M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年11月17日更新会社・事業を売る
M&Aによる事業承継を成功へ導く!中小企業庁のマニュアル活用法を徹底解説
中小企業庁の事業承継マニュアルは、M&Aを含む事業承継を検討する経営者の必読書です。後継者不在や経営課題を抱える企業が、円滑に次世代へバトンを渡すための知識が満載。本記事でマニュアルの要点を掴みましょう。
目次
事業承継マニュアル
経営者の方は、いずれ経験するのが事業承継です。事業承継は決して簡単ではなく、経営者一人で行うのは困難です。そうしたときに役立つのが、事業承継マニュアルです。事業承継のプロセスは難しいですが、事業承継マニュアルがあれば、何をすれば良いかわかります。この記事では、事業承継マニュアルに関して詳しくご紹介します。
中小企業庁が公開する「事業承継マニュアル」とは?
事業承継マニュアルとは、中小企業庁が公開する事業承継を進める際のマニュアルです。大切なポイントは、以下の事柄です。
- 昨今の事業承継の背景
- 後継者選定および育成のいろは
- 事業承継計画の策定方法
- 事業承継を成功させるためのコツ
事業承継に関してよく理解できていない経営者のために、わかりやすく内容を記載しています。また、事業承継マニュアルは経営者用と支援者用に分かれるため、事業承継を行う立場によって異なる情報や知識を獲得できます。
無料公開の事業承継マニュアルは、「事業承継マニュアル」と検索すれば、すぐに見つけられます。ダウンロードや印刷を行えば、手元に置いていつでも確認できます。
事業承継マニュアルは、中小企業がより円滑に事業承継を遂行するうえで不可欠な資料です。事業承継を控えている、控えていないにかかわらず、経営者は持っておきましょう。
中小企業庁は、事業承継マニュアルのほかにも「事業承継ガイドライン」や「中小M&Aガイドライン」といった、より実践的な資料も公開しています。特に「中小M&Aガイドライン」は2023年9月に第2版へ改訂されており、最新のM&A動向を反映した内容となっています。これらの資料も併せて活用することをおすすめします。
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中小企業庁が実施する事業承継支援
なぜ国は事業承継マニュアルを作成したのか?その背景を解説
以前は事業承継マニュアルのような、国が無料で経営者のために資料を配布する事例はありませんでした。では、どうしてこうした取り組みが必要となったのでしょうか。ここでは、事業承継マニュアルが必要となった背景についてご紹介します。
経営者の高齢化・後継者不足
昨今日本社会では、少子高齢化が進んでいます。多くの中小企業では、団塊世代の経営者が高齢を理由に引退を考えています。後継者を選定して、事業承継の準備を進める人も少なくありません。
事業承継の必要性が高まる一方、深刻化しているのが後継者不足です。東京商工リサーチの2023年の調査によると、休廃業・解散した企業の代表者の年齢は60代以上が8割を超えています。また、後継者が見つからない「後継者難」を理由とした倒産も増加傾向にあり、中小企業にとって喫緊の課題となっています。
さらに、大半の中小企業は、経営者によるワンマン経営で成立しています。そのため、事業を引き継げる後継者が育っていない、あるいは育ちにくい状態というケースも多いです。
そもそも中小企業では、慢性的に人材不足に陥ることが多いため、後継者にすべき人材が不足する状態が大半です。そのため、後継者に家業を継がせるプロセスが成立しません。「どのように事業承継を行えば良いのか」「どのような事業承継が適切なのか」と悩む経営者が増えています。
そのような経営者に新たな道を提示するのが、事業承継マニュアルです。事業承継マニュアルでは、後継者不足に悩む中小企業のために、後継者の選定・育成方法について丁寧に解説しています。
M&Aによる事業承継方法の変化
昨今の事業承継には、後継者が家業を継ぐ方法以外にM&Aの方法があります。かつては会社売却による事業承継に多くの経営者が抵抗感を抱いていたため、M&Aにネガティブなイメージを持っていました。
しかし現在、M&Aは後継者不在問題を解決し、従業員の雇用や取引先との関係を守るための有効な経営戦略として広く認知されています。2024年以降も、事業の成長や存続を目指す手段として、M&Aによる事業承継の活用はさらに加速すると予測されます。
事業の存続やより良い発展に活かせる方法として、定着しています。後継者不在で事業承継ができない、会社の経営悪化により存続が厳しい、という企業がM&Aを実施した結果、課題が解決したケースも多いです。つまり、何らかの事情で事業承継が難しい企業でも、M&Aを活用すれば自社を存続できる可能性が高まります。
ところが、M&Aは決して簡単なものではありません。M&Aは会社同士が実施する立派な取引です。事業承継のために会社を売却したくても、買い手がその会社に魅力を感じなければM&Aは成立しません。M&Aが取引である以上、確実に会社売却を成功するには、それなりの知識や手法を学ぶ必要があります。
また、税務や会計に関する専門的な知識を取り入れる必要もあります。知識が全くない状態でM&Aに挑んでも、成功する確率はほとんどありません。事業承継マニュアルには、昨今増えているM&Aを用いた事業承継の情報も記載しています。M&Aの手法や注意点、サポートを行う相談先の紹介などが記してあり、非常に有用です。
事業承継が難しい
事業承継は、経営権の移転だけでなく、自社の強みや課題を可視化する「磨き上げ」から始まり、後継者の選定・育成、株式譲渡、法務・税務手続きまで、多岐にわたるプロセスが必要です。準備期間は5年から10年かかるといわれており、計画的な準備が欠かせません。
M&Aを用いて事業承継する場合も同様です。
買い手が見つかり交渉がまとまるまでに、数ヶ月~1年近くかかるケースも珍しくありません。このように、事業承継は長期的な視点に立って実施すべきものです。知識がなければ、事業承継のプロセスのどこかで手詰まりになります。
後継者選定・育成がうまくいかなかったケースや、実務的な手続きに追われて後継者育成や組織再編ができなかった事例もあります。事業承継の難しさが、事業承継の失敗の原因の一つになっています。しかし事業承継マニュアルでは、難しい事業承継のプロセスをわかりやすく解説しています。
そのため、「何から準備したら良いのか」「何を重視すれば良いのか」がひと目でわかります。事業承継を考える際は、まず事業承継マニュアルを読みましょう。そうすれば、その後の計画策定をスムーズに進めやすくなります。
中小企業の価値が向上
昨今は、国全体で中小企業を重視する施策を立てています。事業承継マニュアルは、その施策の一環です。中小企業は日本経済の屋台骨といっても過言ではなく、貴重で優れた技術やノウハウ、知識、設備、商品などの宝庫です。また、中小企業は雇用を生み出す源泉でもあり、才能ある人材を活躍させる場でもあります。
地方であれば地元に根差す中小企業が多く、地域経済を活性化する中心です。とりわけ飲食店、医院、小売店などの零細企業や個人事業主であれば、地元の人々の生活に欠かせない存在です。しかしそのような中小企業が後継者不足などで事業承継に失敗し、廃業するのが昨今の現状です。
これは日本経済において、重要な損失です。中小企業の廃業が進行すると、優れた技術やノウハウが逸失し、雇用を生み出す源泉が減ります。また、地域の生活に影響する恐れがあります。そのため、国全体が優良な中小企業を一つでも多く存続させるため、さまざまな取り組みを実施しています。
M&Aによる事業承継をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。専門知識や経験が豊富なアドバイザーが専任につき、親身になってフルサポートいたします。
通常のM&A取引は交渉から成立まで半年から1年程度かかるものですが、M&A総合研究所ではスピーディなサポートを行っており、最短3ヶ月での成約実績も有しています。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
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後継者と事業承継
事業承継マニュアル(経営者向け)の構成とポイント
ここでは、事業承継マニュアルの各章の内容を大まかに解説します。今回は、経営者向けの事業承継マニュアルについてです。事業承継マニュアルを読むときの参考にしてください。
第1章「アウトライン」
事業承継マニュアル第1章の「アウトライン」では、事業承継に関する最近のデータや経営者が抱える問題、事業承継を行ううえで最初に押さえるポイントなどを記しています。この章を読めば、事業承継の重要性や自社の状態を把握できます。
第1章の7ページに、事業承継を実施する前に経営の理念や価値観を明文化する目的で作成する、経営レポートの書き方も記しています。従業員に経営の理念や価値観を共有するうえでも役立ちます。
第2章「事業承継計画」
第2章の「事業承継計画」では、事業承継計画の策定方法を具体的に解説しています。事業承継計画は、会社の現状分析から始まり、事業承継の時期や後継者、承継方法などを定めたロードマップです。特に、2026年3月末までに特例承継計画を提出することで適用が受けられる「特例事業承継税制」の活用を検討する場合、この計画策定が最初の重要なステップとなります。
経営者・会社・後継者が、事業承継のためにどのように動くか決める指針です。事業承継するにあたり、この章は精読するべきです。
第3章「事業承継を成功させるアクション」
第3章「事業承継を成功させるアクション」では、下記の内容を記載しています。
- 事業承継のプロセスの具体的な解説
- 後継者選定・育成方法
- 税務面、資金調達面でのアドバイス
- M&Aを行う際のプロセスや留意点
「事業承継をどのように実施するのか」「考えられる問題をどのように対応するか」を知るうえで、不可欠な知識です。また、第3章では、事業承継をサポートする公的な機関や施策にも触れています。いざというときにサポートを得る指針にもなります。
事業承継マニュアルは、中小企業のみならず個人事業主の事業承継についても触れています。第3章は全体的に幅広く、網羅的に解説されており、第2章と合わせて精読しておきましょう。
第4章:中小企業の事業承継をサポートする公的機関や専門家
第3章でも触れた事業承継の相談先を、より詳しく記述したのが第4章「中小企業の事業承継をサポートする取組」です。事業承継の相談先として、事業引継センターや中小企業再生支援協議会などの公的機関を紹介しています。また、公的機関のURLも記載してあるため、すぐにホームページを調べられます。
他にも商工会議所の紹介、税理士・弁護士・公認会計士・中小企業診断士など、事業承継の手助けを行う専門家を紹介するサイトも記載しています。相談したいときにすぐに調べられる構成となっています。
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中小企業庁が実施する事業承継支援
M&Aによる事業承継を成功に導く3つのポイント
M&Aによる事業承継を検討する際は、マニュアルの知識に加えて、成功確率を高めるためのポイントを押さえることが重要です。
1. 専門家への早期相談
M&Aによる事業承継は、法務、税務、会計など高度な専門知識が求められます。自社だけで進めようとすると、不利な条件での契約や思わぬトラブルにつながるリスクがあります。M&A仲介会社や弁護士、税理士といった専門家に早期に相談し、客観的なアドバイスを受けながら進めることが成功の鍵です。
2. 企業価値の客観的な把握と向上(磨き上げ)
M&Aを有利に進めるには、自社の価値を客観的に評価し、買い手企業にとって魅力的な状態に高めておく「磨き上げ」が不可欠です。強みや独自技術を明確にしたり、不要な資産を整理したりすることで、企業価値は向上します。専門家による企業価値評価(バリュエーション)を受け、自社の現在地を正確に把握しましょう。
3. M&Aプラットフォームや公的機関の活用
近年では、オンラインで売り手と買い手をマッチングするM&Aプラットフォームが普及し、M&Aの選択肢が広がっています。また、各都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」では、M&Aに関する無料相談や専門家紹介を行っています。これらのサービスをうまく活用することで、最適な相手先を見つけやすくなります。
まとめ
事業承継は簡単ではありません。専門家の知見も仰ぎながら、長期的に遂行する必要があります。そのため、経営者単独で知識も手立てもないまま挑んでも、成功する可能性はほとんどありません。事業承継マニュアルは、事業承継を成功させるうえで非常に役立ちます。経営者であれば、手元に置いておきましょう。
要点をまとめると、下記になります。
・事業承継マニュアルとは?
→中小企業庁が作成した事業承継に関するマニュアル
・事業承継マニュアルが必要な背景は?
→後継者不足、事業承継方法の多様化、事業承継が難しい、国が中小企業を重要視
・事業承継マニュアル(第1章)は?
→事業承継を行ううえで最初に抑えたいポイント
・事業承継マニュアル(第2章)は?
→事業承継計画の策定方法
・事業承継マニュアル(第3章)は?
→事業承継を成功させるアクション
・事業承継マニュアル(第4章)は?
→中小企業の事業承継を支援する取り組み
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。