、M&A総合研究所の無料相談をお試しください。M&A総合研究所は、全国の中小企業のM&Aに携わらせていただいています。

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M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!

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まとめ

パン屋の事業売却は、設備をそのまま引き渡せるので、パン屋の経営に興味を示す会社があれば買収実現性は高いはずです。個人経営のパン屋の場合は、パン職人をしながらお店の経営をしているオーナーも多く、後継者がいないなどの理由で、事業売却を考えるケースもあるでしょう。

事業売却については、専門的な知識も必要です。知識不足でせっかくの交渉が破談にならないように、M&A仲介会社のサポートを受けるのが適切でしょう。

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