借入金とは?負債との違いや、借入金利や借入金の返済や利息について解説

借入金は負債の一種ですが、どちらかというと借金のニュアンスが強い言葉として知られています。しかし、企業が事業収益をあげるためには借入金が不可欠です。ただ、借入金はどこから借り入れるかによって金利がかなり変わるため、資金用途と返済計画を明確にしたうえで選ぶことが大切です。
借入金とは?
まずは借入金の意味について確認していきましょう。先に結論をいうと、借入金は読んで字のごとく「借り入れているお金」、つまりは借金を指します。それをふまえると、会社の場合は会社が借りているお金が借入金に該当します。
さらに詳しく説明すると、基本的には資金が不足した際に借用書や手形を差し入れ、お金を借りた場合に発生する債務のことを表します。
広義で捉えた場合、企業が発行している社債、国や自治体、公共団体が発行している公債、買掛金や支払手形なども含めることがあります。
借入金の種類
借入金は大きく分けて2種類あり、短期借入金と長期借入金があります。 短期借入金は貸借対照表に記された借入金の返済期日が1年以内のものを指し、長期借入金は貸借対照表に記された借入金の返済期日が1年以上のものを指します。
短期借入金、長期借入金(残り1年で返済可能)、長期借入金(返済に1年以上かかる)の3種類に分けることもあります。
期間の違いだけでなく、借り入れの際に担保の有無を設定するかどうかなど、借入金の具体的な内容は様々です。
また、個人事業主の場合、会計の際に借入金を短期借入金と長期借入金で区別せず、一括でまとめることもあります。
借入金のメリット
融資を行うことで資金が潤沢になり、経営上の選択肢が増えます。たとえば、新しい設備を購入して利益率を高めることが一つの事例です。資金難で新たな取引先の依頼を断るケースを回避できるのも同様といえます。
資金を多く確保しておくメリットはそれだけではありません。企業では不測の事態によって巨額の損失が生じるケースもあります。そのような場合に資金がないと対処できず、最悪倒産に至ることもあり得ます。
ただし、借り入れ実績がないと急な借り入れが必要になった場合に金融機関から信用してもらえないケースも少なくありません。
その点、借り入れをすることで決算書に借入先が記入されるため、金融機関との信頼関係を築けるメリットが生じます。
金融機関と関係を結ぶことで、企業にとって有益な情報を入手したり、協力できる同業他社を紹介してもらったりすることも可能です。当然、利息を払っているため、簡易的な相談であれば基本的に料金はかかりません。
また、借り入れをすることで、助成金が増額されることがあるのも利点の一つです。
具体的には、創業補助金が良い例でしょう。創業にかかる一部の経費を国や地方公共団体に補助してもらえる制度です。
この創業補助金は金融機関の借り入れがある場合とない場合で補助金額が異なります。借り入れがある場合は上限が200万円であるのに対し、借り入れがない場合は上限が100万円です。
そのほかのメリットとして、事業にともなう借り入れの利息は全額経費として扱われる点も見過ごせません。節税として活用できますが、借入利息は「営業外費用」に分類され、会社としての経費にはならないので注意が必要です。
借入金の仕訳
借入金の仕訳で扱う勘定項目は主に「借入金」です。借入金は返済の必要があるため、貸借対照表では負債として扱われます。
基本的な借り入れパターンに基づいて帳簿の仕訳を確認してみましょう。まず、金銭消費貸借契約で借り入れた場合です。金銭消費貸借契約は契約書を記載したうえで借り入れします。
借り入れた場合は現金を受け取ったことになるため、帳簿の借方に現金○○円と記入し、貸方に借入金○○円と記入します。
次に、手形を振り出してお金を借りた場合です。仕訳では、手形借入金と呼ばれる勘定項目を使います。帳簿の借方に現金○○円と記入し、帳簿の貸方に手形借入金○○円と記入します。
また、借り入れの際は借りた金額に加えて利息も支払う必要があります。利息をふまえつつ、返済した場合の具体的な仕訳も確認してみましょう。
まず、帳簿の貸方に現金○○円と記入します。その際のポイントは、借入金と利子を合計した金額を記入することです。その後、帳簿の借方に借入金○○円と記入します。
借入金と負債の違いは?
ここでは借入金と負債の違いについてお伝えします。
借入金と負債は似たような言葉であり、どちらも「借金」を連想してしまいがちです。 この両者の違いは一体何なのでしょうか?
借入金に関しては、「会社が借りているお金」を意味しています。
これに対し、負債は「会社が第三者に対して支払う義務を背負っているお金」を指します。 つまり、負債は借入金と比べて広い意味合いを持った言葉です。
「会社が第三者に対して支払うべきお金」という枠組みで見るなら、当然借入金は該当しますし、それ以外にも未払いのお金や買掛金、預り金なども該当することになります。したがって、借入金は負債の一種です。
ちなみに、短期借入金と長期借入金も、企業会計の観点で見るなら前者が「流動負債」、後者が「固定負債」という形で扱われます。
借入金利とは
借り入れの際、金利を気にする方は多いことでしょう。
金利は返済の可能性を左右し、金利によって会社の負担は大きく変わります。 また、金利は借り入れを行った機関によって大きく変わるものです。
ここでは借入の際に利用される銀行などの一般的な金融機関や、日本金融公庫を含む政府系の金融機関、ノンバンクなど3種類の金利についてお伝えしていきます。
銀行などの一般的な金融機関の金利
経営者がまず借入先として考える対象は銀行などの一般的な金融機関が挙げられます。
一般的な金融機関の金利は業者ごとに異なりますが、平均で2%~9%程度の金利が多い傾向です。
固定金利か変動金利によっても異なりますが、おおむねこの数値の範囲に収まるといえるでしょう。
他方で、一般的な金融機関において借入金がどれだけの金利で設定されるかは、別の要素が絡んでいます。 それは一般的な金融機関が設けている「格付け」です。
銀行にせよ信用金庫にせよ、金融機関は貸倒れや未返済を嫌う傾向が強く、常に貸す相手のリスクに注目しています。
そのため、融資を行う対象の会社をリスクごとに格付けしており、その格付けに応じて金利を設定しているわけです。
もちろん、格付けが悪ければ悪いほど、金融機関はリスクを恐れて金利を高く設定するようになります。
「中小企業やベンチャー企業に銀行は融資してくれない」と耳にするのが良い例です。
規模が小さく、また実績もない会社は社会的な信用性が低いため、貸し渋りされやすい傾向にあります。
ただ、規模が小さいからといって、一般的な金融機関から融資を受けられない、あるいは金利が必ず高く設定されるというわけではありません。
例えば、経営状態が好調であったり、中小企業の会計方針に準拠した会計を行っていたり、改竄できない会計ソフトを利用したりするなど、会社経営や会計状態を変えるだけでも格付けが向上する可能性が高くなります。
つまり、「金融機関に気に入られるような会社」を目指すことで、借入金の金利を抑えやすくなります。
政府系の金融機関の金利
日本政策金融公庫を含む政府系の金融機関は金利が低いことで有名です。
政府系の金融機関の金利の平均は1%未満~3%程であり、中小企業やベンチャー企業、あるいは、起業を考えている起業家が借入金を得る際に頼みやすい機関だといえます。
基本的に政府系の金融機関は営利を重視する傾向があまり強くありません。
そのため、金利が低いほか返済期間が長いうえに、無担保で借りられることも多いため利用しやすい機関です。
また、中小企業やベンチャー企業、起業家のように実績があまりなく、社会的信用性が低い立場であっても融資を行ってくれることも多いため、スタートアップの段階で融資を得たい時にはうってつけだといえるでしょう。
ただ、政府系の金融機関の注意点は金利とは別にあります。
政府系の金融機関は一般的な金融機関より審査が緩いといわれていますが、実際は厳しく融資先をチェックする傾向があり、審査期間も1ヶ月~2ヶ月ほど設定することが多い傾向です。
そのため、緊急で資金が欲しいタイミングの借り入れ先としては不向きだといえるでしょう。
ノンバンクの金利
ノンバンクとは、法人向けカードローンやビジネスローンなどの金融会社を指します。
ノンバンクの金利は一般的な金融機関や政府系の金融機関と比べて総じて高い傾向があり、平均で見ても約6%~18%はあります。
そのため、金利の面から考えると、長期的な借り入れにはあまりおすすめできません。ただ、金利は高いですが、借入先としてのノンバンクにはいくつかメリットがあります。
まず、ノンバンクの審査は一般的な金融機関や政府系の金融機関と比べてかなり緩く、よほど返済能力に問題がない限りは審査に通過する可能性が高いです。
むしろ、ノンバンクは利息のみで利益が入るため、融資を積極的に行っている傾向があります。
そのため、一般的な金融機関や政府系の金融機関の審査に通過できなかったという会社でも、ノンバンクであれば借り入れができる可能性が高いでしょう。
また、ノンバンクは借り入れをスピーディーに行えます。ノンバンクは審査が緩い分、実際に融資が行われるまでの間隔が短く、金融会社によっては即日で融資を受けられる場合があります。
したがって、もし緊急で資金が必要になった際には、ノンバンクから借り入れを行うのも一つの方法です。
これらの点を考えると、ノンバンクは短期的借入金を行ううえでうってつけだといえるでしょう。
借入金の返済
借入金の返済は計画的に
借入金の返済は実際に借り入れる前の段階から計画を立てておくことがおすすめです。
借入金は返済過程ですでに利息が発生しているため、返済段階に入ればどんどん会社の資金が流出していきます。
もしそのスピードが速くなると、返済のために資金繰りを行う状態になり、会社の経営状態がたちまち悪化していきます。
それを防ぐためにも、借入金の返済は借り入れを行う段階から計画を立てておいた方がいいでしょう。
借り入れる際の金利を含め、借入金をあらかじめ把握し、金利が高い順に返済するように計画しておけば、返済がスムーズに進むはずです。
それに加えて、そもそも借入金は無闇に行わないようにしておくべきでしょう。
返済が追い付かなくなる恐れもありますし、借入金を借入金で返す状態になると資金繰りの回復が難しくなります。
資金の必要性を明確にしたうえで借り入れするのが大切です。
ただ、借り入れを計画的に行うのは経営者だけでは大変な作業であるため、具体的な数字を計算しつつ、長期的な視点で計画する必要があります。
そのため、必要があれば経営コンサルタントなどの専門家に相談できるようにしておきましょう。
借入金を返済する際の会計処理は?
借入金を返済する際の会計処理はどう行うべきでしょうか? 借入金の会計処理は少し手間がかかるため注意が必要です。
帳簿に借入金の元本を入力してから利息分を入力します。 つまり、借入金の元本と利息分を分けて処理する必要があるわけです。
一見すると二度手間ですが、理由があります。
利息分は会計の際に経費として計上する必要があるため、元本と分けて処理しなければ経費を正しく算定できなくなります。
加えて元本と利息を分けなければ、返済した借入金の残高を正確に把握することが難しくなります。
そのため、借入金を返済する際の会計処理は元本と利息を分けるように意識しておきましょう。
借入金の利息
借入金の利息を計算する際、気を付けておきたいのは2つの計算方法がある点です。
それは「単利計算」と「複利計算」です。
一般的に単利計算が借入金の利息計算に用いられます。単利計算は「元本×金利」で計算する方法です。
会社の借入金だけでなく、住宅ローンやカードローンなどの利息計算にも用いられます。基本的に借入金の利息を計算する際には単利計算を用いていれば問題ないでしょう。
ただ、借入金の利息の計算を複利計算で行う必要もあります。
複利計算は単利計算より少し複雑で、「(元金+利息)×金利/365日×利用日数」という方法で計算します。
複利計算を行う場面は借入金の返済が期日に間に合わず、遅滞しているケースです。
借入金の返済には基本的に期日が設けられており、その期日をオーバーすると遅れた日数分の遅延損害金が発生します。この遅延損害金を計算する際に複利計算は用いられるわけです。
そもそも遅延損害金は、借り入れ先が期日までに得るはずだった利益を損失したことに対し、その賠償を目的にしているお金です。そのため、通常の利息とは別の計算方法をする必要があります。
まとめ
借入金はどこから借り入れるかによって金利がかなり変わります。そのため、資金用途と返済計画を明確にしたうえで選ぶことが大切です。
また、借入金の返済や返済処理をはじめ、利息の計算方法などにも注意しておきましょう。
しかし、融資が受けられなかったり、利息の支払いに経営が圧迫されたり、借入金にともなう悩みは会社それぞれです。借入金でお困りであれば、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所には専門知識の豊富な会計士が多数在籍しています。借入金を申請する際の準備や、借入金の利息計算方法など、一つひとつの疑問にお応えいたします。
M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 業界最安値水準!完全成果報酬!
- M&Aに強い会計士がフルサポート
- 圧倒的なスピード対応
- 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。