2021年4月21日更新事業承継

中小企業庁が実施する事業承継支援

中小企業庁は、中小企業が円滑に事業承継を実施できよう、税金や資金面などの支援を行なっています。また、中小企業庁が策定した事業承継ガイドラインも、事業承継を実施するうえで有益な指針となります。この記事では、中小企業庁が実施する事業承継支援について解説します。

目次
  1. 中小企業庁の事業承継支援
  2. 中小企業に関する概要
  3. 事業承継に関する概要
  4. 中小企業庁が支援せざるを得ない現状
  5. 中小企業庁が実施する各種支援策
  6. 事業承継のリスク
  7. まとめ
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中小企業庁の事業承継支援

中小企業庁の事業承継支援

会社の経営者は、将来自分の代の終わりを迎えます。年齢的にも、市場の流れ的にもいつまでも現役ではいられません。

その際、会社を他の誰かに承継するか、会社を畳むしかありません。選択するのは簡単ですが、事業承継も廃業も簡単ではありません。

特に事業承継を選択した場合、しかるべき手順を踏んで条件が揃わなければ実行できません。現在、中小企業が事業承継を実施する際には様々な問題があります

そうした事態を踏まえ、中小企業庁は事業承継の支援を行なっています。今回は、中小企業庁の行う事業承継支援策を紹介します。

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中小企業に関する概要

中小企業に関する概要

中小企業基本法によると、中小企業は業種によって以下の4種類に分類されています。

  • 卸売業…資本金1億円以下、従業員100人以下
  • サービス業…資本金5000万円以下、従業員100人以下
  • 小売業…資本金5,000万円以下、従業員50人以下
  • 製造・建築・運輸・その他業種…資本金3億円以下、従業員300人以下

つまり中小企業とは、上記のいずれかの条件を満たしている会社です。日本国内では、全体のおよそ99.7%を中小企業が占めています

したがって、我が国の経済は中小企業が支えているといっても過言ではありません。中小企業庁は、日本の経済を支える各企業を様々な面からサポートしています。

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事業承継に関する概要

事業承継に関する概要

事業承継とは代表者の交代に伴い、現在営んでいる会社や特定の事業を他者に引き継ぐ行為です。事業承継は大きく3つの方法があります。

現在の代表者の親族に承継する方法、社内の優秀な従業員に承継する方法、M&Aで第三者に引き継ぐ方法です。

一昔前であれば、親の会社はその子供が継ぐイメージがありました。しかし現在では、親族内承継は40%程度となっています。その理由には、以下の要因があります。

  • 子供に自由な職業について欲しいと考える経営者の増加
  • 事業承継する後継者が見つからない

上記要因の背景には、人口の減少に伴う労働者自体の減少があります。したがって、取引関係のない会社や個人への事業承継が増え、M&Aの使用頻度が高まっています。中小企業も同様であり、現在は代表の交代などに伴ってM&Aが利用されています。

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中小企業庁が支援せざるを得ない現状

中小企業庁が支援せざるを得ない現状

後述しますが、中小企業庁は事業承継に対して様々な支援を施しています。なぜなら、各企業が独力で事業承継問題を解決するのが困難だからです。現在、中小企業が事業承継を実施するのは非常に難しいです。しかし、経営者の多くが今の会社を引き継ぎたいと考えています。

55歳以上に限定すると、事業承継を希望している経営者は、96.4%にまで上ります。しかし、事業承継の需要に対して労働人口が追いついていない、後継者がいないのが現実です。また業績不振を理由に、資金的な問題で廃業を余儀なくされるケースもあります。

つまり、望めば誰しもが会社を売却できるわけではないということです。さらに言えば、M&Aの実行により企業の安定を得られるわけでもありません。一方で、経営者全体の4.9%は事業承継を選択せずに、自分の代で会社を終わらせたいと考えています。 

その理由として、債務超過や後継者不足、市場の需要への不安などがあります。理由を見れば分かるとおり、中小企業の経営者は適切な後継者さえいれば、事業承継をしたいと考えています。ただ単に事業承継を実行するのは可能ですが、会社は経営を続ける必要があります。

さらに言えば、経営を安定させて利益を生み出さなくては倒産となってしまいます。しかし具体的な指針がないと、独力で事業承継を成功させるのは困難です。その指針を示すために、中小企業庁が事業承継に関する各種支援を実行しています。 

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中小企業庁が実施する各種支援策

中小企業庁が実施する各種支援策

前述した問題を受けて中小企業庁では、事業承継に対する支援策を立てています。中小企業庁の公式ホームページにて、事業承継を実施する際の支援策を4種類に分類して掲載しています。

①全体版

全体版では、以下の事項などが紹介されています。

  • 事業承継の需要性
  • 事業承継を進める手順 
  • 計画書の作成方法 
  • 事業承継の種類

大前提として中小企業庁の事業承継支援を知る前に、まずは経営者本人が事業承継に前向きであることが重要になります。全体版の記載事項は、中小企業の事業承継において初歩的なステップです。 

②税制版

中小企業に限らず、事業承継を実行する際には相続税と贈与税の納税が必須です。しかし、特例によってその相続税や贈与税が免除になるパターンがあります。特例適用を受けられると、大きな節税効果が生まれ、より円滑に事業承継を実施できる可能性があります。

この特例は、中小企業に限定されています。また、他にも特定の条件を満たしている必要があります。この特例を活用すれば、通常よりも少ない税金で事業承継を実行できます。

他にも中小企業庁のHPには、納税猶予を受ける手続きの方法や必要になる書類なども掲載されています。多くの場合、中小企業経営者の所有する資産は会社のみです。そのため、相続税や贈与税が高額になりがちです。しかしこの支援を受ければ、事業承継後も円滑に会社を運営可能です。

③民法版

主に、民法の遺留分についての支援内容が紹介されています。遺留分とは、経営者が亡くなった際、その遺族に最低限保証されている相続の権利です。この遺留分は、時に相続紛争の原因となります。また自社株の価値が上がり、予想以上の遺留分を要求されるケースもあります。

遺留分を巡って起こる問題を考慮し、後継者を選べない経営者もいます。しかし、事業承継を妨げないために、民法では遺留分に関する特例を設けています。中小企業庁のHPでは、特例を受けるために必要な手順や要件を掲載しています。 

④金融版

中小企業庁では、事業承継を検討している中小企業に対して資金融資を実施しています。円滑に事業承継を実行するには資金が必要です。ですが、税金などを支払っていると資金が不足する可能性があります。

また、経営者の交代に伴って取引を中止する取引先も出てくる可能性もあります。したがって、事業承継後しばらくは経営が安定しないケースがほとんどです。そのため中小企業庁では、事業承継で活用可能な信用保証付きの低金利で受けられる融資を設けています。

金融版では、融資を受けるための認定手続きや条件を紹介しています。上記のとおり中小企業庁では、中小企業の経営者がより円滑に事業承継を実施できるために支援しています。事業承継を円滑に実施すれば、後継者が抱える問題がかなり減少します。

この他にも中小企業庁では、「事業承継ガイドライン」を策定しています。中小企業が事業承継を実行するために必要な手順や、事業承継の影響などが掲載されています。

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事業承継のリスク

事業承継のリスク

事業承継は、企業の経営を後継者に引き継いで存続させるための方法です。しかし、事業承継は多くの企業の大きな課題となっています。そこでここでは、特に後継者に関する注意点についてお伝えしていきます。

①後継者の確保

企業の経営が事業承継後に傾くというケースは少なくありません。その原因の一つに、後継者問題があります。経営の資質がある後継者が見つかる前に事業承継を進めると、このようなケースになりがちです。

後継者がいないというリスクは、前任の経営者が優秀であるときほど高まります。企業がその経営者に依存してしまい人材が育ちにくくなるからです。後継者の確保には、経営者が育てる意識を持つことが重要になります。

業務分担をしたり経営の知識がある部下を側に置いたり、または部下の自主性に任せて仕事をさせる、そして得意先との重要な商談に同行させたりして、後継者の顔を売り込みましょう。後継者育成は短期間ではできないため長期的な視野で着実に育てていきます

また、後継者の社会的信用があまりないというケースもあります。経営者の信用により金融機関やスポンサーは資金を融資してくれたり、契約をしたりしてくれます。しかし、後任者の社会的信用がなければ融資を打ち切られて経営に影響してしまうこともあります。

融資については「中小企業信用保険法の特例」で解決できるでしょう。中小企業信用保険法の特例が認められれば、信用保証協会の保証する金額上限が大きくなります。また「日本政策金融公庫」や「沖縄振興開発金融公庫」などを利用して融資を受ける方法もありますが、経済産業大臣の認定が要るため手続きは早めにしましょう。

また、事業承継後も企業の信用を保つために、周りから信頼のある前任者が後任者を評価しながら紹介して丁寧な引継ぎを行えば認めてもらいやすくなります。

②M&Aでの買い手の選択

多くの企業が事業承継の方法としてM&Aを選んでいます。後継者がいないケースや業績が下がって企業の存続が難しいケースなどでは、別会社からの買収で存続する道ができます。ただ、M&Aでの買い手の選択がとても重要です。

間違った選択をしてしまえば買収後に売り手企業の跡形がなくなることもあります。事業承継が目的で企業を売る場合は、買い手企業との意思確認をしっかりと行う必要があります。まず、買い手の目的を聞きます。拠点を得るためや従業員を増やすためにM&Aを行う企業も多いからです。

売り手の事業に関心があり買収してからも残そうとしてくれる企業かどうかを確認し、買収後の経営についても確認します。

今までの事業を評価してくれる買い手の場合は、M&A後でもあまり社風は変わらない可能性が高いと言えます。ただ、たくさんの条件を設定してしまうと買い手が見つからなくなるため、条件の優先順位を決めることもポイントです。

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まとめ

まとめ

中小企業の事業承継問題は年々深刻化しています。事業承継したくても出来ずに廃業してしまう中小企業は少なくありません。この問題を踏まえて中小企業庁は、様々な事業承継支援策を実施しています。中小企業庁の支援策は、事業承継を実施する上で非常に有効です。

要点をまとめると下記になります。

  • 中小企業の事業承継に関する現状 

→近年の後継者不足問題などを理由に、M&Aを活用して自社の売却を行うケースが増加している

  • 中小企業庁の役割 

→事業承継を円滑化するための支援実施や指針の提示

  • 中小企業庁が実施する各種支援策

 →中小企業庁は、基本的な部分から税金、民法、融資などの面で支援策を実施している

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