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会社分割における不動産取得税

会社分割における不動産取得税

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

目次

    会社分割における不動産取得税

    会社の一部分を自社から切り離す際、会社分割と呼ばれる手法を活用します。

    あらゆる資産や権利を移転する会社分割では、不動産を移転するケースもあります。

    通常不動産を取得する側は、不動産取得税を納める必要があります。

    では、会社分割では不動産取得税は課されるのでしょうか?

    この記事では、会社分割における不動産取得税に関して解説します。

    不動産取得税と併せて、登録免許税についても解説します。

    会社分割と不動産取得税

    まず初めに、会社分割と不動産取得税について、最低限知っておきたい部分をご説明します。

    ⑴会社分割とは

    会社分割とは、ある企業が事業の一部門を切り離し、それを第三者に移管するM&Aの方法です。

    事業を移管する側を分割会社、移管される側を承継会社と呼びます。

    対価は株式で交付されるケースが多いですが、対価を誰が授受するかにより、会社分割は分類されます。

    分割会社自体が授受する場合は分社型分割、分割会社の株主が保有する場合は分割型分割と言います。

    対価の受け取りとは別に、分離した事業をどこに移管するかによって、新設分割と吸収分割に分類できます。

    前者は新規設立する会社、後者は既存他社に事業を移管します。

    会社分割は種類が多く、それぞれ手続きが異なります。

    他のM&A手法と比較すると、会社分割の手続きには時間と労力がかかります。

    債権者や株主に少なからず影響を与え得るので、債権者保護手続きや事前・事後開示等の手続きが求められます。

    株主総会を開催し、特別決議による承認を得る必要もあります。

    クロージングまでには少なくとも1ヶ月かかるので、会社分割の計画にはゆとりを持たせる事が大切です。

    グループ内再編を目的に活用されるケースが一般的ですが、事業売買の目的で利用される事もあります。

    事業譲渡と比べると、雇用契約や資産等の引継ぎをスムーズに遂行可能なメリットがあります。

    実際に会社分割を行う際にはM&A総合研究所にご相談ください。
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    ⑵不動産取得税とは

    不動産を売買や贈与等により取得する際、取得する側には税金が課されます。

    この時課される税金を不動産取得税と呼び、国税ではなく地方税に分類されます。

    不動産取得から約半年後〜一年半後までの間に、各都道府県から納税通知書が届きます。

    納税通知書を用いて銀行等から納税する訳ですが、納税期間は各地方自治体によって異なります。

    会社分割により不動産の所有権が移転する場合、原則不動産取得税は支払わなくてはいけません。

    グループ内再編が目的の会社分割であれば、不動産所有権の移転は形式的なものに過ぎない為、不動産取得税が課されることは非合理的です。

    適格会社分割に該当すれば、不動産取得税は非課税となります。

    次項にて、不動産取得税が非課税となる会社分割の条件を、詳しくご紹介します。

    ※関連記事

    会社分割とは?手続きやメリット・デメリット、事業譲渡との違いを解説

    会社分割で不動産取得税が非課税になる要件

    適格会社分割であれば、不動産取得税は例外的に非課税となります。

    では、適格会社分割の条件(不動産取得税が非課税となる条件)は、一体何でしょうか?

    この項では、不動産取得税が非課税となる会社分割の要件を紹介します。

    ⑴金銭等不交付要件

    不動産取得税を非課税とする為には、会社分割の対価は分割会社の株式である必要があります。

    グループ内再編であれば、株式を対価とするケースが通常です。

    金銭等の交付がある場合、グループ内再編ではなくビジネスの売買であると見なされ、不動産取得税が課されます。

    事業の売買が目的ですと、原則金銭を対価とする為、この要件をクリア出来ない可能性があります。

    ⑵主要資産引継要件

    会社分割の対象事業に属する主要な資産は、会社分割により引き継がれなくてはいけません。

    資産のみならず負債も引継ぎ要件に含まれており、都合の良い部分のみ移管する際には、不動産取得税が発生します。

    ⑶事業継続要件

    会社分割の対象事業は、会社分割後も承継会社側で引き続き運営される必要があります。

    事業を従来通り継続すれば、会社分割後も不動産取得税は課税されません。

    ⑷従業員引継要件

    会社分割の不動産取得税を非課税とする為には、従業員の引き継ぎにも留意しなくてはいけません。

    分割対象の事業に携わる従業員のうち、約80%以上は会社分割後も当該事業に携わる事が条件となります。

    つまり引き続き同じメンバーで同一の事業に取り組めば、不動産取得税は課税されない訳です。

    事業に携わる従業員かどうかは、原則下記の基準で判断します。

    • 出向社員

    →分割対象の事業に従事していれば、従業員として判断します。

    • 業務委託契約に基づく下請先の従業員

    →下請け会社の従業員である為、事業に携わる従業員としては判断しません。

    • アルバイト

    →アルバイトも基本的には従業員として判断しますが、会社側が従業者の数に含めない様に設定していれば含めません。

    • 役員

    →役員も事業に携わる従業員であると認識します。一人の役員のみが分割事業に従事するケースでは、その代表取締役が承継会社に異動すれば要件をクリアします。

    ⑸按分型要件(分割型分割のみ)

    分割型分割にのみ要求される条件ですが、会社分割の対価は分割法人株主が保有する株式数の割合に応じて、交付されなくてはいけません。

    つまり保有する株式数が多いほど、交付される対価も多くなります。

    以上が5つが、適格会社分割の要件です。

    上記全ての条件をクリアすれば、会社分割の不動産取得税を非課税に出来ます。

    ※関連記事

    会社分割における適格要件

    会社分割における不動産取得税の税率

    不動産を取得しても適格会社分割ならば、不動産取得税は非課税となります。

    非適格会社分割(通常の会社分割)の場合には、通常通り不動産取得税が課税されます。

    法人税法上の適格要件に基づいて、不動産取得税の課税可否が決定する訳ではない点には注意です。

    不動産取得税は地方税である為、地方税法上の適格要件を満たさなくてはいけません。

    法人税法上の適格要件を満たす会社分割であっても、不動産取得税が課税される可能性はあります。

    適格要件を満たさない会社分割では、どの程度の不動産取得税が課されるのでしょうか?

    不動産取得税の税率は、原則不動産に関する固定資産評価額の4%です。

    つまり不動産の評価額が1,000万円である場合、会社分割により40万円の不動産取得税が発生します。

    大きい金額ですので、可能な限り適格要件をクリアした上で会社分割を実行する事がベストです。

    ※関連記事

    不動産M&Aの有用性

    会社分割で不動産を取得する際の登録免許税

    最後に会社分割により生じる登録免許税を説明します。

    会社分割で不動産を移転する際、不動産取得税に加えて登録免許税も発生します。

    こちらも議題に上がる事が多いので、是非とも参考にしてください。

    ⑴登録免許税とは

    登録免許税とは登記の際に生じる税金を指し、不動産取得税とは異なり国税に含まれます。

    他の税金とは違い、登記の際に収入印紙として納税します。

    登録免許税は航空機や会社等の登記でも発生し、資産の種類によって一定税率か定額かが異なります。

    ⑵会社分割における登録免許税

    会社分割では、主に二つの場面で登録免許税が発生します。

    ①法人登記

    会社分割を行う際、分割会社と承継会社の双方で法人登記が必須となります。

    登記に伴い、双方企業に対して登録免許税が課されます。

    ②不動産登記

    会社分割により不動産を移転する場合、不動産の名義が変わるので登記手続きが必要です。

    法人登記とは別に発生する為、通常の会社分割よりも税負担が大きくなります。

    以上が会社分割で登録免許税が発生する場面です。

    一昔前までは、会社分割の登録免許税に対して軽減措置が取られていましたが、現在は通常通りとなりました。

    不動産取得税とは違い非課税措置は存在しない為、登録免許税の支払いは必ず発生します。

    ⑶会社分割における登録免許税の税率

    会社分割における登録免許税の税率は、法人登記と不動産登記で異なります。

    ①法人登記

    法人登記では、前述通り分割会社と承継会社の双方に登録免許税が課税されます。

    分割会社は変更登記として3万円、承継会社は資本金の1,000分の7に当たる金額(3万円未満であれば1件3万円)を納税します。

    ②不動産登記

    不動産登記の場合には、不動産評価額のうち2%に当たる金額を、登録免許税として支払います。

    不動産評価額が1,000万円の場合、登録免許税は20万円となります。

    ※関連記事

    会社分割の手続きとは?吸収分割・新設分割の手続きを解説

    まとめ

    今回は、会社分割における不動産取得税に関して解説しました。

    原則会社分割では不動産取得税が課税されますが、5つの適格要件を満たせば、非課税とする事が可能です。

    形式的な不動産移転であれば、不動産取得税が非課税となる仕組みです。

    グループ内再編が目的であれば、極力適格会社分割を実施する方がベストです。

    会社分割では、不動産取得税に加えて登録免許税も課税されます。

    不動産取得税とは違い、登録免許税は非課税にはなりません。

    不動産取得税と登録免許税が双方課税されると、会社分割の税負担は大きくなります。

    会社分割を実行する際は、その点を意識しましょう。

    要点をまとめると下記になります。

    • 会社分割とは

    →会社を事業単位で切り分けて、他社に移転するM&A手法

    • 不動産取得税とは

    →不動産を売買や贈与等により取得する際に課される税金

    • 会社分割で不動産取得税が非課税になる要件

    →金銭等不交付要件、主要資産引継要件、事業継続要件、従業員引継要件、按分型要件(分割型分割のみ)

    • 会社分割における不動産取得税の税率

    →原則4%

    • 会社分割における登録免許税

    →不動産取得税とは違い、非課税とはならない

    • 会社分割における登録免許税の税率

    →分割会社は3万円、承継会社は資本金の1,000分の7(3万円に満たない場合は、申請件数1件につき3万円)

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