2022年10月17日更新会社・事業を売る

事業売却でかかる税金

事業売却とは狭義の事業譲渡であり、会社の事業のすべてまたは一部を第三者に売却することです。事業売却にあたっては売り手側にも買い手側にも税金が発生します。本記事では、事業売却での課税の実態を確認しながら、節税対策も解説します。

目次
  1. 事業売却とは
  2. 事業売却のメリット
  3. 事業売却のデメリット
  4. 事業売却で発生する税金①売却側
  5. 事業売却で発生する税金②買収側
  6. 事業売却での節税対策
  7. 事業売却での注意点
  8. 事業売却でかかる税金のまとめ
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事業売却とは

事業売却とはM&A手法の中でも多く用いられるものの1つです。具体的には、会社が行っている事業の全部または一部を金銭などの対価をもって第三者に譲渡する行為のことです。事業売却は事業譲渡の手段の1つですから、狭義の事業譲渡ともいえます。

事業譲渡の手段としては、他に贈与、株式交換などがあります。類似するM&A手法の株式譲渡は、会社の経営権をすべて譲渡する行為です。会社分割も類似していますが、事業売却は会社再編行為ではないため、同じカテゴリーではありません、

このように、事業売却と混同しやすいものは数多く存在しています。その内容も手続き方法が近しいもの、手続きは全く異なるのに結果的にはほぼ同等なものなど千差万別です。一見しただけでは区別がつきにくく、特徴もつかみづらいです。

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事業売却のメリット

事業売却ならではのメリットを、売却側から解説します。同じように事業を切り離す会社分割と事業売却を比べたとき、事業売却では税制の適格要件などを考慮する必要がなく、自由に事業の売却を行えます。

この自由である点が最大のポイントで、残したい資産や人材は会社に残せるうえに、手放したい事業は全て合わせて売却できることがメリットです。不採算部門の売却や会社規模の縮小など、意図に沿って売却できます。

買収側のメリットも、売却側と同様です。必要と思える事業や資産だけを選んで買収できる点が、事業売却でのメリットだといえます。それにより、簿外債務なども引き継がずに済みます。

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事業売却のデメリット

物事は表裏一体といいますが、事業売却のメリットは裏を返すと、それがそのままデメリットになります。すなわち、売却側も買収側も、こと細かに売りたいもの・買いたいものを選別できるので、その手続きに多くの時間と手間がかかります

お互い、どれを売るか・買うかを検討して決め、条件を定め、相手側と交渉・協議し合意を取らなければなりませんが、こうしたプロセスを1つずつ行う必要があるのです。

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事業売却で発生する税金①売却側

事業売却が成立すれば、そこで対価として金銭のやり取りが行われます。これは、会社にとって取引行為です。取引行為であれば、当然ながら課税を受けます。本章では、事業売却時の売却側で発生する税金を系統ごとに解説します。

法人税・事業税・地方法人税・法人住民税

事業売却によって得た売却益は、法人税の課税対象です。法人税が課税される場合、もれなく地方法人税・法人住民税・事業税も課税されることになります。ただし、事業売却の対価全額が課税対象ではありません。譲渡売却対価が譲渡資産の簿価を上回った金額部分にのみ課税されます。

したがって、譲渡売却対価が譲渡資産の簿価を下回る場合は課税されません。下回った金額分は、確定申告時に課税所得額から差し引くことができます。法人税の課税を受ける場合の税率は、事業税・地方法人税・法人住民税を加えて約30~40%が目安です。

消費税

事業売却で譲渡する資産が消費税の課税資産に該当する場合、消費税が発生します。消費税の扱いは少しわかりづらいです。具体的にいうと、消費税の納付は売却側が行いますが、実際に納付額を負担するのは買収側です。

つまり、売却側は事業売却を行う際の対価に課税資産分の消費税を加算して請求します。買収側から支払われた消費税相当分は、売却側が徴収して税務署に納付する手順を踏みます。主な消費税の非課税資産、課税資産は以下のとおりです。

  • 非課税資産:債権、土地、有価証券
  • 課税資産:のれん代(営業権)、棚卸資産、無形固定資産、土地以外の有形固定資産

償却資産税・固定資産税・都市計画税

公租公課である償却資産税・固定資産税・都市計画税が事業売却の対象に含まれる場合、売却前日分までは売却側に支払い義務があります。

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事業売却で発生する税金②買収側

事業売却では、当然ながら買収側にも納税義務が生じます。売却側とは異なる課税を受けるわけですが、本章ではその内訳を系統ごとに解説します。

消費税

事業売却時の消費税負担は、すでに売却側で述べたとおりです。事業売却されるリストのなかに課税資産が含まれていれば、その消費税を支払うのは買収側です。ただし、買収側が税務署に納付するのではなく、請求に基づいて売却側に消費税を支払います。

それを受けた売却側が、徴収した消費税を納付する仕組みです。

償却資産税・固定資産税・都市計画税

公租公課である償却資産税・固定資産税・都市計画税が事業売却の対象に含まれている場合、売却日当日以降分からは買収側が支払います。

不動産取得税・登録免許税

事業売却のリストのなかに不動産が含まれている場合、買収側に不動産取得税が課税されます。併せて、不動産の登記書き換えを行うことになるので、その際は登録免許税も発生します。売却された事業に許認可が必要であった場合、その許認可を引き継ぐことはできません。

買収側で新たに許認可を得る必要があります。したがって、その時に新たに登録免許税を納めることになります。

事業売却での節税対策

本章では、事業売却にあたって節税効果が期待できる代表的な対策を買収側・売却側それぞれの立場に分けて解説します。

売却側

事業売却時の売却側における税負担で最もインパクトが大きいのは、法人税関連です。しかし、他のM&A手法でみられるような、適格要件を満たせば税制上の優遇措置を得られるような制度はないのが実情です。通常の節税対策を徹底させる対応を取ることが、できることのすべてです。具体的には、経費の計上もらしをなくし、課税所得を適正に下げておきましょう。

各種保険や共済などへの加入も経費として認められているので、役員や経営者の退職金積立に類するものなどを積極的に契約するのも良いです。時間的にできるだけの節税対策をする意味では、期首に事業売却を成立させれば、期末までの時間が多くあります。

発想を転換させて、事業売却価格ができるだけ高額となるよう買収側と交渉するのも手段の1つです。それによって、少しでも手元に残る金額を多くするという考え方を取り、相手と交渉してみましょう。

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買収側

事業売却の際、買収側でも売却側と同様に、発生する税金に関して節税する方策はありません。ただし、買収側が譲受されたもののなかに営業権(のれん代)が含まれている場合、営業権は買収側にとって会社全体の節税効果をもたらす場合があります。

具体的にいうと、買収した資産の時価を超える部分の営業権の価額は、5年間の均等償却の条件で課税所得の損金に算入できます。

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事業売却での注意点

事業売却で特に買収側で気をつけておくべきことは、会社売却と比較したときに承継されるものが少ない点です。事業売却で移転できるものは、事業とそれに関連する資産だけです。

事業売却した会社と買収した会社は別会社であるため、事業に関連する対外的な契約や許認可はすべて締結・取得し直さなければなりません。これは、事業に従事する従業員の引継ぎも同様です。

人材を事業売却の対象にはできないため、従業員が買収会社に移籍してくれるよう呼びかけ、説明し雇用手続きを行う必要があります。買収側にとっては、事業売却契約が結ばれればそれで完了ではなく、そこからもさまざまな手配を進めなければいけません。その点を忘れず、見越した事業買収の計画を立てておくことが大切です。

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事業売却でかかる税金のまとめ

事業売却が行われる具体的なケースとしては、後継者不足による事実上の廃業措置、不採算事業の切り離し、主力事業への注力など、その会社の状況によってさまざまです。ただし、いずれの場合でも理由のいかんは問わず、平等に課税されます。

したがって、事業売却後の課税・納税のことまで見すえたうえで、事業売却を行うことが重要なポイントです。

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