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中国でのM&Aは?M&A成功のポイント懸念点を解説

中国でのM&Aは?M&A成功のポイント懸念点を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

目次

    中国でのM&A

    中国でM&Aを行う会社は少なくありません。

    世界第2位の経済大国であり、経済のみならず政治的・文化的な影響力も大きいため、中国は魅力的なマーケットの一つだといえます。

    しかし、日本とは異なる規制も存在しており、何の知識もないままではM&Aどころか、進出することも難しいでしょう。

    今回は中国でのM&Aにスポットを当て、中国の特徴やM&Aを成功させるためのポイントについてお伝えしていきます。

    M&A市場としての中国

    世界最大の人口を誇り、世界第2位の経済大国である中国の存在は、海外進出を考える企業にとっては無視できないものといっても過言ではありません。

    M&A市場としての中国は、リーマンショック以降に一時期低迷しましたが、現在は政府主導の政策もあって、再びM&A市場として拡大を続けています。

    中国のM&A市場の拡大には、中国が法令や規制の改定を行うことにより、投資環境を緩和させたことの影響もありますが、それ以外にも中国の経済政策が関連しています。

    現在中国が行っている経済政策で、代表的な2つあります。

    一帯一路

    一帯一路とは、2014年に中国の国家主席である習近平が発表した経済圏構想のことをいいます。

    一帯一路はいうなれば「21世紀版シルクロード」です。

    一帯一路は中国西部から中央アジア-ヨーロッパを結ぶ「シルクロード経済帯(一帯)」と、中国沿岸部から東南アジア-インド-アフリカ-中東-欧州を結ぶ「21世紀会場シルクロード(一路)」を以て、新たな経済圏を創立し、ルート上に全ての国家との相互理解を実現することが目的となっています。

    中国はこの一帯一路を実現すべく、多くの国家からの支持を獲得しようと交渉を行っています。

    もしこの一帯一路が実現することになれば、世界経済の中心が欧米から東アジアに変わることもありえるでしょう。

    ただ、当然ながら中国ほどの大国が世界経済に影響を及ぼす構想を発表したのであれば、反発する国家も出てきます。

    そのため、習近平は地政学的な影響力の拡大を懸念する国家に向けて「ウィンウィンの関係が基本であること」、「他国の内政に干渉しないこと」、「他国に体制モデルを押しつけないこと」を掲げ、柔軟な姿勢を強調しています。

    しかし、一帯一路の実現に向けての交渉が進められている一方、中国の覇権主義の強化を懸念する欧米からの支持はなかなか得られていません。

    一帯一路実現のための大規模な会議である「一帯一路フォーラム」では、欧米の参加者はロシアとイタリアのみであり、イギリスやフランス、ドイツなどといった主要国は貿易推進事業の関連文書への署名を拒否、インドも使節団の派遣を見合わせています。

    また、一帯一路への支持を取り付ける一環として、アフリカやアジアの発展途上国への政治的影響力を強めるために、多額の融資や支援を実践しましたが、自国の経済力を越える融資により債務危機や、自国の利益に結び付かない支援を嫌った国家が拒否するケースも増えています。

    一帯一路の実現はまだまだ懸念が多く、不安点も少なくありませんが、今後も注目され続けるでしょう。

    国有企業改革(SEO改革)

    中国の国有企業改革も、一帯一路に並ぶ中国の重要な経済政策の一つです。

    元々中国の国有企業政策は1980年代の「経営請負制度の導入」、1990年代の「民営化」、そして2000年代以降の「強大化」、3つのフェーズにわたって行われてきました。

    そして中国は2015年以降に国有企業改革(SEO改革)に着手しました。

    この改革では中国にある112社の国有企業の組織再編、業界再編を実施し、30社~50社ほどにまで減らすことを目標と掲げています。

    この国有企業改革が中国でのM&Aを活発化させている要因となっています。

    国有企業改革の対象となっている事業は軍事工業、電力工業、化学工業、海運業などといったものがあります。

    日本と中国のM&Aの現状

    日本と中国のM&Aの現状はどのようになっているのでしょうか?

    かつては日本企業が続々と中国に進出し、M&Aを行っていた時代がありましたが、2012年以降、日本企業の直接的な投資は減少し、2013年には日中関係の影響もあって日本企業と中国企業のM&Aも減少傾向に入りました。

    しかし、2015年以降はM&Aに関しては件数を徐々に増やしており、回復傾向にあるとみることができます。

    日本と中国のM&Aでは、外交問題の影響や中国の規制の強化などが懸念事項になりがちです。

    具体的には後述しますが、過去に中国で反日デモが激化した頃は、日本企業にも被害が及ぶなど、日本がM&Aで中国に進出しにくい状況は少なくありません。

    もちろん、中国が経済成長を続けた結果、コストが高騰し、新興国に進出するメリットが得られなくなることも、考慮すべき事柄でしょう。

    ただ、一帯一路や国有企業改革もあり、中国が自国の企業へのM&Aに対して緩和政策を取るようになっているため、以前より日本の中国でのM&Aは行いやすい環境になっています。

    また、「爆買い」に代表される中国人観光客の影響力も無視できないものでしょう。

    2014~2015年には中国人観光客の日本への訪問が爆発的に増加し、日本の官公庁の外国人観光客誘致政策も相まって、日本に多大な利益をもたらしました。

    加えて、東京オリンピックによる不動産ブームの到来も中国人を惹きつけており、新たなビジネスチャンスを生み出しています。

    しかし、欧米と中国の対立により、EUが中国企業のM&Aの規制を行ったり、中国とアメリカが互いの企業に規制をかけて攻撃し合うなど、中国の経済政策は決して順風満帆というわけではありません。

    良くも悪くも中国は共産党独裁であるため、意思決定や方針転換が早く、何かしらの問題が発生すれば、おのずと日本企業に影響が及ぶことは充分に考えられます。

    そのため、日本が中国でのM&Aを行ううえで、政治情勢や外交情勢の見極めは非常に重要なポイントになるといえます。

    中国でのM&Aで懸念すべきものは?

    中国でのM&Aにおいて、懸念すべきものは以下のようなものが挙げられます。

    各国の中国への警戒態勢

    さきほども触れたことでもありますが、世界各国の中国への警戒態勢はやはり無視できないものです。

    それが顕著になっているのが、EUが試行している中国事業のM&Aへの規制です。

    この規制は覇権主義を強化する中国への牽制だけでなく、中国への特定の技術・知的財産権の流出を防ぐためでもあります。

    このような規制を実施しているのは、中国との貿易摩擦が発生しているアメリカも同様です。

    アメリカは政府審査をより強化する方針を取り、加えて中国企業であるファーウェイやZTEの製品などを政府調達から排除し、ファーウェイの副会長を逮捕するなど、より強硬的な姿勢を強めています。

    このような事態は、日本にとって決して他人事ではありません。

    そもそも日本は中国に限らず、外国資本が日本企業を買収するケースが少ないため、外資に対する規制が強くありません。

    しかし、日本は中国製品の排除を実行するアメリカに続き、「IT 調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」を発表し、アメリカへの同調姿勢を取りました。

    つまり、アメリカやEUと同じベクトルの方針に転換としたというわけです。

    ただ、中国との関係を重視する政府の意向で、日本はそこまで強い規制は志向せず、あくまで同調姿勢を見せることで中国からの名指しでの非難や反発を避け、なるべく中立的な体制を取っています。

    そのため、中国とのM&Aが阻害されるほどの規制が試行されることはまだないでしょう。

    しかし、今後中国と欧米の対立が激化すれば、日本も中国とのM&Aに影響ができるほどの規制を実施する可能性はあります。

    不透明な中国企業と政府の関係

    多数の国有企業があることからわかるように、中国企業と中国政府は密接な関係にあります。

    しかしその関係性の実態は不透明であり、全てを把握することはできません。

    そもそも中国企業はメディアに対して好意的ではなく、取材を拒否するケースも少なくありません。

    そのため「中国企業が政府とどのような関係性にあるのか」、「その企業の経営戦略と政府の意向に関連性はあるのか」、「投資元はどのようなものなのか」という点については、わからないことが多くあります。

    この不透明さも、欧米の中国や中国企業への警戒心を作っている原因の一つだといえます。

    中国の法律や規制

    中国の法律や規制も、当然ながら懸念すべきものです。

    中国の法律や規制で最もやっかいな点は、明文規定されておらず、表記が曖昧になっていることです。

    その特長が特に顕著なのは中国の会社法(中華人民共和国公司法)と独占禁止法(競争法)です。

    とりわけ独占禁止法、ひいてはそれを執行する独占禁止法当局には注意が必要です。

    過去には、オランダのNXPセミコンダクターズを買収しようとしたアメリカの企業のクアルコムのM&Aに、独占禁止法当局が不承認の裁可を出すなど、M&Aの障害になるケースが発生しています。

    当然ながら独占禁止法当局は中国の政府に属する組織であるため、中国とアメリカの貿易摩擦に対するカウンターとして、M&Aを不承認にしたといわれています。

    本来であれば、政治での対立をビジネスに持ち込み、ましてや政府に関連する組織が妨害するようなことはあってはなりませんが、中国ではそのようなことが発生するリスクは考慮しなければなりません。

    実際に中国でM&Aを行う際には、法律や規制、当局の意向などを意識してスキームの設計を行う必要があります。

    中国でのM&Aを成功させるポイント

    中国でのM&Aを成功させるポイントは以下のようなものがあります。

    中国の情報収集を徹底的に

    とにもかくにも、中国でM&Aを行うのであれば、中国の情報をしっかり収集しておくことが重要です。

    中国は一帯一路の実現や、国有企業改革の推進もあって、国家全体が積極的に諸外国と交渉を行ったり、あらたな法律や規制を施行しています。

    また、施行した法律や規制の改定も行っているため、マーケットの状況や経営環境が突然変化することも珍しくありません。

    そして、これまでお伝えしてきたような中国と欧米の対立や、新たな問題の発生は常に把握しておく必要があります。

    とりわけ中国とアメリカの対立に関しては、日本は何かと板挟みにされることが多く、場合によってはアメリカに同調することもあります。

    最悪、中国が日本を規制の対象になったり、日中関係が悪化するような事態になれば、M&Aを行うことすらできなくなることもあり得るでしょう。

    加えて、中国企業は欧米から「不公正な商慣習」があると非難される傾向があり、日本国内はもちろん、そのほかの海外の企業とやり方が違うことも珍しくありません。

    M&Aでの交渉の際にトラブルが発生するのを避けるうえでも、有益な情報はしっかり集めておきましょう。

    中国でのM&Aに詳しい専門家の協力を得よう

    中国でのM&Aに詳しい専門家の協力を得ることも、中国でのM&Aを成功させるポイントだといえます。

    さきほどもお伝えしたように、中国の法律や規制はあいまいな点もあり、ただ字面通りに受け取るだけではM&Aが上手くいかないこともあります。

    さらに、政府の意向で関連組織が動くこともあるため、法律や規制だけでなく、中国の政治情勢や内部事情に詳しい専門家の協力は必要不可欠だといっても過言ではありません。

    最近は中国に限らず、様々な国・地域への進出が行われているため、M&A仲介会社や経営コンサルティング会社の中には、中国への進出や中国企業とのM&Aに特化している業者も増えてきています。

    そういった業者は中国の法律や規制に詳しいのはもちろん、独自のネットワークを駆使してM&Aが実現できるようにサポートしてくれるため、非常に心強い存在になるでしょう。

    ただ、全ての業者が必ずしも有能というわけではないため、M&Aをサポートしてもらう業者を選ぶ際には、実績や周囲からの評価などをしっかり調べたうえで、依頼をするようにしておきましょう。

    まとめ

    中国は海外でビジネスをしていくうえで決して無視できない経済大国であり、大型の経済政策を行っている以上、様々なビジネスチャンスが眠っている国だといえます。

    しかし中国でのM&Aは政治や外交上での対立や問題が影響してくることが多く、常に政治情勢や中国の内部事情を見極めて行う必要があります。

    一見問題がないスキームを設計したつもりでも、思いもよらない場面で失敗することがあるため、注意しておきましょう。

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