2022年6月6日更新事業承継

人材確保の課題と対策

中小企業にとって、人材確保の問題は優先して解決すべき課題です。人材確保のためには、多面的なアプローチを経営者が主体的に実施する必要があります。この記事では中小企業における人材確保の現状、課題、対策や取り組みについて解説します。

目次
  1. 人材確保
  2. 中小企業における人材確保の現状
  3. 中小企業が抱える人材確保の課題
  4. 人材確保の困難による中小企業への影響
  5. 人材確保の対策・取り組み
  6. 中小企業の人材確保に役立つ助成金
  7. 人材確保の成功事例
  8. まとめ
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人材確保

高齢化による人口減少やグローバル化の影響により、人材確保に課題を抱える中小企業が増加しています。十分な人材確保ができなければ、良い経営戦略を立てても実行できないため、人材確保の取り組みは中小企業に欠かせません。

この記事では、人材確保の課題や取り組みについてご紹介します。人材確保に悩む中小企業の経営者は必見です。

中小企業における人材確保の現状

中小企業白書によると、全中小企業の半数近くが人材不足を感じています。今後事業を成長・拡大させたい中小企業にとって、人材不足は非常に深刻な課題であり、人材不足が成長の制約要因です。

近年中小企業では仕事量の増加や従業員の高齢化が進んでおり、人材確保が最優先すべき経営課題です。仕事量の増加や従業員の高齢化に対応できず、事業継続が困難となる恐れもあります。事業を継続・拡大するためにも、中小企業は人材確保に向けた取り組みが急務です。

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中小企業で深刻化する人材不足!原因と対策をご紹介

中小企業が抱える人材確保の課題

中小企業庁は人材確保の課題を把握するために、人材確保ができている企業とできていない企業の各特徴について調査しました。その結果、人材確保ができていない中小企業には、下記の課題が判明しました。

人材確保のノウハウや手段

顕著な課題として浮かびあがったのが、人材確保のノウハウや手段です。多くの中小企業では、採用手段や情報発信力に課題を抱えています。中小企業はハローワーク、教育機関、知人の紹介などの手段により、新卒・中途採用を実施する傾向があります。

ハローワークは人材確保の手段として人気がありますが、人材の少なさや質の低さ、人材の定着率の悪さなどの課題があります。一方で教育機関や知人の紹介には、人材の質は悪くなくても人材数が非常に少ないです。

つまり、従来の人材確保手段では、中小企業の抱える課題を十分解決できません。他社と異なる採用手段や積極的な情報発信により、優秀な人材を数多く集める必要があります。

労働条件

次に大きな課題が、労働条件です。労働条件とは労働時間や職場環境、休暇制度をさします。中小企業の多くは人手不足のため、労働時間や休暇制度は大企業と比べて不利なケースが多いです。

特に十分な休暇を取れないケースが多く、それが理由で人材が定着しない中小企業も少なくありません。労働時間の長さも離職の理由に直結するため、解決すべき課題の一つになっています。

賃金

大企業と比べると、中小企業の賃金水準は低いです。優秀な人材は高賃金な大企業に転職・就職するため、人材確保が困難となります。十分な賃金を与えるのが難しければ、労働条件や福利厚生などを充実して、不満を解消する必要があります。

福利厚生

住宅手当や子育て支援などの福利厚生は人材確保に欠かせませんが、中小企業は十分な福利厚生を整備できていません。労働人口の多い女性を確保するには、子育てや各種手当の整備が欠かせません。中小企業が人材確保を行うには、福利厚生を軽視できません。

近年は福利厚生をアウトソーシングして、外部の制度を自社で活用できます。アウトソーシングすれば、一から制度を整備する手間や費用がかかりません。

教育制度

人材確保が困難である理由に、教育制度があります。人材確保ができても、人材を教育する制度がなければ意味がありません。将来会社を担う人材を育てるためにも、研修制度などの教育制度を整備しなくてはいけません。

中小企業は人材が少ないため、トップ層と新卒社員が近い距離で働ける環境です。経営者が直に人材を育成できるため、社員にも会社にもメリットが生まれます。

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人手不足はなぜ起こる?原因や対策をご紹介

人材確保の困難による中小企業への影響

人材確保の困難さにより、中小企業にどのような影響が生じているのでしょう?中小企業にとって、満足のいく人材確保は困難です。しかし、人材確保の課題を解決しなければ、会社に悪影響が起こります。人材確保を放置して人材不足に陥れば、生産性向上や新事業展開、研究開発に支障をきたします。

中小企業庁の調査では、新事業展開における課題として人材不足と答えた企業が最も多い結果となっています。研究開発や新事業展開、生産性向上を遂行するには、人材確保を最優先に実施する必要があります。

最近では、人材確保を目的としてM&Aを行うケースも増えています。M&Aであれば欲しい人材を持つ会社を買収できるため、効率的に人材確保ができます。

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人材確保の対策・取り組み

この項では、人材確保に向けた具体的な対策や取り組みをご紹介します。人材確保の対策・取り組みは、採用管理、定着管理、就労条件、経営理念に大別されます。

採用管理

人材確保で、最優先に実施すべき対策は人材の採用です。人材の採用を効果的に実施するには、募集と選考について対策を講じる必要があります。

募集

人材確保には、求人募集の際に下記の対策を講じましょう。

  • 求人媒体を工夫
  • 求人の表示内容を工夫
  • 採用形態の見直し
  • SNSなどによる情報発信

採用したい層へ魅力的な求人を行いつつ、求職者のニーズに合う採用形態にすれば有効的です。

選考

選考時に下記の取り組みを実施すれば、人材確保に効果的です。

  • 雇用人材の範囲拡大
  • 面接で仕事内容や条件などを詳しく伝える

採用人材の範囲を拡大しつつ面接で実態を詳細に伝えれば、効率的な人材確保につながります。

定着管理

定着管理とは、採用した人材を離職させない取り組みです。離職数の多さを理由に人材確保が困難であれば、「配置・配属」「評価」「教育訓練」の観点から対策しましょう。従業員の意向や能力を考慮した配置、成果や努力に見合う正当な評価、従業員が成長を実感する研修や教育などが、人材確保に有効です。

就労条件

就労条件とは、労働条件や労働環境、福利厚生などをさします。人材確保を図る際は、各方面からの対策・取り組みが必要です。

労働条件

下記取り組みや対策により人材採用や定着の効果が期待でき、人材確保につながります。

  • 納得できる賃金水準に変更
  • 過大な労働時間を是正
  • 休暇を取得しやすくする

近年はワークライフバランスが重視されているため、中小企業も重視する必要があります。

労働環境

以下の取り組みにより、労働環境の改善を図りましょう。

  • 仕事の効率化
  • 多様な働き方を容認

労働条件が良くても、働き方に制限があったり仕事が非効率であったりすれば、従業員の離職を招く恐れがあります。

経営理念

人材確保の根本的な課題として、経営理念が背景にあります。従業員が会社の経営理念に共感するか否かで、離職率や採用率が変わります。会社の経営理念を明確化し、従業員との共有・理解を促すことが大切です。

中小企業の人材確保に役立つ助成金

ここからは、中小企業の人材確保に役立つ助成金を3つご紹介します。

①人材確保等支援助成金・人事評価改善等助成コース

人事評価の改善により、生産性向上や離職率低下を図る中小企業を対象とした助成金です。人事評価制度など整備計画を作成し、管轄労働局の認定を受けることが助成金の受給条件です。他にも生産性向上や賃金の増加、離職率低下の具体的な数値目標が課され、その目標を達成する必要があります。

②人材確保等支援助成金・設備改善等支援コース

生産性の向上につながる設備導入により、賃金水準や生産性の向上を図る中小企業を対象とした助成金です。計画達成時点と目標達成時点でそれぞれ助成金を受け取る点が、この人材確保助成金の特徴です。

③人材確保等支援助成金・中小企業団体助成コース

中小企業で構成する組合が労働環境向上を図る目的で事業を行う場合に、助成金を支給する制度です。都道府県知事や労働局長の認定を受けた計画を基に事業を実施すれば、助成金を受け取ることが可能です。助成金は、600万円から1,000万円と比較的高額です。

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人材確保の成功事例

カネテツデリカフーズは、2017年から入社2、3年目の若手社員を指導員として、約半年間新入社員にマンツーマンで指導する新入社員指導員制度を取り入れました。

指導員と新入社員の話し合いにより、毎月指導計画書を作成します。勤務態度、技能・知識、安全・衛生について目標を決め、月末毎に指導員と所属長がフィードバックを行います。

所属長や人事総務課など全員で新入社員を育て、毎月のフォローアップや教育研修、人事面談を実施して新入社員の様子を把握しました。その結果、入社3年以内の離職率が約50%から約10%へと減り、離職率を改善しています。

まとめ

中小企業で深刻化する人材確保の課題をお伝えしました。中小企業にとって人材確保は、新事業や研究開発を実行するうえで優先して解決すべき課題です。人材確保には、多面的なアプローチを経営者が主体的に実施する必要があります。国の支給する助成金も随時活用しながら、人材確保に向けて対策しましょう。

要点をまとめると下記になります。

・中小企業における人材確保の現状は?
→半数近くの中小企業で人材不足を感じており、人材確保に向けた取り組みが必要

・中小企業が抱える人材確保の課題とは?
→人材確保のノウハウや手段、労働条件、賃金、福利厚生、教育制度

・人材確保の困難による中小企業への影響は?
→生産性向上や新事業展開、研究開発などに支障が生じる

・人材確保の対策や取り組みは?
→採用管理、定着管理、就労条件、経営理念に対する対策・取り組みが必要

・中小企業の人材確保に役立つ助成金とは?
→設備改善や人事評価などさまざまな分野・取り組みに対して助成金を支給

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